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(回答先: 日本と台湾が尖閣沖で“水鉄砲対決”…イギリスが報道 投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 26 日 05:42:35)
米国は日本を支持する、
しかしまずは自力での反撃を望む
2012年09月26日(Wed) 古森 義久
尖閣諸島を巡る中国との対立で日本にとって気がかりなのは、やはり米国の対応だろう。
オバマ政権は尖閣諸島が日本の施政下にあるから、日米安保条約が適用されると言明している。安保条約が適用されるならば、万が一、尖閣に対し第三国、つまり中国からの軍事攻撃があった場合、米国は日本を支援して共同防衛にあたる責務がある、というわけだ。
だがオバマ政権は同時に「他国同士の領有権紛争には介入せず、中立を保つ」とも述べる。尖閣の主権の最終的な決着には、関与はしない、というわけだ。この点は米国が1972年に尖閣諸島を沖縄と一体にして公式に日本に返還した歴史を思えば、やや冷たい感じもする。なにしろ日本は米国の同盟国である。中国は米国にとって政治体制をまったく異にする競合相手なのだ。
オバマ政権は中国の軍事力増強やパワー膨張に対し、警戒しながらも、正面からの対決は極力、避けるという傾向がある。尖閣についても、そのことを原因にして中国との関係を険悪にはしたくないのだろう。だから日本側から見ると、オバマ政権の態度はどこかもう一歩、生ぬるく、同盟国支援という熱気が感じられないのだ。
「米国はあくまで同盟国としての日本を支援します」
ところが同じ米国でも連邦議会となると、尖閣問題について熱を込めて日本を支持し、中国を糾弾する声ばかりであることに驚かされ、安堵をも感じさせられた。
その日本支持は伝統的に日米同盟をより重視する共和党の議員だけでなく、オバマ政権を支える民主党の議員たちも、同様なのである。
そして米国の政府、議会、国民一般とすべて合わせて考えた場合、この議会での声が米国の本音のように思えてくる。オバマ政権の公式言明の方が建前と呼べるようなのだ。この実情は日本側でも知っておく必要がある。
こうした印象を受けたのは米国連邦議会の下院外交委員会が9月12日に開いた公聴会だった。この公聴会は「南シナ海での中国のパワー」と題されてはいたが、内容は東シナ海から西太平洋を含めての広い海洋での中国の領有権主張全体を論じていた。その中で尖閣諸島への中国の威圧的なアプローチも主要な論題となったのだった。
この公聴会の議長役を務める外交委員会の委員長イリアナ・ロスレイティネン議員がまず冒頭の言明で中国非難、日本支持を明確にした。
「中国は南シナ海から西太平洋にかけて、海洋紛争の相手諸国に対し好戦的な暴漢のように振る舞っています。日本に対しては官営メディアやブログが中国国内の反日感情をあおり、各都市で反日暴動まで起こしています。しかし米国はあくまで同盟国としての日本を支援します」
「中国はアジアの海洋の支配権を求めて、東シナ海でも侵略的な姿勢を取っています。その結果、海上での軍事衝突の可能性が高まっています。米国は第2次大戦でミッドウェーからガダルカナルまで激戦を展開したのは、その太平洋から中国の勢いによって追い出されるためだったはずがありません。米国はその海軍力によって太平洋の同盟国を守ります」
日本側としては、心強い言明だった。中国の南シナ海から東シナ海、西太平洋での最近の領有権拡大の行動を無法だと非難し、その軍事の攻撃や威嚇には米国海軍を使ってでも日本やフィリピンを守るとまで明言したのだ。オバマ政権の高官たちの「尖閣には日米安保条約が適用される」という無機質な言明と比べると、ずっと熱のこもった言葉だった。
ネット上の検索を検閲し操作する中国
ただしロスレイティネン議員は共和党である。安全保障や同盟関係を重く見る共和党だからこそ、こうした言明をするのだろうか。
そういぶかっていたら、オバマ政権と同じ民主党の下院外交委員会筆頭メンバーのハワード・バーマン議員からも意外に強い見解が表明された。
