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領空侵犯をした中国国家海洋局所属の小型プロペラ機=12月13日(海上保安庁提供)
【石平のChina Watch】「戦時体制」への移行を始めた中国 安倍政権は「尖閣決戦」に備えよ
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20121220/frn1212201820006-n1.htm
2012.12.20 夕刊フジ
今月13日、尖閣諸島の魚釣島付近で中国国家海洋局所属のプロペラ機1機が領空侵犯した。中国機による日本の領空侵犯は自衛隊が統計を取り始めた1958年以来初めてである。
今年9月に日本政府による尖閣諸島国有化の後、中国の公船が周辺海域に出没する事態が続いている。領空侵犯が行われた13日にも海洋局の海洋監視船4隻が領海に侵入した。習近平政権が誕生してから1カ月あまり、尖閣諸島やその付近の海域で日本側はいかなる単独行動も取っていない。それなのに中国側は一方的な挑発行為を執拗(しつよう)に繰り返してきた。そして13日、習政権はとうとう、日本領空への侵犯に踏み切った。
翌14日、中国の楊潔●外相は人民日報に寄稿して習政権の対外政策を語った中で、日本側の尖閣国有化に関して、「断固として日本との闘争を行う」と明言した。日中国交回復40年、中国の外交責任者の口から「日本と闘争する」という激しい言葉が吐かれるのは初めてであろう。
一国の外相が外交上最低限の礼儀や配慮も顧みず、「闘争する」という赤裸々な“対敵国用語”を使い始めたことは、習政権が実質上の「対日敵視政策」にかじを切ったことの証拠であろう。同じ日に、人民日報系の環球時報は社説を掲載し、尖閣へ向かって中国軍機を派遣するなど「あらゆる行動をとる権利を保留する」と言って露骨な軍事恫喝(どうかつ)を行った。
このような好戦的な対日敵視政策の出現は、最近になって露呈した習政権の軍国主義化傾向とは無関係ではない。今月12日、新華通信社が伝えたところによると、習氏は8日と10日の2日にわたり、中央軍事委員会主席の肩書で広東省にある「広州戦区」所属の陸軍部隊と海軍艦隊を視察した。
その中で習氏は陸軍と海軍の両方に対して「軍事闘争の準備を進めよう」と指示したのと同時に、「中華民族復興の夢はすなわち強国の夢であり、すなわち強軍の夢である」と熱っぽく語り、彼自身が旗印にしている「民族復興」というスローガンの真意はすなわち「強国強兵」であることを宣した。
さらに注目すべきことに、新華通信社が上述の軍視察を伝えたとき、中国人にも耳新しい「広州戦区」という言葉を使った。今までの軍制では全国をいくつかの「軍区」に分けて軍を配備しているから、普段は「軍区」という言葉が使われているが、「戦区」という表現が出たのは今回が初めてだ。表現の変化の一つでも、今の習近平体制下の中国がすでに「戦時体制」への移行を始めたことを意味しているのであろう。
そして習氏による「戦区視察」の直後に、中国が直ちに軍事的リスクの高い対日領空侵犯を断行したことからすれば、彼らの戦時体制作りは一体何のためのものなのかがよく分かってくるのではないか。
おそらく今後、軍事的恫喝をバックにして尖閣付近の日本の領海と領空への侵犯を徹底的に行うことによって、尖閣に対する日本側の実効支配を切り崩し、それを打ち破っていくというのが習政権の常套(じょうとう)手段となっていくだろう。日本にとってそれは領土と主権の喪失を意味する正真正銘の安全保障の危機なのである。
今やもはや、「日中関係の改善」云々(うんぬん)というときではない。領海と領空が恣意(しい)に侵犯されている中で、「関係改善」の余地は一体どこにあるのか。まもなく誕生する安倍政権が直面する大問題はむしろ、中国の「新軍国主義」に挑まれてきた「尖閣決戦」にいかに備えて日本の領土と主権を守り抜くのかである。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
●=簾の广を厂に、兼を虎に
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