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北朝鮮が「羅老」より先に成功? 屈辱の韓国政府(中央日報)
http://www.asyura2.com/12/warb10/msg/549.html
投稿者 gataro 日時 2012 年 12 月 13 日 08:11:35: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121212-00000076-cnippou-kr

北朝鮮が「羅老」より先に成功? 屈辱の韓国政府
中央日報日本語版 12月12日(水)18時44分配信

北朝鮮が12日、長距離ロケット「銀河3号」発射に成功したと発表したことで、韓国政府が辱的な状況になったと、韓国メディアが12日報じた。

北朝鮮当局は12日午前9時51分に「銀河3号」を発射し、その1時間半後に「銀河3号の発射と光明星3号の軌道進入が成功した」と公式的に発表した。

北朝鮮の主張をその通りに認める場合、「銀河3号」発射の目的は高度300キロ前後の低軌道に衛星を乗せるという点で、来年初めに3回目の打ち上げを控えている韓国初のロケット「羅老(ナロ)」と変わらない。

韓国は来年初め「羅老」打ち上げに成功すれば、「10大ロケット開発国」「10大宇宙クラブ」に入ると期待していた。 しかし北朝鮮が先にロケット打ち上げに成功したことで、韓国は「10大ロケット開発国」という修飾を使用するのが難しくなった。

もちろん北朝鮮のロケット発射が国際社会で公憤を買っているだけに、北朝鮮には「10大ロケット開発国」の地位が与えられないと予想される。 しかし国力や科学技術などあらゆる部門で大きく劣るという評価を受けている北朝鮮がロケット打ち上げに成功したことで、韓国政府はプライドに大きな傷を負うことになった。
 

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コメント
 
01. 2012年12月13日 13:39:08 : 3nTXkp9TvA
南北統一国家になれば、
「10大ロケット開発国」だぞ。

02. 2012年12月13日 21:47:08 : 6kuobrWeYc
韓国もがんばれ。
日中朝韓とも打ち上げ成功となれば、
東アジアの誉れだ。

03. 2012年12月17日 11:35:20 : Pj82T22SRI
混迷する朝鮮半島
北朝鮮は米本土攻撃にまた1歩近づいた

Xマスと韓国大統領選をにらんだ絶妙のタイミングで発射

2012年12月17日(月)  森 永輔

 北朝鮮が12月12日、ロケットを発射し、「人工衛星」と称する物体を軌道に乗せた。「技術的欠陥のため延期か」との情報が流れていたため、日本と韓国の多くの人が虚を突かれた。北朝鮮の狙いは何か。国際社会はこれにどう対応できるのか。朝鮮半島問題を研究する道下徳成・政策研究大学院准大学教授に伺った。(聞き手は森 永輔=日経ビジネス副編集長)

道下徳成(みちした・なるしげ)氏
政策研究大学院大学准教授(安全保障・国際問題プログラム ディレクター)。
専門は日本の防衛・外交政策、朝鮮半島の安全保障。
著書にNorth Korea's Military-Diplomatic Campaigns, 1966-2008 (London: Routledge, 2009) がある。
米国ジョンズ・ホプキンス大学博士
ロケット発射のタイミングはとても意外でした。北朝鮮は12月1日、10〜22日の間に、人工衛星を搭載したロケットを発射すると予告。同10日、3段式の1段目の操縦発動機系統にトラブルが起きたため、発射期間を29日まで延長する、としていました。

 北朝鮮が国際社会を騙そうしていたのか、そうでなかったのかは不明です。北朝鮮は発射予告期間を延長しましたが、発射を先延ばしするとは言っていません。我々が勝手に騒いだだけかもしれません。

 ただし、北朝鮮が騙そうとした可能性も十分にあります。北朝鮮は核兵器やミサイルの実験の効果を高めるため、そのタイミングをとても重視しています。例えば2006年にテポドン2号を発射したのは7月4日でした。米国の独立記念日です。今回の場合、金正日総書記の1周忌に当たる12月17日に発射しても、なんの驚きもありません。なので、発射延期と誤認されるような仕掛けを作り、意外感を演出したのかもしれません。

4月の失敗からわずか8カ月で打ち上げを成功させました。この間に技術レベルを大きく向上させたのでしょうか。それとも4月の時点で、実は自信があったのでしょうか。

 かなりのレベルまでできていたのだと思います。それなりの自信は持っていた。ただ、マイナーな欠陥があったのだと思います。ロケットの打ち上げは微妙なことに影響されます。日本もH2ロケットの打ち上げに失敗していました。

米本土への攻撃に一歩近づいた

今回のロケット発射の意義を考える時、最も重要視すべきは何でしょう?

 米国の本土を攻撃する能力の重要な基礎の1つをクリアしたことです。衛星らしき物を軌道に乗せることができた、ということは、同じ程度の重さの物体を地球上のどこにでも運ぶことができるということです。

今回、北朝鮮が軌道に乗せた物体はどれくらいの重さだったのでしょう。

 分かりません。しかし、4月の打ち上げの時に人工衛星を公開し、その重さを100キログラムと言っていました。それが本当とするならば、今回も同程度の重さと推測できます。

100キログラムのペイロードでは、核弾頭を搭載するのは難しいですね。

 そうですね。しかし、炭疽菌を詰め込んだパッケージをその程度の重さで作ることができれば、北朝鮮は米国を恐怖に陥れることが可能になります。

米国は今回の成功をどう見ているのでしょう。新米国安全保障研究所のパトリック・クローニン上級顧問はあるインタビューに答えて「米本土への深刻な脅威」と答えていました。脅威が高まったとすると、米政府は北朝鮮への外交姿勢を強めていくのでしょうか。

 様々な見方ができます。今の段階では、「こうなる」という必然解はありません。

 技術の専門家は、今回の成功を重要視する一方で、「まだまだ」ということを知っています。まだ「今そこにある危機」の段階には至っていません。核攻撃を実現するためには、大気圏に再突入する技術、熱や振動に耐える弾頭の開発が必要です。核弾頭の重さの物を運ぶためには、大型化し推力を高める必要もあります。さらに、サイロから発射する技術も開発しなければなりません。サイロに格納しておかないと、発射する前に、他の国に攻撃される恐れがあります。今回の発射台は丸裸でした。

 炭疽菌をばらまくことだって容易なことではありません。炭疽菌は熱に対して比較的強いとはいえ、大気圏に再突入する際の熱で効果を失わないよう、断熱の技術が必要です。再突入に成功しても、風に流されて、思い通りの都市に到達しないかもしれない。実際の攻撃に使用するためには、これらを検証する実験が必要です。

