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(回答先: 子どもの数は減っているのに、なぜ保育所が足りないのか 投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 18 日 09:49:21)
2016年6月18日 dot.
韓国の若者を心を掴んだ日本の流行語とは?
毎年、韓国では社会状況を反映したユニークな流行語が生まれる。2015年には、地獄のような韓国社会という意味の「Hell朝鮮」、また生まれついた貧富の差を「金の匙、木の匙、土の匙」など匙のクラスで揶揄する「スプーン階級論」という言葉が大流行した。
そんな韓国では今年、“ある言葉”が流行の兆しをみせている。日本でも何かと話題になることが多い「ミニマリズム」という言葉だ。
ミニマリズムは韓国でも大流行(イメージ)
韓国では、ミニマリズムという言葉は「ある目的を達成するにあたり、必要以上のものをもたない生き方」や、「最小限のもので幸福を感じる人々やその思想」を指す言葉として理解されている。モノに縛られず、精神的満足と幸福を追求するという意味では、日本のそれと近しい解釈になる。そもそも、韓国でミニマリズムという言葉が流行するきっかけを作ったのは、日本の著名人たちだとも言われている。
代表的な例は、「片付けコンサルタント」の近藤麻理恵氏や「ミニマリスト」の佐々木典士氏。彼らの著作は韓国語に翻訳・出版されており、多くの韓国人に愛されている。
韓国では現在、ミニマリズムという言葉が実に多くのシーンで使われている。というよりも少し使われすぎている感が否めない。例えば、シンプルなファッションセンスや、スッピンを披露する女性芸能人に対しては「ミニマリズムの魅力!」と称賛してみたり、軍隊生活(兵役生活)については「ミニマルライフの極み!」、芸術作品に対しては「ミニマリズム的傑作!」などと、猫も杓子もミニマリズムといった様相だ。流行語があれば使わずにはいられない、韓国人の国民性といったところだろうか。
一方で、よりストイックにミニマリストを目指す若者たちがいる。過度な競争社会のしがらみを捨て、精神的な豊かさを求めようという人たち。すなわち、ミニマリズム原理主義者というべき若者たちだ。ミニマリストを目指す男性のひとり、オ・ソンチョルさん(27歳)は言う。
「常に競争しなければならなかったり、不必要なものをたくさん持たなければならないという強迫観念に駆られる人生にすごく疲れていました。そんな時、日本のミニマリズムやミニマリストの本に出会った。そういう生き方もあるのだなと、目からウロコが落ちました」
オさんは韓国の地方大学を卒業後、ソウルに上京。契約社員として就職したものの、慣れない都会の生活や、日々競争しかない職場の人間関係に疲れ果て、すぐに地元に戻ることになった。その後、しばらく海外で生活し、再び韓国の地元へ。現在はほそぼそとアルバイトをしながら生活している。オさんは、受験競争や就職難、都市と地方の格差、失業など、現代韓国の世相を体現した若者のひとりと言えそうだが、「韓国には自分と似たような若者がたくさんいる」と話す。
そんなミニマリストを目指す韓国の若者にとっても、PCやスマートフォンなどの“モノ”は必須なのだとか。インターネットを使って精神的なつながりを保ったり、情報交換したり、コミュニケーションを取るのだという。
韓国のネット上には、ミニマリズムと関連したさまざまなブログや書き込みが、ところせましとならんでいる。「ミニマリストとしていきるための準備」、「ミニマリストへの道は長く、険しい」「捨てるほど軽くなる人生の重み」など、そのテーマや内容もさまざまなだ。
なぜ、ミニマリズムが提唱するシンプルな生活が、韓国の若者の心を捉えて離さないのか。その理由を安易に決めつけるのはよくないかもしれないし、もしかしたら一過性の流行かもしれない。ただ、「何も持たない暮らし」は、「何かを持とうと思うと苦しい暮らし」の裏返しともとれる。オさんの知人で、ミニマリスト仲間のカン・ソラさん(女性、28歳)は言う。
「正直、最初から何も欲さなかった訳ではありません。ただ、何かを得ようとすればするほど手に届かないものが増えていく。他人が普通に持っているものが、持てなかったり……そういうことに悩むのが非常に苦痛でした。だから他に喜びを見いだす術を得なければと思うようになったんです」
つい先日、韓国では16年第1四半期の青年失業率(15〜29歳)が、統計庁によって発表された。結果は11.3%(15年の同時期9.2%)と過去最悪を記録。格差や就職難など、韓国の若者たちの置かれた状況が、ますます悪化していることが明らかになった。
韓国の若者のなかでは現在、ミニマリズムの一方で、極端な愛国主義や、戦争肯定論がにわかに増えているとも言われている。満たされない“何か”を埋めるために、新たな思想や精神的支えが求められているだとしたら…。不必要に満たさない暮らしを標榜するミニマリズムもまた、そんな心の隙間を満たすための思想として注目を浴びているのかもしれない。
(文・河 鐘基)
※dot.より転載
http://diamond.jp/articles/-/93225
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