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株式日記と経済展望
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「幻想の平和」:クリストファー・レイン(著)「アメリカは日米安保条約を破棄し、独立
した大国として日本が必要とする、いかなる軍事力の獲得をも手助けすべきなのだ」
2013年1月16日 水曜日
幻想の平和 1940年から現在までのアメリカの大戦略:クリストファー・レイン
http://www.amazon.co.jp/%E5%B9%BB%E6%83%B3%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%92%8C-1940%E5%B9%B4%E3%81%8B%E3%82%89%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E5%A4%A7%E6%88%A6%E7%95%A5-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3/dp/4772704922
◆最も参考になったカスタマーレビュー
二〇三〇年代が近づくにつれて、日本は「アメリカが中国から守ってくれる」という想定の上に大戦略を立てることはできなくなる。日本は「アメリカが去った後の東アジア」という状況に対応できるよう準備を進めなければならないし、このためには自分たちの力で立ち上がり、国防の責任を背負うことが必要になってくる。
本書前書きで、著者のクリストファー・レイン氏はこう警告する。彼はいかなる根拠に基づいて、このように言い切るのだろうか。それを理解するキーワードが、「オフショア・バランシング(offshore balancing)」である。
レイン氏によれば、これまでアメリカの歴代政権が採用してきた大戦略は、「優越」(primacy:もしくは''覇権'”egemony)か「選択的関与」(selective engagement)であった。彼は、これらの大戦略に代えて「オフショア・バランシング」の採用を提唱する。
リアリストの系譜に位置するレイン氏は、「覇権」という大戦略のリスクとコストが増大していると考えている。彼は、自分の地域の外にまで覇権を維持しようとするアメリカは、このままでは過去の帝国と同じように手を広げ過ぎて国力が続かなくなり没落すると懸念するのだ。
これが、彼が「オフショア・バランシング」を提唱する理由だ。
「オフショア・バランシング」には、(1)将来ユーラシア大陸で起こるかもしれない大国間戦争からアメリカを隔離しておくこと、(2)アメリカが「信頼性を守るための戦争」を戦ったり、従属する国家のために不必要な戦争を行わなければならなくなるのを避けること、(3)アメリカ本土のテロリズムに対する脆弱性を減らすこと、(4)国際システムにおけるアメリカの相対的なパワー・ポジションと、戦略的な行動の自由を最大化すること──という四つの狙いがある。
この戦略では、ユーラシアの主要国に自ら国防の責任を負わせることになる。相手に責任を譲渡する戦略であるだけでなく、その責任を避けることを狙った戦略であり、ヨーロッパについては、アメリカがNATOから脱退し、ヨーロッパから軍事力を撤退させることを主張する。そして、アジアについてレイン氏は次のように書いている。
「中国に対して過剰に敵対的な政策の実行を避けることになる。アジア最大で潜在的には最も強力な国家である中国が、地域で政治、軍事、経済面で今までよりも積極的な役割を求め、しかも東アジアにおける現在のアメリカの圧倒的な状態に挑戦しつつあるのはきわめて自然なことであると言えよう」(401頁)
このような政策をアメリカが採用すれば、日本は重大な危機に直面する。これこそが、オフショア・バランシングの狙いなのである。つまり、アジア各国が中国の脅威に対して、自らバランシングを行う責任が生じてくるというわけだ。レイン氏は、次のように言い切る。
「アメリカは日米安保条約を破棄し、独立した大国として日本が必要とする、いかなる軍事力の獲得──これには安全な報復核抑止力や、日本が海上輸送ルートや東・南シナ海の領土主権を守るために必要となる機動投射能力も含まれる──をも手助けすべきなのだ」
