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ヒマラヤの名峰の雄姿を目にする地は国境係争地 中印国境紛争から50年、そして終わることのないカシミール紛争
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投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 15 日 08:19:01: cT5Wxjlo3Xe3.
 

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ヒマラヤの名峰の雄姿を目にする地は国境係争地
中印国境紛争から50年、そして終わることのないカシミール紛争
2012年11月15日(Thu) 竹野 敏貴
 BBCで初めて南アジア系ファミリーが主人公となるシットコム(sitcom)「Citizen Khan」が好調だ。バーミンガムで暮らす「British Pakistani」である主人公たちが繰り広げる笑いは、イスラム教をめぐる描写に少なからず批判はあるものの、評判も概ね良好のようだ。

13万人のパキスタン系住民が暮らすブリティッシュ・パキスタン


Citizen Khan
 バーミンガムは、人口の1割以上に当たる13万人余りものパキスタン系住民が暮らす「Capital of British Pakistan」。

 そう言えば、先日、パキスタンのアザド・カシミール州との間で長距離バスの運行計画があるとの報道もあったし、イスラマバードからの航空便も多い。

 女性の教育の必要性を訴えていたパキスタンの15歳になる少女が、パキスタンタリバン運動(TTP)から銃撃を受け、今、バーミンガムの病院で治療を受けているのもそんなつながりあってのことなのだろう。

 今回銃撃事件が起きたのは、政府の力がほとんど及ばないトライバルエリア(連邦直轄部族地域)ではなく、その東隣に位置するカイバル・パクトゥンクワ州。

 「アジアのスイス」とも呼ばれる豊かな自然とガンダーラ仏教遺跡で人気のスワート渓谷の中心地ミンゴラだった。

パキスタン観光の目玉、カラコルム・ハイウェイ


British Pakistani を描いた映画は何本かあるが「ぼくの国 パパの国」がその代表作
 2009年には、タリバン掃討作戦に成功し、その後も警戒続く中での事件だっただけにショックも大きく、西洋化を非難しての犯行ということから、活気を取り戻しつつあった観光業にも痛手となりそうだ。

 そんな北パキスタン観光の目玉と言えば、そこからやや東方を南北に貫く「カラコルム・ハイウェイ」からの風景だろう。

 北へ向かえば、やがて、印パ国境係争地帯カシミールで、アザド・カシミール州とともにパキスタンが実効支配しているギルギット・バルティスタン州。右手には8125メートルの名峰ナンガ・パルバートが見えてくる。

 ウルドゥー語で「裸の山」を意味する名峰の世界最大となる4500メートルの標高差を誇るルパール壁では、幾多の登山家が挑戦し命を落としていることから、ドイツでは「運命の山」とも呼ばれている。

 その初登攀を1970年に果たしたドイツ人兄弟をめぐる物語『ヒマラヤ 運命の山』(2009)の実際にナンガ・パルバートで撮影された映像には目を奪われる。

ワインも楽しめる桃源郷、フンザ


パキスタンの街角
 しかし、監督のヨゼフ・フィルスマイアーが宿泊したラワルピンディ(イスラマバード近郊の都市)のホテルでは、撮影の少しあとに要人暗殺事件があった、というパキスタンの厳しい現実も直視しなければなるまい。

 さらに道を進めば、春にはあんずの花が咲き誇り、あたり一面ピンクに染まる景勝地フンザに到着する。このあんずの里は、1974年まで自治王国だった古来不老長寿の桃源郷でもある。

 風景ばかりか独自の文化も魅力で、イスラム教でも戒律の緩やかなイスマーイーリー派を信仰していることもあって、隠れた名物、ワインも楽しめる。

 一方、カラコルム・ハイウェイから東方にはずれた地には、世界第2位峰K2を眺望できるトレッキングコースがある。とはいえ、政府公認のガイドをつけるなど規制も多い。

 K2が舞台の山岳劇『バーティカル・リミット』(2000)にも、このあたりで重傷を負った男が高地にあるパキスタン軍医療施設に送られた際、軍人がインドへの砲撃を加える場面に遭遇するシーンがあるのだが、印パ停戦ラインが間近なのだ。

国境線が微妙に食い違うインドとパキスタンの地図


そのものズバリ「K2」という映画もある
 そんなカシミールの現状を理解しようと、パキスタンとインドの(ちょっと古い)地図を眺めていると、両者の国境線が微妙に食い違っていることに気づく。印パ停戦ラインを無視した自国の領土への主張もあるのだが、それとは別に、東縁のラインも違うのである。

