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【カイロ秋山信一】国連人権理事会が任命したシリア問題に関する独立調査団は18日、最新の調査報告書を公表し、「政府と反体制派の双方に人命軽視の傾向が強まり、人権侵害や戦争犯罪が増えている」と指摘した。「戦争犯罪」と判断される個人や組織のリスト(非公表)を作成し、3月の人権理事会に提出する。また、国連安全保障理事会に対し、シリアでの戦争犯罪を国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう求めた。
調査団は昨年7月から半年間、国外に逃れた住民から445件の聞き取り調査を実施した。シリア政府は、国内での調査を認めていない。
報告書によると、15歳以下の多数の子供が政府軍やアサド政権側の民兵組織により殺害されたり、拷問、強姦(ごうかん)の被害に遭ったりしているほか、反体制派にも兵士として使われたりしているという。
また、調査団は計7件の虐殺を確認し、うち5件は政権側によるものと判断したという。南部ダルアー県の町では、昨年8月、政府軍による無差別爆撃や虐殺で住民約500人が殺害された、との証言も寄せられた。
政権側の兵士は、民家や検問所などで政府の判断とは別に、独断で住民らを拘束したり、殺害、拷問、強姦などに及んだりしている例もある。病院やパン屋など市民生活に欠かせない公的施設や店が政府軍に空爆され、多数の市民が巻き込まれるケースも増加。パン屋への空爆は12件確認されているという。
これに対し、反体制派は非軍事施設も標的とし、自爆や車爆弾による攻撃を継続。政権側より数は少ないが、殺害や拷問、拉致などの「戦争犯罪」も認められた。このほか報告書によると、外国人兵士や過激派グループによる動きも活発化し、戦闘や犯罪行為をエスカレートさせている。
調査団は、「戦争犯罪を行えば責任を問われる、ということを早急に明確にする必要がある」と指摘し、ICCへの付託などを訴えた。また、シリア政府や周辺諸国、国連安保理に対し、早期の政治的解決を求めた。
国連によると、シリアでは武力衝突が始まった11年3月以降の死者は推計約7万人。周辺国への難民は80万人を超え、国内でも約400万人が人道支援を必要としている。
◇住宅街「住民は人間の盾」
シリア情勢に詳しいヨルダン大学戦略研究所のムーサ・シュテイウィー所長は、「都市部の住宅街は戦場と化し、政権側と反体制派の双方が、互いに攻撃しにくいように住民を『人間の盾』にしている」と指摘する。また、「戦闘が激化するにつれ、住民への配慮が薄れてきた。モラルが低下し、市民への暴力や戦闘による犠牲が増えている」と懸念を示した。
シュテイウィー氏によると、反体制派は昨年夏以降、首都ダマスカスや北部アレッポなどの都市部で住宅地を拠点に戦闘を展開している。住民に紛れて政府軍の攻撃を難しくする一方、住民から人的、物的支援を得るのが目的だという。さらに、「政府軍の攻撃で住民の犠牲が増えている」状況をあえて作り出し、反政府感情を高めようとしている。同様の戦術は、政権側も取るようになったという。
また、反体制派が徐々に組織化され、外国の資金援助で軍備も増強されたことで、戦闘が激化したと指摘。内戦の長期化により、政権側、反体制派を問わず戦闘員の倫理意識が低下し、市民の殺害や拷問など不法行為が増加していると強調した。
http://mainichi.jp/select/news/20130220k0000m030081000c.html
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