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株式日記と経済展望
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日本の決意をアメリカが己の利益のために無視するのならば、結果として
アメリカは太平洋の全てを失うことになるのは自明だろう。石原慎太郎
2012年11月23日 金曜日
◆石原慎太郎 残酷な歴史の原理 7月2日 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120702/plc12070203350002-n1.htm
歴史を振り返って見ると世の中を変えたのは絶対的な力、端的にいって軍事力だというのがよくわかる。いかなる聖人がいかに高邁な教えを説こうと、それが物事を大きく動かしたという事例はほとんど見当たらない。
功成り名遂げ成熟安定した国家社会では、人権を含めてさまざまな理念が説かれようが、その実現が利得を離れて成就されたなどという事例はあまり見当たらない。
今日世界一の大国と自負するアメリカは実は世界で最も遅く奴隷を解放した国でしかなく、その奴隷たちも極めて最近まで公民権をあたえられることなく過ごしてきた。
歴史的に見てアメリカが人権の保護に関して最も厚い国だなどというのは彼等自身の虚妄であって、例えばスペインが国家として凋落し、その過酷な支配からようやく解放されようとしたフィリッピンをスペインに代わって乗っ取り植民地にしたアメリカは、独立を志す者たちをバターン半島に追いこみ四十万人もの者たちを餓死させて駆逐した。
こうした事例は人間の歴史の中に氾濫していて、いつの時代どこにあっても軍事を背景にした力がことを決めてきたのだ。わずか三丁の鉄砲を手にしてやってきたスペイン人たちによって呆気なく滅ぼされたインカ帝国の人たちが、キリスト教に教化されて本質的な幸福をつかんだかどうかは、いえたことではない。
ヨーロッパに誕生した近代文明はほぼ一方的に世界を席巻し植民地支配を達成したが、その推進は決定的に勝る軍事力によって遂行された。それは古代から変わらぬ歴史の原理であっていかなる高邁な宗教もそれを否定出来まいし、宗教の普遍の背景にも歴然とその力学が働いているのだ。
ということがこの日本という国に関し隣国シナとの関わりでも証明されるかも知れぬということを、今一体どれほどの国民が感じとっていることだろうか。
繰り返していうが、今現在日本ほど地政学的に危険に晒されている国が他にどこにあるだろうか。敗戦のどさくさにロシアに貴重な北方領土を略奪され、北朝鮮には数百人の同胞を拉致して殺され、シナには尖閣諸島を彼等にとって核心的国益と称して堂々と乗っ取られようとしている我々。そしてそれら三国はいずれも核兵器を保有しそれをかざして恫喝してくる。
多くの日本人が一方的に頼りにしているアメリカは、自国へのテロ攻撃に怯えイスラム圏に派兵し不毛な戦で国力を消耗し軍備を縮小しとじこもりかねない。彼等が金科玉条に唱えている人権の保護の実態は、シナの覇権主義によって実質的に消滅したチベットへの姿勢を眺めてもうかがえる。民族の個性もその文化も抹殺されてしまったあの国あの民族を本気で同情しているのは私の知る限り著名な俳優のリチャード・ギアくらいのものだ。
日本とチベットではアメリカにとっての比重が違うという者もいようが、国際関係の中でアメリカにとって最重要なものは所詮自国の利益でしかあり得ない。
この今になって私はかつてフランスの大統領だったポンピドーの回想録のある部分を思い出す。引退後彼が訪問して話した当時のシナの最高指導者毛沢東に、「あなたは水爆などを開発し何をするつもりなのか」と質したら、「場合によったらアメリカと戦争をするかも知れない」と答え、「そんなことをしたら二、三千万の国民が死ぬことになりますぞ」と諭したら、「いや、わが国は人間が多すぎるので丁度いい」と答えられ仰天したという。
それを読んであることを思い出した。アメリカでのヨットレースで親しくなった男がかつての朝鮮戦争で新任の士官として分隊を率いてある丘を守っていた時、深夜異様な気配で思い切って明かりをつけて確かめたらいつの間にか目の前におびただしい敵兵が這いよっていた。そこで機関銃を撃ちまくったが次から次へと切りがない。しまいにはオーバーヒートの機関銃に水をかけて撃ちまくった。ようやく夜が明けて眺めたら累々たる死体の山。しかし確かめるとどの兵隊もろくな兵器は持たずに手には棍棒だけ、ろくな靴もはいていない。後にわかったが、彼等は台湾に逃げた蒋介石の残した兵隊たちで、人海戦術として前面に駆り出されその背後には中共の正規軍がいたという。
こういう国家の本質をみればアメリカがたたらを踏むのは当然だろうが、そのアメリカを盲信している日本人も危うい話しだ。
今日のシナの指導者たちがどんな感覚で国民を支配しているかはいざとなるまでわからないし、成熟しかけているシナの社会での兵士も含めて、場合によっては駆り出されるだろう若い世代の覚悟というか、有事に際しての反応はうかがいきれない。
この現代に、彼等が場合によったら核の引き金を引くか引かぬかは占いきれまいが、私たちがその圧力に怯えて、彼等が一方的に核心的国家利益と称する日本の国土の島をむざむざ手渡すことは国家の自殺につながりかねない。
そして日本の国家民族としての決意をアメリカが己の利益のために無視するのならば、結果としてアメリカは太平洋の全てを失うことになるのは自明だろう。
