先週末、梅雨の晴れ間に久しぶりに妻女山の奥まで足を伸ばしてみました。妻女山招魂社でオオムラサキを探すと、やっと1頭のオスを発見。神社の濡縁の下 で乾いた土に口吻を挿して何かを吸っている所を撮影しました。例年より随分と早く羽化してしまったので、縄張り争いなどで翅がかなり傷んでいます。乾いた 土で何を吸っているのか、これは非常に不思議な習性です。蝶の専門家も分からないようです。
途中の長坂峠の長野市側で、長野森林組合の人達が、松枯れ病の赤松の伐採と燻蒸処理をしていました。そのうちの一人の青年と話をしたのですが、異常に虫 が少ないと言っていました。そこで、千曲市が行った松枯れ病のネオニコチノイド系農薬の空中散布の話をしたところ、あれは止めないといけないです。空中散 布すると樹上から虫がボタボタ落ちてきます。健康被害が必ず出ます、と。現場の人は、よく分かっているのです。もちろん彼らが使っているヤシマNCS(松 くい虫くん蒸駆除薬剤、特徴は、人畜毒性が普通物で、魚毒性もA類に相当)も農薬ですからそれなりに強い毒性があるのですが、空中散布と生分解するビニー ルで覆ってのくん蒸では、毒性と自然へのダメージが天と地ほども異なります。
長坂峠から尾根を進んで、大きなコナラの樹液バーに寄りましたが、何もいません。クロメマトイさえ少ない。社会寄生をするトゲアリもたくさんいたのです が、あまり見られません。日本にはアリによって種が運ばれるアリ散布植物が200種余りあります。セツブンソウ、カタクリ、イチリンソウ、フクジュソウな ど。アリが絶滅したら、それらの植物も絶滅の道を辿るのです。その後陣場平へ行ってみましたが(上の写真)、ほとんど昆虫が見られません。セミも鳴いてい ますが少ない。
今は亡き山の友人だったKさんのログハウスのある堂平大塚古墳へ。ここも空中散布がされたところ。全く虫がいません。この時期わりと大発生するカメムシ さえいません。虫がいなくなったためか、鳥の鳴き声も少なくなりました。この山を心から愛していた彼がいたら、激怒したことでしょう。
古墳からの千曲川と北アルプスの鹿島槍ヶ岳。随分と雪形が小さくなりました。この眼下の集落では、間違いなく健康被害が出るでしょう。しかし、一般の住民に因果関係が証明できるはずもなく、泣き寝入りとなるでしょう。
天城山の北面を巻く林道を辿ってみました。ネオニコチノイド系にする前は、この林道沿いに歩くと10数種類のゼフィルスが見られたのですが、今回は1頭 も見られませんでした。全滅です。中と右はオカトラノオの花。昆虫たちが盛んに吸蜜に訪れる花なんですが、何もいません。一見、風景は変わらないように見 えますが、実は死の山です。
長野市側に戻ってやっと一匹のミヤマフキバッタを見つけました。ヒヨドリバナで吸蜜するヒメトラハナムグリ。右は、今まで探しに探しても一匹も見つから なかった病原生物マツノザイセンチュウを媒介し松枯れ病の原因となるマツノマダラカミキリかなと思ったのですが、ナガゴマフカミキリでした。マツノマダラ カミキリは、いくら探しても見つかりません。
林道に一匹のハナアブが。ハナアブもほとんど見られなくなりました。以前はニホンミツバチもいたのですが、全滅したようです。今年はハチもほとんど見か けません。大きなコナラに、やっと一匹のコクワを見つけました。後は飛んでいるアオカナブンが一匹だけ。千曲市側で見つけたのは、このキマワリ一匹だけ。
今年の梅雨は、北信で珍しいくらいに雨が降ったせいか、ネンジュモ属に属する陸棲藍藻の一種、藍藻類のイシクラゲが大発生していました。これは炊き込み ご飯や味噌汁、卵炒めなどにして食用になります。しかし、猛毒のネオニコ農薬がかかったものなので食べる気にはなりません。実は家の井戸の周りに出たの で、それを食べてみようと思います。中は南米原産の帰化植物で、江戸時代の末期に観賞用として入ってきたイモカタバミ。右は、花がなんとも愛らしいユキノ シタ。
◉千曲市が、6月16、17日にかけて松枯れ病のネオニコ農薬の空中散布を行いました。
市のホームページで は、一週間は山に入るなとか、窓を閉めて外に出るなとか、出る場合は帽子・マスクをせよとか、農薬がかかった野菜は食べるなとか書いてあります。そんな危 険と分かっている劇薬を空中散布しているのです。山は繋がっています。散布後の週末には、散布を知らない長野市民が何人も山に入ったことでしょう。鞍骨城 跡へ行く人気のコースですから。サイクリストも入ったはずです。これはもう犯罪と言っていいレベルの愚行です。散布地域のゼフィルスは、ほぼ絶滅しまし た。昆虫もほとんどいません。いずれは人間にも必ず影響が出ます。
