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中国の軍人が語った中国軍事戦略の本音
揺るぎない自信を示す中国に日本は対抗できるか
2012年11月07日(Wed) 用田 和仁
今年の6月初旬に、陸海空の元将官6人で約10日間、中国を訪問してきた。中国政経懇談会として途切れることなく続く交流で今年で35回目となる。
今回の訪問前には東京で世界ウイグル会議が開催され、また、訪問当日は天安門事件から23年目に当たるとともに、石原慎太郎・東京都知事を巡る尖閣購入問題で揺れるホットな中国であったが、それゆえに中国の極めて素直な本音を聞くことができた。
中国の本音が見えてきた!
天安門に初お目見えした毛沢東・元国家主席(1966年8月16日)〔AFPBB News〕
日頃はあまり見ることがない中国中央テレビ(CCTV)の中央版や地方版を見ているだけでも様々なことが見えてくる。例えば、6月4日は天安門事件の日だったが、それを放送していたCNNは突然ブラックアウトして見られなくなった。これが中国が言う報道の自由である。
また、尖閣問題に関しても、中央、地方を問わず、毎日専門的にかつ具体的に放送されていた。その内容の質に自衛官のOBの我々でも思わず感心させられた。
さて、本訪問の大きな特徴は、陸海空の部隊訪問と北京で行われた軍人同士の日中安全保障フォーラムである。海軍訪問については、上海の近くにある東海艦隊を希望したが、敵愾心旺盛で最後まで粘り強く調整したものの断られてしまった。主敵は日本と米国ということだろう。
しかし、安保フォーラムと八一大楼(日本の防衛省みたいなところ)での中央軍事委員会総政治部主任、李上将(大将)との会見は大変意義のあるものだった。
まず、安保フォーラムを中心として、そこから見えてきた本音を整理したいと思う。もちろん、尖閣が今の日中のホットポイントとはいえ、こんな時こそ中国の全体を眺め、目の前のことだけに左右されず、大きな視点に立って日本の生きざまを決めていかなければなるまい。
フォーラムの冒頭は中国側が我々の基調報告についての意見表明と懸念事項についての質問である。我々の基調報告の主要な論点は、「2009年に中国が核心的利益と言い始めてから、2010年には南シナ海を核心的利益と言い、尖閣についても2012年になってから核心的利益であるかのように言い始めたこと」である。
すなわち「核心的利益とは拡大し続けるものなのか? 核心的利益が領土、領海と同じような意味を持ち軍事力の使用もあるならば、それは覇権主義ではないか」ということだ。
一方、中国の懸念は、「日米韓の軍事協力の可能性」「中国とフィリピンのスカボロー礁を巡る事案に対する日本の反応」「米国の軍事戦略の転換」そして「日本の尖閣を含む南西諸島の防衛」である。
日米韓の軍事協力については、竹島を巡る韓国の行動により大きく後退してしまった。中国は大変喜んでいることだろう。フィリピンについては、日本に手を出すなということだろう。
また、米国の戦略転換に関して中国は、「米国は今までもアジア太平洋地域から離れたことはなく、アジア太平洋のシフトは偽のスローガンであり実際には中国を対象としている」とはっきり言いのけたのである。
これに関しCCTVでは、米国、日本がフィリピンと一緒になって中国を苛めており、米国は、オーストラリア、フィリピン、日本を束ねてU字型防衛線を築いていると言っていた。米国戦略と核心的利益の拡大議論に中国が「切れた」お陰で思わぬ成果が得られた格好だ。
その前に、中国の考え方や行動の根源をはっきりさせるために、中国の核心的な考え方である「統一」について少し触れたい。
「統一」「安定」「発展」とりわけ「統一」こそが中国の命
北京の国子監に展示されている「琉球入学見聞録」。沖縄は中国のものという主張をする人の根拠の1つ〔AFPBB News〕
中国を訪問するまでは、統一、安定、発展とは単なるスローガンだと思っていた。しかし、違っていた。どこへ行っても「統一」という言葉の重さが違うことに気付かされた。
中国にとって「統一」こそがすべての目標であり、絶対のものである。この特異な価値観で中国の考えや行動を見ていかなければ本質は理解できない。
