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●「なぜ、ギリシャに貸し込んだのか」(EJ第3274号)
2012年04月04日 :{Electronic Journal}
ギリシャは日本の3分の1ほどの国土を持ち、人口約1200万人の国です。1999年のユーロ発足時にギリシャは、ユーロに加盟しようとしたのですが、加盟条件を満たしていないとして拒否されています。そこで、2001年になって財政収支のデータを提出し、遅れて加盟が承認されたのです。当時のギリシャ政権は、コスタス・シミティス首相率いる全ギリシャ社会主義運動党の第3次政権だったのです。
2004年3月のことですが、コスタス・カラマンリス氏率いる新民主主義党は、コスタス・シミティス政権に選挙で勝利し、に政権交代したのです。実はこの政権でユーロ加盟のときの財政収支データを修正しているのですが、この時点でユーロ加盟基準を満たしていないことが判明したのです。しかし、この政権はその事実を隠してしまったのです。
どうしてそんなことをしたか、です。真相はわかりませんが、2004年8月には「アテネ・オリンピック」が開催されることになっていたのです。しかも、経費が当初予想の46億ユーロをはるかに超えて、70億ユーロに達したのです。きっとその関係もあって、財政収支データを隠匿したと思われます。
2009年10月になって、新民主主義党が選挙で敗れ、全ギリシャ社会主義運動党が政権を取り、ゲオルギオス・アンドレアス・パパンドレウ氏が首相に就任し、ユーロ加盟のさいの財政収支データは虚偽であったことをばらしてしまったのです。
このインチキなギリシャのユーロ加盟について、既出の上念司氏は自著で次のように述べています。
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言ってみれば、実力的には絶対に合格しないはずのユーロという進学校に、ギリシャはカンニングで入ってしまったようなものです。さらに悪いことにギリシャは素行不良の生徒でした。
過去200年間で100回も借金を踏み倒している札付きの不良だったのです。受験のためにしばらくおとなしくしていただけですから、合格したら元の不良に戻るのは必然でした。しかし、ドイツヤフランスの金融機関は、ギリシャがユーロに参加できたということで勝手に素行不良が治ったと思い込んでしまいました。
──上念司著
『日本再生を妨げる/売国経済論の正体』/徳間書店
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ここでユーロ各国銀行の、2010年11月時点のギリシャへの債権を確認する必要があります。
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フランス ・・・・・ 530.0 億ドル
ドイツ ・・・・・ 340.0 億ドル
イギリス ・・・・・ 130.1 億ドル
ポルトガル ・・・・・ 100.2 億ドル
アメリカ ・・・・・ 70.4 億ドル
オランダ ・・・・・ 40.5 億ドル
イタリー ・・・・・ 40.2 億ドル
オーストリア ・・・・・ 30.1 億ドル
──上念司著
『日本再生を妨げる/売国経済論の正体』/徳間書店
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これを見ると、フランスとドイツの2国で870億ドル(約6兆円)、全体の3分の2を占めています。こうなると、ギリシャがデフォルトすると大変なことになります。
問題はどうしてそんなギリシャ国債を買ったかです。ギリシャがおかしいことはユーロ各国は2005年頃からわかっていたはずなのです。それでも貸し込んだのには理由があります。それはギリシャ国債はユーロ債になっており、ギリシャに投資するさいの為替リスクがなくなったからです。
しかも当時ギリシャは不動産バフルが沸き立っていて、国として何となく調子が良さそうに見えたのです。それにギリシャ国債は他の欧州各国のそれよりも高金利で魅力的であり、フランスとドイツの金融機関は、そんなギリシャに多額の資金をつぎ込んでしまったのです。
ギリシャはギリシャで、国民は不動産バブルに浮かれてしまい時の政府のバラマキ政策──年金や公務員手当などの増額によって、盛り上がっていたのです。不動産は高値を呼び、投機的な不動産取引が頻繁に行われていたのです。かつて日本が被ったあのバブルと同じ現象です。
それにギリシャは公務員の数が労働人口の2割以上を占め、国民性なのか、税金をきちんと納めない国民が多く、税務署も税務署で、取り立てが厳しくないのです。そのため、脱税する者もたくさんいたといいます。ギリシャという国家システム自体が既に破綻していたのです。
そこにリーマンショックが襲ったのです。ここで一挙にバフルが弾けたのです。ところで、バフルとは一体何でしょうか。
バブルというのは、民間が借金を増やして資産に投資する経済活動のことで、それが爆発的に拡大する現象です。なぜ、爆発的に拡大するのかというと、投資利益が実質金利を上回って、投資効率が高くなる──つまり、「儲かる」からです。
しかし、いつまでもそれが続くのではなく、やがてピークに達し、それから一挙に崩壊するのです。投資利益が金利とイコールになったときがピークなのですが、事前にそのピークを見極めることは不可能なのです。
資産価値が下落して投資利益が下がり、やがて金利を下回るようになるのです。つまり、投資しても「儲からない」状態になってしまうのです。そうなると、バフルは一挙に崩壊してしまいます。問題はバブルが崩壊した後の国として打つべき処置です。ギリシャはどうしたのでしょうか。日本のケースも含めて明日考えることにします。
─── [欧州危機と日本/03]
≪画像および関連情報≫
●バブルとは何か
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「バブル景気」という語は1987年に命名されたとされ、元になった「バブル経済」という語自体は1990年の流行語大賞の流行語部門銀賞を「受賞者:該当者なし」(誰が最初に使い、流行らせたのか判らないため)で受賞している。
しかし、この語が広く一般に、実感を伴って認知されたのは投機経済が崩壊した後である。例えば、1990年末に出版された朝日現代用語・知恵蔵1991には「バブル」という語は使用されていない。元来、「バブル」は「泡」を意味する語なので、泡沫景気(ほうまつけいき)と呼ばれることもある。
1990年代初期には、平成景気(へいせいけいき)とも呼ばれた。経済学者の野口悠紀雄は、1987年11月に「バブルで膨らんだ地価」という論文を、『週刊東洋経済・近代経済学シリーズ』に掲載しており、「私の知る限り、この時期の地価高騰を「バブル」という言葉で規定したのはこれが最初だ」と述べている。
一方で景気の後退の様は「バブル崩壊」と言われ、「失われた20年」、更には格差社会の発生へとつながる。
──ウィキペディア
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元記事リンク:http://electronic-journal.seesaa.net/article/262050227.html
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