 ただし、北朝鮮の問題は技術的な判断よりも政策的な判断に依存します。「『まだまだ』とは言え、これまで無視してきたから北朝鮮は『ここまで』技術レベルを高めた。関与の度合いを強めるべきだ」と見る人もいるでしょう。さらに、「ついに米本土を狙ってきた。プレッシャーをかけて潰さなければならない」と議論することもできるわけです。

米国はどう対応するか

米国のオバマ大統領は「核なき世界」を標榜してノーベル平和賞を受賞しました。2期目に入って、歴史に名を残すべく、北朝鮮との関係で成果を目指すという見方があります。国交を回復する代わりに、核をあきらめさせる、とか。

 いろいろな出方が考えられるけれども、いずれも実現は難しい。例えばミサイル防衛システムを強化する、F22などのステルス機やトマホークミサイルの配備を拡充する、などしてプレッシャーをかける手立てが考えられます。しかし、これにはお金がかかります。軍事予算の削減を目前にした米国に、北朝鮮向けに“投資”する余裕はありません。それに何より、戦略的なフォーカスは北朝鮮ではなく中国です。

 一方、対話を進めることも考えられます。米国は今、中国寄りの国を中国と離間させる政策を進めています。ミャンマーが1例です。北朝鮮に対しても同様の姿勢を示す可能性があります。

 今回の一連の動きを見ていて私は、北朝鮮が米国に対して、ウランとロケットの平和利用で協力しよう、と提案する可能性があると考えています。北朝鮮はウラン濃縮とロケット開発を平和利用と位置付けようとしています。プルトニウムは抑止力ですが、ウランは平和利用。短距離ミサイルの「スカッド」と中距離ミサイルの「ノドン」は抑止力ですが、長距離ミサイルの「テポドン2」は平和利用というロジックです。

 例えばウラン濃縮で協力する場合、いざという時には核兵器を開発できる能力を維持しつつ、米国との関係改善が望めます。北朝鮮はウランの濃縮を続けるわけですから。さらに米国の技術を取り入れられる。この時「プルトニウムはあきらめますよ」と妥協することもあり得るでしょう。

 米国はどうするでしょう。米国はインドや韓国と核の平和利用で協力しています。それなのに拒否すれば、北朝鮮は「やはり米国は敵対政策を取るのか」と切り返し、ウラン濃縮を続ける大義名分とする。また米国の技術者を北朝鮮に派遣することになるので、北朝鮮の核開発を実質的に監視することもできるようになります。

国連は機能しない

国連の安全保障理事会で議論が始まっています。議長声明に留まるのか、決議にまで持っていけるのかが、注目されています。

 安保理は、実質的な効果を持つ対応はできないと思います。既にいくつかの決議があり、かなり高いレベルで北朝鮮に制裁を行っています。これをさらに引き上げる余地は乏しい。ただし、決議はできるかもしれない。

各国が個別に行う制裁はどうでしょう。米国は、北朝鮮をテロ支援国家に再指定したり、マカオの銀行、バンコ・デルタ・アジア(BDA)と米金融機関との取引を再禁止することができるのでは。この金融制裁は高い効果があるとされていました。

 あの頃とは時代が変わっています。中国が非常に力をつけました。中国の銀行との取引をとめることを中国が容認するでしょうか。

 制裁を強めることに反発した北朝鮮が核やミサイルの実験をさらに進めることも考えられます。北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び強硬な姿勢を取っていたブッシュ前大統領でさえ、制裁では腰砕けになってしまいました。オバマ政権がブッシュ政権以上の措置を取るのは考えづらいでしょう。北朝鮮の問題に対して大きな労力をかけるとは思えません。

日本や韓国はどうでしょう。

 日本も難しい。既に貿易はゼロです。朝鮮学校の授業料を取り上げることはできるかもしれません。でも、これは人道的に問題です。

 韓国もできることは乏しい。唯一できるのは開城(ケソン)工業地区をやめることでしょうか。しかし、これは関与政策の最後の砦(とりで)です。李明博大統領でさえやめなかった。次期大統領候補は、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補も統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補も「より関与する」と言っています。やめることはできないでしょう。

 そう考えると、象徴的なことはできるかもしれませんが、実質的な効果を持つ措置を取ることはどの国も難しいでしょう。

それなのに安保理決議が出るかもしれない、というのはどういう意味ですか。

 決議を出さないと、こちらが「もうできることがない」「腰砕けになっている」ということを北朝鮮にも世界にも示すことになってしまいます。将来の交渉を考えれば、それは避けたいところ。

 また実施的な効果がないゆえに、中国が同意しやすい。新指導部ができたばかりで甘い姿勢を見せると、北朝鮮が中国を軽視する可能性があります。これも避けることができる。日米韓にタダで恩を売ることもできます。

今回の打ち上げは韓国の大統領選挙に影響するでしょうか。世論調査では、朴候補と文候補の差が縮まってきています。

 大きな影響はないと思います。韓国民が重視しているのは、北朝鮮問題よりも経済の民主化です。文候補の支持率が上がっているのは、立候補を辞退した安哲秀(アン・チョルス)氏が文候補を応援する意志を明確にしたからではないでしょうか。

 国連の対応や韓国大統領選を考えると、北朝鮮はよく考えてこのタイミングを選んだと言えます。もうすぐクリスマスを迎えます。国連での議論は2週間しか続きません。また、韓国大統領選の後にやると、新政権に最初からパンチを食らわせることになってしまいます。選挙前にやる分には、新政権が発足した時にとリセットすることもできる。

最後に、今回の打ち上げを契機に日韓関係が良くなる可能性があるでしょうか。

 朴候補が当選すれば、大統領に就任する2月以降、関係は改善に向かうでしょう。

 ただし文候補が当選した場合は、複雑です。日韓関係を改善しようとはするでしょう。しかし、何かあった時には再び反日カードを切るかもしれません。彼は慰安婦問題などについて活動をしていた人です。本質は反日と見ていいと思います。


森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長。

北朝鮮がロケットを発射した3つの狙い

金正恩第1書記に振り回された韓国政府

2012年12月17日(月)  武貞 秀士

 12月12日午前9時49分ごろ、北朝鮮は北西部の東倉里の衛星発射場からロケットを発射し、その映像を公開した。予告していた通りの3段式だった。北朝鮮は「衛星発射に成功し、予定通りの軌道に乗った」と発表した。国際社会の反対を尻目に、なぜ発射したのだろうか。北朝鮮の狙いは1つではない。