確かに中国は、「統一王朝」の歴史であり、今流に翻訳すれば、王朝=中国共産党となる。王朝による統一の下に繁栄を築いていくことがすべてである。理屈でも理念でもなく、統一国家であること、そして、中華民族が豊かで支配することが目標である。
フォーラムの説明でも、「ここ100年来、列強が中国を植民地にした歴史に鑑み、二度と同じことが起きないように『中華民族の偉大なる復興』を掲げている」と言っていた。
核心的利益の説明では、「戦略的利益と核心的利益と同じ意味である。いわゆる核心的利益は、中華民族の『統一』、領土の完整および安全、国の独立、自主権であり、中国の戦略的利益である」と述べていた。
すなわち、核心的利益とは、統一のために力を以ってしても絶対に安定させたい地域のことと言えるだろう。
中国の歴史は、統一に始まり、やがて支配層が腐敗し、革命が起こり新しい王朝に変わっていく。その繰り返しである。そうならないために、軍事的な力を持って内外の安定を保つしかない。治安維持費が国防予算を上回る実態がそのことを表している。
孫文が言うように、砂のようにまとまらず、自己主張が強い国民を一つに束ねようとする中国共産党は大変である。文化強国と打ち上げたものの、マルクス・レーニン思想からは高尚な理念は出てこない。
それではと孔子や老子に立ち返って儒教や道教に立ち返っても、法輪功のように組織化されると恐ろしい。ましてや易姓革命に火をつけるかもしれない。結局、何の理念も持ち合わせていない。
力と愛国教育だけで国民を引き付けるには不十分で、結局13億の民を食わせ豊かにし、中国が強いことを実感させ続けることしかない。そのために、経済発展に頼るしかなく、7.5%の経済成長ではまだ不十分で、海外の資源や食糧を独占することも遠慮はしない。妥協などあり得ない。
内陸部へ行っても凄まじいほどの建設ラッシュですごい量のカネが落ちていることがよく分かる。一方で農民は税を免除されているそうだ。
会見した李上将がくしくも個人的意見として、「自由というものは、経済の発展に伴い徐々に得られるものである。中国の場合、まずは、国民を食べさせるという問題を解決してから他の問題を解決していく必要がある。今の中国にとって、領土の平和と安定が最も重要である。平和と安定がなければ、現在の中国の経済発展はなかったと考える」と述べたところに本質があろう。
防御的な国防戦略の意味するものは世界の富の独占による覇権の確立
さて、中国の戦略の考え方であるが、その主張は常に変わらない。中国は、「平和発展の道を歩み、対内的に社会主義の和諧社会、対外的に平和共存の和諧社会の実現を目指し、いかに発展しても永遠に覇を唱えず、軍事的拡張はしない」というものである。そして中国の軍事戦略は「防御的」であるというものである。
これだけ読むと大半の人は本当かと言いたくなるが、中国人は信じて疑わない。しかしここに中国の深謀遠慮が隠されていることを読み解かねばならない。中国にとっては結果、覇権を取ればいいことだ。
防御的軍事戦略にはマクロの目とミクロの目から見る必要がある。
マクロの目で見た場合、中国の説明する米国が覇権国家だという根拠として、「米国は武力により自らの政治的利益・イデオロギーを主権国家に強制的に押し付けようとすること」を挙げ、「中国は軍隊を他国に派遣して押し付けることはしないし、他国から領土を奪うこともしない」と言う。
また、「米国のように強い軍事力を整備して世界に覇権を唱えることはしない」と言う。
確かに中国のやり方は異なる。それは、米国やかつてのソ連のように理念を持って世界を制覇しようとしたやり方ではなく、富を独占することによって、結果、覇権を握ることにあるからだ。
理念ではなく、中国の繁栄と生存のため富を独占することにある。理念がないことで、どこへでも浸透していける利点がある。
その準備段階として1992年に領海法を定め、1995年に「中国は大陸国家であると同時に海洋国家である」と宣言したのである。
そして「真珠の首飾り戦略」と言われるように、アフリカ、ペルシャ湾から中国に至るユーラシアの繁栄の弧の独占に着々と進んだのである。これが明の鄭和が切り開き最大の版図を築いた「中華民族の偉大なる復興」の絵姿だ。
インド洋にまで軍事的な覇権を拡げるまでは少し時間がかかるだろうが、2011年12月に胡錦濤国家主席は、中国海軍幹部を前にして、海洋権益を含めて「拡大する中国の国家利益」を守ることが人民解放軍の新たな歴史的任務の1つとし、戦争に備えよと呼びかけた。
