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日中戦争おっ始まったか!!レーダー照射で週刊誌「開戦モード」くわばら、くわばら (J-CAST) 
http://www.asyura2.com/12/warb10/msg/684.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 2 月 15 日 19:58:01: igsppGRN/E9PQ
 

http://www.j-cast.com/tv/2013/02/15165601.html?p=all
2013/2/15 17:35 元木昌彦の深読み週刊誌 J-CAST


■小野寺防衛相のお先走り心配する自衛隊制服組

「戦争が始まれば、東京を空爆することを考えなければならない」

これは羅援という人民解放軍少将の発言だと『週刊新潮』が伝えている。

日中戦争が勃発した!今週の週刊誌を見た人がそう思っても不思議はないほどおどろおどろしいタイトルが、どの週刊誌にも踊っている。「中国人9割は『日本と戦争』『東京空爆』」(週刊新潮)、「中国からの『宣戦布告』」(週刊文春)、「中国『宣戦布告なき開戦』の一部始終」(週刊ポスト)、「『狙いは首都・東京』習近平の中国は本気だ」(週刊現代)といった具合である。

海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」がレーダー照射(ロックオン)されたのは1月30日(2013年)で、2月5日にこのことを発表した安倍内閣は、毅然としながら中国側の挑発には乗らなかったことが評価されているが、舞台裏ではいろいろあったようだ。諸説あるが、『週刊朝日』の「ロックオン挑発に安倍官邸の『勝算』」から引用してみよう。

「与党関係者によると、レーダー照射の詳細な情報が小野寺五典防衛相から安倍首相に伝えられたのは、5日の発表直前だったという。
報告が遅れた理由には、1月19日、海自のヘリ『SH60』が中国海軍の艦船からレーダー照射を受けたと疑われる事案を巡る『疑心暗鬼』があった。
『このとき防衛省の事務方が小野寺氏と外務省に報告しました。すると、小野寺氏が<これは大事なことだ。すぐ安倍首相に報告しよう。きちんと声をあげないとダメだ>などと言い出した。事務方は仰天し、<疑いの段階で公表すれば日中関係が大変なことになる。ウラがとれるまで待ってください>と押しとどめました』(官邸関係者)(中略)
『大臣に綴告すると、また<公表する>と騒いで情報が漏れかねないと制服組が警戒した。防衛省は2010年の尖閣沖の漁船衝突事件などで民主党政権の対応に不信感があり、今でも政治家に情報を上げるのを極端に避ける傾向にありますから』(防衛省関係者)」

ようやく報告が上がったのは5日の昼ごろだった。小野寺防衛相はすぐに官邸に乗り込んだというが、あわてていたため菅義偉官房長官や岸田文雄外相に根回しせず、本来は公表前に外交ルートで中国側に正式抗議をしなくてはいけないのに、安倍首相に「中国の暴挙を国際社会に発表したい」と直談判したというのだ。

中国側は「日本のいうことはまったくのデタラメだ」と猛烈に反発しているが、今度ばかりはそんな強がりをいっても国際社会では通用しない。ロックオンはミサイルを撃ち込まれても不思議ではない危険な行為だそうだ。週刊文春で作家の麻生幾が、1月19日に尖閣諸島から北へ約百数十キロの海域で起きた、海上自衛隊の海上哨戒用ヘリコプター「SH- 60K」に対する、中国のフリーゲート艦「ジャンカイ1級」からの射撃管制レーダー照射の模様を迫力満点に描写している。

「神経をかき乱す音が、海上哨戒用のヘリコプターSH-60Kの狭い機内に鳴り響いた。
『強烈に耳障りな音』を聴いた機長ほか三名の搭乗員たちは、その音が意味することをすぐに悟った。
SH-60Kをターゲットにして向かってくるミサイルが自ら放つ終末誘導レーダーか、軍艦が射撃を行うためのレーダーか、そのどちらかを探知したのだ。(中略)
『強烈に耳障りな音』は止むことはなかった。しかも回避行動を取りながらその海域を離脱するSH-60Kの背後へも、フリーゲート艦は十分近くもしつこく照射し続けたのである。
『強烈に耳障りな音』を十分近くも聞き続けたヘリコプター搭乗員の精神状態はいかばかりであったか――『至急報』を受けた海上自衛隊幹部は、ゾッとする想いに襲われた」

