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日本、北方領土問題での好機と判断
2012年 9月 7日 12:49 JST
記事
【ウラジオストク(ロシア)】日本政府政策担当者は、日本とロシアの関係に過去60年間にわたって横たわってきた北方領土問題を解決する好機が来たとみている。プーチン・ロシア大統領が同問題で前向きな提案をしたのを受けたもので、一方で、中国の台頭が両国に関係強化を緊急課題とさせているためだ。
プーチン氏はロシア大統領に復帰して以来、第2次世界大戦での敵だった日本に対して歩み寄りをうかがわせており、日本政府も領土問題では譲歩が必要になるかもしれないことを認めている。この問題があるため両国は平和条約をまだ結んでいない。
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Associated Press
7月、国後島を訪れたメドベージェフ・ロシア首相
民主党の前原誠司政調会長(前外相)は、この問題について「北方4島はわが国固有の領土で、法と正義に基づいて帰属を決定する方針に代わりはないが、最後は政治決断が大事なことだ」と述べている。野田佳彦首相は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて今週末にロシア・ウラジオストクで行われると見られるプーチン大統領との会談で、この問題を積極的に取り上げようとしている。
問題になっているのは、第2次大戦の最後の数日間に旧ソ連が占領した千島4島で、日本は北方領土と呼ぶ4島全体の返還を要求しているのに対して、ロシアは1956年の日ソ共同宣言で小さな2島の返還を約束しただけだ。
北方領土問題は、メドベージェフ・ロシア首相が7月に4島の一つを訪問したことで新たな注目を浴びている。この訪問は日本で強い反発を招いた。
日本とロシアの昨年の貿易額は約300億ドル(2兆4000億円)と、日中貿易額の10分の1にも満たない。両国の相互訪問者数は13万人にすぎず、日中の500万人を大きく下回っている。しかし、日本の当局者は、中国の台頭で日本の対ロシア政策は変わったとし、まず安全保障政策面で変化を来したと指摘した。
米国、ロシア、日本の専門家は2010年、中国の経済、軍事的超大国としての出現などを受けて北東アジアにおける安保協力を話し合うための、いわゆる「トラック2」協議を始めた。このフォーラムは来年には政府当局者も含めたものに格上げされることになっている。
ロシアは中国からの安保上の潜在的脅威に対処するために極東地域を開発しようとしており、こうした点でもロシアからの和解の兆候が現れている。アナリストらは、ロシアはその極東地域―人口はわずか600万人で、しかも着実に減り続けている―が、中国人の移民急増を背景に、中国の経済圏の一部になってしまう恐れがあることを懸念している。
プーチン大統領はまた、同国の未開発の東側半分での一段の技術的協力と天然資源の共同開発を目指して、日本との関係強化に熱意を示していると見られる。同氏は今年3月に大統領に選出された際、「双方は譲歩すべきだ」として、日本に和平の提案をした。
昨年の福島原発事故の影響で天然ガス火力発電への依存を強めている日本にとって、同地域での資源開発プロジェクトはいよいよ重要性を増している。ロシアが8月に世界貿易機関(WTO)に加盟したこともあって、日本の多国籍企業はロシアとの事業を拡大させようとしている。
ただ、かつての敵であるロシアとの緊密な関係に反対するナショナリストの反発を招かないようにするため、日本の企業はロシアとの事業については慎重に進める必要がある。こうしたロシアへの反発は、北方領土の占領と戦後の50万人に上る日本兵のシベリア抑留によって形作られた。
伊藤忠の関係者は「北方領土は微妙な問題でいろんな考えの人がいる。われわれは積極的にロシアでやっていると言うのではなく、粛々とやっていく」と話す。
また、外務省で対ソ交渉の最前線にいた京都産業大学世界問題研究所の東郷和彦所長は「プーチン大統領がが開いた外交の窓がもしも閉まれば、また開くとは限らない。このチャンスをつかめなければ、日本の取り分はゼロかもしれない。ここで動かなければ、元の木阿弥となり、日ロ関係は相当悪い方向に落ち込む可能性がある」と、今が好機であるとの考えを示している。
記者: Mitsuru Obe
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http://jp.wsj.com/World/Europe/node_507889?mod=WSJSeries
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