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「日野原・稲盛 魂の提言 日本の医療を救え」
「老人を廃車のように扱う国は文明国とは言えません」
103歳の日野原重明氏が講演で「前進、前進、前進」と叫んだ
2015年6月1日(月) 大西 康之
聖路加国際病院の日野原重明名誉院長は2015年4月13日、国立京都国際会館で開かれた日本医学会総会で「日本における高齢化と真の健康社会」と題して記念講演をした。103歳の日野原氏は30分間立ったままで熱弁し、「前進、前進、前進!」の掛け声で講演を締めくくった。本記事では、講演の中で日野原氏が特に力を込めて語ったポイントを紹介する。杖をついて退場する日野原氏が、途中で会場に向き直って両手を振り上げガッツポーズを作ると、会場は万雷の拍手に包まれた。
聖路加国際病院の日野原重明名誉院長は日本医学会総会で「日本における高齢化と真の健康社会」と題して記念講演をした(写真:山田哲也、以下同じ)
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まず高齢化について、お話ししましょう。
60年前の日本の平均寿命は男性が50歳、女性が56歳でした。
2013年になりますと、女性は86歳、男性も80歳になりました。平均寿命が大変延びていることが分かります。
103歳の日野原氏は30分間立ったままで熱弁した
もう一つのデータを見てみましょう。日常生活を支障なく送れる健康寿命です。こちらは男性が70歳、女性は74歳です。つまり男性は9年、女性は12年以上、要介護や寝たきりの状態になっているということです。
とくに男性の場合、仕事を引退すると社会的に孤立して、早く死んでしまう傾向があります。存在理由、生存理由、簡単に言えば、張り合いがなくなってしまうわけです。
ここで申し上げたいのは「老化」と「老い」は違う、ということです。生物学的な衰退現象である老化を止めることはできませんが、人間的な概念である老いは、生きがいを持つことで避けられます。
では生きがいとは何か。(日本の精神科医の草分けである)神谷美恵子さんは著書『生きがいについて』の中で「自分が誰かのために必要であること」が生きがいだと言っています。自分が「したい」と思うことと、なすべき「業務」が一致することも生きがいでしょう。
『かくれた神』を書いたオーストリアの哲学者、マルティン・ブーバーは「人は創(はじ)めることを忘れなければ、いつまでも若くある」と言っています。
14年前に「新老人の会」を立ち上げた
「高齢者も自ら新しいことを創めるのです」と訴える日野原氏
私は「老いを創める」という考え方に立ち、14年前に「新老人の会」を立ち上げ、新老人運動を始めました。新老人の会では75歳以上がシニア会員、60歳から74歳までがジュニア会員、59歳以下はサポート会員としています。全国45カ所に拠点があり、会員数は1万2000人。何とかこれを2万5000人にしたいと思って頑張っているところです。
会のモットーは愛し愛されること、創めること、耐えることの3つです。政府は75歳以上を後期高齢者などと失礼な呼び方をしますが、老人を廃車のように扱う国は文明国とは言えません。もっと交わりの中に高齢者を迎え入れ、温かい心で高齢者を包み、高齢者に役割を与えなくてはなりません。高齢者の側も、してもらうばかりではなく、自ら新しいことを創めるのです。
先日も長野県の善光寺で新老人の会のジャンボリーを開催しました。5000人もの方に集まっていただき、素晴らしい会になりました。私自身もフェイスブックに新老人の会のページを作り、わざわざ講演に足を運ばなくても私の話を聞いていただけるようにしております。
もうひとつ力を入れているのが、子どもたちを対象にした「いのちの授業」です。次の時代を作る人たちに平和といのちの大切さを伝える活動です。子どもたちに聴診器を渡して心臓の音を聞かせ、その上で「心臓は命の本体ではない」と教えます。そしてこうお願いするのです。「いま君たちは自分の時間を自分のために使っていい。でもある時が来たら、自分の時間を他人のために使ってほしい。君たちの使命は戦争のない世界を作ることだ」と。
そのためにはまず、いじめのない世界を作らねばなりません。他人を恕(ゆる)す(「許す」の意味)ということが非常に大切です。
偉大な医学者のシュバイツァーは言っています。「恕すとは、相手のことを自分のように考えることだ」と。(現代の医学教育の基礎を築いた)ウイリアム・オスラーは「すべての民族は同じ血液から成っている」と言いました。医療は、厳密に言って人道的なものであり、一人ひとりの命が大切に守られる世の中を目指さなくてはなりません。
103歳の私のこのパワーはどこから来るのか、とよく聞かれます。私は若い人たちとともに「世界平和のために何ができるか」を考えています。そのためには「前進、前進、前進」あるのみです。
杖をついて退場する日野原氏が、途中で会場に向き直って両手を振り上げガッツポーズを作ると、会場は万雷の拍手に包まれた
講演を終えた日野原氏は京セラ名誉会長の稲盛和男氏との対談に臨んだ
次回に続く。
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