週刊ポストはレーダー照射などの危険な中国側の行為は頻発していたと報じている。取材で明らかになったのは2010年4月8日に「中国艦艇の艦載ヘリが護衛艦『すずなみ』に接近飛行」。4月13日には「P-3C哨戒機が中国艦艇から速射砲の照準を向けられる」など、1月の2件を入れて8件あるという。

■人民解放軍掌握できていない習近平―幹部暴走「東京を空爆する」

こうした人民解放軍の一触即発の危険な行為は、習近平総書記がまだ軍を完全に掌握できていないための「軍の暴走」だと捉える見方が多いようだ、だが週刊新潮は、中国人の9割が日本との戦争を望んでいるという驚くべきアンケートがあるという。『環球時報』という人民日報系の新聞が「尖閣空域で巡視活動を行う中国機に対し、日本の戦闘機が射撃を行うと思うか」というアンケートを実施した。3万人ほどが回答し、その9割近くが「日本は開戦への第一弾を発砲するだろう」と答えたというのである。

さらに、メディアに解放軍の幹部たちが登場して「我々は瞬間的に日本の戦闘機F15を撃墜する力を持ち、開戦から30分で日本を制圧し、始末することができる」というような過激な発言をくり返しているというのだ。冒頭紹介した羅援人民解放軍少将の発言もその一つだが、この人物は習近平の小さい頃からの友人で、「彼の発言は、習総書記の意向を汲んだものとの可能性が捨てきれない」(矢板明夫産経新聞中国総局特派員)という見方もあるのだ。

もし日中戦かわばどうなるか。大方の見方は日本有利と見ているが、中国が最終兵器を持ち出してきた場合は、すべてが水泡に帰す恐れもあると武貞秀士延世大学教授は新潮でこう語る。

「中国の軍事力で危惧すべき点は、中国が東風21などの中距離弾道ミサイルを東京や大阪に向けて発射、それが着弾した場合、それらの都市は瞬時に焦土と化します」

■国際社会を敵に回す北朝鮮―戦前の日本と同じ「国連脱退」で自滅

日本の危機はそれだけではないと週刊現代が「北朝鮮『国連脱退』へ――そして核ミサイルが日本に飛んでくる」で警告している。かって、日本が満州国承認を受けられなかったことで国際連盟を脱退し、これを機に戦争へと突き進んだ道を、北朝鮮も国連がイラン並みの非難決議を決めたら、同じように進むかもしれないというのだ。この中で読み所は中国共産党幹部へのインタビューである。1月22日に国連安保理で北朝鮮への5度目の非難決議を採択したが、そのとき中国は賛成に回った。今度の核実験をどう見ているのかという問いにこう答えている。

「習近平総書記の心情を察して言えば、『金正恩よ、もう許さないから覚悟せよ!』ということだ。
核実験をした前日夜に、北朝鮮から『明日、実行する』と、ぶっきらぼうな連絡が入った。『中国は強く反対する』と告げたところ、『今回は前日に連絡したのだから、わが国の誠意をありがたく思うべきだ』と言ってきた。こんな非礼な国が、どこにあるか?」

さらに習近平が金正恩に冷めている理由をこう述べている。「考えてもみるがいい。わが国は北朝鮮に対して、食糧、重油、肥料を毎年大量に援助し続けている。それなのに、わが国が援助した食糧を朝鮮人民軍が喰い、わが国が援助した重油で朝鮮人民軍が核兵器を作っている。そしていくら警告しても、耳を貸そうともしない。こんな『流氓(リウマン)国家』(ヤクザ国家)を、なぜこれ以上支援し続けなくてはいけないのだ?」

