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「PIIGSとPIGSの違い」(EJ第3273号)[欧州危機と日本/02] {Electronic Journal}
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投稿者 メジナ 日時 2012 年 4 月 03 日 17:57:21: uZtzVkuUwtrYs
 

●「PIIGSとPIGSの違い」(EJ第3273号)
 2012年04月03日 :{Electronic Journal}


 「日本はギリシャのようになっていいのか」──2010年に菅前首相はこのようにいって消費増税論議が始まったのです。菅首相は日本とギリシャを比較することのナンセンスさを知らないからこそ、財務省にいわれるままに、そのように発言したのだと思います。

 今でも「日本の財政状況は最悪のギリシャよりさらに悪い」ということをいう人が少なくないのです。あくまで日本の政府負債累計残高の対GDP比が200%であることだけで、世界と比較しているのです。

 しかし、そのように見ているのは日本人だけです。海外の投資家が注目しているのは「長期金利」です。日本の長期金利は長い間一貫してずっと低いのです。

 「もし、消費増税法案が通らないと、日本国債は格下げされ、長期金利が上がる」という風説が流布されています。しかし、国債が格下げになると、本当に長期金利が上がるのでしょうか。

 2011年8月5日のS&Pによる米国債格下げと、8月23日のムーディーズの日本国債格下げについては、日米ともに翌日に長期金利は少し上がったものの、すぐ元の低い水準に戻ってしまっています。こういうニュースは日本のメディアは全然報道しないのです。それにしても格下げ会社は、頼まれもしないのに、勝手に国債の格付けを行い、大々的に公表しています。どういう権限があってそんなことをしているのでしょうか。

 ところで、「PIIGS」とIのひとつ少ない「PIGS」の違いがわかるでしょうか。
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 PIIGS:ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン
 PIGS :ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン
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 これは「利回りスプレッド」というもので選んでいるのです。
ユーロ圏各国のなかで利回りが一番低い国債は、ドイツ国債(ブンズ)です。利回りが低いということは、国の信用度が高く、財政力や経済力に対する信頼度が高いということです。つまり、利回りが低くても売れるということです。

 そのドイツ国債の利回りをベンチマーク──基準利回りとすると、他のユーロ圏諸国の利回りは高くなります。その格差のことを「利回りスプレッド」もしくは単にスプレッドというのです。

 リーマンショック後の2008年末、スプレッドの高かった国は、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインだったので、それらの国をまとめて「PIGS」と呼んだのです。このときのIはイタリアのことです。この時点のスプレッドは国債発行コストの格差という意味で使っていたのです。

 2010年になると、スプレッドが危機と結びつき、スプレッドに加えて財政赤字が重視されるようになったのです。2009年の財政赤字の対GDP比で、5ヶ国の順位を並べると次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
     1.アイルランド ・・・・ 14.3 %
     2.ギリシャ   ・・・・ 13.6 %
     3.スペイン   ・・・・ 11.2 %
     4.ポルトガル  ・・・・  9.4 %
     5.イタリア   ・・・・  5.3 %
―――――――――――――――――――――――――――――
 このように並べると、イタリアはかなり低いということで、イタリアを外し、PIGSになったのですが、その後イタリアがまたおかしくなって、再びPIIGSに戻ったりと、イタリアが出たり入ったりしているのです。

 よく南欧諸国という呼び方をします。この場合は厳密には、Iはイタリアを指してPIGSということになります。アイルランドは西欧になるからです。しかし、深刻なソブリンリスクを抱えるのは、アイルランドを含む南欧諸国──PIIGSです。もしギリシャがデフォルトすると、危機はPIIGS全体に及び、それはそのままユーロ危機に直結します。

 スペインに注目する必要があります。ギリシャはユーロ圏GDPの2.6 %、ポルトガルとアイルランドは1.8 %と小さいのですが、スペインは11.7 %を占め、ドイツ、フランス、イタリアに次いで第4位を占めるからです。

 ところで菅首相が日本と比較するため、過剰に取り上げたギリシャについて考えてみることにします。ギリシャは直近の100年の間に5回もデフォルトを繰り返しています。そういう意味で「札付き」なのです。そのためギリシャは「欧州の問題児」といわれてきたのです。もともと国家財政が破綻している国なのに、なぜユーロに参加できたのでしょうか。

 それは数字を粉飾したからです。発覚したのは2009年10月4日のことです。この日ギリシャは、福祉水準向上などを訴えた全ギリシャ社会主義運動党が選挙に圧勝し、政権交代が行われたのです。その結果、旧政権が財政赤字はGDP比4%程度としていたのを新政権が精査したところ、本当は12.7 %だったことが判明したのです。

 この数字操作の理由は、ギリシャがEUに加盟するためについたウソだったのです。それにしてもそれを見抜けなかったEUはお粗末です。ユーロ加盟国は、1991年のマーストリヒト条約第5付属議定書によって、財政赤字を対GDP比で3%以下に収めることが義務付けられているのです。

 しかし、このEUの経済学は少しおかしいのではないかと思います。異常に財政赤字を気にするからです。つねに財政黒字を目指せというのでしょうか。日本の財務省はこのEU式経済学を日本に当てはめ、日本の財政赤字が累計で、対GDP比200%を強調し、消費増税を煽ったのです。
  ─ [欧州危機と日本/02]


≪画像および関連情報≫
 ●経済ニュースゼミ/小笠原誠誠治氏のブログ
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 相変わらずヨーロッパの財政危機に関心が集まっています。
 今度はポルトガルの国債が格下げになったとか。しかし、これだけ世界中が心配し、IMFやEUが支援しているのに、何故ギリシャは危機から抜け出すことができないのか?何故だか分かりますか?それは、ズバリ市場経済の原理が働かないからなのです。
 
 例えば、どこかの国がギリシャのように収入以上の生活に打ち興じ、海外から多額の借金をして贅沢な生活を送っていたとしましょう。で、何時の頃からか海外に不信感が芽生えた、と。「果たして貸した金は戻ってくるのだろうか?」で、債権者たちがお金を貸すことに慎重になると、債務国は急に資金繰りがつかなくなり、デフォルトとなるのが一般的なパターンである訳です。
 
 その後、どうなるでしょう?いろいろな対応の仕方がある訳です。デフォルトを宣言して、海外に対してはお金は返さない。ピリオッド。つまり、それで終わり。まあ、そんな仕打ちをされても、相手は主権国家ですから、海外の銀行側は何も有効な手段はない訳です。
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パパデモス

                          パパデモスギリシャ首相


元記事リンク:http://electronic-journal.seesaa.net/

 

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