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投稿者 ますらお 日時 2012 年 12 月 01 日 18:24:51: tlXAsMLYVhTKo
 

元記事http://www.janjanblog.com/archives/86167
高橋清隆2012年 12月 1日 16:15
同書http://www.seikoshobo.co.jp/FS-APL/FS-Form/form.cgi?Code=F019

 民主主義を採用する多くの資本主義国家の住民が、なぜ豊で幸せになれないのかを究明する。不自由な原因をお金のしくみを探り、民意が通る民主主義社会を 提案する。表題は後ろに「なるほど! 『マネーの構造』がよーく分かった」が続く。著者はサブプライム危機を言い当てた若きフィナンシャルプランナー、版 元は成甲書房。

 前段は銀行の錬金術性を解き明かす。前著『あなたはお金のしくみにこうして騙されている』(徳間書店)で 告発した問題だ。からくりの中心は「信用創造」にある。お金をつくるのは中央銀行だけではない。預金準備率を1%とすれば、市中銀行は日銀に100万円を 預けることで9900万円をつくり出すことができる。銀行は貸し出しと同時に自行に口座を開かせ、通帳に預金を計上するからである。

 貸出には利子が付く。これが不幸の根源だ。あなたが300万円の融資を1年ローン、金利2%で受けたとしよう。翌年3060万円にして返さなければならないが、60万円は誰かが銀行から借りなければ生まれない。資本主義は借金の無限ループで成り立っている。

 中央銀行は私有銀行の偽装機関である。「資本主義の公正な自由競争」なる言葉は、通貨発行権を独占する勢力が存在する限りまやかしである。しかも、金融資本家は金に飽かせて株式会社を支配し買収し、政治家とメディアを支配する。

 著者の天野氏は、本当の民主主義であれば資本主義が国民のために機能すると信じる。そのためにはフランス革命のスローガン「自由・平等・博愛」に加え、「真理」が伴わなければならないと訴える。選挙では真偽や善悪を判断できなければならないからである。

 国民を支配しているのは政府に見えるが、実態は金融資本家が支配権力である。お金をつくることができるのは金融業だけで、政府は借りる側にすぎないからである。資本主義の優れた点は、支配者のステルス(隠匿)性にある。王や独裁者は目立ちすぎ、民衆の標的になりやすい。

 欧州中央銀行(EBC)は金融支配体制の完成形だと言う。参加国の主権を骨抜きにし、民衆の声の届かないものにした。政財界とマスコミを巻き込ん だ大規模なキャンペーンが行われ、最終的には国民投票で賛成派が勝利。欧州統合の条約を発効させている。「真理」のない民主主義の所業だ。

 わが国は政「金」分離に加え、米国の属国的立場から合理的な政策を行うことができない。政府が日銀に圧力を掛けて日銀法を変えればよいという主張 が起きているが、あまりに楽観的な見方だと指弾する。それなら、とうの昔に改正しているはず。国際金融カルテルに組み込まれているため、適切な政策が取れ ないのである。

 面白かったのは、マイケル・サンデルの偽善をたたいている部分だ。天野氏は直接授業を受けたこともあるファンだったが、どうも腑(ふ)に落ちない部分があった。みんなで賛否を議論する様式は好感が持てるが、命題には疑義を挟めない形になっているからである。

 例えば、こんな問い掛け。「911テロの首謀者であるビンラディンをアメリカ軍が殺したのは正義か」。生徒は「正義だ!」「正義でない!」と騒ぐが、ビンラディンが首謀者かどうかについては、議論の余地を封じている。この点の方が重要なのに。

 これは「権力によって操作される民主主義」の典型である。「テーマをコントロールされるということは、賛否の思考もコントロールされていく」「与 えられたテーマの真偽について検証する思考を市民が習慣化することで、「真理に基づく民主主義」を目指すことが可能になるのだ」と訴える。

 国民が政治の主人公になるのは、どうしたいいか。天野氏は、政府に通貨発行権を持たせよと唱える。憲法にそのことを明記させることで、制度的な解 決が図られる。さらに銀行業全体を政府の管理下に置き、通貨の発行範囲を潜在成長率の範囲に収めることでインフレは抑えられる。

 著者は国民の主体性を重視する。世界規模の金融帝国の完成を警戒しながら、グローバルな連帯を主張する。宗主国米国にも、ロン・ポールやデニス・ グシニッチなど、覇権主義に反対する人がいる。2011年には「ウォール街を占拠せよ運動」も起きた。これらと連帯した主体的な民衆運動こそ、社会を前進 させるのだと。

 同書は、金融による支配メカニズムを解明する本であるとともに、人間解放の手引きになっている。著者の持つ未来への楽観性と民衆への信頼心をたたえたい。
『サヨナラ! 操作された「お金と民主主義」 なるほど! 『マネーの構造』がよーく分かった』天野統康(成甲書房):紀伊國屋http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4880862959.html
同書:楽天http://books.rakuten.co.jp/rb/%E3%82%B5%E3%83%A8%E3%83%8A%E3%83%A9%EF%BC%81%E6%93%8D%E4%BD%9C%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%80%8C%E3%81%8A%E9%87%91%E3%81%A8%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%80%8D%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%BB%E3%81%A9%EF%BC%81%E3%80%8C%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E3%80%8D%E3%81%8C%E3%82%88%E3%83%BC%E3%81%8F%E5%88%86%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F-%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E7%89%88-%E5%A4%A9%E9%87%8E%E7%B5%B1%E5%BA%B7-9784880862958/item/12096842/
同書:Amazon http://www.amazon.co.jp/gp/product/4880862959/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&camp=247&creative
天野統康のブログ『金融システムから見る経済社会論』http://ameblo.jp/amanomotoyasu/
 

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