 第1に軍事的な狙いがある。ロケットの技術はミサイル技術と同じだから、今回の発射の狙いは軍事的な狙いが最も大きい。北朝鮮は軍事戦略の観点から大陸間弾道ミサイルの発射を成功させる必要性がある。米国本土の東部に届く大陸間弾道ミサイルを完成させて核抑止力を完成させ、米国と「対等の関係」を築くこと意図している。1万2000キロを飛翔して、ニューヨーク、ワシントンまで届くミサイルを持てば、米朝は戦わずに済むと思っている。

 金正恩第1書記をトップとする北朝鮮指導部は「米国は、自国の心臓部が危険にさらされる時、朝鮮半島有事に米軍が軍事介入して南北の仲裁をするのは割が合わないと考えるに違いない」と計算しているのだ。つまり、米国を中立化し、介入を阻止し、労せずして半島を統一するための決定的兵器が、今回の大陸間弾道ミサイルである。米国と戦争をしなくてすむシナリオを完成するための手段であるわけだ。だから北朝鮮が、なにがなんでも3段ロケット、3段目に必要な固体燃料技術、ミサイルの大型化、誘導技術の向上を実現する必要がある。

 今回のロケット発射は成功したと言える。北朝鮮が発射した3段ロケットの残骸は、ほぼ、予定の海域に落下している。3段ロケットの技術が着実に進んでいるのだ。確実に射程を延長して、今度は2段目と3段目も切り離した。3段目には固体燃料を使用しているだろう。誘導技術、燃料系統の技術、本体の合金の質を向上させ、人工衛星も発射した。北朝鮮は4月の発射失敗のあと、着実に技術を向上させたのである。

 北朝鮮のメディアは「人工衛星の打ち上げに成功した」と伝え、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)も「(人工衛星の)軌道に乗ったとみられる」と発表した。

 北朝鮮は、核弾頭を搭載したミサイルの改良作業と実験をあきらめることはない。北朝鮮が1948年の建国以来、追求してきた「北主導の統一のための究極的手段」だからだ。その技術の大半をマスターしたことが今回明らかになった。あとは、弾頭の小型化、ミサイルを大気圏に再突入させる技術、ミサイルの大量生産(米国もアラスカで迎撃する態勢を整えているので、2けたの数が必要)を目指すだろう。

韓国大統領選で北に融和的な野党候補を後押し

 第2の狙いは、金正日総書記の後継者としての権威を高めることである。12月17日は金正日総書記の死去から1年目に当たる。ミサイルと核の開発は金正日総書記が指揮した事業だ。4月13日に打ち上げ失敗したまま、12月17日の金正日総書記死去一周忌を迎えることはできない。だから12月1日の打ち上げ通告に際して、金正日総書記の遺訓に言及したのだった。打ち上げ成功を発表した北朝鮮のメデイアは、ミサイル開発が金正日の遺訓であったことを強調した。

 第3の狙いは、韓国大統領選挙で、野党候補である文在寅候補が有利になると、北朝鮮が計算していることだ。打ち上げ準備の過程で誤認を誘うような仕掛けをして、韓国国防部、韓国情報機関(国家情報院)などの情報処理のミスを誘えば、李明博政権への批判が起きる。だから、12月1日に打ち上げを予告し、12月10〜22日という長い「打ち上げ期間」を設定して、12月19日に行われる韓国の大統領選挙に与える影響を、平壌から観察できるようにした。

 北朝鮮は2月10日、「技術的な欠陥が発見され打ち上げ予定日を29日まで延長する」と発表した。この発表と北朝鮮内部の会話や動きから、韓国政府は「北朝鮮はすぐには発射できない」という分析への「信頼」を高めた。

 いま明らかになりつつあるのは、韓国国防部や国家情報院が、北朝鮮内部の担当部署の間で行われた次の会話を知っていた事実だ。
「ミサイルが故障してしまった」
「取り外さねば。22日までに修理は終わらないようだ。しかし、今年中には打ち上げたい。打ち上げ予定期間を29日まで延期しよう」
北朝鮮は、韓国が常時モニターしていることを熟知している。

 韓国が、ミサイルを修理していると誤認させるような機材をミサイル発射場に並べたことを察知していたことも判明している。

 韓国政府の関係者が次のように語ったという記事も韓国の新聞に掲載された。 「北朝鮮は発射台で組み立て中だったミサイルの1・2・3段目を修理のため全て外し、発射場内にある組立棟に運んだものとみられる。発射台の幕も片付けたようだ」。

 とこらが実際は、燃料をタンクに注入し始めた時に予定していた通り、「12日に発射」する手順を進めていたのである。

 韓国では、国会の国防委員会、情報委員会で野党が政府を批判している。「韓国政府が打ち上げ延期と述べていた時に、北朝鮮は突然発射した。13日以降、韓国の情報収集能力は粗末だ」。韓国民の間でも「情報収集、分析能力が低い韓国政府の失態」という声が高まり、19日の大統領選挙における支持率に明らかに影響しつつある。
 「12日の朝まで年内の打ち上げは不可能だと言っていたのに、なぜだ」
 「韓国の情報力はどうなっているのか」
 「ミサイルは横にして修理中だと言っていたのに、どういうことだ」

 こうした現政権への批判は、与党候補の朴槿恵候補に不利に働く。「北を追い込んではいけない」という野党、文在寅候補への支持が高まり、文候補が急速に追い上げている。

 韓国の情報処理のミスを誘発するための偽情報作戦は、過去にいくつも例がある。1つは、1986年の「金日成死亡説騒動」である。半旗や葬送のメロデイーを韓国前線部隊が確認したか、勘違いをしたあと、金日成主席死亡説が世界中を駆け巡った。その間、北朝鮮は沈黙を守り続けた。数日後、モンゴルの元首、バトムンフ議長が平壌の空港に降り立った時、金日成主席は元気な姿でこれを出迎えた。北朝鮮はモンゴル議長が訪問した映像を、その日のうちに異例のスピードで世界に配信した。「金日成死亡」を誤報してしまった韓国政府は面目丸つぶれとなって、国防長官が責任を問われる事態に発展した

日本が取るべき4つの道

 日本は今後どうすべきか。

 第1に、ミサイル防衛システムの能力をさらに向上させる必要がある。今回、北のミサイル技術が高度なものであることが証明された。北のミサイル技術にはイランの技術が入っている。この9月、イランと北朝鮮は科学技術協定を締結し、両者は科学協力することを正式に確認した。科学技術は軍事技術を含んでいる。ミサイル技術の拡散防止に向けて、さらなる国際協調が必要だ。

 第2に、日韓米の情報共有、情報交換のシステムをより高度にする必要がある。日韓情報保護協定締結を急ぐべきだ。ただし、締結には韓国側の方針転換を期待するほかない。この協定は6月に締結される予定だったが、締結の2時間前に韓国政府がドタキャンしてしまった。「日本が朝鮮半島に軍事進出する契機になる懸念が韓国内にある」との理由だった。

