05. 2013年2月01日 00:23:52
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JBpress>海外>The Economist [The Economist] 国際テロ:アフリガニスタン? 2013年02月01日(Fri) The Economist (英エコノミスト誌 2013年1月26日号)真の危険は、ジハーディスト(聖戦主義者)に脅かされるもう1つの貧困地帯に世界が背を向けることだ。 マリ北部のトンブクトゥにパラシュートで降り立ち、町を歩くフランス軍の兵士ら〔AFPBB News〕
アフガニスタンとイラクでテロと戦うために11年の歳月が費やされ、ほぼ1兆5000億ドルの直接的費用と数十万人の命が失われた後、西側の市民は厳しい教訓を学んだと感じている。 最善の意図を持った外国介入でさえ、自国の軍隊を、介入をありがたいと思わない現地の人々を助けるために目に見えない敵と戦う終わりのない戦争の泥沼にはまり込ませてしまうという確信はかつてないほど強くなっている。 今月初め、フランス軍がサハラ砂漠の国家マリを脅かすイスラム武装勢力の部隊めがけて急降下した時、アフガニスタンの残響が大きく鳴り響いた。 そして数日後、銃を持ち、ひげを生やした「血判部隊」の聖戦主義者の一団が隣国アルジェリアでガス関連施設を占拠し、数十人の外国人を虐殺した時――2002年のバリのディスコ爆破事件以来、イスラム過激派による単一のテロ攻撃としては最大の犠牲者――、再びその残響が鳴り響いた。 ここがグローバルな対テロ戦争の次の前線であり、また、虚栄心の強い西側の指導者を罠に陥れる砂漠の泥沼でもあるように見えた。 だが、戦争はどれもみな異なる。1つの軍事作戦から得た教訓は必ずしも、次の軍事作戦にきれいに反映される必要はない。アフリカ東部のソマリアやスーダンからチャドを通って西部のマリに広がる「不安定の弧」を、あたかもイラクかアフガニスタンのような地域のように見ることは、誤解を招く恐れがある。 諸外国に危険な対立を鎮める助けをするのを思いとどまらせることになれば、それは有害でもある。介入は常に危険をはらんでいるが、アフリカの場合、介入はバクダッドやカブールでのように延々と続く必要もなければ、絶望的である必要もない。 マリの亡霊 メディアの話題をさらった対立の起源は、地域的なものでも世界的なものでもなく、もっぱら局所的なものだ。太古の昔から、無法状態と暴力は、広大なサハラ砂漠周辺と、アフリカの角のソマリアに至るまで砂漠を横切って東に伸びる地帯に足掛かりを得てきた。 だが過去数年間は、こうした無政府状態が悪化している。2011年終わりにリビアのムアンマル・カダフィ大佐が死亡し、この地域の穴だらけの国境を越えて武器があふれ出してからは特にそうだ。 誘拐、身代金で得た資金、密輸、麻薬取引、山賊行為が、多くの組織の指導者を勢いづかせている。その一部はイスラムの旗を振り、貧困や差別、腐敗した政府の誤った統治によって火が付いた地元民の正当な不満につけ込んでいる。 北部ナイジェリアでは、「ボコハラム(西側の教えは罪深いの意)」と名乗るイスラム過激派グループが暴力と殺人の闘争を行うために、教育水準が低く、仕事がなく、怒りを感じている若いイスラム教徒を兵士として採用している。 マリでは、国の北半分で暮らす遊牧民トゥアレグ人が長い間のけ者にされてきた。聖戦主義勢力は民族的な反乱に便乗し、瞬く間にトゥアレグ族の指導者たちを押しのけた。このほか、エチオピアやケニアのように国では、かつては概ね平和に共存していたイスラム教徒とキリスト教徒との間の昔の亀裂を意図的に広げてきた。 こうしたグループの多くは、世界的な組織を装っている。