「南シナ海などでの今回の緊迫は中国側が一方的に火をつけました。中国の領有権主張はいつも膨張的で根拠が不明確なのに、いままたさらに攻撃的、挑発的となりました。中国は南シナ海などを軍事化しているのです。オバマ政権は中国のアジア海域での覇権の拡張を許さないでしょう。中国に対しては領有権紛争を平和裏に解決することを求め続けます」
中国の反日の部分にも鋭い批判がぶつけられた。中国政府の人権弾圧を長年、糾弾してきた共和党のクリス・スミス議員の発言だった。
「中国の独裁政権は反日をあおるために、インターネットの検索でも『拷問』というと、戦時の日本軍の残虐行動の事例だけが山のように出るように検閲・操作をしています。古い出来事を昨日のことのように提示し、自分たちの現在の拷問はすべて隠す。日本はこうした動きに真剣な懸念を抱くべきです」
スミス議員は中国共産党政権が日ごろから自国民に対し日本への憎しみや怒りを抱くことを扇動していると言うのだった。
日本に防衛力増強を要請
この公聴会では米国側はこの種の領有権紛争には超党派で平和的な解決を求めながらも、尖閣を含む中国がらみの海洋紛争に対し、すでに軍事課題に近い位置づけをしていることが明白だった。
ロスレイティネン委員長が冒頭発言で「軍事衝突の可能性」という表現を使っていたのがその一例だった。だから南シナ海、東シナ海での米軍の戦力強化の必要性もしきりに論じられた。その過程では日本の名もはっきりと挙げられた。
ロバート・ターナー議員(共和党)は次のように述べた。
「アジアのこうした情勢下では米海軍のプレゼンスが縮小するようなことがあってはなりません。海軍の予算は決して削減されるべきではない。そのためには日本や韓国の海軍力強化への協力が重要です。両国はいまよりももっと貢献ができるはずです」
ブラッド・シャーマン議員(民主党)も続いて述べた。
「ターナー議員の意見に賛成です。その海軍力強化のための同盟諸国との負担の分担が重要なのです。東西冷戦でソ連と対決したときはアジアの同盟諸国はそれをこなしてくれました。いまや中国の膨張政策に懸念を抱く日本のような諸国はその中国の軍事パワーを抑止するために海軍力の増強が必要であり、その目的には防衛費のGDP比を増すことを求めたいです」
ジェラルド・コナリー議員(民主党)からもさらに明確に日本の防衛力増強への要請が表明された。
「中国の軍事的膨張に対しては直接に影響を受ける諸国の責任を強調したいです。東シナ海での中国の軍事的な動きに対して、日本はきちんと対応する構えがあるのか。日本の主権が侵されたと判断したときに、どこまで自主的に対応する意図があるのか。そういう点を問いたいです」
日本はまず自力で反撃しなければならない
こうした発言はみな尖閣諸島への中国の軍事的な動きがあったときには日本がまず対応すべきだし、そのために日本はいままでよりも防衛力の強化、防衛費の増額に努めるべきだ、という米側の期待の表明だと言える。
証人として発言したトシ・ヨシハラ米海軍大学教授も次のように述べていた。
「尖閣防衛の主責任は当然、日本にあります。万が一の中国の尖閣攻撃には日本が最初に自力で対処して、反撃しなければ、日米共同防衛も機能しないでしょう」
尖閣諸島を巡る日中両国の対立については米国側ではこのように議員も専門家も、軍事シナリオまで想定しているのである。
最悪の事態の軍事衝突を想定して、その対処への能力の強化を語るのは、軍事の強固な備えがあれば、軍事攻撃が防げるという抑止の思考からだろう。しかし、肝心の日本側よりも尖閣情勢を深刻に、より切迫した危機として見ているのだと言えよう。
その危機が現実となれば、米国は同盟国としての日本を軍事支援するが、同時に日本自身の防衛強化や防衛費増額も欠かせない、と見ているというのが総括だろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36177
焦点:尖閣めぐる武力衝突は非現実的、リスクは「予期せぬ犠牲者」
2012年 09月 25日 11:56 JST
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[東京 23日 ロイター] 尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐって日中間の緊張が高まるなか、中国のタカ派コメンテーターは同国政府に日本との武力衝突に備えるよう強く求めている。しかし専門家の大半は、両国が戦争に突入する可能性はかなり低いと見ている。
