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イスラエル国境で緊張高まる−シリアに39年ぶりに砲撃、ハマスと戦闘も
2012年 11月 12日 12:39 JST
【テルアビブ】イスラエル国境で2方面の武力衝突が拡大している。イスラエル軍は11日、シリア領内に向けて過去数十年で初めて砲撃した。一方、来年1月に総選挙を控えるネタニヤフ首相は、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスへの攻撃強化を警告した。
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APA Images/Zuma Press
イスラエルの攻撃によって死亡したとハマスが主張する遺体を運ぶガザ地区の市民
今回のパレスチナ自治区ガザ地区との国境付近の交戦により、パレスチナ人6人が死亡、イスラエル兵4人が負傷し、イスラエル南部の学校が閉鎖された。
イスラエルは過去4年間比較的安定した状態が維持されていたが、この2つの国境地帯での混乱により、来年1月22日のイスラエル総選挙を控えて衝突が拡大する懸念が出てきた。
ネタニヤフ首相は、中東の地域的混乱の中で、イスラエル国民の安定と安全を維持してきたとの実績に基づいて再選を目指す見通しだが、衝突が拡大すると、そうした同首相の安定貢献への世論評価が損なわれる恐れがある。アナリストは、同首相が大規模な攻撃を回避する一方で、敵対的な戦闘行為に対しては強硬に対応してバランスを取ろうと模索するだろうと指摘している。イスラエルによる大規模な攻撃は、イスラエル中心部に対する反撃につながり、犠牲者を出すリスクを伴うからだ。
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Reuters
イスラエルのネタニヤフ首相
ネタニヤフ首相は閣議で、ガザでの衝突について、「イスラエルを攻撃しようとする試みを座視しないことを世界に理解してもらいたい。われわれには対応を強化する用意がある」と述べた。
緊張はガザ地区だけでなくイスラエル北部でも高まった。イスラエル軍は11日、1973年の第4次中東戦争以降初めて、シリア領内にロケット弾を打ち込んだ。ゴラン高原のイスラエル軍施設に迫撃砲弾が着弾したことへの対抗措置だった。
シリアの内戦に伴う戦いは、イスラエルの支配するゴラン高原に飛び火することが増えている。流れ弾がイスラエル軍の車両に被害を与えたり、迫撃砲がイスラエルの入植地近くに打ち込まれたり、シリアの戦車が国連の監視する非武装地帯に侵入したりしているのだ。イスラエルはこれまで、シリアの紛争に巻き込まれることを避けようとしてきた。
アナリストは、シリアによるこれまでの砲撃が偶発的のようだと指摘しているが、イスラエルのバラク国防相は、もはやこういった砲撃を報復せずに座視できないと述べている。
同国防相はガザ地区の戦闘について「ハマスに打撃を与え、全てのイスラエル国民の安全を確保するためにガザに戻る必要があるというのであれば、われわれはそれをちゅうちょしない」と述べた。一方、シリアからの砲撃に関しては、「シリアからイスラエルへの新たな迫撃には、より強硬な対応を取る。そうなれば、シリアはより高い代償を払うことになろう」と警告した。
ハマス関連組織の民衆抵抗委員会(PRC)の戦闘員は10日、対戦車ロケット弾を発射したが、それがイスラエルのパトロール車両に当たって少なくとも1人の兵士が重傷を負った。イスラエル軍はその数時間後にガザ市郊外への空襲で報復し、民間人数人が死亡、数十人が負傷した。
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Associated Press
イスラエル軍の砲撃によって破壊されたガザ地区北部の家を捜索するパレスチナ人ら
イスラエルの攻撃で民間人が死亡したことを受け、ハマスの報道官は「イスラエルが攻撃をエスカレートさせ、民間人を標的にしたことは危険な状況だ」と述べ、「われわれも黙ってはいられない」と話した。
イスラエル軍によると、ガザの戦闘員は11日、およそ85発の迫撃砲ないしロケット弾をイスラエル南部に発射した。この事態は2008年12月の衝突の激化を想起させる。当時イスラエル軍はこれを受けてガザへの地上戦を開始し、翌年のイスラエルの議会選挙を前に、1000人以上のパレスチナ人と一握りのイスラエル人が死亡する結果となった。
一方、イスラエルはゴラン高原からのシリア領内へのミサイル発射について、警告として行ったと述べた。イスラエルはここ数週間、国連に何度か不満を表明し、シリアが40年にわたる停戦を破っていると非難している。
国境地帯での混乱は、3選を目指す選挙で勝利するとみられているネタニヤフ首相にとってジレンマだ。
元准将で国家安全保障研究所(Institute for National Security Studies)の特別研究員であるShlomo Brom氏は、同首相が「有権者から弱いリーダーだとみなされることを恐れている」と指摘した。その上で同氏は、「ガザで大規模な軍事作戦に着手するのは大き過ぎる賭けだ。作戦が長引く恐れがあるほか、イスラエルの都市部にミサイルが落ちる危険もある。国民がこういった代償をどう受け止めるかが問題になろう」と述べた。
記者: Joshua Mitnick
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