03. 2013年2月18日 19:07:35
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コラム:北朝鮮「核武装」への対応、拙速は禁物 2013年 02月 18日 14:17 JST By Bennett Ramberg3度目の核実験を強行した北朝鮮。この国が「核武装中の国家」であるということを、国際社会は受け入れなくてはならない。いかにアメやムチを駆使しても、この事実を変えることはできない。今重要なのは、リスクを最小化することだ。新たな対北朝鮮政策を急ぐ前に、われわれはまず深呼吸する必要がある。 北朝鮮の核の野望を抑え込みたいという衝動は変わらないだろう。しかし、制裁は失敗を繰り返している。北朝鮮に経済面と政治面で唯一圧力をかけられる存在である中国は、彼らにしか分からない理由で、北朝鮮にエネルギーや食糧の支援を続けている。その方針が変わることはこの先もないだろう。 米国の軍事行動についてはどうか。クリントン政権や恐らくそれ以降の政権でも検討されたはずだが、魅力的な選択肢であったことは一度もない。いくつかの理由から、今ではその可能性はさらに低くなっている。 確かに、情報機関は北朝鮮のウラン濃縮施設の場所を特定している。ただ、それ以外に分かっていない場所もあるはずだ。北朝鮮が地下坑をはりめぐらせていることを考えれば、備蓄されたプルトニウムをピンポイントで狙うことはまずできないだろう。 さらに危険なリスクもある。軍事行動が新たな朝鮮戦争につながりかねないことだ。そうなったら韓国側が勝利するだろうが、北朝鮮が撃ち込むであろう大量の砲弾で多く人命が犠牲になる。 北朝鮮を封じ込められるのであれば、新たな朝鮮戦争はまったく意味がない。封じ込めには、いくつかの選択肢が考えられるだろう。在韓米軍への核再配備や、北朝鮮への経済制裁強化などだ。もちろん外交努力を推進するという選択肢もある。 どの選択肢にもプラス面とマイナス面はある。 米国は1991年に韓国から核兵器を引き上げた。核の再配備は北朝鮮を刺激し、さらなる核実験につながるだろう。ただ、いかなる核の脅しも体制には大きな危険を伴うものだというメッセージを伝えるメリットはある。核兵器の地上配備は簡単に動かすことはできないため、明白な抑止力になる。 経済制裁の強化はどうだろう。北朝鮮は今や恐らく世界で最も孤立した国家だ。制裁を一段と強めたからといって、彼らを屈服させることは難しいだろう。北朝鮮の資金洗浄を断ち切ることを狙いとした新たな金融制裁は役に立つかもしれない。しかし、北朝鮮はそうした制裁を今までも素早くくぐり抜けてきた。 あるいは、米国がメンツを捨てて北朝鮮の核武装化をあるがままに受け入れ、関係を正常化するという選択肢もあろう。外交関係が通常は緊張を緩和し、特に核戦争のリスクを軽減するという根拠においてだ。ただ北朝鮮は、米国が経済的に譲歩しない限り関係を途絶させると言い出すなど、2国間関係を脅迫材料に使いかねない。 日本と韓国は、中国カードを使えるかもしれない。評論家や政治家などを通じ、核不拡散の方針を見直す時期に来たと宣言すれば、北東アジアで核軍備競争につながるリスクがあり、中国は北朝鮮への圧力を強めるとみられる。しかし、その選択肢を日本から言い出せば、すでに一触即発の状態になっている関係をさらに悪化させることになるのは間違いない。 北朝鮮の核施設に対する米軍の攻撃など、いくつかの選択肢は明らかに検討の対象外である一方、他の手段のメリットも依然としてはっきりしない。 拙速に動き出すよりむしろ、米国と日韓にとって最善の方策は、形式的な遺憾表明をした後はいったん冷静になり、さまざまな選択肢を注意深く検討することだろう。北朝鮮が核兵器を確かな脅威とするまでの道のりはまだ長いのだ。 (15日 ロイター) *筆者はベネット・ランバーグ氏は、ジョージ・H・W・ブッシュ政権時の国務省顧問。 