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東京第5検察審査会の疑惑「1枚の開示資料から」
この数日、私は第5検察審査会事務局長が実在するか否か、実在するとしたらどういう人物なのか、ということを考え続けてきた。マスコミ記事、森ゆうこ議員やパワーブロガー(一市民Tさん)らが情報開示請求して提出させた資料と、それに対する論考を元に、かなり時間を掛けて検討した来たが、現在入手できる情報だけでは壁に行き当たった感がある。
そこで今回は、事務局長の実在・非実在を巡る思考から頭を切り替えて、1枚の開示資料について検討を加えてみたい。その1枚の開示資料とは、森ゆうこ議員が提出させた【審査補助員・吉田繁實弁護士の旅費請求書】である。金額にして、わずか640円の請求。
阿修羅・政治板をご覧になっている方であれば、一度は目にしておられるのではないかと思うが、その書類は、これである。(森ゆうこ議員の資料サイトに直接リンクを張らせて戴いた。)
森ゆうこ議員、一市民Tさんをはじめ多くの方が、「斎藤副部長が検察審査会に説明に行ったのは9月下旬」との情報と「この請求書の日付」から、議決前に義務付けられている検察官による説明が、議決後の9月28日であることは明らかで、議決は無効である、と主張されている。
これに対して、法務省は、審査事件票などでは「7月は13日ともう1回」「8月は4日とあと2回」「9月は9月7日、9月14日(議決)の2回」、そして「10月4日(署名)」という資料を提出しながら、森議員に詰め寄られた法務省担当者は、日付については答えず、「検察審査会法の規定に則し、当該起訴議決よりも前に、検察官が検察審査会に意見を述べるため出席したことは承知しております。」との回答書を刑事局刑事課長名で返している。
この件は、一市民Tさんも徹底的に理詰めで解明してこられた。私は、この請求書から、もう少し異なる点を指摘しておくことにする。
氏名の記載が手書きの署名ではなくワープロ打ちであることに関しては、ほかの文書についてだったかもしれないが、すでにどなたかが指摘されていた。この文書についても、請求者の吉田弁護士の名前はワープロ内だし、黒塗りされている 検察審査会長の氏名についても手書きの署名ではあり得ない大きさだ。
横の判子の黒塗り程度の幅で塗りつぶしておけばよいものを、真面目な官僚たちは、なかなか律儀である。(笑)
そんな真面目で律儀な公務員にしてはオカシイのが出頭年月日欄だ。
平成22年■■■■9月14日
この抹消部分が、9月14日よりも前、たとえば9月7日と9月14日の2回の出頭分を一度に請求したのだ、と言われたら、なんとなく押し切られてしまいそうだ。しかし、9月28日に請求し、同日に斎藤副部長も出席していた。斎藤副部長の出頭は9月14日以前で、9月28日の吉田弁護士の出頭は小沢氏の事件とは別件の審査だ、と言うならば、この請求書理由たる出頭日は 平成22年9月14日 9月28日 であると堂々と日付を開示されたら宜しい。
この9月14日より左に書かれた黒塗りされている部分は、「ご想像の通り9月14日より前の日付、9月7日です」という場合も開示してしまった方が誤解はない。
そもそも旅費請求書は、ほかの開示事例では、すべて出頭(出席)した当日に請求されており、出頭日と請求日は一致しているものである。
となれば、 平成22年■■■■9月14日 の黒塗り部分は9月28日だろう。9月28日と9月14日の2回分を一緒に請求したのだ、と。実際にこの欄のマスキングを外せば、平成22年9月28日 9月14日 なのだろうと私も思う。律儀な公務員にしてはおかしくないか。日付は古い方から書くべきだろう。ましてワープロ作成、思う存分直せるじゃないか。
しかし、私の読みは少し違う。私は、この書類はもともと平成22年9月28日 1回分の請求書ではないか、と思ったのだ。神谷町−霞ヶ関間の運賃は片道一人160円、往復320円、請求額は640円だから2回分、・・・・私の読みは外れたか。片道一人160円、往復320円、請求額は640円。だから2人分という可能性はあるかもしれないが、こんなバカバカしい推理はこれくらいにしておこう。
他に気になるのは、まず、請求者・吉田弁護士の印鑑の大きさ。弁護士さんが常に大きなカバンをお持ちなのは想像に難くない。でも、たかが640円の電車賃の請求に、こんな大きな角印を押すのか?決済した審査会長ですら通常の認め印よりは大きいかもしれないがこの程度だ。
あとからこの請求書が必要になって、検察審査会事務官が城山タワー法律事務所まで行って書類偽造への協力を頼み込み、機嫌を損ねて渋る吉田弁護士に平身低頭して協力して貰ったのではないか、と勘ぐってみたくもなる。事務所のデスクあるいは鍵のかかるロッカーや金庫の中なら、こんな大きな角印があっても違和感がない。
