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海外で暗躍する中国人スパイは、それに協力するエージェント(情報提供者)も含め、米国をはじめオーストラリア・日本などの西側諸国を中心に多数潜伏しているとみられる。
米ニュージャージー州ニューアーク市連邦法廷の陪審団は9月26日、米軍の軍事技術を窃取し不法に中国へ移そうとしたなどの罪により、昨年3月に逮捕されていた米国在住で中国籍の被告に対し、その罪状を申し渡した。また同日、米捜査当局は、兵器の材料に応用できる素材を大量に購入し中国へ輸出しようとした別の中国籍の男に関する起訴状を、ニューヨーク市ブルックリンの連邦法廷に提出した。
■軍事技術窃取に、厳格な姿勢示す米国
米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、ニュージャージー州在住の中国公民で、通信事業者「レベル3コミュニケーションズ」の元従業員・劉思星が9月26日、ニューアーク市連邦法廷の陪審団により、武器輸出規制法違反および商業機密の窃取など6項目にわたる罪を裁定された。
劉被告は昨年3月、米国の軍事に関する大量の機密データを保持し、さらにそれを中国の大学および中国政府のシンポジウム等で開示したことによって、米国の捜査当局に逮捕されていた。
起訴状によると、劉は2009年と2010年、中国の重慶および上海で開催された会議にパソコンを持ち込み、自身が米国で従事している職務上の技術のほかに、米国の法律で輸出が禁じられている国防に関する技術まで紹介した。さらに検察側は、2010年11月に劉が上海から米国に戻った際、中国の会議に参加したこと関する空港の税関職員の質問に対して、劉が嘘をついたと指摘している。
劉被告は49歳、3人の子供の父親であるが、逃亡の恐れがあるため、有罪判決の後も引き続き勾留される。劉の量刑については来年1月7日に判決が下される予定だが、最も重い場合は20年の禁固、および100万ドルの罰金が科せられるとみられている。
劉被告の弁護士は、「(劉は)米国の武器輸出に関する規制を知らなかったのであり、故意に罪を犯したのではない」として、劉被告とともに控訴する考えを示している。
■米当局の「一本釣り」捜査で、不正輸出を摘発
また同じ9月26日、米捜査当局は、中国公民・張明算が兵器の材料に応用できる高規格のカーボンファイバーを大量に購入し中国へ輸出しようとしたとして、ニューヨーク市ブルックリンの連邦法廷に起訴状を提出した。
このカーボンファイバーは、新型の航空機の製造などに使用されるもので、軍民両用の材料に該当するため、米国では輸出規制の対象となっている。
張明算の起訴に関しては、米当局が仕掛けたダミー会社による「一本釣り」捜査が功を奏した。
今年4月、2人の台湾人が、正規の許可申請を回避して大量のカーボンファイバーを買い付ける目的で、航空技術を扱うある会社のサイトにアクセスしてきた。2人は、その背後に中国人の商人である張明算がいると称した。しかし、2人が全く気づかなかったことは、この「会社」が米の税関当局がおとり捜査に設立したダミー会社であったことだ。
「一本釣り」のエサにかかって訪米してきた張明算に接見したのは、実は、米連邦当局の特務要員であった。
その後そのまま拘束され、9月26日の起訴に至った張明算は、通訳を通して「自分は体育用品をあつかう誠実な商人であり、無罪である」と訴えた。これに対して連邦法廷は、次回の審問まで張の勾留を延ばすことを命じ、保釈を認めなかった。
■暗躍する中国人スパイ、後手をふむ日本
日本の現行法に、いわゆるスパイ防止法はない。したがって、スパイ活動そのものに対して、日本の警察はこれを違法行為として取り締まることができない。
今年5月、在日中国大使館の一等書記官が日本国内でスパイ活動をしていた疑いが濃厚になった。これは当該の一等書記官が、外国人登録証明書を不正に使って銀行口座を開設、虚偽の住所を記した申請書により外国人登録証を更新、さらにはウィーン条約で禁じられた商業活動をしたなどの疑いが強まったものである。
しかし、条約違反では逮捕できず罰則も科せられないため、6月中旬、警視庁公安部は外務省を通じて、中国大使館に対して書記官の出頭を要請した。大使館はこれを拒否。書記官は帰国したため、農水大臣や同副大臣にも接近したとみられるスパイ活動の具体的内容は明らかにされなかった。
在シドニー中国総領事館の元一等書記官で、2005年5月に領事館を脱出して豪州へ亡命した陳用林氏(編集者注、政治亡命は認められず保護ビザ扱い)は、自らも諜報活動に携わった経験から、「中国当局は豪州に1000人以上のスパイを潜伏させている」と語っている。
■日本に在住する中国人の多くが、スパイ活動と無関係であることは言うまでもない。
しかし、日本で真面目に働き、勉強している普通の中国人が、「祖国のために尽力してほしい」という一言でリクルートされ、エージェント(情報提供者)に仕立てられる場合もあるという。
陳氏が数年前に語った豪州の実情を日本に敷衍して考えるなら、中国当局にとって豪州以上にスパイ活動の重要性をもつのが、地理的にも近く、先進技術を有する日本であることは否定できないだろう。
2012/10/01
http://www.epochtimes.jp/jp/2012/10/html/d38779.html
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