アルジェリアのガス関連施設を攻撃した聖戦主義勢力は、チュニジアやマリ、ニジュールといった国々の出身者だった。アルジェリア当局は、少なくとも1人のカナダ人まで含まれていたと話している。 北アフリカのイスラム過激派は、アルカイダのような世界的な聖戦主義武装勢力から、指示とは言わないまでも閃きを得ている。中には、サウジアラビアのスポンサーや豊富な石油資源を持つ湾岸諸国の他の筋から余分な資金を得ている者もいる。緩やかな同胞愛が、西側とアフリカその他の地域の西側の友好国への敵意のメッセージを反響させている。 アフガニスタンとパキスタンの国境地帯やイエメン、ソマリアの一部でアルカイダが追い詰められるにつれ、その一部は新たな隠れ家を探してこの地域にたどり着くかもしれない。 こうした繋がりにもかかわらず、直接的な脅威は圧倒的に局所的だ。戒律の厳しいシャリア法の腕を切り落とすような厳格主義の支配下に突如置かれたトンブクトゥの住民や外国で訓練を受けたナイジェリアの爆弾製造者の犠牲者、あるいはシャバブの民兵が退却したことで今ようやく生活を立て直し始めたソマリアの人々に聞いてみるといい。 だが、世界的な聖戦は若いイスラム教徒を急進的にし、彼らが抱く不満に危険な切れ味を与える。未熟な治安当局はその残虐行為によって反政府活動を煽っている。ソマリア難民がイスラム教徒とキリスト教徒との緊張を煽ったケニアのように、ある国の対立は隣国に飛び火する傾向がある。 武装し、訓練された急進的なイスラム過激派の反乱は、何年にもわたって世界の脆弱な地域で非常に大きなダメージを与える可能性がある。 正しい教訓 ほとんどの介入についてその英知を疑うことを学んだ人たちにしてみると、こうした議論は単純な結論を指し示している。すなわち、立ち入らないことだ。 だが、多くの理由から、サハラで起きていることは世界の問題でもある。この地域は石油とガスの一大生産地だ。北アフリカの大部分から外国企業を締め出すことは本当の意味で損失だ。フランスのフランソワ・オランド大統領がマリに部隊を派遣した1つの理由は、そこで暮らす少なくとも6000人のフランス人を保護することだった。 ソマリアの無法状態は、インド洋全域での海賊行為をもたらした。北アフリカの聖戦主義勢力は、今すぐ欧米にテロ攻撃を仕掛けるのには苦労するだろうが、彼らが一国全体の資源を支配した場合には、その状況はいつか変わるかもしれない。こうした勢力は砂漠にとどめておいた方がいい。 自己の利益を超えたところでは、短期間の急激な介入は数百万の人々の窮状を和らげられるという事実がある。2011年にはフランスのパラシュート部隊がコートジボワールの内戦を終結させる助けになった。2000年には数千人の英国兵士がシエラレオネの首都フリータウンを守り、そこでもひどい内戦を終結させる助けになった。 戦いに勝利した時にアフリカ人の部隊と持続的な開発計画が展開できる状態にある限り、介入は有効に機能する。 介入の難しさに怯むな このメッセージは特にバラク・オバマ大統領にとって重要だ。近く国務長官を退任するヒラリー・クリントン氏は、こうした脅威を認めている。マリで米国の支援を求めたオランド大統領の要請に対するオバマ大統領の反応は冷淡で動きが遅く、これまでのところ不十分だ。ドイツも支援に対する熱意はほとんど示していない。 長期的に見ると、サハラが安定するようになるのは、この地域がもっと豊かになった時だけだ。アフリカの残りの国々の多くはそうした展望を享受し始めている。アフリカにいる多くの、そして増加しつつあるイスラム教徒の大部分は、聖戦に反感を抱いている。 西側諸国の政府が今彼らを見捨てる口実として介入の難しさを引き合いに出したとすれば、重大な過ちを犯すことになるだろう。 |