 インドの地図ではインド領、パキスタンの地図では中国領となっている地域、いま、中国が実効支配しているアクサイチンと呼ばれる地域の存在によるものだ。

 こうしたことはパキスタンが親中姿勢を見せていることの証しとも言えるかもしれない。フンザからさらに道を進むと、やがて、クンジュラブ峠、中国との国境に到達する。カラコルム・ハイウェイは、中国の強力なバックアップの下、1978年完成したもの。

 一方の中国にとってもこの道はパキスタンを介しインド洋への出口を確保する意味合いがある。

 パキスタンは中国の中東への窓口ともなり、ヘンリー・キッシンジャー、リチャード・ニクソンの訪中の際、仲立ちもした。両国「共通の脅威」インドの存在が友好の最大の理由となろう。

50年前に勃発した中国とインドの国境紛争


映画「ヒマラヤ 運命の山」はナンガ・パルバートの風景が美しい
 東西に長く続く中印の国境線はいまだ確定していないところも少なくない。そして国境をめぐる緊張関係が最高潮に達し、武力紛争へと発展してしまったのが、今からちょうど50年前、1962年10月のことだった。

 1カ月あまり続いたこの中印国境紛争が背景となっている『沈黙(原題Khamoshi)』(1969/日本未公開)は、ラダック地方が舞台のインド恋愛映画のクラシック。

 カシミール地方東部にあたるこの地域では、いまではあまり見られなくなったチベット仏教の伝統が守られており、中国の支配を受け変貌を続けるチベットよりずっとチベットらしい文化が残されている。

 ラダックでロケーションされた米国映画『剃刀の刃』(1984/日本劇場未公開)でも、チベット仏教圏の雰囲気が実によく出ている。

 そこからはるか東方、ブータンの西隣にもチベット仏教ゆかりのインドの地シッキムがある。そしてそこでも名峰の雄姿が拝める。ネパールとの国境につらなるシッキム・ヒマラヤにそびえる世界第3位峰カンチェンジュンガである。

あまたの混乱を経てインド22番目の州となったシッキム


シッキムの州都ガントク
 シッキムは、もともと、インドからチベットへのメインルートにあった。しかし、同じチベット仏教とはいえ、ダライラマのグルク派とは違うニンマ派だったこともあって、チベットはシッキムを属国と見なしていた。

 19世紀半ば、インドに進出していた英国がシッキムの南半分に当たるダージリンを割譲させ、さらには清と条約を結びシッキムを保護国化することで、チベットへの道と避暑地を手に入れた。

 独立後、その地位を引き継いだインドとは外交・防衛などを委ねる保護国という関係となったシッキムだったが、紆余曲折の経過のなか、1975年、国王退位を要求するデモ隊に王宮軍が発砲するという混乱にインド軍が介入、国民投票を経てインド22番目の州となったのである。

 こうしたシッキムのチベットの属国だった過去と、チベットは自国の領土だという認識から、中国は、自分のものだとまで言わないまでも、インドの一部とは認めなかった。

 そのため、古くはシルクロードの一路だった通商路となる国境ナトゥラ峠は閉まったままだったのだが、2006年、44年ぶりに再開通した。

新しいステージに入った印パの緊張関係


カンチェンジュンガ
 両国はBRICSサミットで相まみえたときも、これからも関係をより発展させていくことを表明している。

 とはいえ、1984年、87年と国境を介し睨み合いを繰り返した。さらに東方に位置する係争地アルナーチャル・プラデーシュについては平行線をたどったまま。

 かつて核開発を発表した際も、核保有国中国との国境紛争がインドを開発へと向かわせた、中国がナンバーワンの脅威だ、などとインドは公言しており、その根は決して浅いものではない。

 そして、そのインドの核を脅威とするパキスタンが続けて核実験に成功したことで、新たなるステージに入った印パの緊張関係。いま、カシミールの地は停戦状態にあるものの、治安への不安は続いたままだ。

 タリバンという存在が地域の状況をさらに不安定なものにしているわけだが、その本拠地アフガニスタンは、パキスタンの北でワハン回廊と呼ばれる狭い地域を介して中国と国境を接していることはあまり語られることがない。

 20世紀初めまでの英露による勢力争い「グレートゲーム」で両国の緩衝地帯としたことの名残なのである。そう、チベットを英露中の緩衝地帯としたように。

 そして今、中国はアフガニスタン最大のアイナク銅山や油田の採掘権獲得に成功し、外国部隊の撤退で資金不足となるアフガニスタンへの影響力を強めている。

 それに対抗するように、インドも関係強化に努め、11月12日にはハーミド・カルザイ大統領と会談したマンモハン・シン首相が経済分野での協力を深めることで合意したことを発表したばかりである。

