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2012年7月18日 (水)
シロアリ退治なき消費増税法案採否は国民が決定
「シロアリ退治なき消費増税」法案の参院委員会審議が始まった。
この国会審議の最大の問題は、話の進め方が、日本の議会制民主主義制度の根幹を踏みにじっている点にある。
議会制民主主義の基本は、日本国憲法前文に明確に示されている。
私は本ブログ、メルマガ、および著書にその規定をくり返し記してきた。
7月11日の新党「国民の生活が第一」結党大会で党代表に就任した小沢一郎氏も日本国憲法前文を引用された。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。」
巨大増税や原発再稼働のような、国民生活に直結する「超重要問題」については特に、主権者である国民の意思を政治決定に反映させる必要がある。
この基本を実現するには、政治活動の中核を担う政党が、正当な行動を取ることが不可欠である。
「正当な行動」とは、政党が主権者国民の前に公約を明示し、その公約に責任を負うことである。
くり返しになるが、2009年総選挙の際に、民主党は「シロアリ退治なき消費増税」は絶対にやらないことを主権者国民に確約した。
「シロアリ退治なき消費増税」を公約として掲げたのは自民党と公明党である。
主権者である国民は、自民党を大敗させ、民主党を圧勝させた。
その大きな要因は消費税問題についての公約の相違だったと思われる。
「シロアリ退治なき消費増税はやらない」と明言した民主党がいま、自民党、公明党と結託して、「シロアリ退治なき消費増税」を国会で決定しようとしている。
日本の議会制民主主義を破壊する暴挙としか言いようがない。
この機会に、すべての国民が消費増税問題についてじっくりと考える必要がある。
そのために私は『消費増税亡国論』(飛鳥新社)を書いた。
消費増税亡国論
著者:植草 一秀
販売元:飛鳥新社
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これがすべてだとは言わないが、ぜひ、問題を考える手がかりとしていただくために、拙著に目を通していただきたい。
私は消費増税論議そのものを全面否定しているわけではない。
日本の財政破綻を回避し、持続性のある社会保障制度を構築することは重要で、そのためには、国民負担の増大が避けられないと思う。
しかし、他方に、政府支出のなかに、とてつもない無駄が大量に含まれていることも、紛れもない事実である。
だから、大半の国民は、将来的な負担の増加を拒絶はしないが、国民に負担を求める前に、一部の特権的な利権を排除すべきだと考えている。
当たり前のことだ。
民主主義の手続きの問題以外に、看過できない問題が二つある。
ひとつは、「社会保障・税一体改革」と言いながら、社会保障制度改革については、ほとんど白紙の状態であることだ。
岡田克也氏などは、これを指摘されると、提出している法律案の大半は社会保障制度に関するものだなどの、とってつけたような言い訳ばかりを繰り返す。しかし、これらの法律に社会保障制度改革の具体案がまったく示されていないのだ。
もうひとつは、この巨大増税が日本経済をさらに深刻な不況に誘導することが、ほぼ間違いないことだ。
政府が提案している増税は、単年度13.5兆円の増税である。単純計算でもGDP成長率を2.7%も引き下げる激烈な効果を持つ。
経済が破壊されれば税収が減り、減らすはずの財政赤字は逆に拡大する。過去の歴史がこのことをはっきりと裏付けている。
消費税をどうするかを決定する権限は主権者国民にある。このことを絶対に忘れてはならない。
政党がこの根本原則を踏みにじって行動するなら、その暴挙を絶対に許してはならない。
いじめの問題でも同じだ。間違った行動が生じているときに、その間違った行動を放置することは、その間違った行動を「許す」ことを意味する。
間違った行動は絶対に許さないとの、強い意志と行動がなければ、間違った行動は根絶されない。
誰がどう言い訳をしようと、いま、間違った行動をしているのは与党民主党である。民主党から離脱した「国民の生活が第一」が主張していることが、紛れもない正論だ。
国民を馬鹿にし、民主主義を踏みにじっている現在の民主党議員を、次の選挙では、全員落選させる必要がある。
間違った行動をしたいじめの主導者を特定し、しかるべき責任を取らせることが、いじめをなくしてゆくには絶対に不可欠なのだ。
間違った行動をとれば、必ずその責めを負うことが現実に示されて、初めて間違った行動が自粛されることになる。
すべての国民が消費税問題をよく考える必要がある。そのうえで、主権者国民が結論を出す。結論の出し方は、次の総選挙で、どの政党を勝利させるかで示すしか方法はない。
この点を十分に踏まえた対応が不可欠だ。
・・・・・
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