中国軍の危険な挑発行為を非難することは致し方ないが、週刊誌が挙って中国を難じ、日中戦争に備えよ的な誌面づくりにはいささか辟易する。日本人は後先を考えず短慮に物事を進める気質が強くある。そうした空気が大きくならないようにするのも報道する側の責任であるはずだ。中国側の好戦的な雰囲気より、日本の中の「中国を撃つべし」とい雰囲気の広がりのほうが心配である。


 

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コメント
 
01. 2013年2月15日 20:45:32 : YxpFguEt7k
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/57593

孫崎享氏
アメリカは2つの流れをすすめます。
 (1)日本を先兵にする政策は進める
   ※日米豪の合同演習は行われた
   ※空対空の戦闘ができない欠陥機F35やオスプレイを買わされる。
   ※イージス艦も買えと言われている。
 (2)日中で事が起きれば、アメリカは参戦しない、という政策をすすめる。
   ※事と次第によっては「日本が悪い」というふうにもなる。

最悪だ。アメリカのプロパガンダに乗ってはいけない。平和を愛そう。


02. 2013年2月16日 01:40:55 : LZQqGUA606
 中国の「最終兵器」の使用はさすがにアメリカが止めるでしょう、
財布がなくなるから、中国としてもODAは止まるし商売あがったりだし。
「最終兵器」で脅されて、色々買わされて島も取られるんじゃないかな。
 危なっかしい金さん家のお坊ちゃま君のほうが、読めなくて怖いな。

03. 2013年2月22日 01:23:43 : xEBOc6ttRg
【第62回】 2013年2月22日 森 達也 [テレビディレクター、映画監督、作家]
非国民で売国奴の僕は
この国でますます居場所を失くすだろう
 今日の日付は2012年12月13日。投票日まで2日を切った。

 多くの人が指摘するように、今回の選挙は日本の今後を、ある程度は決めることになるだろう。とても大事な選択だ。でも同時に、とても嫌な雰囲気だ。

 11月のアメリカ大統領選の際には、投票日直前のハリケーン「サンディ」に対応する姿勢の違いが、ロムニーよりもオバマへの支持をより増やしたとの指摘がある。

 ただしオバマ圧勝の背景は、白人エスタブリッシュメントに迎合した新自由主義経済などの政策を打ち出すことに終始する共和党の存在意義自体が、黒人やヒスパニック系の人口が既に半数を超えたアメリカでは終焉しつつあるからだと僕は考える。つまり構造的な変化だ。しかもこれは簡単には戻らない。

 とはいえ「サンディ」が、オバマ再選の大きな要因になったことは確かだろう。

 アメリカにおける共和党と民主党の構図を日本に置き換えれば、(第三極はともかくとしても)自民党と民主党の構図になる。ならばアメリカにおける「サンディ」に位置する要因のひとつは、投票直前に行われた北朝鮮の「事実上のミサイル発射」ということになる。

 連載54回『「将軍さま」と「事実上のミサイル」その意外な共通点』で、結局は失敗に終わった2012年4月の北朝鮮のロケット発射について、日本政府と主要メディアのほとんどが何の逡巡もなく「事実上のミサイル」などと断定していることについての違和感を書いた。

 今回も事情は変わらない。ほぼすべてのメディアが「事実上のミサイル」だ。だからもう一度書くけれど、ミサイルと宇宙ロケットの区別は微妙だ。共通することはロケットエンジンなどの推進装置で、違いは何を搭載するかだけ。大陸弾道間ミサイルを転用したロシアの宇宙ロケット「ドニエプル」などが典型だが、最終的に軍事目的ならミサイルだし、宇宙開発が目的ならロケットだ。そして北朝鮮は一貫して、人工衛星の打ち上げ(実験)だと主張している。ならばこれを否定する根拠はない。

 補足するが今回の発射については、アメリカと韓国の政府筋は「ミサイル」との呼称を使い始めている。でも日本のように、メディアが判で押したように政府に倣って「事実上のミサイル」などと呼ぶような状況は生まれていない。「an Unha-3 rocket」(CNN)や「Long-Range Rocket」(ニューヨークタイムス)など様々だ。