それよりも危険性が高いのは、海上で予期しない衝突が発生し犠牲者が出る可能性で、これにより報復攻撃への圧力が強まるとみられる。ただ、それでも本格的な軍事的対立が起こる前に、両国政府が対応措置を取ることが予想される。
豪シドニーのローウィー国際政策研究所のリンダ・ジェイコブソン氏は、「真のリスクは海上での衝突で死者が出ることだ」とし、国家主義的な感情が急激に高まると指摘。しかし、それが一国による軍事行動につながるとは考えにくいと述べ、経済的報復の方が可能性が高いと付け加えた。
尖閣諸島をめぐっては、日本政府による国有化を受けて中国各地で反日デモが発生。両国間の経済活動に多大な影響が出る事態となっている。同諸島では、中国の監視船が周辺の接続水域を航行し、日本側は海上保安庁による警戒を強めている。
<米国からの圧力>
中国の政府系シンクタンクの上級コンサルタントを務める元人民解放軍所属のXu Guangyu氏は、「武力衝突が発生する確率は非常に低い。いずれの国もその道筋はたどりたくない」と強調した。
米国務省のキャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)は20日、尖閣諸島について、日米安全保障条約の適用対象になるとの認識を示した。専門家らはこうした米国側の動向も、日中両国を自制させていると指摘した。
中国の監視船と日本の海上保安庁の巡視船は、現在も尖閣諸島周辺の海域で活動を続けており、問題発生の可能性が懸念されている。その一方で、軍事専門家はいずれの国も衝突回避に努めるとの見方を示す。
政策研究大学院大学の道下徳成准教授は、「悪いニュースは、中国が監視船を送ったこと。良いニュースは監視船が政府の管理下にある当局の船舶だということだ」とコメント。当局は状況悪化を懸念しており、監視船が攻撃的な行動に出る可能性は低いと指摘した。
また、中国当局が監視船を送った目的は尖閣諸島の領有権を主張するためだけでなく、「漁船が問題行動に出ないように監視するためでもある」との考えを示した。
<中国漁船による「不測の事態」>
軍事専門家は、中国の監視船が日本の海上保安庁の巡視船と同様に統率されていると指摘。日本の元自衛隊幹部も「いずれの国の海上当局も適切に管理されている」と述べた。
最大の懸念は、中国の漁船が当局の監視をくぐり抜けたり、活動家が尖閣諸島に上陸しようとするなどして海上保安庁と衝突し、犠牲者が出ることだ。このようなニュースはインターネット上で瞬く間に広がるだろう。
2010年には日本が巡視船に衝突した中国漁船の船長を逮捕し、外交面や経済面で日中関係が大きく冷え込んだ。今回は緊張が既に高まっている上、中国が10年に1度とされる最高指導部の交代を迎え、一方で日本は与党・民主党が次期総選挙で大敗を喫する可能性がある。
米ハワイの東西センターのデニー・ロイ氏は、両国政府が合理的であれば、「居住者のいない岩(尖閣諸島)をめぐって大規模な戦争に突入することはない」としながらも、予期せぬ形で戦争が始まることもあり得ると指摘。小競り合いで始まった衝突がエスカレートする可能性はあると語った。
ロイ氏は「相手国による挑発とみなされる行為には対応しなければならないと、いずれの国も考える」とし、強硬的な措置を強く求める国内圧力があると語った。
一方で、予期せぬ衝突が軍事対立を引き起こす可能性は低いと考える専門家もいる。前出のXu氏は「両国間には他にもコミュニケーションの手段は残っている」とし、問題解決に向けて両者が対話を持つことはまだ可能だと指摘。「たとえ何らかの衝突が発生したとしても、抑制不可能な状況に陥ることを防ぐため、国連事務総長などが介入して問題に対処するだろう」と述べた。
(原文執筆:Linda Sieg記者、翻訳:本田ももこ、編集:橋本俊樹)
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習氏が日本の尖閣国有化を批判、中国政府は反日デモ取り締まり 2012年9月19日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88O01H20120925?sp=true
棚上げ論はもう限界、日本がなすべきことは?
