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ロシアの軍事専門誌が今月18日付けの記事で、就役したばかりの中国空母「遼寧」が戦術に使用されることは永遠にないだろうと報じたという。以下はロシア側の報道を訳したもの。
中国の各メディアは、いよいよ中国も空母時代に突入したと誇らしげに書きたてていたが、ロシア側から否定された格好だ。
中国は昨年8月10日、旧ソ連製の11435型「瓦良格(ワリャーグ)」をもとに改装した空母の初めての試験航行を実施した。まだ「16」という編成番号や「遼寧」という艦名も付いていなかった当時、初の試験航行は3日間にわたって実施された。以来、試験航行は都合10回、日数にして103日間に及ぶ。しかしそのうちの数回は航行時間があまりに短く、何らかの問題が生じたものとみられている。
現在、中国メディアは、正式に就役したばかりの「遼寧」の動向をつぶさに報道している。ロシア海軍の基準色、ブルーグレーとは区別する意味でも、白で塗装された「遼寧」は壮観かつ華麗なイメージを与えるが、海の青さの上では際立って目立つ存在でもある。
また、乗組員の構成をあらわす詳細な報道は、中国がいかに「遼寧」を誇らしげなものとして喧伝(けんでん)しているかということを示すのと同時に、女性乗組員の存在や、まるでレストランにも似て装飾された艦内食堂の様子などは呆れるばかりだ。
ワリャーグは、ウクライナ、ニコライエフ造船所で、1991年12月のソビエト連邦解体後もほそぼそと建造が続けられていたが、翌1992年3月に建造中止を余儀なくされ、この時点での完成度は78%の状況だったといわれている。
ワリャーグは同造船所に1998年まで停泊していたが、マカオに本拠を置く創律集団旅遊娯楽公司に2000万ドルの価格で買い取られた。創律集団旅遊娯楽公司ではワリャーグを当初、カジノを備えた海上娯楽施設として改装する予定であった。
実をいえば中国が外国製の退役空母を購入するのはこれが初めてではない。中国はこれまでに旧ソ連製の空母を2隻、豪州製の空母「メルボルン」を購入。これらの構造を綿密に調べ上げた後に博物館や娯楽施設として改装、展示を行っている。しかしワリャーグに関しては中国は別の認識をもったようだ。
直ちに中国の意図を悟ったアメリカは、ウクライナに圧力をかけた。ワリャーグが中国の手に渡る前にできるだけ解体するようにとウクライナに命じたのだ。またロシアも機密に属する装備を取り外すよう求めた。中国はその後、ワリャーグを大連まで引っ張ってくるのに2年を費やした。
途中、中国側の働きかけになかなか応じなかったトルコが、ボスポラス海峡とダーダネルス海峡の通過に難色を示したからである。これはアメリカが裏で糸を引いていたとされている。
大連に到着したワリャーグに対し、すぐさま綿密な調査を行った中国は、2004年から改装を始めた。当時のワリャーグの状況がひどい状況であったことは疑いない。武装はもちろん甲板上の索や電線などの艤装、電子機器などはすべて取り外され、主動力装置の最も重要な部品でさえ取り外され、残った装備も表記事項を消されていたという。
ワリャーグは使いものになるかさえわからない古い設備だけが残され、まさに抜け殻の状態であった。
これに対して中国の技師は、まずワリャーグの動力装置を改装。ロシアのものをまねた国産の電子機器を取り付け、対艦ミサイルの発射口も設けた。ジェット燃料の給油車を設置し、格納庫も広げた。30mm高射砲や近距離ミサイル防衛システムを含む武装のほとんどは国産だった。
ただし、改装されたワリャーグの近距離ミサイル防衛システムは、ロシア海軍の現役空母「クズネツォフ」の同システム、あるいはワリャーグに当初、搭載されていた同システムと比べても見劣りする。しかしこれはたいして重要なことではない。空母「遼寧」が戦術に使用される可能性は非常に低いからだ。
中国は初めから、「遼寧」を訓練艦あるいは練習艦と称している。
ウクライナは当初、まだ竣工していないワリャーグを2億から2億5000万ドルで売却できればいいと考えていた。しかし当時のロシアは新たに空母を購入する資金はなく、既存の艦隊を保持することさえ困難で、損耗のひどい艦艇を鉄くず同然の価格で売却していた。
空母などという大それた装備に一銭たりとも払う余裕はなく、ウクライナもワリャーグを借金弁済にあてるつもりもなかった。もし当時のロシアがワリャーグをウクライナから購入していれば、ロシア海軍が保有する空母は1隻ではなく2隻になっていたはずだ。
空母「遼寧」が直面しているいま一番の課題は艦載機の問題だ。
各種の艦載ヘリが「遼寧」の甲板に離着陸する画像は、中国メディアで多く配信されているが、艦載戦闘機については謎が深まる。先ごろ、軍用機が「遼寧」の甲板上にある画像が公開されたが、専門家はそれを特殊模型と見破った。
いまだ「遼寧」に艦載機が離着陸できるのかどうかはわかっていない。しかし最終的には、今年あるいは来年にでも中国が艦載機の離着陸を習得する可能性もある。いっぽうで艦載ヘリの離着陸に関しては多くの情報が伝わっている。
中国はかつてロシアから、Su-27の艦上戦闘機版のSu-33を数機購入しようとして失敗した。ロシアはこの時、中国に対して大量購入するならと提案した。その理由は経済的なものだ。止まっていたSu-33の生産ラインを数機生産するために再び稼働させるのは割が合わないと判断したのだ。また中国がロシアの技術を盗み、後に模倣することを警戒した。
このことにより、中国は艦載機を独自に開発することを決定した。
まずは、「殲−10」戦闘機の艦載機版の開発が進められたが、性能面でまもなく頓挫。この後、中国は安易な道を選ぶことになる。ウクライナからSu-33の試作機を購入。この機体を調べ、中国独自の技術を加えて「殲−15」を開発した。
中国は「殲−15」は国産の「WS-10」エンジンを使用したと発表しているが、専門家の多くはこれに疑問を呈し、依然としてロシア製エンジンの「AL-31F」を使用しているものとみている。また消息筋によると「殲−15」はSu-33よりも重い。フル装備で「遼寧」から離陸するのは難しいだろう。
ワリャーグを見事「遼寧」によみがえらせた中国だが、そのすべてが中国独自の手腕によるものだというのはおごりだろう。改装の基礎的な部分は確かに中国が行った。しかし外部からの支援がなければ完成はなかった。
中国はウクライナのニコライエフ市の造船に関する専門家の協力を仰ぎ、ロシアの11435型空母の設計者と接触した。また数年前に11435型空母の基本設計図を得た中国は、これに独自の研究結果を加えて国産新型空母を開発する可能性がある。
中国は今後、戦術に使用できる2隻の国産空母を建造する予定でいる。中露軍事技術協定は、中国の最新鋭の駆逐艦や護衛艦、潜水艦を輩出させたが、空母に関しても同様となる可能性が高い。
しかも中国の軍事力に対してのウエイトは年々高まっている。うわさでは大型の原子力空母の開発を予定しており、艦載機の離陸はカタパルトを使用するという情報が伝わっている。
http://www.xici.net/d177543700.htm
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