 呼称が人の意識に与える影響は大きい。「事実上のミサイル」と聞いた多くの人は、「事実上の」とはどんな意味なのだろうかとは考えない。あるいは「事実上の」が抜けてしまう。その結果として「許せない」とか「成敗せよ」などのフレーズが蔓延する。まして今は選挙中だ。多くの政治家が日本の外憂を訴える。危ないとか危機的状況などと言いたくなる。

政治家が口にする「強い日本」とは?

「日本沈没」「日本再生」「日本の危機」「日本の復活」「日本を取り戻す」「日本が危ない」。

 選挙戦たけなわの現在、ほとんどの政治家は、これらのフレーズをキーワードのように口にする。聞きながら誰もが思う。今日本は危機的状況なのだと。

 もちろんこれらのフレーズが意味することは、中国や北朝鮮など周辺諸国との関係をめぐる安全保障だけではなく、経済も含まれている。彼ら政治家が口にする「かつての強い日本」のイメージは、明らかに高度経済成長期時代の日本だろう。ジャパン・アズ・ナンバーワン。奇跡の復興と呼ばれた時代。

 でも高度経済成長の再来など、冷静に考えればもうあり得ない。資源もなく国土も小さく、ましてその十数年前には都市部のほとんどが焦土となり原爆を二つも投下されて無条件降伏をした国が、GNP世界第2位となったのだ。まさしく奇跡だ。でも奇跡は持続しない。当たり前だ。慢性的な状況であるならば、それは奇跡ではない。かつてのローマ帝国やスペイン帝国、大英帝国やオスマントルコなどを挙げるまでもなく、栄枯盛衰は必然だ。

 もちろん、経済復興を目指すことは間違いではない。倒産する中小企業は増え続けているし、失業者も数多い。これほどに自殺者が多い理由の一つは、明らかに経済の疲弊だ。その対策はできるかぎりしなくてはならない。でも「できるかぎり」だ。かつてのような高度経済成長はあり得ない。しかもバブルで手痛い目にあった。なぜまた同じ夢を見ようとするのだろう。福島第一原発事故を体験したこの国は、かつてのような経済最優先主義では誰も幸せになれないと実感したはずではなかったのか。ブータン国王夫妻が来日したとき、GNH(国民総幸福)との言葉を掲げながら、あれほどに熱狂して迎えた理由は何だったのか。

 GDPは中国に抜かれた。これは必然だ。国土の大きさも人口もまったく違う。認めるべきだ。新しい価値観を築きながら、ダウンサイジングを考えるべき時期なのだ。

ネット上で湧きあがった
僕に対するすさまじい「罵倒」

 もうひとつの危機は外交面の安全保障。竹島や尖閣諸島をめぐる問題が大きくなった9月上旬、この連載で『過熱する領土問題 譲渡することも一つの選択肢だ』を書いた。その論考がネットにアップされて数日後、「2ちゃんねる」などの匿名掲示板を中心に、すさまじい反応が沸きあがった。これまでにもこの連載では何度かあったけれど、今回は明らかに最大規模だ。少しだけコピペする。

「生粋の非国民・売国奴」

「尖閣盗られたら沖縄も盗られるよ」

「お花畑全開だなw」

「中国は日本人を根こそぎ抹殺して日本全体を手に入れたい。このバカは尖閣の次は沖縄が狙われるとなぜわからない」

「誰かこのバカの家に押しかけていってやれ。土地をくれるってよ」

……引用しながらさすがに鬱になってくる。気になるのは彼らに共通する剥きだしの攻撃性だ。「このバカ」とか「カス」とか「死ね」とか。論旨よりも罵倒するほうが優先されているようだ(実際にそうなのだろう)。

 匿名掲示板だけではない。ウェブサイト経由でメールもたくさん届いている(ほとんどはフリーメールだけど)。掲示板に比べれば攻撃性は抑制されてはいるけれど、でもそれだけに憎悪や敵視がもっと露骨だ。