尖閣諸島への対応には、実はアメリカにとっても致命的な選択がかかっていることを知るべきに違いない。
(私のコメント)
尖閣の問題は、中国が「核心的国家利益」として奪いにやって来ていますが、韓国の竹島問題と連動している事は「株式日記」でも書いてきました。中国は韓国が竹島を奪っても日本政府は何も出来なかった事で、尖閣諸島は奪えると計算したのだろう。台湾もアメリカが沖縄返還の時に尖閣は我々のものと言い始めた。
日本は島国であり他国からの侵略に対して無頓着でいられましたが、無人島が突如韓国や中国が我々のものだと言い始めても日本政府はどうする事も出来ない。日本には無人島が無数にありますが中国や韓国の漁船がやってきて上陸して国旗を立てれば既成事実になると思い込んでいる。竹島が事実その通りになったし尖閣諸島も中国は虎視眈々と上陸の機会を狙っている。
日本が相手ならば軍事的に反撃してこないと分かっているから、中国も韓国も上陸して守備隊を送り込んで領有を宣言する。南シナ海のスプラトリー諸島、パラセル諸島は中国に奪われてしまった。アメリカは中国との関係を重視して関与してきませんでしたが、尖閣でも日米安保の範囲内とは言っても警備部隊を常駐させて実効支配しているわけではない。南シナ海のように勝手に上陸して基地を作ってしまえば交渉で取り返すことは不可能になる。
日本に無数にある無人島に全て警備部隊を置くことは不可能であり、無人島を実効支配するには軍事的な覇権で手出しできないようにしなければ問題の解決は不可能だろう。韓国が竹島を領有したのも戦後の日本が軍隊を持たない時期であり、その後も桟橋を築いたりヘリポートを築くのを放置して来た。また韓国は竹島の領有を日本に対する勝利の象徴として小学生から教え込んでいる。
中国も尖閣を「核心的利益」と言って領有を目指して来ていますが、アメリカ政府は領土問題に関しては中立を保っている。中国は経済大国化して国防予算においても日本の数倍の規模になっている。核ミサイルも装備してロシアからは最新鋭戦闘機スホイ35を24機購入する計画を報じていますが、スホイ35はF22に対抗できる性能を持っていると言われている。
国土を守るには軍隊が必要であり、軍隊を持たねば中国は沖縄も中国のものだと言い始めているし、韓国も対馬は我が領土と言ってきている。このようなことは日本の学校教育では教えていないし、平和憲法の精神で領土領海は守れると信じてきた。その結果がロシアや韓国や中国が日本の国土を奪いに来ている状況を招いてしまった。
日本政府は国防と外交はアメリカに丸投げであり、日本の政治が国防と外交で勝手に判断できない事は、鳩山・小沢政権で十分に認識できただろう。次の首相は誰がなるかまでアメリカは関与しているのであり、アメリカに睨まれればその首相の任期は僅かだと言う事だ。野田首相が突如解散を決めたのもアメリカの差し金であり普通ならば野田総理の首を挿げ替えるだけで済んだはずだ。
石原慎太郎が都知事を当然辞めて国政に参加するのもアメリカとの密約があるという噂もありますが、尖閣をとが買い取ると言う発表もアメリカのシンクタンクで行なわれた。そのときから今回の選挙が仕組まれていたのであり、三党の合意は選挙後も続けられる可能性がある。自民党が第一党となり公明や維新が合流して民主の野田・前原一派も合流するかもしれない。
中国の海洋進出はアメリカの権益を脅かすものであり、アメリカとしても中国を戦略的パートナーと呼ぶ危険性を認識し始めたのだろう。中国は南シナ海のみならず東シナ海にも「核心的利益」と言うように尖閣の領有を目論んでいる。尖閣が中国のものとなれば台湾も中国のものとなり、台湾の馬総統は尖閣は台湾のものと言い始めた。
台湾が中国に寝返ればアメリカは石原慎太郎が最後で述べているように、「そして日本の国家民族としての決意をアメリカが己の利益のために無視するのならば、結果としてアメリカは太平洋の全てを失うことになるのは自明だろう。」とアメリカを説得したのだろう。確かに台湾が中国の手に落ちればアメリカは太平洋の全てを失う事になる。
中国の軍事増強は毎年二桁の国防費の伸びでもわかりますが、空軍力や海軍力の増強が著しい。中国の中距離ミサイルは中国周辺諸国の軍事基地を無力化するものであり、沖縄もその射程内に入る。中国は上海協力機構で背後を固めて海洋進出を明らかにしてきましたが、ロシアから見ればアメリカに対する逆チャイナカードであり、アメリカの戦略家達はそのことに気が付くのが遅すぎた。オバマ大統領の就任当初でも米中G2などと言っていたが、中国はアメリカにとって厄介な国になりつつある。
チャイナカードは米ソ冷戦時代におけるアメリカの対ソ戦略でしたが、ソ連崩壊でその目的は達せられた。いわば米中の同盟がソ連を崩壊させたともいえますが、中国は今度はアメリカを裏切ってロシアやアフリカ諸国や南米諸国と手を組んでアメリカ包囲網を築こうとしている。G20ではアメリカは中国に主導権を奪われてしまっている。
G20では日本の影がまことに薄くなり首脳会議も財務中央銀行会議も一度も開かれていない。韓国では二度も開かれていますが、日本は竹島のみならずG20国際会議もワールドカップも韓国に横取りされる国になってしまった。今のような日本では尖閣が中国に取られるのは時間の問題かもしれない。
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