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米国は日中対立に深入りしたくない
今後の日米中関係を渡部恒雄・東京財団上席研究員に聞く
2012年11月5日(月) 田村 賢司
中国の反日デモ・暴動から1カ月半。日中関係は冷え込み、中国では不買運動・買い控えで日本車の販売が急落するなど経済にも暗い影を落とすまでになった。東京財団上席研究員で、外交・安全保障の専門家、渡部恒雄氏に日中関係に大きな影響を及ぼす米国は、この問題でどう動くかを聞いた。(聞き手は日経ビジネス編集委員 田村賢司)
日中関係は、なお緊迫している。米国はアジアの安定に大きな力を持つが、自国経済が停滞する中、中国の成長力を無視も出来ない。どう動くか。
渡部恒雄(わたなべ・つねお)
東京財団ディレクター(政策研究)兼上席研究員。1963年11月生れ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師に。その後、米国留学。ニューヨークのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士課程修了。1995年に米・CSIS(戦略国際問題研究所)入所。日本の政党政治と外交政策、アジアの安全保障、日米関係を分析。2005年から三井物産戦略研究所主任研究員などをへて2009年より現職。渡部恒三・元衆院副議長の長男でもある。
渡部:米国内にはいくつか違う考え方があるが、現実派の主流は、「自国経済の回復のためにも今、中国を敵にするわけにはいかない」と思っている。何かで稼がなければ巨額の貿易赤字を減らすことは出来ないし、バラク・オバマ大統領が重視する雇用拡大のための製造業の国内回帰を進めるためにも中国市場との関係は重要になっているからだ。
ただ、南シナ海でのフィリピンとの岩礁領有権をめぐる対立や尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題など、中国の国際ルールを尊重しない力による解決志向を認めてしまうと、やっかいなことになるとも考えている。(太平洋への)進出を認めれば、次は米国にチャレンジしてもおかしくないと見るからだ。
米国は経済関係よりパワーバランスを重視して中国を封じ込める動きまで進む可能性はあるか。
渡部:封じ込めという強い手段にまで出ることはない。しかし、軍事的に「睨みをきかせる」形で圧力をかけることはしていくだろう。現に今も、西太平洋に2隻の空母を中心とする打撃群を展開して圧力をかけている。
空母打撃群には計7000人が勤務し、1日のコストは数億円規模になる。日本との信頼関係維持ということもあるが、中国の暴発をけん制する意味のほうが大きい。
中東で縮小した軍事力をアジアへ
オバマ大統領はしかし、巨額の財政赤字削減を共和党に迫られており、カネのかかる軍事的圧力にも限界があるのではないか。
渡部:米国の財政赤字の主因は、大規模な減税とイラクやアフガニスタンとやってきた戦争にある。だが、イラクからは昨年撤退し、アフガニスタンも来年撤兵となる。
これまでは、米国の歴史の中で、あまりに中東地域に軍事力を使いすぎていた。これを機に世界への軍事力の展開をもっとスリムに効率的にしようというわけだ。その裏には米国でシェールオイルという“新たな”エネルギーが採掘しやすくなり、将来的に中東へのエネルギー依存度が下がる見通しになってきたこともある。
遠回りな言い方をしたが、中東で負担が減る分の一部をアジアに回せるということになる。ただし、陸上部隊まで増強するものではないし、その必要もない。中東で使っていたコストの一部をアジアで使えるようにし、すでに決定している今後10年間での国防費削減も行うということだ。
米国は対中貿易で昨年、2955億ドル(23兆6400億円)もの赤字を計上している。赤字縮小のためにも中国への輸出拡大は必須になるのでは。とすれば、“圧力”にも限界があるのではないか。