 第3に、日本政府は、北朝鮮の戦略・戦術、南北朝鮮の歴史、核兵器技術に詳しい人材を情勢分析部署に配置して、朝鮮半島の動向を正確に分析する態勢を取るべきだ。「偽装作戦」を見抜く目も培う必要がある。北朝鮮の情報攪乱の能力は世界有数である。

 第4に、北朝鮮に対して断固たる態度を示すことである。藤村修官房長官は記者会見で、「国連安全保障理事会決議に違反する」「地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為だ」と述べ、安保理に新たな制裁決議を求める考えを表明した。

 12月1日、北朝鮮がロケット発射の通知をした直後、日本政府は12月5〜6日に予定していた日朝政府間協議を延期した。ミサイルとして利用できるロケットの発射に対して、米国や韓国と連携して制裁強化を提唱することは当然だ。しかし、日朝政府間協議は実施すべきだった。日本の拉致被害者の早期帰国を求める場でもある日朝政府間協議は、日本外交の手段なのだから。

 拉致とミサイルと核を絡ませながら日米韓の3カ国で同時に解決を模索するという時期は終わった。北朝鮮が核戦略を持ちミサイルを実験し続けると宣言した今、拉致とミサイルと核の3つを絡ませる限り、拉致被害者の帰国は永久に困難になるではないか。ミサイル開発が続いても、日本は日朝政府間協議を続けるべきだ。

北朝鮮は今後もミサイルの性能向上を続ける

 今回の発射までの一連の動きの中から、新たに何が判明したのだろうか。金正恩第1書記が全てを取り仕切って指示を出していることは明らかである。偽装工作をしながら、発射までのプロセスを粛々と予定通り行うのは、指揮系統が確立しているからこそ可能だ。「技術的な問題がある」ことを対外的に公表するのは、技術者や発射責任者のレベルではできない。情報公開に神経を使っている指導者の判断である。

 北朝鮮は今後どうするか。朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は12月12日、長距離弾道ミサイル発射について「我々は、誰が何と言おうと、合法的な衛星打ち上げの権利を引き続き行使する」「宇宙を平和的に利用する権利は国際法によって公認されたもの。国連安全保障理事会があれこれ言える問題ではない」と述べた。

 北朝鮮はミサイル性能のさらなる向上、大型化、ミサイルの数の増大に努力するだろう。ミサイル防衛システムで迎撃されても攻撃能力を維持するためには、数発のテポドン2では不足である。また、核弾頭の小型化と核実験が次の課題となる。北朝鮮は、今年4月に改正した憲法に核保有を明記したあと、次のことを目指している――大陸間弾道ミサイルを持つ核保有国同士として米国と「対等の」協議をして、米朝国交樹立と在韓米軍撤退、不可侵協定締結を米国に呑ませる。今回のミサイル発射のあと、米朝協議再開に重点を置いて、米朝国交正常化を次の課題とするだろう。


武貞 秀士(たけさだ・ひでし)

韓国延世大学国際学部 専任教授
専門は朝鮮半島論。
延世大学の社会科学系学部で、日本人の専任教授は初めて。英語による課目「朝鮮半島の戦略的問題」「日本と北東アジア」を担当している。
著書に『北朝鮮深層分析』(KKベトスセラーズ)、『恐るべき戦略家・金正日』(PHP研究所)など。北朝鮮動向、朝鮮半島の軍事問題、国際関係などに関して、月刊誌やテレビに論文やコメントを発表している。

1949年神戸市生まれ。
1975年から防衛研究所(当時は防衛研修所と呼称)に勤務。
1977年慶応大学大学院博士課程修了。
1978年から1年間、韓国延世大学韓国語学堂に留学。
1983年から2年間、米国スタンフォード大学、ジョージワシントン大学客員研究員。
1991年から1年間、国際交流基金「日本研究プログラム」により韓国中央大学客員教授として韓国語による講義を実施した。
2011年2月、防衛研究所を統括研究官で退職。
同年6月より現職。


混迷する朝鮮半島

朝鮮半島の動向から目が離せない。

金正恩政権は、事実上のミサイル実験と見られる「人工衛星打ち上げ」を計画。
この成否は、日本に対する核の脅威を変質させる可能性がある。
金正恩氏の政治基盤の安定にも影響する。

一方、韓国では4月に議会選挙が、12月に大統領選挙が予定されている。
現・李明博大統領は日米と緊密に連携している。
しかし、次期政権が同様とは限らない。

韓国の動きも、北朝鮮の変化も、日本の政治・経済・社会に直接の影響を及ぼす。
その変化をウォッチし、専門家の解説をお送りする。


04. 2012年12月27日 10:38:37 : WaxXbB3YAI
JBpress>海外>アジア [アジア]
誤解だらけの北朝鮮・衛星打ち上げニュース、
7つの疑問に答える
2012年12月26日(Wed) 黒井 文太郎
 北朝鮮が12月12日に衛星を打ち上げた件については、日本でもマスコミ各社が大きく報道したが、正確性に欠ける部分や、曖昧な部分が散見されたので、一連の流れをQ&A方式でまとめておきたい。

 ミサイル発射なのか、人工衛星打ち上げなのか?

【答え】 人工衛星打ち上げである。

 報道各社はしばしば「人工衛星打ち上げと称する事実上の長距離弾道ミサイル発射」と記述。首相官邸の公式発表では「人工衛星と称するミサイル発射」となっている。

 しかし、これらは、北朝鮮を非難する意図を含んだ政治的表現であり、事実関係からするとおかしい。今回の場合は、「人工衛星打ち上げ」である。

 まず、「ミサイル」というのは、あくまで兵器を表す用語だ。ロケットやジェットエンジンなどで空中を飛翔し、標的に誘導される。もちろん弾頭には爆弾が搭載されている。弾道ミサイルというのは、より遠くの標的に命中させるため、推進力のほとんどを斜め上空への打ち上げに使い、その後は基本的に慣性運動により放物線の弾道で飛翔する。

 他方、「ロケット」は「ミサイル」に似た用語だが、こちらは単に推進機関の種類を表す。燃料に加えて酸化剤も装備し(合わせて推進剤という)、空気がなくても燃焼して飛べるものをロケットと言う。なので、ロケットは軍事用のものばかりではない。軍事用のもの、すなわち弾頭に爆弾を搭載したものはロケット弾と呼ばれ、ロケット弾を発射する武器はロケット砲と呼ばれる。

 国によってはミサイルという呼称がなく、兵器であってもすべてロケットと定義しているところもあり、世界共通の厳密な定義はないが、西側主要国では通常、誘導装置のあるものをミサイル、ないものをロケットとしている。

