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「来年の1月に選挙を控え、イスラエル政府はハマスの参謀長を暗殺、ガザを空爆して破壊と虐殺を始めたが、暗殺の直前にはハマスとの恒久的な休戦に向けて大きな前進があった 」
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イスラエル軍は今月の14日、ハマスの軍事部門を統括していたアハマド・アル・ジャバリ参謀長を暗殺、それに続いてガザに対する激しい空爆を展開している。来年1月に予定されている選挙を意識しての攻撃だとする見方もあるが、イスラエル側はハマスによるロケット弾攻撃をやめさせるためだとしている。暗殺の直前、イスラエルとハマスとの間では、恒久的な休戦に関する協議が進んでいたとも言われ、平和への道を閉ざす目的があったかもしれない。
イスラエルとハマスの交渉で仲介役を務めていたのはイスラエル人のゲルション・バスキンという平和活動家。過去の交渉でジャバリとも面識があり、休戦協定の成立を目指してバスキンがハマスやエジプトの情報機関と接触していることをイスラエル政府の高官も承知していた。しかも、数カ月前には合意文書の草案をイスラエルのエフード・バラク国防大臣に見せ、この草案に基づき、休戦問題を協議する閣内委員会が設立されたと伝えられている。
報道されている情報から判断すると、イスラエル政府の内部でイランとの戦争に積極的なグループは少数派。その好戦的な少数派には、ベンヤミン・ネタニヤフ首相やバラク国防相が含まれている。ネタニヤフ首相らは、2010年にイランと戦争を始める準備をするように軍のトップだったガビ・アシュケナジ参謀総長(当時)、そして情報機関のモサドを統括していたメイル・ダガン長官(同)に命令したという。
しかし、閣内で開戦に賛成していたのは首相に近い7名だけで、全閣僚が参加した会議で戦争準備が決められたわけではなかった。そこで、軍も情報機関も命令を拒否したようだ。
新たな戦争への道を切り開くためか、ネタニヤフ政権はアメリカの大統領選挙で共和党のミット・ロムニーに肩入れした。ロムニーのスポンサー、シェルドン・アデルソンは好戦的なシオニストへ多額の寄付をしている富豪。そうした背景もあり、ロムニーはイスラエルの「経済的な成功」を「文化」と「神意」に求める発言もしている。
しかし、ロムニーへの偏った支援は裏目に出てしまう。再選されたバラク・オバマ大統領は親友のバレリー・ジャレットをイランに派遣して話し合いを進めているようで、イランとの戦争を避けようとしている。必然的にシリアへの軍事介入にも腰が引けている。しかもネオコン(親イスラエル派)に近いデービッド・ペトレアスCIA長官はスキャンダルで辞任、ネタニヤフ首相にとって好ましい状況ではない。
こうした中、シリアへの軍事介入を強化しようとしているのがフランスやイギリスの政府。11月13日にフランスのフランソワ・オランド大統領は「シリア国民連合」をシリア国民を代表する唯一の組織として承認、14日にはイギリスのデイビッド・キャメロン政府はシリアの反政府軍へ公然と武器を供与するための話し合いを行ったという。リビアへの軍事侵攻をリードしたイギリスとフランスがシリアでも前向きな姿勢を見せている。
リビアと同じように、シリアでもムスリム同胞団は体制転覆を目指す勢力に参加している。パレスチナで大きな影響力を持つハマスの母体はムスリム同胞団。そこでシリア政府はハマスを警戒している。パレスチナ問題でハマスを支持する声が高まれば、シリアでの戦況を好転させて体制を転覆させられる、と考えている人がいるかもしれない。
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