06. 2013年2月01日 00:24:53
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JBpress>ニュース・経営>神戸発:ラジオ政論 [神戸発:ラジオ政論] 企業の利益と邦人の安全はどちらが重要か テロ、外交、防衛、日本の「リスク」を真剣に考えるとき 2013年02月01日(Fri) JBpress 1月27日放送の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、中山氏がアルジェリア人質拘束事件や北朝鮮の核・ミサイル問題について解説したほか、地方公務員の給与削減について提言を行った。アルジェリア人質事件で最も正確だったのは、日揮からの情報 中山 アルジェリアで発生したイスラム武装勢力による人質事件によって、日本人10名を含む多くの尊い命が犠牲になりました。 記帳台と献花台が設けられた日揮の横浜本社を訪れた人たち〔AFPBB News〕
事件後に様々な情報が錯綜し、正確な状況が把握できないというメディアの報道を目にしましたが、情報が錯綜するのは何も今回の事件に限ったことではありません。 私たちは今、インターネットを含めて様々な情報を入手する機会があります。今回で言えばフランスやイギリス、中東のテレビ局や放送局、あるいは日本のメディアから矢継ぎ早に情報が飛び込んできました。 その中で私たちにとって最も精度の高い情報源は、おそらく日揮本社だったはずです。日揮は現地スタッフの電話連絡先を把握していたでしょうから安否確認もできただろうし、後々になってみるとやはり日揮が公表した情報やデータが一番正確だった気がします。 ここで大切なのは、一つひとつの情報に翻弄されるのではなく、それらを総合したうえで状況を見極める確かな目を持つことです。また今後は、治安や安全確保についても議論する必要があると思います。 私自身、かつて第1次安倍内閣で外務大臣政務官を務めた時にアフリカ12カ国を訪れたことがありますが、北アフリカ周辺はアラブの春以降、極めて情勢が不安定です。そうした中で日本は、海外に展開する企業の「利益」と邦人の「安全面」をどう考えていくべきなのでしょうか。 言葉は悪いですが、私は日本人があまりに平和ボケし過ぎていると思います。防衛費の増額に反対する意見もありますが、これまで日本人は日米安全保障条約という後ろ盾があったからこそ、世界中でアタッシェケースを片手にビジネスができたわけです。 しかし、海外に展開する日本の民間企業のうち、今回のようなリスクを真剣に検討した企業がどれほどあったのか、私は甚だ疑問です。アフリカだから危ないというわけではありません。例えば、共産党一党独裁の政治体制を敷く中国にだって進出するリスクは十分にあります。先日の反日デモでもそれは明らかになっている。 海外に進出する上での政治的なリスクを当然のものとして考えていくこと。それこそが、10名もの尊い命を失った日本が今回の事件から学ぶべき教訓ではないでしょうか。 米国を交渉に巻き込み、同時に中国を牽制する北朝鮮の外交戦略 北朝鮮が、米国を標的とした核実験とロケット発射実験の実施方針を明らかにしたと報じられ、国際社会の緊張が高まっています。 北朝鮮は山に洞窟のような坑道を掘り、核実験の準備を行っています。1日に数回他国の人工衛星が監視をしていますが、彼らはそのタイミングを計算していて、人工衛星が監視していない時間帯を狙って資材などを運搬している。その分析能力は着実に向上していて、外部からの確認が難しくなっていると聞きます。 また、昨年12月に打ち上げられた人工衛星「光明星3号」2号機も、かなりの進化が見られました。「光明星3号」2号機には4基のエンジンが搭載されており、そのバランスを保ちながら飛行させるには相当の技術を要しますが、北朝鮮はそれをやってのけたのです。 弾頭重量500〜600kgの長距離ミサイルが開発された場合、射程距離を1万kmと想定すると米国のデンバーが射程に入ることになります。北朝鮮にしてみれば、もう少しでニューヨークやワシントンD.C.