「愕然としました。本気で言っているのですか。領土を1ミリでも割譲したら「もっとよこせ」と言うに決まっています。

 相手は今現在日本人が住んでいる対馬・沖縄まで狙っているのですから。中国人がチベット、ウイグルで何をしているかご存知ですか。韓国人がベトナムで何をしたかご存知ですか。知らなければ調べてください。あなたは対馬・沖縄の人たちに「強姦されて死ね」と言っているのですよ。外国に蹂躙されることがあなたにとっての「誇り」なのですか。ならば、中国でも韓国でも好きな国に行って殺されてください。あなたのくだらない誇りに私たちを巻き込まないでくれ。」

「僕の知り合いのホームレスに貴方の家に住まわせてもらって宜しいでしょうか。貴方の車は乗り放題、貴方の家の庭にプレハブを建てても平気ですよね。だって自国の領土の固守に興味が無い者が、まさか自分の領地や財産の固守に興味があるとは思えませんから。」

「福沢諭吉の脱亜論をお読み下さい。朝鮮人、中国人は平気で嘘をつき、平気で物を盗み、平気で人を殺す。そういう民族です。

 あなたのような平和ボケがこのような記事を書けば、更に彼らは付け上がります。」

「日本国の領土を譲渡することで領土問題を沈静化させる考えに物凄い感銘を受け、メールいたしました。無人島であれば国の領土も譲渡を厭わない考えをお持ちなので、貴方が住まわれている家以外は資産などを持たず、既に他人に譲渡されている事かと思いますが、そこでお願いがあります。

 まだ譲渡されていない資産があれば是非、先の震災で被災された方への寄付に、ご協力していただけないでしょうか。」

 彼らの反論のレトリックは、大きくは「ならばお前の家に押しかければ庭や財産をくれるんだな」と「尖閣やったら次は沖縄が狙われる」の二つだ。

「ならばお前の家に押しかけたら……」については、さらに反論するつもりはない。あまりに低次元過ぎる。誰も「ただで譲渡するべき」などとは主張していない。

「尖閣やったら次は沖縄だ」と主張する人たちは、「チベットやウィグルで中国が何をしたのか知らないのか」との論旨をセットにすることが多い。

本当に「尖閣の次は中国」なのか?

 実はこの時期、道を歩いていたら、若い男性にいきなり声をかけられたことがある。

「あなたが領土問題について書いたコラムを読みました。で、お聞きしたいのだけど、中国がチベットやウイグルで何をしたか、あなたは知らないのですね。発言するなら勉強したほうがいいですよ」

 との論旨だった。連れの男性が2人いた。年齢的にはやはり20代後半。だから訊き返した。

「ならば教えてください。もちろん中国がチベットとウィグルに侵攻したことは知っています。それはいつごろですか」

「いつごろ?」

「時代です。だいたいでいいですよ」

「……」

「わからないのですか」

「1980年くらいじゃないかな」

「ぜんぜん違います。ウィグルは1949年でチベットは1950年です」

 少し間を置いてから、男は「だから何だよ」とつぶやいた。語調が明らかに変わっている。でも今さら話をやめるわけにはゆかない。

「今の中国、つまり中華人民共和国の樹立は1949年です。情報の流通や地政学のありかたなど、今とは時代状況がまったく違う。この時代の国連の安保理常任理事国のひとつは中華民国でした。中国ではない。もちろん、チベットやウィグルに対しての迫害や差別を、中国は一刻も早くやめるべきだと僕も思う。でも60年も前の史実を前提にして、だから今も同じことが起きるとの主張は、あまりに短絡的だと思いませんか。しかも勉強しろと言いながらあなたは、その時代すら知らなかった」