国際社会を日本の味方に引き込む
2012年9月26日(水) 福島 香織
先週末の反日デモはなんとか抑制された。19日に公安当局が市民に対し、携帯電話のショートメッセージを通してデモ禁止の姿勢をはっきり示したからだ。これは中国が軟化したのではない。当局がデモのコントロール能力があるということを見せつけただけだ。
まだまだ序の口
すでに、いろんなレベルで日本に対する圧力をかけ始めている。製品が通関で足止めを食うのはいつものパターンだが、ビザ発給拒否、日本向けツアー旅行の取り次ぎや日本関連書籍の出版、販売の差し止め。日系企業では便乗ストライキ、サボタージュが続出していると報道されている。デモの破壊行為による直接的経済損失はざっとみつもって30億元以上らしいが、今後の中国における経済活動の停滞がどれほど日中双方の経済に与える影響はいかばかりか。
文化交流事業も軒並み中止か延期。日中国交正常化40周年行事は当然のことながら霧散した。私の友人の上海在住日本人も、仲間や地元の人たちと進めていた「東日本大震災支援イベント」の安全を担保できないので延期するよう地元公安関係者から通達が出たと嘆いていた。
もっとも、中国にあしかけ30年間暮らし、天安門事件もユーゴスラビア中国大使館誤爆をきっかけとした反米デモも経験した在北京の日本人女性に言わせると、この程度の事態は「まだまだ序の口」だそうだ。
1989年の天安門事件前の86年暮れから87年にかけて、南京で大学生たちによる、かなり激しい外国人排斥デモがあった。胡耀邦失脚に反対する学生たちの怒りの矛先が、大学内の空気を読まずにクリスマスパーティを行ったアフリカ系留学生らに向き、「アフリカ留学生は帰れ!」という排斥運動になった。これが外国人排斥というナショナリズム運動になるのだが、この時は「外国人と友達だとわが身が危ない」という理由で、それまで親友だと思っていた中国人の友達から絶交宣言を言い渡された、と当時南京大学に留学していた彼女は振り返る。「今回のデモでは、むしろ困ったことがあれば相談してくれ、と言ってくれる人の方が多い。こういう事態下でも、中国人がそういうセリフを口にできるということは、中国社会もずいぶん甘くなったということなのか、まだ緊張がそのレベルに達していないのか」
ただ「今は序の口」でも、やがて序破急、と加速し、日本人排斥運動などという展開も絶対ないとは言えない。そういう状況で、日本政府は尖閣問題に対し、どう対応していけばいいのか、というのが今回考えてみたいテーマだ。
「棚上げ」継続は中国を利するだけ
一部の親中派の言論人の中には、?小平の提示した「棚上げ論」継続がベストだという主張がある。今の緊張を作ったのは、30年以上にわたり続いていた「棚上げ」の約束を一方的に破った野田政権(あるいは東京都)であり、中国さまの本気の怒りを招いた、というわけである。なので、中国側に本当の国有化の意図(つまり野田政権としては東京都が購入して上陸調査や建造物建設すること阻止するための国有化である)をきちんと伝え、棚上げ論の継続を図るのが一番いい、という意見だ。これはできるかもしれないし、できないかもしれない。
ちなみに、中国側の一部の学者は、石原都知事の米国での電撃島購入発表自体が、国有化を実現するために野田政権と米国ネオコン勢力が仕組んだシナリオ、と信じている。清華大学国際関係研究所の劉江永教授は「石原が野田政権の島購入に反対しないということは、事実上、その目標が国有化にあるということだ。野田は石原を利用して、島の国有化を実現する。石原の偽りの攻撃はある種の意味において、一種の“支持”なのだ」とメディアに語っている。
中国がもし日本をまともな国家と見てくれているなら、「中国のための国有化です」などという言い分を信用するわけがない。ちなみに野田首相は中国では「右翼政治家」と呼ばれている。
今さら言っても遅いのだが、日本は本当に、東京都の島購入を実効支配強化に利用すればよかったのに、と思う。石原都知事の暴走にてこずっているふりをしながら、中国の反応を見つつ、米国や周辺への根回しを整えつつ、都の上陸などをなし崩しに認める形で、実効支配の既成事実を積み重ねるという方法もあっただろうに。国有化すれば中国が騒ぎ、ひょっとすると武力行使も辞さない姿勢を見せることは容易に想像できるのだから、国有化の前にそれを封じ込められるだけの国際環境を整える時間稼ぎと目くらましに、都と政府の対立劇が利用できたのではないか。国有化の閣議決定までした以上は、もう引き返せないので、本当に今さら言っても遅いのだが。
さて、「棚上げ」継続論だが、仮に一時的に中国がそれに応じたとしても、それは多少の時間的猶予をもたらすだけで、解決ではない。中国にとっては島を奪えるだけの軍事力・国力をつけるまでの時間稼ぎだ。2010年秋の海上保安庁巡視船と中国漁船の接触事件で棚上げもそろそろ限界であることを日本人も思い知ったことだろう。今、棚上げがなんとか継続できても、数年もたてば、また同じことが起きる。その頃の中国の軍事力・国力は今より強くなっているのではないか。棚上げを継続して得するのはむしろ中国の方ではないか。日本にとって、棚上げ論の行きつく先は、最善の結果で「共同開発」だろう。