渡部:中国に言わせれば、米国がハイテク製品を中国に輸出してくれないから貿易赤字が減らないという。米国は国防上の理由からそうしているので、表面上この問題は解決しない。
しかし、中国からの輸入で儲けているのも米国企業という現実も忘れてはいけない。米国経済にとって中国市場の重要性は変わらないので、米国政府は貿易摩擦にこれ以上踏み込んで自分の首を絞めるようなことはしない。おそらく現在の状態以上に悪化しないように“言葉の圧力”をかけ続けるぐらいだろう。
軍事バランスを見れば、この地域で日米は中国より圧倒的に強いのも事実である。だから、10年後はともかく、現時点で日中間のトラブルに深入りしたくないとも考えているのだろう。
日韓関係も冷え込んでいる。韓国が中国側につくことはないか。
渡部:韓国も日本と同様に、米国にとっては同盟国であり、日本と韓国が本気で対立すれば、米国を間に挟んだ同盟関係がおかしなことになる。米国は日韓の冷却を苦々しく思っているが、国民感情はともかく、韓国が中国側につくことはできないだろう。
ただ、自民党が次の政権を担い、(首相となる)安倍晋三氏が、従軍慰安婦問題に関して「心からのおわびと反省」を表明した1993年の河野洋平官房長官談話を見直すなど、踏み込んだ行動を取ると、人権という価値を重視する米国内の世論が、歴史問題と領土問題を絡めようとする中国や韓国の主張に賛同する流れができる危険性は十分に認識しておいたほうがいい。
対日強硬姿勢はまだ6カ月以上続く
米国の大統領選で、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事が勝つようなことがあれば、状況は変わるか。ロムニー氏は中国を「為替操作国に認定する」と主張するなど対中強行派だが。
渡部:彼は中道派の実業家であり、本音はより現実的だろう。例えば、ロムニー氏の政権移行チームのトップにロバート・ゼーリック前世銀総裁が起用されている。ゼーリック氏は、ジョージ・ブッシュ大統領の下で国務副長官も務め、政権が当初、中国を「戦略的競争相手」と規定していたのを、「(世界への)責任あるステークホルダー」に誘導すべきと演説した親中派だ。
そのゼーリック氏をチームの重要なメンバーにしたというのは、中国への「(ロムニー氏が大統領になっても)敵対しない」というメッセージではないのか。
とすれば、やはり政権が変わっても米国の姿勢が大きく変わることはないだろう。
中国の対日強硬姿勢はいつまで続くと見るか。
渡部:習近平氏が11月の共産党大会で党総書記に就任し、次期政権を担う立場について、その政権が安定するまで6カ月か、それ以上はかかるだろう。最低でもその間は今の状況が変わるとは思えない。
関係改善には、相当長い期間がかかるのは必至と見ていい。
田村 賢司(たむら・けんじ)
日経ビジネス編集委員。
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121101/238860/?ST=print
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
中国指導部交代で昇格する「消防隊長」
2012年11月05日(Mon) Financial Times
(2012年11月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
経済問題の処理で名を馳せた王岐山副首相〔AFPBB News〕
中国で近代最大の経営破綻が生じた時、40億ドルの損失を被る立場にあった外国の債権者たちは、中国政府による救済を要請するために共産党幹部の王岐山氏のもとを訪れた。ところが、債権者は救済ではなく、自由放任主義の経済学の教えを受けることになった。
「市場経済の基本原理は、勝者が勝ち、敗者が敗れるということだ」。王氏はこう語ったという。
1999年に広東国際信託投資公司が破綻した後の強硬姿勢により、王氏は中国高官としては極めて珍しい評判を得た。メディアとの接し方に長け、金融をよく理解し、厄介な問題に取り組む意思を持った率直な人物という評判だ。