こうした戦略が実際に採用されることはないと決めつけてはならない。すでに、オフショア・バランシングの考え方は、政策に生かされつつある。二〇一一年二月二十五日にはゲイツ国防長官がウェストポイントの米陸軍士官学校で行ったスピーチで、オフショア・バランシングを「アメリカの次の大戦略である」として提唱している。
また訳者の奥山真司氏が「解説」で指摘する通り、パトリック・キャレット元海兵隊大佐が提案した「キャレット計画」は、ユーラシア大陸から離れて本平洋のオセアニア周辺海域から中国を牽制する、まさに「オフショア」的な発想である。
「オフショア・バランシング」は、大統領選挙の共和党候補の座を狙うロン・ポール議員の外交戦略にも共通する部分がある。
本書は、アメリカの大戦略の転換を見据え、わが国の国防の在り方を再検討する上で、必読の一書である。
(『月刊日本』2012年3月号)より転載
◆アメリカの世界観 1月14日 地政学を英国で学んだ
http://geopoli.exblog.jp/19834366/
●アメリカの大戦略の思想の根底を形成しているのは「ウィルソン主義」。これはアメリカの対外拡大主義的なリベラル派のイデオロギーの略称。
●「ウィルソン主義」はアメリカの大戦略から一度も消え去ったことがない。
●現在のアメリカの政策家たちは、アメリカが安全を確保できるのは「門戸開放」(open door)された世界の中だけだと考えている。
●この「門戸開放世界」(the Open Door World)というのはアメリカ式のリベラルなイデオロギーによってできあがった世界のことであり、アメリカを自分のいる地域よりも外での覇権へと駆り立てているのは、国際システムの構造的な圧力ではなく、この門戸開放政策そのものだ。
●実はアメリカは二〇世紀初頭から最も安全な状態にあり、911以降でもテロでさえ「実在的な脅威」とはなっていない。
●ところがアメリカの対外政策のエリートたちは、伝統的に「自分たちが危ない状態にある」という感覚に悩まされ続けている。
●アメリカは自分たちが「特殊な国である」と感じている。それがいわゆる「例外主義」だ。
●この「例外主義」と「安全への恐怖」が組合わさって「門戸開放」という考え方がうまれた。
●「門戸開放」の最終目標は「国際的な環境をアメリカの都合のよい状態につくりかえること」となる。なぜならアメリカ国内の価値観の健全性は、海外の門戸開放世界の維持とリンクしていることになるからだ。
●これが安全保障の政策につながってくると、「アメリカが安全を確保できるのは、イデオロギー面で似たような価値観をもっている国だけが存在する世界である」という信念につながる。
●ところがこのような信念をもつアメリカ式のリベラリズムというのは、結果としてそれ以外の政治的イデオロギーにたいして非寛容的になってしまう。これはそもそも「リベラル=寛容性」ということを考えると大いなる矛盾だ。
●そしてこれが結果的に「国内での安全を確保するためには、海外の敵対的なイデオロギーを絶滅させなければならない」という考えにつながってくる。
●このようなジレンマを解決するひとつの方法が、民主制度の海外への輸出。そしてこれがいわゆるネオコンの思想や「民主制平和論」(デモクラティックピースセオリー)の考え方の土台になっていることはいうまでもない。
●ウィルソン主義のリベラリズムは、「アメリカが世界の目指すべきモデルであり、どの国よりも優れた価値と制度をもっている」という自意識の上に成り立っていることになる。
●ところがこれは、アメリカが必然的に自国とは違う文化や政治システムを受けつけないことを意味している。
(私のコメント)
「株式日記」では、日本の戦略として自主防衛と核武装を主張してきましたが、中国が台頭して勢力圏の拡大を目指せば、アメリカはどう対応するだろうか? 常識的に考えれば中国に対抗できる国を支援してバランスをとる戦略をとるはずだ。中国に対抗できる国としてはロシアやインドなどがありますが、中国は北のロシアや南のインドではなく、東に勢力を広げて韓国台湾からASEAN諸国を勢力圏にしようとするだろう。
21世紀は、東アジアが世界の成長センターとなり、すでにGDPで世界第2位と3位の国が東アジアにある。オバマ大統領も再選後の海外訪問はASEAN諸国となりましたが、安倍総理もASEAN諸国を一番初めに訪問する。アメリカとしても東アジアを取り込んだ経済圏を目指しているのでしょうが、中国もアメリカ抜きの東アジア共同体を構想している。