焦点:北朝鮮の制裁逃れ巧妙化、「宮廷資金」は4000億円超 2013年 02月 18日 12:38 JST トップニュース 英ポンドが対ドルで7カ月ぶり安値、中銀委員が一段安の必要性に言及 3月19日までに新体制整える必要=日銀総裁人事で官房長官 日経平均は大幅反発、G20後の円安や緩和期待で全面高 ドル93円後半、G20通過後の円売りで一時94円前半 [ソウル/国連 16日 ロイター] 脱北者の金光進氏(46)は2003年当時、シンガポールにある北朝鮮の国営保険会社に勤務していた。金氏はある日、スーツケース2個に2000万ドルを詰め込み、平壌へと送った。それは、当時の北朝鮮最高指導者、金正日総書記への特別な贈り物であり、同氏はその功績がたたえられて勲章を授与された。 北朝鮮は1950年代以降に米国から、2006年の最初の核実験後には国連からも制裁を受けているが、過去数十年にわたり、麻薬や武器の不法取引や詐欺行為などから資金を稼いできた。そして、兵器開発や指導者のぜいたくな生活に使われるこうした資金の活用において、その巧みさは増すばかりだ。 12日に北朝鮮が実施した3度目の核実験後、国連安全保障理事会で制裁強化に向けた動きに直接関与しているという韓国政府筋は「(北朝鮮の)銀行口座を特定するのは至難の業」だと語る。 中国、北朝鮮の両政府首脳レベルに直接コンタクトがある情報筋は、ロイターに対し、北朝鮮が制裁を恐れてはおらず、年内に2回の追加核実験とロケット発射を検討していると明かした。同関係筋はまた、「今年は農業や経済改革で穀物収穫が増大し、中国への食料依存を減らせると北朝鮮は自信を持っている」との見方を示した。 米政府の報告によると、貿易資源と天然資源に限りがある北朝鮮にとって、米ドル札の偽造や武器・麻薬の密売といった違法行為は大きな収入源となっている。 2005年には、米財務省が資金洗浄と北朝鮮の不正資金取り扱いの疑いでブラックリストに掲載したマカオの銀行、バンコ・デルタ・アジア(BDA)に保管されていた2500万ドルが凍結されたが、これは実質的に不法資金の押収に成功した唯一のケースとなっている。 結局、北朝鮮の金桂冠外務次官と米国のクリストファー・ヒル国務次官補らによる長期に及んだ交渉の結果、この2500万ドルの凍結は解除され、北朝鮮に戻された。 先の韓国政府筋によると、北朝鮮はこの件以来、資金をいっそう慎重に隠すようになり、「複数の銀行口座に分散している」という。1つの口座が凍結されても影響を最小限にとどめ、全体に及ぶのを防ぐことができるからだ。 同筋は過去何年にもわたり、北朝鮮のこうした闇資金を突き止めようとしてきたが、偽名が使われているため、口座や取引を特定することはほとんど不可能に近かったと話す。 <保険金詐欺> 現在は韓国で暮らす前出の金光進氏によると、2003年に金正日総書記に贈られた2000万ドルは、朝鮮国営保険公社(KNIC)が保険金詐欺で得た金だった。KNICは再保険会社に対し、航空機の墜落や船舶衝突事故などの被害額を誇張し、水増し請求を行っていたという。 ロイターはKNICに電話と電子メールで取材を申し入れたが、今のところコメントを得られていない。 こうした詐欺で得た金は、金正日総書記とその側近らのための「宮廷資金」に充てられるという。「金正日総書記から(KNICの)職員に感謝状が届いた。中には、DVDプレーヤーや毛布といったプレゼントを受け取った者もいた。私も後に勲章をもらった」と、金氏は振り返る。 同じく厳しい経済制裁を受けている石油輸出国のイランと違い、北朝鮮の経済規模はわずか500億ドルで、中国向けの鉱物と海産物を除けば、ほかに主要な輸出品はない。中国政府の発表では、2011年の中朝貿易額は57億ドルだった。 一方、米財務省の金融犯罪捜査当局による2005年の推計では、北朝鮮は年間にして、通貨偽造で5億ドル、麻薬取引で1―2億ドルを得ている可能性がある。 2003年にオーストラリア海軍が北朝鮮の船舶を強制捜査した際には、5000万ドル相当のヘロインが見つかった。ただこれも、北朝鮮が「麻薬国家」であることを示す氷山の一角にすぎない。 北朝鮮の資金を扱っていた当事者としての経験から、金氏は「宮廷資金」の総額が45億ドルに上るとみている。国内と海外に20億ドルずつあり、残りの5億ドルは複数の国の地下経済に眠っているという。