 21世紀の主戦プレイヤーと目される両国のこと、くれぐれも新たなるゲームで世界を混乱させないよう願うばかりである。

(本文おわり、次ページ以降は本文で紹介した映画についての紹介。映画の番号は第1回からの通し番号)

(645)ヒマラヤ 運命の山 (646)バーティカル・リミット (647)剃刀の刃
(648)沈黙
645.ヒマラヤ 運命の山 Nanga Parbat 2009年ドイツ映画


ヒマラヤ 運命の山
(監督)ヨゼフ・フィルスマイアー
(出演)フロリアン・シュテッター、アンドレアス・トビアス、カール・マルコヴィクス

 1957年の南チロル。

 13歳のラインホルト、11歳のギュンターのメスナー兄弟の楽しみは山に登ること。しかし、教師である父親はそのことをよく思っていなかった。

 数年後、登山界では名を知られるようになっていた2人。ラインホルトは念願のナンガ・パルバート登攀を目指す遠征隊の一員に選ばれた。

 一方のギュンターは選ばれることもなく、兄の陰に隠れる存在なのか、と暗い気持ちに陥っていた。

 しかし、隊員に欠員ができ、世界最大となる4500メートルの標高差を誇るルパール壁初登攀に兄弟そろって挑むことができることになった。

 そして始まった登攀。遠征隊が分裂していくなか、兄弟は果敢にアタックし無事初登攀に成功するが、戻ってきたのはラインホルトだけで・・・。

 難壁の初登攀という栄光にもかかわらず、隊長はラインホルトを責め、ドイツに帰国してから始まった裁判が後半のクライマックス。

 その当事者であるラインホルト・メスナーの協力の下、実際にナンガ・パルバートで撮影された映像が魅力的な一品である。

646.バーティカル・リミット Vertical limit 2000年米国映画


バーティカル・リミット
(監督)マーティン・キャンベル
(出演)クリス・オドンネル、ビル・パクストン

 親子でのロッククライミングの最中、事故で父親を亡くして以来、音信不通となってしまった兄ピーターと妹アニー。

 ある日、写真家として活動していたピーターは、事故に遭ったガイドをヘリコプターで送り届けたあと、中国パキスタン国境に位置する名峰K2のベースキャンプへと降り立った。

 そこにいたのがアニー。資金潤沢な米国富豪の登山隊に加わっていたのだ。

 しかし、K2へと向かった登山隊は嵐に見舞われてしまう。

 それでも頂上を目指したその時、巨大な雪崩が発生、奇跡的に一命を取り留めたアニーだったが、閉じ込められてしまい・・・。

 『007ゴールデンアイ』(1995)などで知られるマーティン・キャンベル監督がK2を舞台に完成させたタイムリミットサスペンスだが、一番の魅力はその山岳映像。

647.剃刀の刃 The razor’s edge 1984年米国映画(日本劇場未公開)


剃刀の刃
(監督)ジョン・バイラム
(出演)ビル・マーレイ、テレサ・ラッセル
(原作)サマセット・モーム

 第1次世界大戦に救急隊として従軍したラリーはその経験がトラウマとなり、戦前のラリーとは別人物となっていた。

 裕福な婚約者と会ってもうまくいかない。心を満たすに十分な回答を得ようとパリに向かったラリー。

 そこでは炭鉱夫も含め多くの仕事に就いた。また哲学、宗教なども勉強したラリーは、ヒンドゥーの教えを得にインド、そしてチベット仏教僧院へと向かい・・・。

 大ヒット映画『ゴーストバスターズ』(1984)と同じ年にマレーが出演した作品だが、日本では劇場未公開。1942年に書かれたモームの原作は直後の44年、タイロン・パワー主演で映画化されている。

648.沈黙 Khamoshi 1969年インド映画(日本未公開)


沈黙
(監督)アシット・セン
(出演)ラジェーシュ・カンナ、ワヒーダー・ラーマーン

 精神科病棟で働く看護婦ラダは、ある日、愛に破れ取り乱す作家の患者を看護することになった。

 そして、彼女は過去を振り返りながら、1962年の中印国境紛争で負傷した勇敢な兵士のことを語り始めるのだった・・・。

 センが監督した1959年のベンガル映画「Deep Jwele Jaai」(本作はヒンディー)をもとにした作品で、ハリウッドでのリメイクも発表されていたが(人気シットコム「フレンズ」のジェニファー・アニストン主演との噂もあった)、今のところ実現はしていない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36547  

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