 と、いきなり話が脱線したが、要するに、今回のケースは、まず軍事目的の爆弾を積んでいないことは明白なので、ミサイルではなくロケットである。

 むろんミサイルの実験を兼ねているということもあるので、相手の意図を忖度して「事実上の長距離ミサイル発射実験」までは許容範囲だが、「実験」を外して「事実上の長距離ミサイル発射」あるいは政府の表現「ミサイル発射」ではおかしい。正しくは、「人工衛星打ち上げと称するロケット発射」である。

 それに、弾道ミサイル発射実験と人工衛星打ち上げでは、飛翔のコースが明確に違う。弾道ミサイル発射実験は、上述したように放物線を描くように発射される。それに対し、人工衛星はずっと飛翔コースが低く、上方ではなく水平方向に推進エネルギーが加えられる。遠くに飛ばすのではなく、地球と水平にいかに早いスピードが出せるかが重要なのだ。

 それが理論上、地上0メートル状態で秒速約7.9キロメートル(第1宇宙速度と言う)に達すると、地上に落下しなくなる。この飛翔コースを「軌道」と言い、人工的なものが軌道上を周回すると、人工衛星と呼ばれる。ちなみに、この速度は高度が上がるほど遅くなり、例えば北朝鮮の今回の衛星の軌道である高度約500キロメートル(正確には若干の楕円軌道)では秒速約7.5キロメートルになる。すなわち、今回、北朝鮮が打ち上げた人工衛星は、高度約500キロメートルで秒速約7.5キロメートル以上の水平速度に達したために、軌道に乗ったということになる。

 一方、弾道ミサイルの場合、弾道はずっと仰角が高い。弾道ミサイルの仰角はさまざまなパターンがあるが、長距離ミサイルを比較的高めの仰角で発射した場合、高度は1000キロメートルを優に超えることもある。したがって、ロケットがどのような飛翔コースをとったかをキャッチすれば、それが純粋に弾道ミサイル実験なのか、衛星打ち上げを狙ったものなのかが判断できる。

 今回の北朝鮮のケースでは、北朝鮮は2012年4月段階からオープンに衛星打ち上げを予告しており、最初から衛星打ち上げコースをとることが予想されていた。したがって、「弾道ミサイル発射実験と予想されていたのに、実際は衛星打ち上げだった」という話では全然ない。

 ただし、それだけの推進力を持つロケットの開発は、そのまま弾道ミサイルの射程延長に直結する技術なので、この衛星打ち上げが、将来の長距離弾道ミサイル開発を目的とした実験だったとの推測は成り立つ。それを前提とした場合、今回の北朝鮮の行動は「長距離弾道ミサイル開発を目的とした人工衛星打ち上げ」あるいは「長距離弾道ミサイルの開発を目的とし、人工衛星打ち上げを名目としたロケット発射実験」ということになる。正確に言えば、後者がいちばん妥当な表現であろう。

 もっとも、ミサイルという用語は、日本の政府やマスコミだけが使っているのではない。韓国でもアメリカでも、ミサイル発射という言い方がしばしばされている。しかし、それらも政治的な意図を含んだ表現である。それを承知の上で使われているなら問題はないだろうが、よく理解されずに「衛星なのか、ミサイルなのか?」といった話になってしまうようではよろしくないと思う。

 例えば、今回、北朝鮮が行ったことは、韓国が11月にやろうとして技術トラブルから延期になった衛星打ち上げとほぼ同じである。韓国が衛星打ち上げで問題視されず、北朝鮮がミサイル発射だと非難されるのは、そこだけ見れば、確かにおかしい。

衛星打ち上げならば、北朝鮮の行動に問題はないのでは?

【答え】 国連決議違反なのでアウト。

 北朝鮮は大量破壊兵器の製造とその運搬手段の開発を、国際社会に問題視されていて、国連安保理にて「弾道ミサイルの技術を使ったいかなる発射」も禁止されている。衛星打ち上げでも、そのロケットは弾道ミサイル技術と多くの点で共通だからだ。

 北朝鮮がこのようなペナルティーを受けているのは、ミサイルと核の開発が、平和を脅かす危険な軍事的挑発行為と見なされているからである。

 したがって、北朝鮮側からすれば、あくまで衛星打ち上げと主張したいのだろうが、国連加盟国である以上、安保理決議に違反した時点でアウトである。国際社会は、この一事だけで十分に、北朝鮮を非難することができる。

 さらに言えば、北朝鮮はこうした人工衛星打ち上げを事前に関係国や関係国際機関に通告しているが、トラブル発生時の損害賠償を定める条約などに参加していない。また、衛星の通信に関して国連機関に所定の資料も提出していない。これらの点でも、きちんと国際的な手続きを遵守しているとは言えない。

人工衛星なのか?

【答え】 人工衛星である。

 報道各社は「人工衛星と称する物体」との表現を多用しているが、人工的なもので、人為的に衛星軌道に乗せられたものは人工衛星である。その機能や性能は関係ない。なので、北朝鮮は世界で10番目に自力で人工衛星を打ち上げた国ということになる。

 ただし、現在、軌道上を回っている「光明星3号」なる人工衛星が、実際にはどんなものなのかは不明だ。

 北朝鮮当局は、これを地球観測衛星としているほか、すでに金日成や金正日を称える歌を電波で発信しているとしている。しかし、観測の結果、そのような電波が発信されている形跡はなく、地上と交信している形跡もない。人工衛星なら必須の太陽光発電パネルが開かれた形跡もなく、それどころか姿勢も制御されておらず、本体は惰性運動でぐるぐる回転している状態になっている。

 つまり、何らかの目的を持った人工衛星としての機能は、まったく働いていないということになるが、これが故障によるものなのか、最初からその程度のものだったのかは判断できない。

 北朝鮮はそもそも、光明星3号を4月の打ち上げ時に外国報道陣にも公開している。小型のカメラらしきものもあり、外見上は、性能はともかくそれなりに地球観測衛星のごく初期型に見えなくもないものだった。北朝鮮側は重量約100キログラムと発表しており、そのサイズでは実用的な衛星とは言えないとの指摘もあるが、サイズ的にはその程度の人工衛星はいくらも存在する。イランが飛ばした人工衛星なるものも、これまでで最大でも約50キログラムと見られる。

 しかし、北朝鮮の目的がとにかく何でもいいから衛星軌道に乗せたいということだけであれば、必ずしも機能する人工衛星を飛ばす必要はない。平和的な宇宙開発だとの建前を堅持するために、それっぽい外見があればそれで十分でもある。100キログラムという重量も、あくまで自己申告であり、事実かどうかは分からない。

弾道ミサイル発射と衛星打ち上げは同じ技術?