米国がどさくさに紛れて日本に与えた
では、いっそ、尖閣諸島は係争地域であると認めてしまって国際法廷に提訴するか。人民解放軍の理論派、羅援少将は意外なことに「国際法廷への提訴」も支持している。多くの日本人は国際法廷で絶対勝てると思っているかもしれない。私も日本側の主張の方に理があると思っている。だが、世界は腹黒く、正義は欺瞞に満ちている。100パーセント、必ず勝つ保障はない。正直、外交力や国際社会における存在感や影響力で結果が変わることはあるのではないかと思う。
ところで、中国の釣魚島(尖閣諸島)領有権主張の論拠を日本人はきちんと知っているだろうか。簡単におさらいしておくと。
・1582年(明朝)から島は中国の版図にはいり福建省管轄となり清朝末まで島の領有権は明確であった。日本海防論者の林子平が1785年の「三国通覧図説」で中国大陸の一部として色分けしている。
・1879年に日本が琉球を併呑したさい、琉球諸島は36の島があると中日双方で確認したが、釣魚島は含まれていない。
・1885年日本が釣魚島を拡張目標とし、清朝が反対するも効果なく、1894年の甲午海戦(日清戦争)で清朝が敗北。1895年に島は強行占領された。不平等な馬関条約(下関条約)で台湾とその付属島嶼を日本に割譲される。
・1900年に日本政府が釣魚島を尖閣諸島と改名。
・1945年に日本敗戦、台湾島が祖国に戻り、台湾および周辺島嶼が中国に返還される。このとき釣魚島は含まれなかった。
・1951年のサンフランシスコ平和条約で、日本政府は主権を取り戻すが、釣魚島を含む沖縄は米国の戦略的管理下におかれた。このため釣魚島は米軍の射撃場として管理される。
・1971年、沖縄返還協定。この時、釣魚島も日本に「与えられる」。中国は抗議声明を出し、台湾愛国青年および海外華人が釣魚島防衛運動を展開。米国は釣魚島の行政管轄権は日本に委譲するが、これは主権と関係ない、紛争は当事者で解決したまえ、というあいまいな態度を貫いた。
・1972年、中日国交正常化の際、島の領有問題について、時期が熟した時に解決するとの一点で合意。
・1978年、中日平和友好条約締結の際、?小平氏が、棚上げ論を提唱。子孫に解決を託す。
・1992年、日本青年社の灯台建設(1990年)を受け、島領有問題が再燃。中国は「領海及び隣接区法」を制定、釣魚島は中国に属すると宣言。
という流れになる。中国に言わせれば、清朝末期のどさくさにまぎれて日本が島を盗んだ。そして第二次大戦の敗戦処理過程で米国がどさくさに紛れて尖閣諸島を日本に「与えた」。
ちなみに、カイロ宣言のとき、蒋介石がルーズベルトに沖縄を管理しないかといわれて断ったというエピソードが2008年1月以降、中国のメディアで何度も紹介されている。
こうやって歴史をたどると、尖閣問題は米国が恣意的に日中間に残した対立と見えなくもないし、実際中国メディアには、今に至るまでの尖閣問題は米国が黒幕という論評も散見する。羅少将は、国際法廷の相手は「日米2国」としている。日本が国際法廷で確実に勝つには、米国の真意や国際世論の行方を見極める必要はある。
対中報復姿勢を鮮明にするのは賢明ではない
では、日本は中国に経済制裁に対しては経済制裁、武力に対しては武力で対抗していくという対立姿勢をしっかり見せていくべきなのだろうか。単純に対中報復姿勢を唱える言論については、私は慎重になるべきだと思っている。それは今、中国国内の戦争支持世論をうけて解放軍がかなりやる気に見えるからだ。中国は1949年以降、インド、ソ連、ベトナム相手に領土紛争を起こしている。いずれも相手から挑発したというのが中国の言い分だ。対外的な小さな紛争は国民の団結や民族意識を高め、国内の不都合な問題から国民の気をそらすこともできる。
自衛隊が本気を出せば、今の解放軍海軍程度なら蹴散らせると言う人もいるが、残念ながら日本は米国の意向を無視して勝手に作戦が展開できるほど軍事的に自立していない。しかも相手は核をもった国連常任理事国だ。こちらが挑発したという口実は絶対に与えられない。ただ軍事行動というカードは、トランプで言えばジョーカーみたいなもので、最初から手札にないと言ってしまっては駆け引きにもならない。
結局、日本政府が今できることは限られている。中国は政治経済社会の全方位的圧力を日本にかけてくるだろうが、その圧力に右往左往しない。当面は忍耐をもって、これをしのぐしかない。同時に中国の反日デモの本質はあくまで中国内政に原因があると国内外に訴えることだ。抗議すべきは抗議し、損害賠償請求を行うとしても、日本国内の中国企業や中国人への報復は百害あって一利なしだろう。
日中関係が冬の時代に入り、今以上に重要になってくるのは、国際社会を味方につけるための表裏両面の外交と情報発信や外国メディア対策。次に国内世論の整理だろう。相変わらず国内には軍事アレルギーの人が多いが、せめて外交の場でジョーカーを持っているふりくらいはできるようにしておかないと、これからの国際社会を渡っていけないのではないか。
