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JBpress>日本再生>世界の中の日本 [世界の中の日本]
古典の兵法書通りに攻めてくる中国
マキァヴェッリ先生ならこう考える(34)
2012年10月26日(Fri) 有坪 民雄
尖閣諸島問題は、中国漁船の体当たり事件から石原慎太郎都知事が購入の意思を示し、日本政府が国有化したことで中国政府が激怒したという推移をたどっています。
これまでの経過を見て、日本政府の不手際を批判する人がいます。例えば、日本政府は石原都知事率いる東京都が購入するより、政府が購入した方が中国の反発を和らげられると考えたのが間違っていたと彼らは主張します。本当にそうでしょうか?
中国が防衛線として東シナ海や南シナ海の制海権を取りたがっているのはよく知られています。まずは第1列島線と呼ばれる沖縄や台湾周辺の制海権を握り、最後には第2列島線と言われるフィリピンの太平洋側数百キロ東まで制海権を保持したいわけです。
第1列島線の確保目標は2010年でした。日本側からすると唖然とせざるを得ませんが、中国側から見るとすでに計画に遅れが生じています。
中国がこうした計画を達成するには、第1列島線だけでも、尖閣諸島だけでなく沖縄も(そして台湾も)領有しなければなりません。日本や台湾、そしてアメリカの軍事力が強力であるため簡単に手出しはできませんが、やる意思があるのは間違いないでしょう。実際は、東京都が買おうが日本政府が買おうが、あるいは以前同様領土問題を棚上げしようが結果は同じではないでしょうか?
手強いファビウス一族を助けたハンニバルの真意
<指揮官は、何をおいても、巧妙に敵の軍勢を分断することが必要であって、敵勢が信頼をよせる参謀たちに嫌疑がかかるように仕向けるとか、敵がその軍隊を分割し、しかもそのためには弱体化が必定な要因を相手に与えるかだ。>
(「戦争の技術」〜『マキァヴェッリ全集1巻』筑摩書房、マキァヴェッリ著、服部文彦・澤井繁男訳より)
ハンニバルが率いるカルタゴ軍は、カンナエの戦いでローマ軍の主力部隊を壊滅させた後、ローマ近郊まで進軍します。ところが、主力部隊が壊滅してもローマは降伏する気配がありません。住民は武装し、奴隷にも武器を持たせて最後まで戦う気満々です。
確実な勝利を目指すハンニバルは念には念を入れ、謀略を仕掛けました。ローマ近郊を焼き払うとき、ファビウス・マクシムズの一族だけは助かるように工作したのです。
ファビウスは、それまでハンニバルをさんざ苦しめてきた将軍です。ハンニバルが勝てる布陣を敷けば逃げて、行き先を焦土にして食糧確保を困難にしてきました。逆にファビウスが勝てる布陣を敷いてハンニバルが逃げなければならないこともよくありました。
ファビウスを殺すか、力を削がなければ、確実な勝利は得られない。ローマ軍の中心にいるファビウスを殺すのは大変だが、力を削ぐことはできると考えたハンニバルは、ファビウスが自分と通じているスパイだとローマ人に思わせようと考えました。
街を焼き払い、ファビウス一族だけ助かれば、なぜ助かったのかとローマでは話題になるでしょう。
しかも、ファビウスは戦略上全力でハンニバル軍とぶつかったことはありません。名将は名将を知る。ファビウスが全力でぶつかってこなかった理由は、ハンニバルはよく分かっています。ファビウスが勝てると踏んで全力で攻めたいとき、そのチャンスを潰すべく逃げ回ったのはハンニバルその人です。
しかし、ローマ人でも、そうしたファビウスの手腕が理解できない単純なお馬鹿さんもいるだろう。そうした人たちにファビウスが実はハンニバルの味方だと思い込みやすい証拠を作ってやろう。
「ファビウスは実はハンニバルと通じているスパイなのだ。それが証拠に決戦をしたことはないし、多くの人が殺されてもファビウスの一族だけは助かっているではないか」
そんな世論が高まれば、
(1)ファビウスがスパイと思われてローマ人に殺される。
(2)ファビウスはそれまで避けてきた不利な状況下での決戦を余儀なくされる
(3)ファビウスを信用するか、信用しないかで国論が分かれ、ローマが分断される。
といった状況に持ち込めます。
そうなれば戦わなくても勝てる。あるいはローマ人をファビウス派と反ファビウス派に分裂させ、戦力を削ぐことで自軍の損害を最小限に減らせる、というわけです。
敵の内部分裂を誘う太公望の教え
実際には、ローマ人はハンニバルの策略にはだまされませんでした。ですが、こうした敵の分断工作は、敵の戦力を低下させる方法として、実は中国でもよく知られています。
中国が周王朝の時代、日本では釣り好きの代名詞にされている政治家、太公望と、太公望が仕えた周の文王の会話として編纂された「六韜(りくとう)」と呼ばれる兵法書があります。六韜の文伐編に、敵の分裂を仕掛ける方法として、マキァヴェッリそっくりのことを太公望が文王に教えているくだりがあります。
相手国に貢ぎ物をするときに、王の貢ぎ物を減らし、家臣の貢ぎ物を増やせ。そして深刻な2国間トラブルが起こった時がチャンスだ。相手はエース級の家臣を投入して交渉にあたらせるだろう。