同氏の試算を立証することは不可能だが、他の脱北者や専門家らによる試算もだいたい似たような数字となっている。 先の韓国政府筋によると、北朝鮮への新たな制裁として、現金が詰め込まれたスーツケースの差し押さえなども検討しているという。こうした現金輸送は北朝鮮にとって、制裁を回避するための格好の手口となっているからだ。 <現金大量輸送の手口> 金氏や他の脱北者、外交官らは、北朝鮮が現金を運ぶのに自国の外交官や政府関係者をしばしば使うと指摘する。そして、こうした「大量の現金」を輸送する手法はほとんど追跡不可能だという。 米外交官によると、国連安保理は北朝鮮への新たな制裁として、国連の制裁対象リストへの追加のほか、イランに科されているのと同様な措置を検討している。その中には、武器禁輸や資産凍結、銀行取引の禁止などが含まれるという。さらに、匿名の国連上級外交官は、禁輸や船舶査察に関する規定の強化の可能性も指摘した。 船舶査察はすでに北朝鮮に科されている制裁項目の一つ。核実験後に出された安保理決議のもと、国連加盟国は陸・海・空で運ばれる全ての北朝鮮の貨物を検査することが可能で、制裁に違反している場合は押収もしくは破壊することができる。北朝鮮船籍の船はインドやタイ、アラブ首長国連邦(UAE)のほか、公海上で査察を受けている。 また、複数の外交官の話によれば、特に中国での取り締まり強化が盛り込まれる可能性もある。違反を取り締まる国連の専門家は、北朝鮮が武器などの禁制品を中国経由で輸送し、日常的に制裁を無視しているとこれまでも指摘してきた。かつて国連で北朝鮮の監視を担当していたジョージ・ロペス氏は、「もし中国が大連港を通過する船舶の半数でも検査する気があるなら、それは大きな成果をもたらすだろう」と語る。 春節(旧正月)休みであったこともあり、この件について中国人民銀行(中央銀行)と同国外務省から返答はなかった。 一方、先述の中朝両政府首脳レベルに直接接触のある関係筋は、「厳しい内容の新たな制裁が科せられる。中国は賛成するだろう」と語った。ただ、中国がどのレベルの制裁を望むかについては明言を避けた。また、この関係筋によると、先の核実験後に伝えられていたような、中国が北朝鮮への食料や燃料の供給を断つことはないという。 <香港とのつながり> 今年1月、安保理は昨年12月に北朝鮮が実施した事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、新たな非難決議を採択、制裁対象リストに多くの企業を追加した。その中の「Leader (Hong Kong) International」という企業は香港に住所があり、北朝鮮の武器販売と弾道ミサイル技術の輸出を担うとされる朝鮮鉱業貿易開発会社(KOMID)の子会社として登録されていた。 しかし、ロイターの記者が中国本土と香港で同社と関連があるとされる複数の住所を調べてみたところ、直接的な関わりを示す形跡はなかった。似た名前の「Leader (Hong Kong) International Trading Ltd」という企業の住所が、国連の制裁リストにあった香港の住所と同じであることも分かった。ただ、この企業は2007年に移転している。 また、北朝鮮との国境から約300キロ離れた中国・遼寧省大連で、同社ディレクターの住所とされていた場所には、中国公安当局の支部が存在した。 「企業も個人も偽名を使っている。中国はそれを知っているかもしれないが、見て見ぬふりをしている」と、金氏は語る。 (ロイター日本語サービス 原文:Jack Kim記者、Louis Charbonneau記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明) 今後の「口先介入」に注目 G20で日本の名指しなく、市場には安ど感が広がり、円安・株高が再開。今後どの程度の「口先介入」が出てくるかに注目。 記事の全文 | 特集ページ 焦点:北朝鮮の制裁逃れ巧妙化 コラム:トルコリラ投資の落とし穴 コラム:北朝鮮への対応、拙速は禁物 |