現在64歳の王氏はこうした資質のおかげで、共産党が今月、新指導部のラインアップを明らかにする時に、最高決定機関である政治局常務委員会に引き上げられることが確実になった。
消防隊長の異名を取る王岐山副首相
半年前まで、歴史学を学んだ王氏は李克強氏の代わりに、温家宝氏の後継首相に選ばれる可能性もあるという噂が飛び交っていた。今では李氏が首相になることが確実視されているが、それでも王氏は10年に1度の指導部交代で権力が大きく高まると見られている。
大きな未知数は、こうした権限が王氏が近年専念してきた経済分野で発揮されるのか、それとも同氏はもっと大きな政治的権限を与えられるのか、だ。
かねて市場を支持する改革派と見なされてきた王氏は、ここ数カ月、法の支配の重要性に関する発言を繰り返し、政治改革も推し進める可能性をほのめかしてきた。
だが今のところは、王氏は思想的な傾向についてはあまり知られておらず、実際的な面の方がよく知られている。特に有名なのが、他人が残した問題を片づける才覚だ。それゆえ、「消防隊の隊長」というあだ名がついたわけだ。
広東省の債務整理で頭角
この点に関して王氏が最初に成功を収めたのは広東省だった。1990年代後半に、自由奔放な中国南部の同省が多額の債務を積み上げた時のことだ。副省長に任命された王氏は、外国の債権者と交渉し、巨額の損失を受け入れることを強いながらも債権者を味方につけ、政府資産の整理を指揮し、省が力強い成長へ回帰する基盤を整えた。
2003年には、重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行でもっと危険な危機に直面した。当時、SARSが北京で広がり始め、市の当局が事実を隠蔽しているとの懸念があった。政府は市長を解任し、後任に王氏を据えた。
王氏が最初に下した指令は、死者と病人の数の正確な報告を確実にすることだった。「1は1で、2は2だ。戦下では冗談を言っている場合ではない」。王氏は彼らしい率直さをもってこう言い、市の役人たちに忠告した。
王氏は2008年に4人いる中国副首相の座に引き上げられ、その職責の一環として経済問題を扱った。これで同氏は、世界金融危機に対する中国政府の果敢な対策の立案者の1人になった。この景気刺激策のおかげで、世界が躓くのをよそに中国の成長が続いた。
批判的な向きは、中国は刺激策をやり過ぎ、債務の山を生んでしまったのではないかと心配しているが、差し当たっては、中国経済は国際的な標準からすると非常に健全な状態を保っている。
王氏は、1989年に学生の抗議デモに軍を投入することを支持した共産党幹部、姚依林氏の娘と結婚しており、この姻戚関係を通じて太子党(共産党の上流階級の一員)と見なされている。
中国高官は概して、味気ない台本通りの発言をしっかり守るが、王氏は台本から反れるだけの自信がある。ジョークを飛ばすことを好む態度は、外国の高官らが王氏のことを、中国政府の大方の人より親しみやすいと考える大きな理由だ。
中国内では傲慢との批判も
だが、こうした社交的なスタイルは、中国政府内では障害になるかもしれない。王氏は党の幹部クラスを対象とした内部調査で高い支持率を得たものの、傲慢で横柄だという批判もある。一部の観測筋は、王氏は脇に追いやられ、権限のない諮問機関を率いる可能性があると見ている。
ワシントンのブルッキングス研究所で中国政治を専門とする李成氏は「彼の才能は金融だけではない。法の支配も非常に重要だということを知っており、本当に全国人民代表大会(国会に相当)の力を変え、もっと重要な機関にすることができる」と話している。
By Simon Rabinovitch
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36471
JBpress>海外>中国 [中国]
日本企業は本当に「脱中国化」すべきなのか?