 大意としてはそんなことを僕は言った。ちなみに1950年は、朝鮮戦争が始まった年でもある。ネットやSNSどころかビデオやFAXもなかった時代だ。電話すら一般家庭にはまだない。そんなことも言ったかもしれない。実はこのとき、少しだけアルコールが入っていた。しかも匿名掲示板を見ながらいらいらしていた時期でもあった。だから多少はムキになった。最後に男は、「うるせえよバカ」と言い残して、小走りに遠ざかって行った。

「お前はミュンヘン協定を知らないのか」
に反論する

 ただしこのレベルばかりではない。もう少し冷静に考える人は、「おまえはミュンヘン協定を知らないのか」と批判する。実際にそんなブログもいくつかあった。

 確かに1938年に締結されたミュンヘン協定は、参加国のイギリスやフランスがナチス・ドイツに対して譲歩しすぎために、結果的にはファシズムを許容して第二次世界大戦へと至らせる要因の一つとなったとみなされている。歴史的には「悪しきアピーズメント(宥和政策)」の典型だ。後のイギリス首相であるチャーチルはミュンヘン協定について、「宥和策ではなく早い段階でヒトラーを叩き潰していれば、その後のホロコーストもなかっただろう」などと戦後に述べている。つまりミュンヘン協定を引き合いに出す人は、ここで融和の姿勢を示せば中国もナチス・ドイツのように増長し、やがて日本そのものを侵略すると言いたいのだろう。

 ならば反論する。ミュンヘン会議の前にはヴェルサイユ条約があった。第一次世界大戦の敗戦国であるドイツに対してイギリスやフランスなど連合国側は、莫大な賠償金支払いと領土の割譲を命じ、ドイツ国民の反発と不満は一気に飽和した。イギリス代表として条約締結会議に参加した経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、この条約の強圧性を強く批判しながら途中帰国し、その後に書いた『平和の経済的帰結』でこれほどに過酷な状況を押しつけたら再びドイツによる戦争が起こると予言した。

 結果としては、ケインズが予想したとおりになった。追い詰められた多くのドイツ国民の危機意識がピークに達しかけたとき、ヴェルサイユ条約の打破とゲルマン民族の至上主義を訴えるヒトラーが現れた。

 歴史を一点だけで見る愚を犯してはならない。すべては繋がっている。過去を振り返ることは大切だ。でも線ではなく点で当てはめるだけなら、何でもありになってしまう。

 2010年11月23日、朝鮮人民軍は北方限界線の近くにある大延坪島に向けていきなり砲撃し、韓国の海兵隊員2名と民間人2名が死亡して、島の住人1300人は軍の命令によって避難した。これがもし数十年前に起きていたら、その後にどんな展開になっていただろうと考えてほしい。少なくとも現状とはまったく違う展開になっていたはずだ。ならば次に、これと同じことがもし尖閣で起きたとしたら(もちろん尖閣には誰も住んでいないけれど)、今の日本はどのように対応するだろうと考えてほしい。

 休戦中ではあるけれど、韓国と北朝鮮は現在も戦争の当事国だ。リアルなのだ。だから韓国は最悪の事態を回避しようとする。むしろ平和ボケしているのは、安易に軍事力の発動を口にする人たちだ。血を流す覚悟などと言っている政治家たちだ。

 世界は常に変化している。新たな変数はいくらでもある。同じ過ちを繰り返してはならない。人は相当に愚かだけど、それなりの学習能力はあるはずだ。でも忘れっぽい。危機を煽られれば浮足立ってしまう。強いリーダーシップが欲しくなる。強硬論を唱える政治家に票を投じたくなる。だから何度でも書く。

「無用な諍いや争いを回避するためならば、少しばかり領土や領海が小さくなってもかまわない。弱腰と呼びたいのなら呼ぶがよい。私たちは自国と他国の人たちの命を何よりも大事にする」

 もしもそんな判断をこの国が示せるならば、僕はそのとき本気で、この国に生まれたことを「誇り」に思う。

 ただしこの原稿が掲載されるのは選挙後だ。もう趨勢は決している。非国民で売国奴である僕は、ますますこの国で居場所を失くしているだろう。


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