【甘口辛口】
2016.4.29 07:55

　人生に癒やしは必要だ。特に非日常に置かれたとき、心理的平衡を失わないための重要な役割を果たす。ペットは人を癒やしてくれる。それだけに、災害時に避難所でペットの鳴き声や糞（ふん）尿をめぐるトラブルが絶えなかったり、飼い主と同行しているペットを受け入れない避難所があったりして、ペット連れの被災者が行き場に困っているという話を聞くと胸が痛む。

　心の支えにもなるペットの中でもイヌは特別な存在とノーベル生理学医学賞を受賞した動物行動学者、コンラート・ローレンツは、名著「ソロモンの指環（ゆびわ）」（日高敏隆訳）に書いている。「すべての家畜は身ぐるみの奴隷であり、ただイヌだけが友である」。

　災害発生から７２時間を経過すると、災害で救出を待つ人たちの生存率が著しく低下するという。捜索者は、その時間内に行方不明者を捜さねばならない。そこで活躍するのが、災害時にいち早く現場に駆けつけ、がれきや土砂の中から一人でも多くの命を見つけ出すために訓練された災害救助犬だ。イヌは人間では発見が困難な行方不明者を、発達した嗅覚や聴覚などによって捜すことができる。

　熊本地震でも、全国各地から災害救助犬が熊本入りした。がれきにまじったガラス片などでけがを負い、血を流しながらも黙々と捜す。なかには疲労で倒れるイヌもいるという。そのけなげな姿は胸を打つ。

　ローレンツは続ける。「イヌこそほんとうに忠実な恭順な友である」。この従順で忠誠心に厚い愛すべき小さな友に、感謝の念を抱かずにいられない。そして、被災地にいるすべてのペットたちに、飼い主との平穏な暮らしが一日も早く戻ることを願う。　（鈴木学）
http://www.iza.ne.jp/kiji/column/news/160429/clm16042907550004-n1.html 　

コメント
1. 2016年4月30日 08:37:12 : kj6MLorCxs : EBsaq63KPXs[4] ▲△▽▼ 友達？ 農耕馬や牛とどこが違うの？ 友達なら、一方的じゃ駄目だ。お互い、助け合わなければね。。 行方不明になった犬のために人間が命かけるか？ 友達なら、相手の意思も尊重しなければね。 犬が自分で選んだ仕事なのか？ 友達だよねって言い寄ってきて利用して、 役に立たなくなったらポイ。 この国では、飽きた、かわいくない、うるさい、等々って理由で友達を毒殺するのが「愛護」だ。。
2. 2016年5月07日 07:05:23 : RmgkIvWwjc : H8@5s54tTJk[2] ▲△▽▼ >>1 全く同意する。 こういう「美談」気持ち悪い。
3. 2016年11月01日 00:34:51 : AiChp2veWo : crH3ggO@jw4[699] ▲△▽▼ 正しい話だが、少々それは違う。犬はまことに人間より高等な生き物だと思うところがある。教育をしなくとも、犬は命がけで人を助けたり、主人の墓から動かなかったりする。災害現場で足から血を流しながら人命救助もする。飼い犬を捨てて引っ越しをした新しい家に県を越えて探し当てた犬もいる。生命や霊魂の話は奥は深い。ローレンツ氏の話は西洋的であり、日本の心情とは違う。日本人は、一寸の虫にも五分の魂、という世界最高の生き物に対する心がある。西洋キリスト教は、人のために自然も動物もあるといい、わが国では、自然、生き物すべてに命と霊を見る。馬と心中したごとくの民話もある。犬や家畜に哀れを思い、大切にする。山野の動物を助けたことによる恩返しはたくさんの民話にある。逆というか、ゴン狐の話もある。わが国には犬と主人、飼い主が友達という観念はあまりない。だいたい友達、という感覚は日本には古来よりない。より以上の深いものが動物と人間にはあるからだ。四足食も明治まではほとんどなかった。縄文時代も四足はそれほど食されていない。縄文時代の人は犬を大切に可愛がった。弥生人は食べたと書いてあったが・・。

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