日本の外交は、アメリカとさえ上手くやっていればいいとする親米外交が主軸でしたが、アメリカはアジアのパートナーとして中国を選ぶかもしれない。それはクリントン大統領からオバマ大統領に至るまで日本素通り外交が展開されて、オバマ大統領は米中のG2外交を中国に呼びかけた。ソ連が崩壊するまでの80年代までは日米が基軸となった外交が行われてきましたが、ソ連が崩壊した後はアメリカは露骨に日本潰しにかかって来た。
バランスオブパワー外交からいえば当然であり、アジア市場を日本に取られてしまう事を恐れたからだろう。プラザ合意あたりが対日外交の転機だったのでしょうが、日本政府はアメリカの「意図」に対する警戒心がなかった。冷戦崩壊後も日米同盟は変わらないと見るほうが不自然であり、アメリカは中国を日本封じ込めのパートナーにした。当時のアメリカではいかに日本を封じ込めるかの本が何冊も出版されていた。
生かし今や中国は、日本を追い抜いて経済大国となり、近い将来アメリカ経済も上回ると言う予想が出回るようになり、アメリカ政府の態度も急転換しつつある。軍事予算もアメリカを上回る事も想定される事態となり、クリストファー・レインのように、「台湾を中国に任せ、日本を自立・核武装させるアメリカの大戦略」を主張する戦略家も現れた。
はたしてアメリカが没落して中国の経済成長がこのまま進むのかははっきりしませんが、アメリカは大幅な軍事予算の削減が求められているし、中国は毎年経済成長以上の軍事予算の伸びだ。日本としては、アメリカや中国の前からそっと姿を消して、米中の覇権争いを傍観して居ればいいのだろう。尖閣の問題も日中間の問題と意よりも米中間の問題であり、台湾の帰属問題と尖閣は同じ構図だ。
すでに台湾の馬政権は中国に取り込まれており、尖閣は台湾のものだと主張するようになった。韓国との竹島問題も中国の圧力で李明博大統領は竹島に上陸した。北方領土もメドベージェフが二度も上陸して日本を牽制している。しかし日本にはこれに対抗するだけの戦力がなく、現状を変えることは不可能だ。日本としては現状を守るだけで、中韓ロに取り囲まれても何も出来ない。
しかもアメリカからは円高ドル安を強いられて経済的にも苦境に立たされて四面楚歌の状況になってしまった。日本は大東亜戦争に敗れて蟄居を命ぜられた国であり、韓国や中国は日本に対して従軍慰安婦や南京大虐殺を言い立てられても日本の政治家達は反論する事すらはばかられた。日本の戦略としてはアメリカと中国が覇権争いを始めるのを見ていればいいのであり、日本は勝ったほうに付けばいい。
アメリカから見れば日本の態度は不甲斐ないものに見えるのでしょうが、そのようにさせたのはアメリカだ。鳩山元首相が中国を訪問していますが、親中国派の政治家であり沖縄から米軍基地を海外に移転させようとした。さらには日米中の等距離外交を打ち出しましたが、当時のオバマ大統領の米中G2外交を見て日本も中国に接近しようとした。米中を分断するためには、日本はアメリカと距離を置き、中国に接近してアメリカ抜きの東アジア共同体構想を打ち出す必要があった。
アメリカは日本を叩き過ぎた事で、日本に親中派政権が出来てアメリカ離れをするとは計算していなかったのだろう。90年代から日本叩きを続ければ日本に反米機運が高まるのは当然であり、自民党政権はアメリカの支持を失い政権をも失った。日本はいわば死んだふりをして政権交代して戦後初の反米政権が出来たのですが、直ぐに鳩山内閣は潰された。
アメリカの対中国政策は、親中派と反中派が二つに分かれている。経済面では米中は切っても切れない関係となり、軍事外交的には米中の利害は対立している。そこでアメリカの現実的戦略としてはバランスオブパワーで日中の軍事バランスを均衡させて安定化させる。その為にはクリストファー・レインのように、「オフショア・バランシング」の採用を提唱する。
アメリカは日本のように従属する国家を守るのではなく、「アメリカは日米安保条約を破棄し、独立した大国として日本が必要とする、いかなる軍事力の獲得──これには安全な報復核抑止力や、日本が海上輸送ルートや東・南シナ海の領土主権を守るために必要となる機動投射能力も含まれる──をも手助けすべきなのだ」と言う主張は今は少数はですが、近い将来には憲法を改正して日本の核武装を認める事があるだろう。
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