その時、エースは宿舎に留め置いて、謁見させないようにせよ。エースがダメなら相手は2番手を送り込んでくる。この2番手を厚遇してすぐ謁見させ、丁重に扱えば相手は1番手を低く評価し2番手を厚遇するようになる。そうすれば相手国の内部分裂を誘うことができる、とするのです。
中国はなぜトヨタ・張会長を足止めさせたのか
中国はこれまで、日本に圧力をかけるため反日デモを取り締まらなかったり、最近では航空機の離陸許可を出さないなど圧力、あるいは嫌がらせを行ってきたと言われています。少なくとも、そう取られても仕方がないタイミングで中国では問題が起きています。
特に筆者が注目するのは、日中国交正常化40周年記念式典が中止となったあとの経過です。小規模にして行われた日本代表団と賈慶林全国政治協商会議主席との会談で、トヨタ自動車の張富士夫会長(日中経済協会会長)の乗った飛行機が中国の離陸許可を得られず、張会長が出席できなかったことです。
言うまでもなく、トヨタ自動車は日本を代表する企業です。その会長を中国に入れず、他の友好7団体の代表と会談を行う・・・政界と経済界を分断する、まさに太公望の言う通りの定石を中国政府は踏んでいるように見えます。
中国は張会長を強力な交渉人と考えて警戒し、経団連の米倉弘昌会長なら相手にしやすいと踏んだのかもしれません。あるいは、張会長に圧力をかけたらしっぽを振ってすり寄ってくると考えたのかもしれません。いずれにしても日本としては警戒が必要です。
同時に日本も、こうした方法についてもっと学ぶ必要があるでしょう。謀略には戦闘機も空母も必要ありません。本があれば勉強でき、学ぶことができます。「六韜」をはじめとした武経七書と呼ばれる古典の兵法書の翻訳は、すべて日本にもあります。
あとはやる気だけではないでしょうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36352
JBpress>日本再生>ずばり勝負 [ずばり勝負]
「米に並ぶ覇者たらん」尖閣奪取は人民解放軍主導
バブル崩壊始まった中国経済、体制が変わらない限り悪化の一途
〜宮崎正弘氏
2012年10月26日(Fri) JBpress
マット安川 今回ゲストに宮崎正弘さんを迎え、中国は領土問題から経済、現状など、現地取材したから分かるさまざまをお聞きしました。28年前から今の中国の軍事力拡張を予見していた宮崎さんの分析は見逃せません。
習近平国家副主席は官制反日デモの指揮を執っていた
宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏
評論家、作家。国際政治・経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウォッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。近著に『オレ様国家 中国の常識』『2012年、中国の真実』『中国が世界経済を破綻させる』など。メールマガジン「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」を発行。(撮影:前田せいめい、以下同)
日本は9月11日、尖閣諸島を国有化すると宣言しました。私はたまたまその日に遼寧省の瀋陽にいて、新聞が反日一色になっているのに気づき、アレっと思いました。
瀋陽には柳条湖事件の記念館(九・一八歴史博物館)があり、パトカーが警戒していました。日本領事館も道路を封鎖して厳しい警備を行っていた。それで、これはやるなと思ったんです。9月18日に向けてやるなと。
9月18日というのは柳条湖事件の日で、中国人にとっては屈辱の日です。実際に反日デモが本格化したのは14日頃からで、18日にピタッと止まりました。
一方、9月1日から2週間ほど公の場から姿を消していた習近平(中国国家副主席)さんが15日に突然、北京の中国農業大学に視察で現れた。
これは自分は農民の味方である、という宣伝のためですが、実は習近平は姿を消している間、反日デモの準備をしていたんです。どこで何をやるかという命令をしていた。
その命令が下部組織に伝わると、お前の所からは10人出せ、20人出せということになる。そして、バスは何時何分にどこに来るから乗れと。バスを降りるとTシャツやペットボトルの水が配られ、弁当も用意されている。
日本領事館の前まで行くと生卵が準備されていて、「1人2個まで」と書いてある。デモを終えて帰ってくると解散場所で日当が配られる。農民はだいたい50元もらったらしいです。日本円で約700円ですが、中国では7000円くらいの価値がある。
そのデモを見物に来ていた連中が、面白そうだと参加してデモが膨らんだ。それが実態です。日本のメディアは、中国人は根っからの反日みたいに報道していますが、そんなことはまったくありません。
中国は100年かけても尖閣諸島を奪いにくる
尖閣諸島について、中国軍は50年かかろうが100年かかろうが必ず奪いにきます。それは彼らの望みだからです。