◉ネオニコチノイド系・グリホサート系農薬の恐怖
金沢大学教授山田敏郎さんは、「ネオニコは、毒性が強く分解しにくく、『農薬』というより『農毒』に近い。こ のまま使い続け、ミツバチがいなくなれば農業だけでなく生態系に大きな影響を与える。ネオニコの危険性を多くの人に知ってもらいたい」と語っているので す。生態系には、もちろん人間も当然含まれます。
群馬県前橋市で、松枯れ病対策としてネオニコチノイド系殺虫剤が使用されるようになった2003年以降、ネオニコチノイド系殺虫剤が原因と思われる頭 痛、吐き気、めまい、物忘れなどの自覚症状や、頻脈・除脈等の心電図異常がみられる患者が急増しています。なんと日本のネオニコチノイド系農薬の残留基準 は、欧米よりも緩い基準値(日本は、アメリカの10倍、欧州の100倍近い)。(青山内科小児科医院 青山美子医師)
ネオニコチノイド剤の使用が増え始めた2006年頃から、農薬散布時に自覚症状を訴える患者が増加。中毒患者には、神経への毒性とみられる動悸、手の震 え、物忘れ、うつ焦燥感等のほか、免疫系の異常によると考えられる喘息・じんましんなどのアレルギー性疾患、皮膚真菌症・風邪がこじれるなどの症状も多く みられます。日本では、果物の摂食、次いで茶飲料の摂取、農薬散布などの環境曝露と野菜からの摂取も多い。受診した患者では、果物やお茶の大量摂取群に頻 脈が見られ、治療の一環で摂取を中止させると頻脈が消失します。(東京女子医科大学東医療センター麻酔科医師 平久美子氏)
ネオニコチノイド系農薬の人体への影響として、空中散布や残留した食品の多量摂取による心機能不全や異常な興奮、衝動性、記憶障害など、急性ニコチン中毒に似た症状が報告されています。
また、ネオニコチノイド系は胎盤を通過して脳にも移行しやすいことから、胎児・小児などの脳の機能の発達を阻害する可能性が懸念されます。(東京都神経科学総合研究所 黒田洋一郎氏):ダイオキシン国際会議ニュースレターより抜粋
ネオニコチノイド系農薬の代表は、極悪企業モンサント社のラウンドアップ。元はあのベトナム戦争で使われた、ベトちゃんドクちゃんの奇形児を生んだ枯葉 剤そのものです。それを希釈して空中散布するという狂気。家庭用の殺虫剤や、台所の三角コーナーのコバエ退治、猫のノミ取りなどにも使われているという狂 気。ラウンドアップを使った土地は、遺伝子組み換え作物しか育たなくなります。
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千曲市森の杏が最盛期、朝採り杏で焼酎漬。松枯れ病が深刻。ネオニコは農薬でなく農毒!(妻女山里山通信)
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妻女山山系のゼフィルスが壊滅状態なのは千曲市による農薬の空中散布だと断言するKさん(妻女山里山通信)
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松枯れ病の原因は、本当にマツノマダラカミキリのセンチュウだけなのか!?(妻女山里山通信)
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松枯れの原因は松くい虫じゃなかった。大気汚染で土壌が強酸性化したことによる(妻女山里山通信)
◉必見!◆
新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間(要保存のPDFファイル)
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天敵を利用して、マツノマダラカミキリを駆除しようという研究。
長野県の例。
野鳥利用した松くい虫被害の防除。ネオニコ農毒の空中散布だけは、絶対に止めさせなければならない。
★明日22日、ネオニコ空中散布のない長野市茶臼山の記事をアップします。その差は愕然とするほど。
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林野庁の、森林の放射能汚染に関するレポート。これは読んでおいた方がいい。杉はセシウムを溜めやすい。
基本的に高汚染された森林の除染は不可能だと分かる。