また、「強軍戦略」と題した報告書の中では、ミクロネシア連邦以西の太平洋とインド洋の海域で支配力の拡大を図ると海軍の目標が明記されたとあるが、これは将来的に中国の言う防御的戦略の中で、中東・アフリカからの資源・エネルギーを独占するとともに、米国の影響力を東太平洋に封じ込め、結果、繁栄と覇権を握ることを意味している。
中国に国境の概念はなく、力の及ぶ範囲が国土、領海であることから中国にとっては他国を侵略することにもならないし、防御的と言うのだろう。
ミクロの目で見たもう1つの防御的軍事戦略
中国海軍の潜水艦〔AFPBB News〕
核心的利益が拡大しているという議論の中で、一番よく分かったのが中国の近海防御戦略である。
近海防御戦略では、海軍は主に黄海、東シナ海、南シナ海を含む第1列島線の「外縁」(CCTVではしっかりと日本の上に赤線が引かれている)で作戦し経済力と技術水準が強化され海軍力が強大になれば、作戦海域は段階的に太平洋北部からグアムを含む第2列島線に拡大するとしたもので、すでに中国は第1と第2列島線と称する中間の沖ノ鳥島付近まで作戦海域を広げたものと考えられる。
これは海軍戦略を基本としているが、今は各種ミサイル、空軍、陸軍(民兵を含む)まで含んだ「統合作戦構想」として捉えるべきである。さて議論における注目点は次の3つである。
(1)第1列島線はともすれば列島線だけを注目しがちだが、今回、中国の「核心的な地域」であり中国経済のエンジンであるとして3つの地域を明示した。
その1つは、北京、天津、河北という地域であり、さらに上海などを含む長江デルタ、そして広州、香港を含む珠江デルタである。
「近海の沿岸地域は中国の経済の核心的地域であり防御しなければならない」と述べたが、守るべき中国の核心的地域を示した意味は大きい。これがあって初めて第1列島線の内側は戦時には絶対敵を入れない聖域だと宣言したに等しい。
これを守るように北海、東海、南海艦隊は配置してある。米国の言うA2(接近阻止)/AD(領域拒否)のADに相当するものの目玉である。同時に中国の弱点を自ら言ったことになる。
(2)黄海を含めて東シナ海、南シナ海が聖域でなければならない理由は、中国本土の要を守らなければならないだけでなく、軍事力の力の出所、「策源」として平時も有事も絶対に安定している必要があるからである。
すなわち、マクロの目で見た大戦略を実現するためには、第1列島線の内側に米軍を含む「敵」の侵入を拒絶することが絶対条件である。
東シナ海は西太平洋に覇権を拡げるために、南シナ海は核反撃の要として核弾頭発射の潜水艦を配置する軍事的意味は将来極めて大きい。
このため中国は、海の聖域化をより確実にするために、南シナ海に南沙、西沙、東沙を統合して三沙市として実質南シナ海を内海化することを狙い、尖閣を中国の領土とすることにより東シナ海の内海化を狙っている。
これらの島は小さくても、海という本来、自由航行を止めることが困難な海面を、動かない、そしてそこから軍事力を投射できる拠点を保持することにより、確実に自らのものとしようとしている。これが南シナ海、尖閣を核心的利益と言う意味である。
(3)台湾の独立という事態に対して、中国は「断固とした武力行使をする」と宣言し、そして「台湾海峡の西側は狭くて浅瀬であり大規模な作戦は難しいので、台湾の東側500キロから800キロの(沖縄南端から奄美大島南端〜大東諸島付近)範囲まで出て作戦する」と述べた。
米国が台湾を支援するとすれば、台湾の東側に展開するから、中国としては当然だということだ。今まで第1列島線を越えて作戦をすると明言したことはなかったが、米国が言うA2を証明したことになる。
整理すると、500キロから800キロという距離は米空母の活動範囲を大きく制限すること、台湾有事においても南西諸島全域が中国の作戦範囲に入ること、A2の範囲はこれから着実に第2列島線に向かうだろうことが予測される。
これが完成すれば米国の力はもはや極東・東南アジアには及ばず、中国の防御的戦略は完成する。
このように、中国の防御的軍事戦略の本質は、「中国共産党独裁による統一と中華民族の繁栄」を支えるため資源・エネルギーを囲い込むことにある。軍事的には2020年までにアジアの優位を築き、35年までにアジア太平洋地域での大きな優位を確保するという流れは止まらないだろう。