つくられた反日ムードは長くは続かない
2012年11月05日(Mon) 柯 隆
さる9月に中国で、日本政府による尖閣諸島国有化に反発し抗議する大規模デモが起きてから、日本に来る中国人観光客は激減した。同様に、中国に行く日本人観光客も大きく減ったと言われている。
だが、筆者はそのさなかの10月に上海へ2回出張したが、意外にも上海への2往復の飛行機はいずれもビジネス客でほぼ満席だった。
抗日ドラマで植え付けられる反日感情
近年、中国では、日本の政治家による靖国神社参拝や領土領海を巡る紛争で反日デモが多発している。今回のデモでは、暴徒化したデモ参加者によって、中国に進出している日系スーパーや工場、レストランなどが多数破壊された。
日本では、中国での反日デモの原因について、中国政府が進める「反日教育」によるところが大きいという指摘がよく聞かれる。
しかし、40年前ならいざ知らず、今の学校教育の中でいくら反日教育を行っても、若者を洗脳することは難しい。なぜならば、40年前の中国では、若者は学校教育以外に情報を入手することができなかった。だが、今の中国では、学校でどんな教育が行われようと、インターネットでいくらでも異なる情報を手に入れることができる。開放された現在の中国では、学校教育で若者を洗脳することができなくなったのである。
その代わり、現在大きな影響力を持っているのがテレビである。筆者は中国に出張するたびに、テレビで抗日戦争に関連する連続ドラマが多数放映されていることに驚く。
40年前の中国では、国が製作した抗日戦争の映画が何本かあったが、映画の質が悪く風刺映画に近い低レベルのものだった。だが、現在、中国で製作されている抗日戦争の映画は質量ともにレベルの高いものが多い。戦後の歴史をほとんど知らない若年層の中国人は、こうした抗日戦争の映画を毎日見続ける結果、日本について反感を抱くようになる。
「国」の印象はマスメディアにつくられたもの
筆者は最近、多数の日本人と中国人の若者に日中関係についてインタビューを行った。日本人の若者に中国についての印象を聞き、中国人の若者に日本の印象を聞くと、かなり高い確率で「悪い」という答えが返ってくる。だが、日本の若者に、中国人の知り合いについての印象を尋ねると「特に悪い印象はない」と言われる。中国の若者も同様の返事である。
すなわち、個々の日本人、あるいは個々の中国人については、互いに悪い印象は持っていない。それなのに、相手の「国」については良い印象をあまり持っていない。なぜだろうか。
おそらく、友人に関する印象は直接付き合って得られたものであるのに対し、相手の国の印象は主としてマスメディアを通じて得られたものだからだろう。
よって、日中の対立を回避するために最も重要なのは、相互理解の交流を強化することであろう。
現在の日中の若者たちを見ると、交流が十分とは言えない。かつて大活躍した日中友好協会などの7団体のほとんどは、今となっていずれもメンバーが高齢化している。日中の若年層の交流を進めることが何よりも重要である。
「脱中国化」の動きは本当なのか
さて、グローバル化の時代において、日中の経済の相互依存関係が予想以上に強化されている。アメリカのある若手研究者が、実生活の中で中国製品をまったく使わずに何日生活できるかという実験を行ってみたが、1日と持たなかった。今の日本人の生活も同様と思われる。スーパーなどに行けば、中国製品は7〜8割に上るのではないだろうか。
今回の反日デモについて、一部のマスコミは、日本企業または日本社会で「脱中国化」の動きが見られると報道している。
しかし、実態はそうではない。先日の上海出張で、上海近辺の日系企業10社にインタビューしたところ、「中国ビジネスをダウンサイズする」と答える企業は1社もなかった。10社とも「これから中国ビジネスをもっと強化し、拡大する」と答えた。
テレビニュースで、中国の若者による日系スーパーなどの破壊活動を見れば、いい気持ちはしない。しかし、こうした嫌悪感を乗り越えられなければ、北東アジアの平和と繁栄は実現しない。今回、反日デモに参加した若者は出稼ぎ労働者や就職できない大学生がほとんどだった。一般市民が反日デモに参加したわけではなかったことに留意したい。
中国で日本製品のボイコットを呼びかけられているが、実際は、日本製品を嫌っている中国人はほとんどいない。一時的に反日ムードが作られているから日本製品が買いづらくなっただけである。