【答え】 最も重要なロケット推進の技術は同じ。

 人工衛星の打ち上げと弾道ミサイル発射に必要な技術は、必ずしも同じではない。真剣に人工衛星の運用を考えるなら、地上から制御しなければならず、そちらの方が様々な技術や施設が必要になる。だが、単に何かの物体を飛ばせばいいだけであれば、必要な技術レベルは格段に下がる。

 その点、弾道ミサイルとしては、最も大きな違いは再突入体の技術ということになるだろう。特に秒速7キロメートルを超える高速で大気圏に突入する場合、表面温度は場合によっては数千度に達するが、それに耐えることが必要になる。

 しかし、人工衛星打ち上げも弾道ミサイル発射も、最も重要な技術はやはりロケットの推進力のパワー強化であり、そこは両者共通のものになる。

ICBM(大陸間弾道ミサイル)なのか?

【答え】 不明だが、まだICBMとは断定できない。

 今回の報道で最も情報が錯綜したものの1つが、射程をどう見積もるかということだった。特に韓国の金寛鎮国防相が当日中に「1万キロメートルと見られる」と発言したため、「ついにロサンゼルスが射程に!」などと騒がれた。

 この射程の問題が分かりづらいのは、1つには各国当局や主要メディアが、弾頭重量を統一しないで論評していることがある。今回、「銀河3号」は弾頭相当のものとして、推定100キログラムの人工衛星を搭載していた。したがって、弾頭が100キログラムであれば、間違いなくアメリカ本土など余裕で射程に入る。

 しかし、大量破壊兵器を搭載する長距離弾道ミサイルとしての運用を考えた場合、最低でも650キログラム程度、通常は1トンの重量を運べなければ、軍事的にはほとんど意味がない。なので、ここは650〜1000キログラムの弾頭を搭載したと仮定した上で射程の話をしなければならないのだが、そのあたりの前提が、そもそも曖昧なまま情報が飛び交っているのだ。

 例えば、12月13日の韓国国防省報道官の記者会見では、「1万から1万5000キロメートルと評価している」とされたが、それはあくまで約100キログラムの弾頭を想定しての話だった。しかし、実際に650〜1000キログラムの弾頭を、それも弾道で飛ばしたわけではないから、今回のケースでは、基本的には外見で推測した質量の推定値と、実際に飛んだコース、燃料燃焼時間、速度などのモニタリング情報から推進力を分析し、射程を推定するという作業が必要になる。

 12月23日、韓国国防部は、回収したロケットの一部から推進剤の量などを推定し、おそらく上記のモニタリング情報と合わせて分析した結果、「弾頭重量500〜600キログラムで射程は1万キロメートル以上になると推定される」と結論づけた。ロサンゼルスまで十分に届く距離だ。

 これも限られた情報をもとに分析された推定なので、どこまで実態に迫っているか実際のところは不明であることに留意すべきだが、それでも現時点では最も情報を豊富に持つ韓国軍の分析である。

 ただし、それがそのまま軍事的に実戦的なICBMになるかというと、そう単純な話ではない。前述した再突入体の開発、さらにはミサイルとしての誘導の技術が必要だ。

 また、銀河3号のように剥き出しの発射台で組み立てるようなものでは、有事となれば発射準備時点ですぐに見つかって破壊されてしまうため、堅牢な秘密の地下サイロあるいは機動性の高い大型自走発射基などが必要になる。こうしたものが揃って初めて、実戦的なICBMと見なせるのである。

 それに、ICBMは大量破壊兵器を搭載してこその戦略兵器だ。弾頭重量を500〜600キログラムに抑えられるまで核爆弾の起爆装置を小型化しなければならない。北朝鮮の核爆弾小型化がどこまで進んでいるのかは不明だが、いきない数百キログラムのレベルは難しいだろう。仮に1トンまで実現したとしても、射程はずっと短くなる。

 結局、韓国国防部は上記の分析で、「今後、弾頭の誘導などの技術を確保すれば、米本土に到達するICBMの開発に成功する可能性がある」「再突入体の開発は、いまだ中距離ミサイルの水準に留まっており、ICBM技術の確保までには相当な時間がかかる」としている。

 アメリカのカーニー・ホワイトハウス報道官も12月13日の記者会見で、「まだ米国本土を脅かすほどのミサイル技術はない」との見方を表明している。本当にアメリカ本土が脅かされる事態になれば、もちろんアメリカも相当な危機感を持って対処するはずだが、今のところそうした切迫感は感じられない。

 いずれにせよ今回の1回の衛星打ち上げだけで、北朝鮮がICBMの能力を持ったと断定するのは早計だ。北朝鮮側もそれは承知しているはずで、今後、さらに野心的な「衛星打ち上げ」を重ねてくるはずである。

北朝鮮は大変な技術を獲得したのか?

【答え】 着実に技術は上がってきている。

 人工衛星を軌道に乗せたことで、北朝鮮は飛躍的に技術を上げたかのような印象があるが、おそらく一歩一歩着実に技術を上げてきたというのが実情だと思われる。

 例えば2009年の発射で、すでに第2段ロケットで、衛星打ち上げ用の低い仰角で推定3200キロメートルの飛距離を達成している。第3段ロケットの性能はまったくの未知数だったが、すでに衛星打ち上げに成功しているイランとの技術協力もあり、それなりに完成度の高いものが着々と造られていたと見るべきだ。

 2012年4月の発射では、あれだけ大々的に外国報道陣を招待していたことから考えても、北朝鮮当局は技術面では、相当な自信を持っていたはずである。そのときの失敗も、未知の領域である第3段ロケットではなく、すでに実績のある部分が原因なので、何らかの改良措置に基づく不具合か、あるいは単なるエラーかは不明だが、根本的な技術的欠陥だった可能性はそれほど高くない。

 4月に失敗した後、わずか8カ月後に成功したが、北朝鮮はなにも短期間で凄まじい技術的進化を遂げたわけではなく、もともとそれなりに技術力を高めていたと見るべきだろう。

 また、今回の打ち上げでは、第1段や第2段ロケットの落下地点から、最初はほぼ真南に向かって発射されたことが分かっている。これは、万一の失敗の際に、東の日本(本土)や韓国、西の中国や台湾に落下させない安全策をとったコースである。

 しかし、人工衛星をモニタリングしている米軍は、北朝鮮の衛星が、地球観測に最適な傾斜角97.4度の太陽同期軌道に乗っていることを確認している。これはつまり、第3段ロケットが途中から西方向にカーブをかけ(「ドッグレッグターン」と言う)、軌道を調整したことを意味している。北朝鮮の誘導技術はそれなりのレベルに達していることを、それは証明している。

 どうも私たち日本人は、北朝鮮の技術力を小馬鹿にする傾向があるが、ひたすら核とミサイルの開発に長年打ち込んできた彼らを見くびって高を括るのは危険である。

延期情報は北朝鮮の欺瞞工作だったのか?

