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シリアや欧州債務問題などで解決支援を−オバマ氏再選、世界中から要望の声
2012年 11月 8日 13:32 JST
世界各国の指導者たちは7日、オバマ米大統領の再選を祝うと同時に、シリアなどの紛争解決や欧州の債務危機からの脱出支援といったさまざまな問題に一層対処するよう、同大統領に要請した。2期目を迎える同大統領が直面する複雑な外交政策上の問題を浮き彫りした形だ。
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AP
再選を喜ぶオバマ大統領とミシェル夫人(6日、シカゴ)
オバマ大統領の再選は世界の多くの国々を安堵(あんど)させた。多くの国々でなお人気を保っており、ミット・ロムニー共和党候補よりも多くの点で人気がずっと高いからだ。しかし、海外の反応は、同大統領が2008年に歴史的な勝利を収めた時に広範で見受けられた興奮と比較すると、かなり控えめになったのも事実だ。
中東、アラブ、イラン、トルコ、それにイスラエルで、人々は期待感と同時に、一部の問題では懸念の声を上げた。2期目を迎えるオバマ大統領がもはや選挙に縛られなくなるため、米国が対中東政策を形作る上で、より自由になれるためだ。同大統領への要望リストは即座にさまざまな方面から持ち上がった。シリアの反体制派への支援強化、イランの核開発に対するより強い外交姿勢、イスラエル・パレスチナの和平に向けた新たな取り組みへの着手などだ。また、中東アラブ諸国で民主化運動が展開され、多くはイスラム教の新政権が誕生したことを受けて、これら新政権との関係構築において米国がより能動的になるよう求められている。
シリアの反体制組織の一つである「国民評議会」の広報担当者は「選挙の勝利によって、シリアや世界中で人々の自由と尊厳を後押しする正しい判断をオバマ大統領がより自由に下せるようになるよう期待している」と述べた。
シリアの反体制派の多くは、アサド政権打倒のための軍事支援や軍事介入の要望に応じていないとして、オバマ政権を批判している。アサド政権と反体制派は19カ月にわたって戦い続けている。
一方、オバマ再選の結果、イランが核兵器を保有するようになるのか、それとも外交努力や制裁あるいは戦争によって核兵器保有の野心がくじかれるのか、今後4年間が決定的に重要になる公算が大きい。
イラン国内では、一般市民、野党支持者、それに保守的な宗教指導者が一様にオバマ大統領再選にホッとしているようだ。同大統領はイランの核開発問題への対応で、軍事攻撃よりも外交を選択する傾向があり、より穏健な候補者とみられていた。
あるイラン人女性は、交流サイト(SNS)のフェイスブックの自身のページに「やったぁ!安心したわ。無人機による攻撃や制裁による経済的な困難は増えるだろうけど、イランが爆撃されることはないと思う。ありがとう、アメリカ!」と書き込んだ。
イランの半国営のファルス通信社は解説記事の中で、ロムニー氏が勝利していれば、イスラム世界にとっては危険だっただろうと述べ、右派の保守的な勢力が米国の外交政策を支配する可能性が高かったことを理由に挙げた。
この記事は「世界中の大半のイスラム教徒にとって、ロムニー氏はイラクとアフガニスタンにおけるブッシュ(前大統領)の犯罪を思い起こさせる人物だ」と指摘、「オバマ氏の政策もイスラム教徒にとって公平でないものの、少なくとも不快極まりないものではない」と主張した。
これに対し、イスラエルの人々の多くは、オバマ氏のイランに対する好戦的な発言が選挙目当てだけで、2期目には一段とイランとの交渉に賭けるのではないかと懸念している。イスラエルは交渉が時間稼ぎの引き延ばし戦術に過ぎないと考えている。
また、これらイスラエルの人々は、オバマ政権1期目に中東和平工作が失敗したことを受けて、2期目には新たな取り組みに着手すると予想している。イスラエルのネタニヤフ首相は「オバマ大統領との協力を続け、イスラエル国民の安全に不可欠な権益を確実にするつもりだ」と述べた。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、オバマ大統領の再選を祝う書簡の中で、オバマ氏と協力してイスラエルとの和平を実現する用意があると述べた。しかし、多くのパレスチナ人は誰が大統領になったとしても、米国の政策がイスラエル寄りにとどまることは確実だと考えている。
一方、アジアの指導者たちは、オバマ大統領に対し、軍事的・外交的なアジアシフト(アジア重視戦略)の一段の強化を求めた。このシフトは、同大統領が過去2、3年間にわたり外交資本の大半を投入した動きだ。しかし、このシフト遂行にあたっては、台頭する地域大国である中国と米国の関係を周到に管理する必要がある。中国との協力と競合(ライバル関係)という、2つの相反する要素の間でバランスをとる必要があるのだ。
米国はとりわけ、南シナ海の領有権問題の多角的な解決を求める多くの東南アジア諸国を支持し、中国を怒らせた。
マレーシアのナジブ首相は、オバマ大統領の再選は、米国とイスラム世界との関係改善の良い機会になるだろうと述べた。
欧州問題では、ユーロ圏の債務危機が第1期オバマ政権の米欧関係の大半を支配し、米国はこの危機が世界経済にとって大きなリスクだとしばしば指摘した。オバマ再選を受けて、英国、ドイツ、フランス、スペインなど欧州各国政府は、オバマ大統領と今後も協力して、経済成長と失業克服という世界的な課題に取り組むとともに、米欧通商関係の深化で合意するよう希望していると述べた。
欧州での主要な懸念は、米国が年末に一連の増税と支出削減、いわゆる「財政の崖」に直面し、その結果、既に苦境にある欧州経済に一層打撃になりかねないことだ。
一方、ロムニー候補の敗北には、ロシアでも安堵感がある。ロムニー氏はこれまで、ロシアを米国にとって地政学上のナンバー1の敵だと述べていたからだ。プーチン大統領の報道官は、クレムリンはロムニー氏敗北を「極めて前向き」に受け止めていると述べた。同報道官はまた、プーチン大統領がオバマ大統領に祝電を送ったと述べた。その内容は米国が公表するまで秘密だという。
それでも、米ロ関係は最近数カ月、低迷している。クレムリンが反プーチンの街頭抗議行動に対して治安を強化し、米国が支援するロシアの市民団体を騒動を助長するとして非難したからだ。
記者: Cassell Bryan-Low、Charles Levinson
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http://jp.wsj.com/US/Politics/node_544487?mod=WSJFeatures
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