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先週はこのコラム、お休みしてしまった。数少ない読者の方々、ごめんなさい。「どうしたんですか?」というご心配をたくさんいただいた。ほんとうに、ありがとう。
実はこのところ、身内にかなり辛い事情が頻発。肉親が連続してかなり難しい癌を発症。ほかにもいろいろと心を塞ぐ出来事が重なった。いったいどうしたんだろう、と僕は頭を抱えてしまったんだ。
癌が放射能のせいだ、などと言うつもりはないけれど、なぜこの時期に重なって発症したのか。気分は滅入る。
僕の力ではどうしようもないことばかり。それが連続して起きた。ただでさえ3月は、あの原発事故の恐怖が甦り、心ざわめく季節なのに、この異常な状況に僕は立ち向かえなかった。そのため、病気見舞いで病院へ出かける以外はほとんど引きこもり。近所の公園を散歩するのがやっと。文章なんか、とても書けるような状態ではなかった。
でも、僕が悩んでも何も解決しない。ようやくフラフラしながらも立ち上がった。へなちょこパンチだって、数打ちゃほんのわずかの効果ぐらいはあるかもしれない。そう思って、また「お散歩日記」を書き始めようとパソコンを開いたんだ。
やはり、僕の関心は原発だ。
原発をめぐる状況は、ほとんどラビリンス。なにがなんだか、さっぱりわけが分からない。わけを分からなくしているのが、枝野幸男経産相という人。彼は病気ではないけれど、とても可哀相な人だと思う。最近、この人ぐらいクルクルと言葉を変える政治家も珍しい。ざっと拾い集めてみても、その言葉の変遷は目を覆うばかりだ。
うちのカミさんによれば「枝野さん、ウソをつく時はこめかみに汗が浮かぶのよ、知ってた?」。 そう言えば、確かに言いたくないことを言わざるを得ない時には、うっすらと…。今日(17日)も、記者会見で微妙に汗ばんでいたように見えたのは、僕の気のせいか。
以下の枝野氏言行録に中に、いったいいくつの“ウソ”や“言いたくないこと”が含まれていただろう。
読んでみて、呆れてしまわないほうがどうかしている。ことに、大飯原発再稼働がスケジュールに乗ってからの発言の揺れはひどすぎる。これだけ前言をひるがえし、訂正し、言い訳する政治家も珍しい。
政治家の、それも国家の重要なエネルギー政策に責任を持つべき政治家の言葉がこれほど揺らぐのであれば、この国の政治そのものがまともであるはずがない。
それでも、時折洩れる「原発依存をゼロに…」というのが、枝野氏の本音だろうと僕は思う。本音を洩らしては、誰かサンに叱られて訂正してしまう。まるで、先生に叱られる生徒だ。所詮、政治家には向かない人だったのだ。 枝野氏と親しいという知人のジャーナリストの解説によればこうだ。
「枝野さんの気持ちは明らかに脱原発。『私の気持ちは、反原発派に近い』とまで言ったことがありますからね。だからこそ、経産省や財界筋は躍起となって彼を洗脳しようとしている。
毎日のように官僚たちによって、再稼働しないとこの夏にはこれだけの電力不足に陥りますよ、酷いことになりますよ、責任を取れるんですか、と繰り返し繰り返し吹き込まれれば、やっぱり再稼働も仕方ないか、ということになっていくのは当たり前。
それに、野田首相や枝野さんの後見人役の仙谷さんの存在がデカイ。関係閣僚会議に、なぜか必ず仙谷さんが出席しているのも、考えてみれば不思議です。
仙谷さんは単なるオブザーバーであって、何の権限もないはずなのに、彼が無言の睨みを効かしているんですよ。民主党内では財界筋や電力会社等にもっとも太いパイプを持っている政治家ですから。
追い込まれてにっちもさっちもいかなくなっている野田首相を、陰で操っているのは実は仙谷さんだ、とまで言う人もいるほど。
また仙谷さんは、エネルギー5人組と言われる集まりを牛耳っています。これは、枝野経産相、細野原発事故担当相、古川元久元国家戦略担当相、斎藤勁官房副長官と仙谷さんの非公式の5人組です。ここが実際の原発政策を決めているといってもいいでしょう。“チーム仙谷”と呼ばれ始めているようですが、消費税で頭が一杯の野田首相は、原発に関しては、“チーム仙谷”に丸投げなんですよ」
かつて、田中角栄元首相は“闇将軍”と呼ばれ、時の首相でさえ、彼の意向には逆らえなかった。現在では“豪腕”と呼ばれる小沢一郎氏がそれに似たイメージだが、仙谷由人・民主党政調会長代行の暗躍のほうが、どうやら一枚上手のようだ。その仙谷氏の怖いエピソードが東京新聞(4月15日付)に載っていた。
反対する人たちを「ごちゃごちゃ言うヤツ」とこき下ろす。いったい何様のつもりなのだろう。さらに仙谷氏は16日、驚くべき放言。
「原発を一切動かさないということであれば、ある意味、日本が集団自殺をするようなものだ」
この人、本気で言い放ったのか。あの悪名高い米倉弘昌経団連会長だって口にしないような恐ろしい言葉だ。脅迫もここまで来ればリッパな芸というしかない。ハリウッドのB級SF映画によく出てくる地球を滅ばす超悪役のイメージだ。
だが、「原発がなければ日本は集団自殺」というのは事実か。
それは相変わらずの、原発停止→電力不足→経済停滞→企業海外流出→日本経済空洞化→日本崩壊、という言い尽くされたヘリクツから一歩も出ていない。