現実的には、今後も日本企業のほとんどは中国を離れず、中国人も日本製品をボイコットし続けることはないだろう。
ただし、日中が30年前の“蜜月の時代”に回帰することも考えにくい。今後の日中関係は冷静かつ理性的に構築しなければならない。それを実現するためには、両国の国民が、歴史と現実、政治と経済を分離して考えなければならない。かつての不幸な歴史と目の前の現実を混合してしまうと、さらなる不幸に陥る。政治と経済を分離できなければ、これからの関係を現実的に築くことができない。
反日デモで襲われなかった日系企業
日本企業の経営者に経営の本質を尋ねれば、多くの経営者は「利益を最大化すること」と答えるだろう。しかし、利益を出すことは結果であって本質ではない。経営の本質は、利益を出すまでの過程にある。
今回の反日デモで暴徒が日系企業を襲ったが、すべての日系企業を襲ったわけではない。被害を受けなかった無傷の日系企業も存在する。
10年前、ある日本の中小企業が蘇州に進出したとき筆者が開業式に招かれ、挨拶を頼まれた。筆者は次のように述べた。
「中国は大きなマーケットだが、決して簡単に勝てるマーケットではない。中国で勝ち抜くためには、中国の諺で言えば、臥薪嘗胆のつもりで苦労しないといけない。そして、現地の従業員など中国人との関係は、蘇州に関係する諺で言えば、呉越同舟の関係でなければならない」
それから10年経って、開業当初30人だったこの会社は今や数百人規模に拡大した。先日、その10周年パーティーに招待され、再び工場を見学した。工場の規模は10年前の6倍に拡大していた。
日本人の総経理に「この間の反日デモで何か被害がありましたか」と尋ねた。総経理は、「おかげさまで無傷でした。普段から地元政府と良好な関係を築き、従業員とのコミュニケーションもうまくいっているので、大きな問題はありませんでした」とのことだった。
なるほど、工場見学のとき、工場の中で出会ったすべての従業員は筆者にニイハオと挨拶してくれた。これまでの経験から言うと、従業員が訪問者に挨拶する会社は概ねいい会社である。逆に従業員が挨拶できない会社は問題がある。社内のコミュニケーションが取れていないということだ。
中国でビジネスを展開する日本企業にとって、今回の反日デモは深刻な試練であるが、経営がきちんと行われているかどうかを点検するいいチャンスでもある。
筆者は、会社経営はコンパクトであるべきだと考えている。「コンパクトな経営」とは、経営者と従業員との距離、そして、会社と消費者との距離が近いということだ。かつての松下幸之助や本田宗一郎の経営はいずれもコンパクトな経営だった。それに対して、今の日本企業の多くはコンパクトな経営を展開していない。
なぜ従業員が挨拶しないのか、その原因を考えると、おそらく多くの場合、経営者が従業員に挨拶しないからだろう。経営者は常に従業員に自らの経営方針をメッセージとして送らなければならない。しかし、日本企業の経営者の多くは従業員や消費者にほとんどメッセージを送らない。こういう会社が市場競争の中で勝ち抜くことができるとは考えにくい。
グローバル企業は社内コミュニケーションの再点検を
先日、名古屋で開催された日中国交回復40周年の記念イベントで、パネルディスカッションに参加した。その際、「反日デモが起きたら、会社をどのように守ればいいのでしょうか」という質問が出た。
そのときの筆者の答えは、「会社は従業員が守るものである。従業員に会社を守ってもらうためには、日頃から彼らを大切にする必要がある」というものだ。
残念ながら、中国に進出している日本企業の一部は、現地の従業員を機械の部品のように扱っている。人件費が安いから中国人を雇って働かせているという会社を、デモなどが起きたときに従業員が守ってくれるとは思えない。
例えば、会話がほとんどない家で子供が素直に伸び伸びと育つだろうか。そもそも夫婦の間で会話がなければ、平和な家庭とは言えないだろう。会社も同様である。いい会社をつくるためには、経営陣の間できちんと会話をしなければならないし、従業員とのコミュニケーションも大切にしなければならない。
特にグローバル化を進める企業は、今回の反日デモを契機に、いま一度、社内のコミュニケーションが取れているかどうかを点検してみる必要がある。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36442
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