国際法廷で決着をつけるにしても、経済制裁で相手が音をあげるまで応酬するにしても、尖閣防衛の軍事オペレーションを練り直すにしろ、結局のところ国際社会を日本の味方に引き込まないことにはいずれもうまくはできない。日本の次の総選挙がいつになるかはわからないが、次こそ、外交重視の政権が誕生してほしいと願う。
福島 香織(ふくしま・かおり)
ジャーナリスト
大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002〜08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『潜入ルポ 中国の女―エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)、『中国のマスゴミ―ジャーナリズムの挫折と目覚め』(扶桑社新書)、『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版刊)、『中国のマスゴミ』(扶桑社新書)など。
中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス
新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120924/237196/?ST=print
米国、イラン核問題に必要な措置とる=オバマ大統領国連演説で
2012年 09月 26日 03:40
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[国連 25日 ロイター] オバマ米大統領は25日、国連総会で演説し、イランの核兵器入手を阻止するため、米国は「必要な措置をとる」と言明した。
大統領はさらに、米国で製作されたイスラム教の預言者ムハンマドの侮辱映像に端を発した反米デモがイスラム諸国で拡大していることについて、「罪のない人々の殺害を容認する余地はない」とし、国連加盟国の結束を促した。
イランについては、外交を通じ問題を解決する時間は残されているとしつつも、「無限に時間があるというわけではない」と述べた。
大統領は、イランが核武装すれば「イスラエルの存立に加え、湾岸諸国の安全や世界経済の安定が脅かされる」とし、「米国はイランが核兵器を入手することを阻止するために必要なことを行う」と述べた。
ただ、イスラエルのネタニヤフ首相が米国に対し要請してきている「レッドライン(超えてはならない一線)」には踏み込まなかった。
大統領は、駐リビア米国大使を含む4人が殺害された事件に触れ、「ここ2週間に起きた攻撃は米国だけでなく、国連創設の理念への攻撃だ」とし、このような暴力を回避するためにあらゆる手を尽くしていく姿勢を鮮明にした。
シリア情勢についてはアサド政権は「退陣すべき」と述べた。また、中東和平に向けたイスラエル・パレスチナの対話をあらためて促した。
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米国務長官がイスラエル訪問、イラン核開発対応策で「考え一致」 2012年7月17日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE88O01Y20120925
米大統領:イランの核兵器開発阻止で必要な行動を取る
9月25日(ブルームバーグ):オバマ米大統領は25日、ニューヨークで始まった国連総会で演説、米国はイランの核兵器開発を阻止するために必要な行動を取ると表明、外交的な解決策を模索する時間は「無限ではない」と警告した。
大統領は交渉の余地はまだ残されていると述べた上で、イランの核武装はイスラエルを危険にさらし、域内の軍拡競争を引き起こし、世界経済を不安定にさせるだろうと述べた。
オバマ大統領は、「間違いを犯してはならない。核武装したイランは抑制可能な問題ではない」と断じ、「米国はイランによる核兵器入手を阻止するために必要な行動を取る」と表明した。
原題:Obama at UN Vows U.S. Won’t Let Iran Gain Nuclear Weapon(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Margaret Talev mtalev@bloomberg.net;ワシントン Hans Nichols hnichols2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Steven Komarow skomarow1@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/26 04:43 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAX5UZ6S972Y01.html
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