尖閣は日本の戦後の総決算の引き金
中国の尖閣に対する想い
尖閣諸島国有化に反対して中国本土で繰り返された反日デモ〔AFPBB News〕
8月下旬に中国のツイッターで1949年から1970年にかけて、中国は尖閣を日本の領土だと認めていたとの記述があり中国で問題になったようだが、その内容は事実であり胡主席は今年の3月に中国の不適切な地図があると言って、その「改竄」を命じている。
安保フォーラムの中でも、「尖閣の歴史的経緯から見れば、1965年以降(相手方の発言のまま)、石油が埋蔵されていることが分かったからだ」と、つい本音が出てしまうほど中国が言う尖閣が明代から中国領だったという根拠は薄い。
一方でCCTVでは反日教育とともに尖閣の軍事的価値から奪回の仕方まで議論するほど白熱しているようだ。
安保フォーラムの翌日に李上将と懇談した時、中国訪問前までは尖閣については核心的利益なのか重要な懸案事項なのか曖昧な表現だったものが、李上将は、「中国は他国から領土を奪われることを許さない」、尖閣は「日中両国にとっての核心的利益」だと言及した。
残念ながら核心的利益と言った以上、中国共産党が後に引くことはない。日本は甘い幻想を捨てた方がいい。
李上将の発言の意味は、「相互の」と言いながらも中国の核心的利益としての尖閣を認めさせ、領土問題が存在すると日本側に認めさせようとしたのかもしれない。
もちろん日本側の団長は「尖閣諸島について言えば、歴史的に見ても法的に見ても紛れもなく我が国の固有の領土であり、日中間において領土問題は存在しない」とはっきり申し述べたことを付け加えておく。
一方、いくら日本が中国に配慮しても、中国にとっては有難い時間稼ぎでしかない。日本も領土問題は存在しないと言うばかりではなく、根拠がはっきり理解できる歴史的経緯を国民に分かりやすく訴え、宣伝戦を挑む時だと覚悟を決めた方がいい。
併せて「民」主体のはっきりと目に見える実効支配を実行しなければならない。そうしないと、いざ尖閣事態になった時に中国の行動を侵略と訴え主導権を取るのが難しくなろう。ここで尖閣の軍事的価値について整理すると、
(1)長江デルタを守る東シナ海の聖域化のための拠点
(2)台湾有事等の際、尖閣に対艦・防空ミサイルを配置することにより先島諸島全域及び台湾北部の制海、制空権を獲得
(3)日中中間線から尖閣は日本側にあることから、日本の主張を崩し、EEZを拡大
(4)沖縄〜宮古間の海峡を有事突破するための足がかり
尖閣から南西諸島は戦略的に連動しており、簡単に南西諸島から中国海空軍を西太平洋に突破させたならば、日本の南西諸島防衛のための戦力は流れず、国民の避難もできず、米空母も来援することはできなくなってしまう。
さらには日本の政治・経済の核心である太平洋ベルト地帯を守るものはなくなり、結果、日本はギブアップせざるを得なくなるだろう。尖閣を含む南西諸島は日本にとって死活的に重要な地域である。
安保フォーラムの後で同じメンバーでの夜の会合となった。
昼のフォーラムでも南西諸島の作戦や東シナ海における有事シナリオ、すなわち尖閣有事のことだが、盛んに聞いてきた。
夜もその延長で「南西諸島の作戦はどうするのですか?」「15旅団や西方普通科連隊はどのように作戦するのですか?」「尖閣では自衛隊はどうするんですか?」と直球で聞いてくる。
答えようがないので中国軍に比べたら日本の旅団などは小さなものですよ。と言うと、「そんなことはない、自衛隊は強いでしょう」と言ってくれる。そう言えば、CCTVでは総火演などの映像が頻繁に流れている。一体どこまで研究しているのかと考えさせられた。
そんな折、8月の下旬のCCTVの放送で日本の尖閣の作戦は5段階で実施されるという解説を偶然耳にした。その最初は戦略機動、2番目は防空(空自の配置も含む)、3番目は対艦ミサイルの配置、そして支援体制の確立、最後に尖閣の攻撃と言っていた。
対艦ミサイルの配置とは、米海軍大学の論文を見たり、今回の総火演などを見て考えたのだろう。また、2〜4番目は南西諸島における基盤の話をしている。
CCTVは当然中国の検閲が行われているので、日本の反応を見ているのだろうが、中国の尖閣事態とは、単に尖閣諸島地域に限定されることなく、南西諸島も含んで考えているらしい。
尖閣は日本が誇り高き国の形を取り戻す真の試練だ!