理由は2つあります。1つは資源の確保。2つ目は軍事戦略上のものです。東シナ海から南シナ海にかけて、大陸間弾道弾(ICBM)を装備した潜水艦を潜らせたいんです。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と言いますが、中国はこれが決定的に遅れているんです。アメリカとはまったく比べものにならない。
中国にとっては、東シナ海から南シナ海までの広い海を聖域、サンクチュアリにすると、アメリカと覇を競えるほどの軍事大国になれます。
中国人民はそんなことを望んでいないし、中国政府も望んでいるかどうか疑わしいけれども、人民解放軍のプロパーの目標ではそういうことでしょうね。30年かけてここまでの軍事大国にのし上がってきたんだから、あと30年かければできないことはないと。
彼らにすれば尖閣は別に焦る必要はない。これからも執拗にしつこくネチネチときますよ。正義とか不正義というのは彼らには関係のないことです。
中国共産党の権力闘争は単なる利権の奪い合い
現在、中国共産党内で激しい権力闘争が行われています。それをイデオロギー対立だとか、党の路線の解釈の違いだとか難しいことを言う人が多いんですが、簡単に言うと利権の奪い合いです。すごい利権ですからね。
例えば、数億人が利用する携帯電話やインターネットの通信費は、チャイナモバイルなど2〜3社に入る。これらの会社の利権を持っているのはすべて上海派です。証券会社の為替取引や国際金融などの利権も上海派に行き着く。
一方、胡錦濤(中国国家主席)さんは共産主義青年団出身、いわゆる団派です。この人は共産主義イデオロギーの中で教育されて、人類平等という理想を抱いている。
だから利権ばかり狙って、平等どころか貧乏人は飢えて死ねというような態度の人たち、つまり上海派とは合わないんです。水と油です。
ただそうはいっても、団派もカネが要りますからね。それでほかの利権を狙うことになる。1つはレアアース。これは内蒙古自治区にしかないので、ここを押さえました。
次に繁栄している地域を押さえていく。上海、広東、福建、遼寧、山東などのボスをどんどん押さえていく。広東省には胡錦濤の右腕のような人が派遣されている。また、北京の書記はこれまで団派が取ったことがないんですが、とうとう押さえた。
実際にどうやってポストを押さえるかというと、簡単に言えばカネです。あるポストを取りたいと思えば、その人におカネを持っていく。
例えば、全人代(全国人民代表大会)の委員のポストの相場は日本円で1000万円くらいです。しかし、1000万円以上の価値がある。何せハンコをもらうためにみんな賄賂を持ってくるわけですから。つまり非常に簡単な仕組みなんです。
中国はピラミッド構造です。トップは共産党の書記。次に政治局常務委員が9人、今度7人に減りますが。その下に政治局が25人。その下の中央委員が約200人。さらに中央委員候補というのがいる。
この中央委員のうち実に約92%の家族や遠戚が海外で暮らしていて、海外のパスポートを取っていることが分かっています。これだけ見てもメチャクチャです。
中国のバブル崩壊はすでに始まっている
中国のバブル崩壊は近いのではなく、すでに始まっています。今はそれをゴマかしているだけです。
売れ残りマンションが約8000万戸あると推定されており、金額にして約5兆元、日本円で約64兆円。銀行の不良債権は少なく見積もって150兆円くらいある。要するに200兆円規模でバブルが間もなく弾けるわけです。
中国のGDP(国内総生産)が約550兆円だから、どれだけの爆発力を持っているか。共産党の幹部はみんな知っているから真っ青になっている。
そうした中で、人民は貧困にあえいでいて不満を持っている。そのガス抜きは今までは反日でしたが、効き目がなくなってきた。それで反政府暴動を起こしそうな人間をどんどん捕まえています。
中国には国家安全部というのがあり、公安や警察と合わせた予算が、実は国防費よりも多いんです。誰も指摘しないんですが、これは大事な点です。中国の軍事力が脅威だと言うけれども、それを上回る予算を警察が使っている。
それは外に対してではなく内側、国民の弾圧のために使っているわけです。インターネットの監視などを徹底してやっていて、権力側は自信を持っている。この壁を突き破って反政府運動に至るかどうかは大いに疑問です。そこまでの力はまだ民衆にはない。
だから中国の体制はまだまだ崩れないでしょうし、よって経済は悪くなるいっぽうだと思います。
「マット安川のずばり勝負」10月19日放送
マット安川(本名:安川昌之)
(株)オフィスヤスカワ代表取締役。1973年1月10日生、神奈川県出身。O型。大学在学中から30種以上の仕事に携わり、のちに渡米。語学を学び、インターンシップ、のち現地法律事務所へ勤務、3年間マネジメントを担当する。帰国後、各界著名人のトレーナー兼マネジメントなどを手がけ、企業コンサルティング、事業マッチングのほか、TV・ラジオの番組DJ・企画制作など多方面に活躍中。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36395
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