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離党宣言先延ばしの裏事情
2012-06-30 :(陽光堂主人の読書日記)
小沢元代表は昨日、集団離党・新党結成についての結論を来週月曜日(7月2日)に出す意向であることを明らかにしました。輿石東幹事長との3回目の会談後、記者団に表明しました。
小沢氏は増税法案の撤回を求めていますが、野田総理はもちろん、自公も3党合意の修正に応じるつもりなどありません。決裂は不可避ですが、輿石氏と何度も会談しては結論を先送りしているので、進退窮まった小沢氏が未練たらしく抵抗を続けていると見る人も多いようです。
しかし、小沢氏の離党の決意は変わりません。結論を中々出さないのは、周りの状況がそれを許さないからです。政権交代の主役がグループを引き連れて離党するわけですから、簡単には行きません。記者会見で小沢氏は、性急な結論を求める質問に苛立っていましたが、若い記者たちはそうした事情を斟酌することができないようです。
選挙に出て当選するというのは大変なことで、有権者の支持を取り付けなければなりません。離党する際には、支持者の理解を得る必要があります。50人ぐらい党を離れる見込みですが、彼らは地元へ帰って後援会などの支持を取り付けなければならず、離党宣言すれば済む話ではないのです。
民主党の政権基盤は組合ですが、連合の古賀会長は小沢氏らの造反に「極めて残念で遺憾だ」と述べています。「NHK NEWS WEB」は、27日付でこう報じています。
連合の古賀会長は、民主党の執行部との会談で、消費税率引き上げ法案の衆議院本会議での採決で民主党から小沢元代表ら57人が反対したことについて、「極めて残念で遺憾だ」と述べ、早急に党の態勢を立て直すよう求めました。
会談には、民主党から樽床幹事長代行や前原政策調査会長らが、連合から古賀会長や南雲事務局長らが出席しました。
この中で連合の古賀会長は、「社会保障と税の一体改革は重要な課題であり、法案が衆議院を通過したことは良かった」と述べました。そのうえで、古賀氏は、消費税率引き上げ法案の採決で、小沢元代表ら57人が反対したことについて、「これだけの重要法案で、政権与党からあれほど反対が出たのは極めて残念で遺憾だ。早急に党の立て直しを図って、参議院では政権与党にふさわしい議員としての役割と責任を果たしてほしい」と、求めました。
これに対し、樽床氏は、法案の参議院での審議では党内が一致結束できるよう努める考えを示すとともに、反対した議員の処分については野田総理大臣と輿石幹事長に一任していることを説明しました。会談のあと古賀氏は、記者団に対し、「政権交代を果たした時の国民の期待からすれば、50数票の反対が出て党の統治能力が問われる状況というのは極めて残念だ」と、述べました。
連合(日本労働組合総連合会)は、労働者の権利を擁護するのが建前ですから、本来は今回の3党合意の内容には反対すべきです。社会保障が先送りされ、労働者に負担を押し付ける消費増税だけが決められたのですから、小沢グループの造反に喝采を送るべきなのです。
消費税の納税義務者は企業や個人事業者ですが、負担するのは消費者ですから、一般の労働者にとって増税は由々しき問題です。しかし、大企業は輸出免税などで消費税を還付されるので、増税になれば逆に儲かるのです。だから経団連の米倉会長は、「早く増税しろ」と政府をつついているのです。
この辺の仕組みはややテクニカルなので中々理解してもらえませんが、消費税を増税すれば大企業の利益となり、それが雇用の維持・改善として跳ね返ってくるので、連合としても賛成せざるをえないのです。実際には、大きな勢力を占めている輸出関連企業の組合が賛成しているので、それが連合全体の方針になっているに過ぎず、一枚岩でまとまっている訳ではないのです。
古賀会長は、連合の代表として遺憾の意を示しているのであり、小沢グループが離党することに関しての是非は、また別問題です。ジャーナリスト歴の長い板垣英憲氏はさすがにこの点を熟知していて、28日付のメルマガでこう記しています。
小沢一郎元代表は、「野田切り」離党・新党結党の前に、最大の支持団体「連合」の古賀伸明会長と民主党の輿石東幹事長に挨拶し、仁義を切る
民主党が事実上、分裂状態となり小沢一郎元代表が、新党結党に向けて着々と準備を進めているなか、最大の支持団体である日本労働組合総連合会(略称・連合、古賀伸明会長)も、これに連動して内部分裂現象を示しつつあり、小沢新党が結党されれば、「親小沢」の労組が、こぞって支持する動きを見せている。
小沢一郎元代表は6月26日の衆院本会議で消費税増税法案が採決される前、古賀伸明会長に連絡して、法案に反対し、同志の数を見極めたうえで、新党きづな(9人)と共同し、野田佳彦内閣不信任決議案を提出する予定であることを明かした。これに対して、古賀伸明会長が、「ちょっと待ってくれ」と止めたという。自民党の谷垣禎一総裁が早期の衆院解散・総選挙を強く望んでいるので、「3党合意」を破棄して、不信任決議案に賛成する公算が大である。事態が解散・総選挙に進むと、「親小沢」の労組に根回しする時間がなくなるからだ。小沢一郎元代表は、これを受け容れたという。
… (下線は引用者による)
闇雲に離党しても、選挙で勝てなければどうしようもありません。支持基盤である連合に根回しするのは当然で、それ故離党宣言が先延ばしされているのです。悪意で凝り固まったマスコミは、事情を知りながらも報道せず、小沢氏が進退窮まったかのように印象操作しているのです。
輿石幹事長は参院のドンとして思惑がありますので、小沢グループの離脱を思い止まらせようとしています。また、虎ノ門の日本管理班も、離党者の数を減らすべく工作をしているはずです。民主党幹部は、造反者の処分に差をつけることで切り崩しを謀っています。
月曜日まで熾烈な裏工作が行われるはずですが、肝心のデビッド・ロックフェラーが失権してしまったようなので、小沢グループの結束を崩すことはできないでしょう。大安である7月2日には、離党宣言が出されるはずです。
元記事リンク:http://yokodo999.blog104.fc2.com/blog-entry-674.html
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