勘違いしてもらっては困るが、中国が尖閣を取るためには、もう軍事力の即時行使だと言っているのではない。当然、戦わずして勝つことが中国の極意でもある。
まず、日米を離反させるように巧妙に仕掛けるだろう。沖縄がいい例だ。そして、日本を弱体化させ経済的に台湾のように離れさせない関係を築くだろう。
日本の弱体化は、エネルギー問題かもしれないし、平和憲法の改定阻止や防衛費を下げさせることかもしれない。とにかく戦略的互恵を旗印に経済から攻め込むのが今の中国のやり方だ。
それでも言うことを聞かなければ、民兵などを挙げて尖閣に居座らせれば、今の日本の法律では何もできない。そして、最後に親中政権ができればもう尖閣など取ったも同然だ。
熟柿を落とすように日本を落とし、東アジア共同体が出来上がる。さて日本はどこまで来ているのだろう?
次期国家主席になる習近平氏は、江沢民前国家主席の影響を受け日本に対して強硬派であり、また太子党として軍隊に大きな基盤があるため、経済や政治の混乱の兆しがあるときには愛国主義の標的である日本に対して武力行使することに躊躇はないだろう。
よく脅威を考える時に意思と能力と言われるが、能力は分かっても最終意思は分からない。しかし、先にも述べたように尖閣などが中国の核心的利益として命がけでも取らなければならない意義があるのならば、武力行使の可能性を否定することはできない。
いずれ米国に対抗するために尖閣のみならず日本に対して遠慮なく牙をむく時が来る。尖閣は、日米の力と意思を推し量るための試金石である。
力を信奉し、力で解決を図ろうとする中国に対して今日本がやらなければならないことは、日本の防衛力を充実し、国民の覚悟の下に政治の決断と行動ができるようにすることだ。
日米が軍事力を結集し、中国の軍事的な動きで物事は解決しないということを見せつけて、中国の軍事的な意思を「断念」に追い込むことである。
中国への過度の配慮で日本が何もしないと決めても、中国は核心的利益と宣言した尖閣をいずれ中国のものとする流れは止まらない。
ただし、尖閣は日本における「アラモの砦」と腹を決め、独力排除の決意が必要である。その意気に感じ米国は初めて参戦の意思を固めるだろう。
日本は、中国を甘く見てはいけないが、しかし、中国にも軍事上の弱点がある。1つは、一人っ子政策が30年続き、豊かな生活をしてきたため将兵がひ弱になっているということだ。
さらにコンバットストレスについて言及した時に、1979年以来戦争をしていないので考えていないということだった。
戦争を長く経験していないことで、武力行使には必勝の態勢を必要とし結果、慎重にならざるを得なくなるだろう。
2つ目は、仮に軍事的に敗北すれば、中国共産党の支配力は大きく揺らぐ。また、主敵、米国に立ち向かう軍事力を損耗することは将来に禍根を残すことになる。
3つ目は、たとえ尖閣で勝利したとしても日本の目を覚まし、軍事強化の口実を与えてしまうだろう。
4つ目は、米国が核戦争に至りにくい状況で参戦し、中国海軍の戦力が痛手を被れば、一挙に西太平洋や南シナ海で優位を失う。
中国の軍人も勇ましいことばかり言わないで、冷静になるべきだろう。
さて、日本も次のような改革に取り組まなければならない。
従来の解釈、法律を正せ
当然日米共同で最大の抑止の態勢を見せなければ、中国の武力攻撃を止めることはできないだろう。この際、米空母と米空軍の決定力を守り、一緒に力を発揮することが必須である。