【答え】 分からない。

 北朝鮮当局は、予定期間に入る直前に、「発射時期の調整を検討」「第1段に技術的不具合」「期間を1週間延長」と発表した。北朝鮮は4月のときから、あくまで正当な宇宙開発だとの建前を誇示するため、こうした情報は故意に国際社会にオープンにしてきた。「やはりあの国は信用できない」などと批判されないための措置である。

 したがって、北朝鮮がわざわざこうした発表をしたのならば、それなりの深刻な技術的不具合が生じている可能性が高く、発射が大幅に延期されるだろうとの見通しが広まった。さらに、「第3段を交換」「発射台から取り外し」といった情報が、次々と韓国メディアから流れた。

 ところが、実際には予告期間3日目での発射となった。日韓防衛当局の後のコメントによれば、前日か前々日に実際に「何か」が発射台からいったん取り外されたということはあったようだが、仮に何らかのトラブルが発生していたとしても、微調整で復旧できる程度のものだったとしか考えられない。ロケットがすべて取り外しなどということであれば、再設置後の再調整でこれほど早くは復旧できなかったはずで、そこは日米韓の防衛当局が詳細を明らかにしない限り、何があったのかは部外者には分からない。

 ところがそれに対して、「北朝鮮が故意に偽情報を流し、欺瞞工作を施し、情報戦・心理戦を仕掛けたのだろう」との観測が大きく報道されている。米韓側のインテリジェンス能力を試したというような見方が多いが、それには疑問も残る。

 まず、情報戦・心理戦とすれば、日韓のメディアに影響は与えたが、防衛当局の監視体制にはまったく影響を与えていない。情報戦・心理戦としては、スケールがあまりにもスモールなのだ。もしかしたら何かの意図を持った欺瞞工作だった可能性はもちろんあるが、その意図はまったく不明だと言うしかない。

本当は時間を稼いで核ミサイルを開発?

 今回、北朝鮮の人工衛星打ち上げ(ロケット発射)に関してメディアで錯綜した情報を中心にまとめてみた。北朝鮮の情報戦・心理戦に関することまで言及したが、そこでここでは最後に、一連の報道に接して感じた私見を記しておきたい。

 この間、日韓のメディア報道をいろいろチェックしたが、いつも思うのは、北朝鮮の意図など誰にも分からないということだ。ところが、今回のような北朝鮮関連の事件が起きると、北朝鮮の欺瞞工作よりも、むしろ日韓メディア側の根拠の薄い“深読み”の一人歩きが多すぎる気がしてならない。

 金正恩政権の意図など誰も知らないが、「彼らの狙いは?」と考える。そうした視点で検討すること自体はインテリジェンスの基本であり、たいへん有益だが、残念ながら、数多ある可能性の一部のみが拡大解釈される傾向があるように見える。

 この現代に世襲独裁体制などという不条理な体制のサバイバルを必死に模索している北朝鮮と渡り合うには、我々もしたたかに、そして慎重でなければならない。だが、そうした深読みの中には、危険な“思い込み”も見受けられるように思う。

 例えば、北朝鮮の一連の核ミサイル開発について、「北朝鮮のアピールだ」とする見方だ。「国際社会から援助を引き出すのが狙いだ」という見方も相変わらず散見するが、衛星打ち上げの経費は、期待される援助額より高額なのだから、これは本末転倒の分析だろう。他にもある。

 「北朝鮮はアメリカと交渉したがっており、振り向いてほしくてアピールしている」
「北朝鮮はアメリカと平和条約を締結し、政権を認知・保証してほしい。核ミサイル開発はそのための外交カードである」

 「アメリカが応じれば、北朝鮮は核ミサイルを放棄する」

 筆者には、こうした見方は非常に楽観的な甘い見方に思えるのだが、それなりに広く認知されているのは、北朝鮮側が対外交渉の過程でこうしたレトリックを故意に匂わせるからだ。しかし、それが北朝鮮側による単なる時間稼ぎではないとは断定できない。

 周知の通り、北朝鮮は「力の信奉者」だ。力だけを信じ、力にしか屈しない。また、これも周知の通り、目的のためにはどんな嘘も平気である。上述したように、北朝鮮側もサバイバルに必死なのだ。

 今回、北朝鮮はもしかしたら衛星打ち上げ時期を巡って欺瞞工作を仕掛けたのかもしれないが、そんなことよりも、「交渉を望んでいると思わせ、核ミサイル開発の時間を稼ぐ」のが真の心理戦かもしれないことを、最後に強く指摘しておきたい。


05. 2012年12月27日 10:39:45 : WaxXbB3YAI

中国の核ミサイルの恐怖が世界を覆う
なぜ長距離弾道ミサイルの発射実験を繰り返すのか
2012年12月27日(Thu) 阿部 純一
 北朝鮮による12月12日の衛星打ち上げに世界の耳目が集まる一方で、中国の弾道ミサイル実験についてはメディアの関心は薄かったようだ。

 北朝鮮の発射に先行して11月30日、中国は新型の大陸間弾道ミサイル「東風31A」の発射実験を行った。中国山西省にある太原衛星発射センターから発射されたミサイルは、本来の射程を短縮し中国西部の目標地点に到達したとされる。

 このミサイル発射実験から1週間も経たない12月5日、習近平党総書記・中央軍事委主席は中国の戦略ミサイル部隊である第2砲兵部隊第8回党代表大会の代表と会見を行い、「国防・軍建設のテーマ・主要路線を堅持し、部隊の全面的な建設と軍事闘争の準備を強化し、強大で情報化された戦略ミサイル部隊の建設に努めなければならない」と強調し、「第2砲兵部隊はわが国の戦略的抑止の核心的な力であり、わが国の大国としての地位への戦略的な支えであり、国の安全を擁護する重要な礎石である」との認識を示した。

 11月30日のミサイル発射実験は、その意味で言えば習近平政権の幕開けを祝う「祝砲」であり、習近平は第2砲兵部隊の重要性を語ることで軍の期待に応えたことになる。

 しかし、このミサイル発射実験をスクープした米国の著名な軍事専門記者であるビル・ガーツによれば、発射当日は四川省成都で行われていた米中災害救助合同演習の最終日に当たっている。そのことから、今回の発射実験は米国に対して中国の軍事的強硬路線を認識させる意図があったものと推測している。