原発停止がほんとうに電力不足を招くのかについては、様々な論議がある。数日前の「モーニングバード」(テレビ朝日系)でも指摘していたことだが、現在の供給量(関西電力のHPによる)であれば、需要は賄えるはずだという。さらに、不足に陥るとする関電の計算の根拠が、各家庭や企業の節電努力をまるで計算に入れていない。その上、たとえば揚水発電や企業の自家発電からの買電、他社からの融通電力などをまったく考慮していないというから、関電の言い分は極めて怪しい。
この夏の“電力不足論”については、今週の「週刊朝日」(4月27日号)の広瀬隆「関西地方は原発ゼロでも真夏に電力不足は起こらない。みんな安心して!!」という記事に詳しい。具体的な数字を挙げて「関電のウソ」を指摘しているのだ。 これは、ぜひ読んでほしい。もしこの記事にきちんと反論できる人がいるのなら、僕はぜひともその人の意見を伺いたいと思う。
つまり、関電は自分の都合のいい数字だけを使って“電力不足キャンペーン”を繰り広げているのであり、野田内閣はその数字の検証もせずに一方的なキャンペーンに乗っているだけ、と言われても仕方ない。もしそれが不当な批判だというのなら、関電はすべてのデータ・情報を我々の前に明らかにして、ほんとうに電力が足りないかどうかを議論すればいいではないか。
こう書くと、また批判が来る。
原発代替のための火力には、膨大な化石燃料が必要。その輸入代が増えれば電気料金値上げをしなければならない、それでもいいのか、という耳タコの批判だ。
前にも書いたから繰り返さないが、日本がいまだに円安時代の高価格で化石燃料を輸入している事実を指摘すれば足りるだろう。どんなに高価格であろうと、それを電気料金に上乗せできる現在の電気料金制度、それをいいことに企業努力を怠ってきた電力会社のツケを、なぜ我々消費者が負担しなければならないのか。
こんな旧態依然たる議論に乗って、仙谷氏らは原発再稼働へひた奔る。まさに、首相以上の実力者ではないか。こうした人たちが、我々の知らない闇の中で「大飯原発再稼働」を決めていくのだ。
それにしても、彼らが言う「安全基準」や「工程表」はあまりにデタラメだ。こんな基準なら、どんなオンボロ原発だって稼働できることになる。百歩、いや千歩譲って再稼働を認めるにしても、それには最低限の安全対策が完成してから、という条件がつく。
ところが、現実はどうか。
福島原発事故で、なんとか最後まで機能したたったひとつの場所が「免震重要棟」と呼ばれる施設だった。ここに踏みとどまった作業員たちが、必死の働きをすることによって、かろうじて現在の原発の姿がある。もしこれがなければ、原発事故はもっと悲惨なことになっていただろう。それは、素人の僕らにだって分かることだ。
その「免震重要棟」が、なんと大飯原発にはない。これができるのは、なんとなんと(なんとを繰り返してしまうが)2015年だという。原発にシビアアクシデントが起きたとき、爆発を防ぐ最後の手段が格納容器の圧力を抜くベント(排気)だが、その際の、放射性物質除去のフィルター設置さえも大飯原発にはない。これが設置されるのも、なんとなんとなんと(なんとを何度言えばいいのか!)2015年なのだという。
ここで単純な質問で〜す。
「もし、2015年までに(つまり、免震施設やベント施設ができる前に)大地震や大津波が、大飯原発を襲ったらどうすんですかぁ?」
誰もこれには答えられまい。原子力安全・保安院、原子力安全委員会、福井県原子力安全専門委員会、経産省などの高級官僚のみなさん、そして野田さん枝野さん仙谷さん…、答えられるものなら答えて下さい。
福井県原子力安全専門委員会は、西川一誠知事の諮問を受けて、政府の再稼働方針を審査するが、多分、「再稼働に問題はない」との結論を、間もなく出すだろう。断言してもいい。
なにしろ、この委員会の重要メンバーたちには、関西電力や電気事業連合会、その関連団体などから多額の寄付金が渡っている事実がある(朝日新聞3月25日)。「金はもらったが、審査は公正」と言われたって、誰が信用するものか。
こんなデタラメなやり方で「大飯原発再稼働」にのめり込む連中に、「日本が集団自殺」などと言われたくない。僕はむしろ、「再稼働」のほうが「日本の集団自殺」に近いとさえ思うのだ。
http://www.magazine9.jp/osanpo/120418/
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原発を再稼働させないと電力が足りなくなるという主張には説得力がない。
今日の朝日新聞夕刊に興味深い記事が掲載されている。「電力融通『隠れた電源』」という記事がそれだ。
今年2月3日、九州最大の火力発電所がトラブルで停止した。九州の全原発は停止している。この日は全国的に冷え込みが厳しく、九州だけでは電力の供給力が足りない。九電の要請からわずか3時間で、東京電力を含む6社は原発2基分にあたる計210万`ワットを九州に送り、停電は回避された。
全国的な電力融通の仕組みは、停電を回避する強力な手段となる。しかし、電力会社はこの仕組みを電力供給力として十分に見込んでいない。記事によれば、その背景には、地域独占体制を崩したくない電力会社の思惑があるという。関西電力大飯原発の再稼働にあたっても、「関電管内の電力不足」ばかりが強調され、政府もそれを追認した、と関電と政府を批判している。
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