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「晩年の海外移住」という選択はありえるのか?
『脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち』
2016年06月12日(日)足立倫行 (ノンフィクションライター)
65歳以上の国民が4人に1人(2035年には3人に1人)という超高齢社会の日本。子どもには頼れず年金も減額傾向。特別養護老人ホーム入りは数百人待ち、有料老人ホームは入居一時金のみで数千万円の所もある現状では、「晩年の海外移住」も選択肢となる。
『脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を 賭ける日本人たち』(水谷竹秀、小学館)
物価や気候の面から、フィリピン、タイ、マレーシアなどが「優雅なセカンドライフ」の地として人気だが、その実態はどうなのか、フィリピンに即してさまざまなケースを丹念に検証したリポートが本書である。
著者の水谷さんは、11年の開高健ノンフィクション賞受賞者。日刊マニラ新聞の記者だったその時のテーマは、フィリピン女性を追って渡航したあげく文無しになった「困窮邦人」だったが、2作目の今回は、必ずしもネガティブな海外生活ではない。
「それはそうです。高齢者の海外移住がバラ色とは限りませんが、だからといって全部灰色でもない。フィリピンに行ったおかげで、日本で暮らすより楽しい老後を送っている人は、確かに何人もいるんです」
水谷さんは、日本脱出の理由として寂しさ・借金・閉塞感・北国の雪などを挙げ、それぞれ複数の高齢者の例を追っている。失敗例もあるが、成功例には共通点がある。
「人情味のあるフィリピン女性をパートナーに選ぶのが一番ということですが、日本男性の方もある程度の経済力を持つこと、細かいことを気にしない大らかさなども必要?」
「ええ。日本の価値観を持ち込むのではなく、異国に住まわせてもらっているという感謝の気持ちが大切ですね」
しかし、19歳の妻とスラムで暮らす元大手企業サラリーマンのように、「ほぼ完璧に現地と同化」しながら、突然の妻子の病気で生活崩壊に到る人もいる。この人物の場合は著者に金を無心し、やりとりは赤裸々だ。
水谷竹秀(Takehide Mizutani)
1975年三重県生まれ。上智大学卒業後、新聞記者などを経てフリーに。『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で開高健ノンフィクション賞受賞。
「お金を渡す以上、徹底的に取材しましたけど、今回は試行錯誤が多く悩みました。落ち着くかと思うと新たな難題が待っていたり」
変転する事態に食らい付いて行く水谷さんのジャーナリスト魂も、読みどころだ。もう一つは、本人ではなく「親の介護のための海外移住」ケースを取り上げたこと。
「親の認知症や徘徊、介護疲れなどは日本の社会の差し迫った問題なので、フィリピンでの実例はぜひ入れようと思いました」
一時脚光を浴びた日本人向け介護施設がほぼ全滅した現状は知っておくべきだが、それでも成功例がないわけではない。
「認知症の95歳の母親を看取った娘さんの場合、6年間に120人のメイドを雇い、キーワードはメイドと悟ったそうですね?」
「田舎の若い女性など、大家族主義のいい部分を受け継いでいます。親族の支えといい出会いがあれば、海外介護という選択肢もありです」
日本人の生活設計はアジアにも拡大中。水谷さんは今後、タイも含めてその活動の状況を記録すると言う。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5899
- マニラの欲ボケ婆、海外老人ホームの闇 灰色の海外移住? 桃色の海外移住? チェンマイホームレス日記 軽毛 2016/6/13 16:38:44
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