と、ゲスな勘ぐりをしてみたが、気になったので「弁護士印」でgoogle画像検索をかける。すると、弁護士業に限らず、「士」の付く職業の先生方は、「弁護士○○○○之印」(もちろん縦書)という角印を認め印に用いることが多い、とあった。読みにくかった右下の「両」みたいな「工と口」が重なったような文字は「士」であることも判読できた。ひとつ賢くなった。それにしても、640円の請求書に押すには大層だ、という感じは消えないが。
やはり次に気になるのは、こんな請求書フォーマットがあるなら、最初に請求者が金額と自分の名前を手書き押印し、そして決裁者が署名押印する、という手順を踏むのが普通だろうに、双方の氏名が予めワープロ打ちされていることだ。
請求金額や請求額を印字して押印を貰い、後からワープロで決裁者の印を貰う前に職員が決裁者氏名を打つ、などということはあり得ない。事前に請求内容・金額と請求者名、決裁者名が印字されたものとして書類作成し、それから請求者が印を押して請求、決裁者が承認する、という手順になっているのだろう。かなり不自然だが、律儀な完全主義の公務員なら、こんな馬鹿げた手順で行っているのかもしれない。請求者も決裁者も、印鑑を押すだけで処理できる。便利だ。本人がいなくても、判子さえあれば何でもできる(笑)。
最後に、この書類に関して私の一番大きな疑問を投げかけておく。
なぜ、この請求書の決裁者が、検察審査会長なのか?
こんな事務的決済こそが事務局の行うべき業務で、事務局長決裁とするのが普通ではないのか?
こんな疑問が出てきたので、経理規定がどうなっているのかが気になった。これまで、検察審査会に関する法規は、検察審査会法と同施行令をかなり読み込み、任用に関しては上位法令や準用法令など(裁判所法、国家公務員法、人事院規則など)を調べたが、経理に関してはどの法令規則に従うのか、調べていなかった。この論考を書きながら検索してみたが、どうもよくわからない。
が、いずれにしても、予算執行(経理)を管轄する裁判所提出するとはいえ、こんな些末な事務処理に、民間人で任期6ヶ月(会長はその半分の3ヶ月)の審査会長が決済するのはどう考えてもおかしい。他の経理業務(たとえば事務官の給与支払とか、備品購入とか)の決済などを審査会長が行うことには無理がある。いや、なにより検察審査会長も検察審査員であり、毎回自分の旅費請求をする立場だ。企業などで経営者が自分で決済することは当然にあるが、ウチの場合は社長でも経理担当に決済してもらう。律儀で真面目な官僚なら、なおさら、たった3ヶ月、法律上だけの上司である民間人に、そんな決済を委ねる制度の存在を許しはしない。もし彼らがやらせるとしたら、勝手に裏金を捻出して、その責任を、お飾りの役職者に押しつけることくらいだろう。
経費決済、これこそ検察審査会長でも事務官ではなく、事務局長の仕事だ。
ということは、この書類の決裁者欄のマスクの下に、何が隠れているか、非常に興味深い問題があることになる。
ここにこそ、正真正銘の事務局長の名が書かれていた?それが傳田であろうがなかろうが、彼らは見せたくないのだ。開示請求されても見せられないからマスクで隠し、事務局長の名をを隠していると思わせないために検察審査会長の肩書きを付け加えた?
しかし、元の1行に事務局長の肩書きと氏名が納まるか?もう一度振り返ってみよう。もし、この決裁者が事務局長であったとしたら、検察審査会長やほかの検察審査員のように「会議の非公開」「個人情報保護」では逃げ切れない。だから、公文書偽造 せざるを得なかったのではないか?
彼らは、やはり事務局長の存在をオモテに出したくないのだ。全国どこの検察審査会でも、という意味ではない。東京でも第5以外は普通に事務局長決裁しているのではないか。この第5だけ、小沢事件だけは、事務局長を隠し通さねばならない事情がある、ということは考えられないか。
今日は、事務局長問題とは違うことを考えるつもりだった。結局ここへ戻ってきてしまうのは、私の思考回路がクローズドサーキットになっていて、ここ(事務局長の実在・非実在問題)に落ち込んでしまうからなのか、それとも、ここに真の問題が潜んでいて、どうしても追究すればするほど、他のルートを探っているようでも、この問題に到達してしまうのか?
早く法務委員会秘密会を開いてくれないと、仕事をしながら毎日こんな文章を書き続けるわけにはいかないではないか。 森さん、辻さん、川内さん、階さん、何としても秘密会開催を、何としてもお願い申し上げます。
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