への攻撃が可能になるわけです。 では、何のために核やミサイルの開発を進めるのか。それはほかでもなく米国を自国との交渉に巻き込むためです。「北朝鮮問題」と言えば日本にとっては拉致、核、ミサイルという3つのことを指しますが、世界的な視野で見た場合には少々意味が異なります。 それは、そもそも朝鮮半島は20世紀の冷戦構造を最も色濃く残している場所であるということ。1945年にルーズベルト、チャーチル、スターリンが行ったヤルタ会談によって、朝鮮半島の北緯38度線以北はソ連に、それ以南は米軍に武装解除されました。 この北側、すなわち冷戦時代の旧東側諸国である北朝鮮をめぐる米中の争いこそが、国際社会における通念上の「北朝鮮問題」なのです。そして北朝鮮はなかなか外交戦略に長けている。なぜなら、昨年12月の人工衛星打ち上げは米国を交渉に巻き込むと同時に、中国に対する牽制にもなっているからです。 地政学的に米中という大国の狭間に位置する北朝鮮が、このように一挙両得の外交戦略を取っているという現実。日本はそれを踏まえ、個別の問題ごとにしっかり圧力をかけるとともに、北朝鮮が中国に寄り過ぎないように警戒する必要があります。 特にミサイルを撃たせないこと、また戦争のリスク回避を図ることが重要なテーマではないでしょうか。 公務員を全否定する前に「回転ドア方式」で官民の人事交流を 続いて国内の話題を取り上げます。新藤(義孝)総務相は全国知事会など地方6団体の代表者らと会談し、地方公務員の給与を国と同じ7.8%削減することについて、7月からの実施に理解を求めたと報じられました。 新藤総務相は、当初予定していた4月からの削減を7月に遅らせる方向で調整していることを明らかにし、削減に相当する額を地方の防災や地域活性化の対策に関する事業に配分する考えを示したそうです。 中山 泰秀(なかやま・やすひで)氏 衆議院議員(自由民主党所属)。1970年大阪市北区生まれ。電通勤務を経て政治の道へ入る。2003年衆議院総選挙で初当選、2007〜2008年8月まで外務大臣政務官を務める。自民党・国防部会長(撮影:前田せいめい) 確かに、給与を民間レベルに合わせるという意味での削減なら公務員の理解も得られると思います。しかし今後、公務員のなり手を探す時にどんな影響が出るのかを同時に考える必要がある。
一口に公務員と言っても様々な職種があり、例えば国家に忠誠心を持っている人や給与以上に働いている人もいるでしょう。 それを一緒くたに叩くマスコミの報道に、国民があまりに馴らされている面もある気がします。給与が下がり、名誉までもが失われるようでは、大卒の公務員志望者数が減ってしまうことにもなりかねません。 ではどうすべきかと言うと、公務員と民間企業が「回転ドア方式」で人事を回していく経験を積むことも1つの手立てだと私は考えています。 これはつまり、1人の商社マンがいたとして、ある時に勤務先の会社が地方自治体や国の機関と人事交流を行うということです。 2〜3年、実際に公務員を体験することで初めて気づくことがあるはずだし、逆に普段公務員をしている人が民間に来ることで得られることもきっとある。そうやって、お互いが良いところをフィードバックし合い、各々の立場に生かせるのなら是非推進すべきではないでしょうか。 いずれにせよ全ての公務員が悪いんだと否定する前に、もっと細かく検証すべき点はあります。特にこれから日本が焦点を当てるべきなのは、若者の未来であり、若者に雇用を生み出していくこと。年金や医療などに税の財源が回っている現状に鑑みて、高齢者を守るためにも若者を育て上げる仕組みが必要だと私は思います。 『中山泰秀のやすトラダムス』 1月27日 24:00-25:00放送 ※Kiss FM KOBE "中山泰秀の「やすトラダムス」" は、radiko.jpでも聴取できます(関西地方のみ)。auの対応機種では、LISMO WAVEを利用すると、日本全国で聴取可能です。また、「ドコデモFM」のアプリでは、日本全国でスマートフォン(ドコモのAndroid搭載端末、auとsoftbankのiPhone)で聴取できます。 |