このため、「集団的自衛権の行使」は当然のこととして認めるべきだ。繰り返すが、戦争を避けるためにも必要だ。また、領海・領空における「領域警備のための武器使用」の法律を早期に作らねば、真の抑止にも、民兵の阻止にもならない。
さらに怖いのは、中国の国防動員法である。動員法によれば、外国にいる留学生も旅行者なども中国の言うところの準戦時、戦時には軍務に服さなければならない。海上民兵も含め、果たして治安維持法で対処できるのかどうか、「対国防動員法」の検討が必要である。
日中の世論調査で、日本人の8割以上が中国に悪印象を抱き、その理由として資源などの確保で自己中に見える、尖閣を巡り対立が続いていることを挙げている。多くの日本人は真実を知りたがり、真の対応を欲しているのだ。
日本の盾と米国のエア・シーバトル構想と一体となれ
抑止・対処の要は、米空母であり米空軍である。特に米空母は決定打である。その空母は一般的に東シナ海に入ることなく南西諸島の太平洋側に展開して戦力発揮の態勢を作るだろう。
先に述べたように、中国は尖閣作戦においても南西諸島も作戦地域として考えるかもしれないし、また、米空母の牽制あるいは攻撃のために潜水艦、ソブレメンヌイ級の艦船を、バシー海峡や大隅・トカラ海峡から迂回させ対艦弾道ミサイルなどと共同して挟撃するかもしれない。
そのようなあらゆる可能性を「想定外」とせず、日本は陸海空統合による南西諸島全般の防衛を考えなければなるまい。従来の陸海空のための防衛力整備や、自己主張を断ち切って、いかに国難たる南西諸島に焦点を当て、この国のために勝つかしかない。
筆者が元西方総監だから言うわけではないが、南西諸島の意義から考えても、架空のシナリオで哲学的な話をしても何の意味もない。
エア・シーバトル構想と一体となるべきだが、一方で米国の国家意思である米陸軍が参戦する可能性は低い。朝鮮半島ではっきりしているが、米国は外国で多くの血を流すことは避けたいと思っている。
まして予算も縮小されていく。素直に考えたならば、海空の充実は当然必要だが、陸自の予算を重点的に削ることは誤りであり、むしろ拡充しなければなるまい。
海空作戦で優越を獲得するためにも陸上戦力は必要不可欠なのだ。陸自が南西諸島作戦で戦力設計をリニューアルすれば陸自の戦い方は画期的に深化するだろうし、今までの欠落機能を見事に埋めてくれるだろう。
陸自の海兵隊化という極論を切り捨て、あくまで高速化、情報化、高威力化などを追求すべきだ。その中に必然的に上陸機能は含まれる。東北の大震災の後に色々と改善事項が議論されたが、着実な具体化を期待する。特に民間輸送を含めた輸送の統合は喫緊の課題である。
最後に、日本も根本的に変わらなければならないが、衝突コースを避けるためには、中国も大国として変わらなければならないだろう。
中国が覇権を取るつもりならば、まず、ローマに学ぶことが必要だ。民衆の声を聴く護民官などは参考になるシステムだろう。
さらに、塩野七生氏は「ローマは勝って譲った。敗者の宗教を認めることは、他民族の存立を認めることだ」と述べている。勝者の寛容と中国古来の徳治政治が一体となれば尊敬されるだろう。
今の中国は他者を気遣う余裕がない。厳しいかもしれないが、尊敬される指標の1つにチベットがある。チベットは独立せず高度な自治を求めている。かって清も自治を認めたばかりか仏教にも帰依した。中国よ。恐れを捨て大人の国へ脱皮してもらいたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36480
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