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「夫婦別姓」最高裁が憲法判断へ「結婚前の姓を使うためペーパー離婚した」原告も期待
弁護士ドットコム 2月18日(水)21時5分配信
「夫婦別姓」をめぐる訴訟が2月18日、最高裁判所の第3小法廷(大橋正春裁判長)から大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)に回付された。最高裁の大法廷は、長官を含む15人の裁判官全員で、憲法問題や判例変更などの重要問題を審理する。今回は、夫婦同姓制度を定めた民法750条について、憲法判断が行われるとみられる。
これを受け、訴訟の原告と弁護団が同日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。榊原富士子弁護団長は「最高裁大法廷に回すということは、憲法判断をするということだ。まず一歩。とてもうれしい。最高裁の積極的な姿勢を感じている。最高裁には、明確に『憲法違反である』と書いていただきたい。それが、私たちの切なる思いだ」と話した。
●「夫婦同姓を定めた民法750条は憲法違反」
この訴訟は、民法750条が「夫婦同姓」を定めているため、日常生活でさまざまな不利益を被ったとして、原告5人が国家賠償を求めて2011年に起こした。だが、原告たちが本当に求めているのは「夫婦別姓を選べる制度」を実現すること。つまり、民法750条の「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」という規定を改正することだ。
榊原弁護団長は「いまの制度は、名前か、結婚かの二者択一状態だ。結婚前の姓を使えなくなることは、憲法13条の人格権を侵害する。結婚できなくなることは、憲法24条で認められている結婚する権利を侵害することになる」と述べ、民法750条が憲法違反だと強調した。
弁護団の大谷美紀子弁護士は「国連の女性差別撤廃委員会も、民法750条を改正するよう日本政府に勧告している」とつけ加えた。
夫婦別姓を求める背景について、弁護団は、結婚後も元の名前を使いたいというニーズが高まり、「通称」を使える場面が増えているが、通称では結局2つの姓を使い分けなければならず、解決にはならないと説明。夫婦別姓制度へ向けた機運は十分に醸成されたとしている。
●「自分の名前が本物じゃなくなってしまった」
原告の1人であるフリーライターの加山恵美さん(43)は、2000年に結婚し、夫の姓に合わせた。その際、加山さんは「それまでずっと『加山』でいたのに、それが通称になってしまったり、ペンネームになってしまった。住民票の姓が取り消し線で消されたのを見て、自分の名前が本物じゃなくなってしまったかのような、残念な気持ちになった」という。
結局、加山さん夫婦は2004年、もとの姓を使うために「ペーパー離婚」をすることにした。現在は事実婚状態だという。仕事中に連絡を受けて、会見に駆けつけたという加山さんは「ペーパー離婚をしたときには、すぐに夫婦別姓が認められ、また結婚できると思っていたが、10年経ってもそのままだ」と話した。
最高裁大法廷に回付されたことについては、「いまはまだ半信半疑で、過度な期待はしないようにと思っている」と述べつつも、「夫婦別姓が認められていないことで、多くの夫婦が困っている。最高裁にはよく考えて判断してもらいたい」と希望を語っていた。(弁護士ドットコムニュース)
弁護士ドットコムニュース編集部
最終更新:2月18日(水)21時55分
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