 その当否とは別に、この時期は日米が北朝鮮のミサイル発射実験に照準を合わせ、軌道を外れたミサイルが沖縄など日本領土に落下する事態に備え、迎撃破壊態勢を取っていたわけであり、中国の弾道ミサイル試射はこれをあざ笑うかのような行動であった。

中国はなぜ「東風41」を開発したのか

 2012年、中国が行った長距離弾道ミサイルの発射実験は、11月30日の「東風31A」発射で4回目となる。ただし、2012年1月、中国で潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪2」の発射実験があったと台湾のメディアが報じていることをカウントすれば、5回となる。

 「東風31A」の発射実験は8月30日以来2度目であった。2012年の他の2回とは、7月24日に行われた「東風41」と8月14日の「巨浪2」の水中発射である。

 この中でメディアに注目されたのが、7月24日の「東風41」の試射であった。これを報じた英「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」誌によれば、「東風41」は車載移動式の発射で1基につき10発の「MIRV」化された核弾頭(後述)を搭載可能であり、射程が「東風31A」よりも長く、中国本土から米国のどの都市でも狙えるという。中国の報道では、その射程は1万5000キロメートルにも及ぶ。

 「東風41」は、1980年代に開発計画が立てられていたが、後にキャンセルされ、それに代わるものとして「東風31」の射程を延長し、「東風31A」が開発されたと筆者は理解していた。射程1万1000キロメートルの「東風31A」で米国本土は十分にカバーできるだけに、それ以上の射程の「東風41」の開発理由は理解できない。まだ、現在まで米国防総省から「東風41」に関する情報は一切出ていない。

米国の設計情報を盗んで弾頭を「MIRV」化?

 ところで、世界には核拡散防止条約で核兵器保有を公認された国が5つある。国連安保理メンバーと同じであり、中国もその一角を占める。イスラエルやインド、パキスタン、それに北朝鮮も核保有国と見なされてはいるが、いわば「非公認」である。

 公認された国の中で、核戦力の規模について「完全秘匿」しているのは中国だけであり、また米ソ冷戦の終結後、核軍縮が世界の基調として定着する中にあって、唯一核軍拡の基調にあるのが中国である。

 今年になって4回も長距離弾道ミサイルの試射を行ったのは無論中国だけであり、中国が核戦力の増強に余念がないことが分かる。

 中国が自らの核戦力について「完全秘匿」していることも関係するが、一連のミサイル発射実権で必ず言及されるのがミサイル弾頭の「MIRV」化である。一発のミサイルに複数の弾頭を搭載し、その弾頭が敵国上空で分離して個別に目標めがけて突入していくという技術である。これは米国が1960年代末には実現していたものであり、別に目新しいものではない。

 しかし、欧米のメディアがなぜ中国のミサイル弾頭の「MIRV」化に注目するかと言えば、それが米国の進める弾道ミサイル防衛、すなわちパトリオットPAC-3やイージス艦配備のスタンダードミサイルによる敵の弾道ミサイルを迎撃するシステムの「突破」を狙う上で有用な技術だからである。

 しかも中国は、米国議会が1999年に公表した「コックスレポート」として知られる「合衆国安全保障並びに中華人民共和国との軍事・経済問題に関する特別委員会報告書」の中で、米国のトライデント型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載のMIRV弾頭(W-88)の設計情報を窃取したことなどが指摘されており、弾頭の「MIRV化」の技術情報を「取得済み」と見なされている。

ミサイル弾頭の「MIRV」化には核実験が必要

 だが、中国にとって弾頭の「MIRV」化は簡単に実現できる技術ではない。その大前提として核弾頭の「小型化」が必要だからである。

 そのためにはどうしても核実験を繰り返さなければならない。米国やロシアは、「臨界前核実験」という手法を使って核爆発を伴わない形で新型の核兵器開発ができる体制にあるが、それは過去に行った何百回という核実験のデータがあって初めて可能となるもので、中国のように過去45回しか核実験を実施していない国にとっては「高嶺の花」の手法である。実際、米国防総省が中国の弾道ミサイルに「MIRV」化弾頭が搭載されていることを確認した事実はない。

 中国は1996年秋に国連総会で採択された「包括的核実験禁止条約」の署名国になっている手前、核実験を再開するわけにはいかない。ということは、核弾頭の「MIRV」化を目指した核実験が行えない以上、中国のミサイル弾頭の「MIRV」化はありえないという結論になる。仮に米国の核弾頭の設計を忠実に再現したにせよ、それが実際に「爆発」するかどうかを確かめる術がない。

 このような検討もなされないまま、中国の弾道ミサイル試射について「MIRV」化の文脈で外国メディアが報じるのを中国はどう見ているのだろうか。内心、忸怩たるものがあるだろう。

 中国ができるとすれば、いわゆるペネトレーションエイド(penetration aids)と呼ばれるもので、敵のレーダーを撹乱するおとりの弾頭(デコイ)やチャフ(chaff:レーダー電波を反射するアルミホイルやスズなどの物質)の放出にすぎない。「過大評価」は面映いが、内実はとても誇れるものではないからだ。

中国は弾道ミサイルの増産を図るのか

 それにもかかわらず、中国が弾道ミサイルの試射を繰り返すのは別の意図があると疑った方がよい。

 もちろん、開発中の「巨浪2」は試射実験が必要だろう。「東風41」も、本当に新型弾道ミサイルであるなら、試射が必要だろう。

 「東風31A」はすでに配備が開始されているミサイルであるが、これを今年に入って2度も試射するということになれば、重大な欠陥の修正のための試射という可能性もある。しかし、そうでないかもしれない。

 米国の弾道ミサイル防衛網は、表向きは北朝鮮のミサイルの脅威に対抗するためとされているが、当然ながら中国の弾道ミサイルも視野に入れている。少なくとも中国はそう考えており、公言されないまでも米国にその意思があるのは間違いない。米国と協働する日本も、中国の中距離弾道ミサイルの射程内にあり、弾道ミサイル防衛は北朝鮮だけを睨んだものではない。

 この弾道ミサイル防衛網の突破が中国の狙いであるとすれば、まず考えられるのは弾道ミサイルの増産であろう。敵の迎撃能力以上のミサイルを保有することによって対抗しようというわけである。これは、すでに台湾の防空能力を超えた数の戦術弾道ミサイルの大量配備で台湾を威圧する戦略として現実のものとなっている。いわゆる「飽和攻撃」と言われるものである。

 1960年代、米ソの各軍拡競争が熾烈に展開され、世界は「恐怖の均衡」のもとに置かれた。中国が核ミサイルの増産をめざせば、その「悪夢」が蘇ることになる。


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