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(回答先: 参院選「非拘束名簿方式」に潜む大きな罠 投稿者 裏の浦 日時 2013 年 7 月 21 日 02:26:20)
■参院選の持つ意味
いよいよ参議院選挙の当日である。と言っても制度上、予算や条約は衆院が優越するから、
今回の選挙の最大の争点は明らかに改憲だろう。
与党安定多数と言うが、じつは改憲発議には衆参両院で2/3超の賛成が必要だ。
さすがに参院選でこれを食い止められる可能性は十分あるだろう。
もっとも有権者が“ある罠”に気が付いていないのであれば、少し怪しくなってくるが。
■「非拘束名簿方式」のしくみ
ところでみなさんは「参院比例代表区の非拘束名簿方式」を十分に理解しているだろうか。
衆院の「拘束名簿方式(あらかじめ順位が決まっている)」と違って
じつは「政党名」と「名簿内の候補者名」の両方が書けるということを知らないで、
とりあえず政党名を書いているという有権者も多いのではないか。
無理もない。この方式はマスコミもろくに紹介していない制度だ。
あらかじめ自分で名簿を調べておかないと、投票所に言ってからでは
「政党名」しか書きようがない。
さて、ここで「いや、俺はこのしくみをちゃんと分かっている」と言う人もいるだろう。
そして恐らく「自分の嫌いな政党の中に1人だけまともな候補がいる場合、
その名前を書くことが出来るんだろう。いい制度じゃないか」と続けるはずだ。
しかしその回答は限りなく“0点”に近い。
■真逆の罠
例を挙げよう。原発に対する態度があいまいな政党○○党があったとする。
○○党の名簿は
A候補(原発推進)
B候補(原発推進)
C候補(原発反対)
D候補(原発推進)
(順不同)
だったとしよう。
あなたは「他は原発推進なのに、1人だけ反対なんて立派じゃないか」と
C候補に投票した。果たしてその票は本当に原発反対票として機能するだろうか?
ここで重要なのが、あなたがいくら「C」と書いて投票しても、その票はまず
「○○党への1票」として集計されるのである。「いや、俺は○○党なんて
書いていないぞ」といくら言っても、そういう制度だから仕方ない。
そしてあなたと同じ考えでC候補に投票した人達の票で、ぎりぎり○○党が
1議席確保したとする。ここで初めて「C」と書いたことが意味を持つ。
その党の「名簿内での順位を決定する票」として集計対象となるということだ。
しかしもし、○○党内での順位が僅差で「B→C→A→D」となったら?
…そう、あなた達の一票は原発反対派のC候補を当選させられなかったばかりか、
推進派のB候補を当選させてしまったということだ!
■もう1つのケース
あるいはこんなことも考えられる。ほとんど目立った争点にはなっていないが、
ある人達にとってはとても意義のある法案について、××党のE候補だけが
熱心に推進していたとする(あるいはE候補が知名度のあるタレントという場合)。
E候補は熱心な支持者から絶大な支援を受け、ぶっちぎり当選した。ここまではよい。
…ところがE候補の人気が絶大過ぎて、××党の候補が何と5人も当選してしまった。
先にも説明したように、E候補への票はまず××党への票として集計されるからだ。
E候補の支持者は軽視していたが、じつはこの××党が党を挙げてのTPP推進派や
改憲派だったらどうだろうか。たった1つの「いい法案」のために、TPPや改憲が
推進されてしまったとしたら。
■有権者を誤解させたいがためのしくみ
以上、2つのケースを考えただけで、「非拘束名簿方式」が「自分の嫌いな党の
中にいる1人だけまともな議員に投票するためのしくみ」どころか、全く逆に
「まともな議員に投じたつもりの票が、おかしな政策を後押ししてしまいかねない」
矛盾満載のしくみであることが分かる。
何より「候補者名だけを書く」のに実際は「政党への票として集計される」というのが、
じつに大きな心理的罠だと言える。
「非拘束名簿方式」に議員名を書いてよいのは「その党の他の候補者も当選させてよい」
場合に限られるということだ。これをあたかも「Xさんと書けば万事OK!」と
触れ回っている人間もいるが、根本的におかしな話である。騙されているのでなければ
その人間の真意は「その候補者より、政党への票を稼ぎたい」ということかも知れない。
なお余談ながら、比例区の用紙に「みどり」と書くと「みどりの風」と
「自民党の石井みどり候補」の間で按分されると中日新聞が指摘している。
これも当然、石井みどりだけでなく他の自民党の候補を当選させかねない。
率直に言って、このしくみを提案もしくは採用した人間は、最初からこのような
有権者の誤解を狙っていた故意犯なのではないかとすら言いたくなる。
■やはり制度がおかしい
本当に有権者の民意を反映したいのであれば、党ではなく候補者のみに投票するしくみ、
もしくは候補者への投票は党に流用しないしくみにすべきだ。
日本の選挙制度は、小選挙区制もそうだがとことん民意を反映しない、
主権者を騙し討ちにするようなしくみばかりである。
なお一部の政党が「完全な1人1票の実現」を謳っているが、これも罠。
もし今、都市と地方の票の重みを完全に平等にしたら、農業や漁業が圧倒的に
不利になることは目に見えている。日本の食の自給率を下げたい勢力にとっては好都合だ。
集計作業やそのための機器についても不正の噂は絶えないが、じつは表に出ている
選挙のしくみからして“不公正”でないか、国民は真剣に考えてみるべきではないか。
最後に、わざわざ「おかしな党の中のまともな議員」なんてものを探して投票することの
馬鹿馬鹿しさを考えて欲しい。なぜその議員はそんな政党に所属しているのか?
あなたを騙してその党に投票させるための“笛吹き男”に操られてはいけない。
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