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理由はどこにあるのか
昨日、教育関係の施設に行く用事がありまして、待ち時間のようなものが生じ、何となく待合室のようなところにある冊子などをぺらぺらとめくって読んでいたりしました。
教育関係や福祉関係の冊子が並んでいる中で、「全国心身障害児福祉財団」全国難聴児を持つ親の会という会が発行されている『べる』という季刊誌を読んでいましたら、そこに、少なくとも、その具体的な数値を今まで知らなかった私には非常にショッキングなデータが出ていました。
それは、2006年(平成18年)から 2013年(平成25年)までの、「日本の小中学生全体の数の推移」とその中での「特別支援教育対象の小中学生の数の推移」を示したものでした。
待ち時間でしたので、それをメモしたものが下の数値です。
現物は表組みで示されていました。
我が国の子どもの人数(小学生・中学生)
義務教育段階の児童生徒(小中学生の総数)
2006年 1086 万人
2007年 1082 万人 (前年比 マイナス 4 万人)
2008年 1079 万人 (前年比 マイナス 3 万人)
2009年 1074 万人 (前年比 マイナス 5 万人)
2010年 1063 万人 (前年比 マイナス 11 万人)
2011年 1055 万人 (前年比 マイナス 8 万人)
2012年 1040 万人 (前年比 マイナス 15 万人)
2013年 1030 万人 (前年比 マイナス 10 万人)
となっていて、2006年から 2013年まで、小中学生の総数は 56万人の減少となりました。
そして、もうひとつの統計が下となります。
特別支援教育対象の児童生徒
2006年 22.0 万人(1.86% ← 全児童に占める割合)
2007年 22.0 万人(2.00%) (前年比 プラス 2万人)
2008年 23.0 万人(2.13%) (前年比 プラス 1万人)
2009年 25.1 万人(2.34%) (前年比 プラス 2.1万人)
2010年 27.0 万人(2.54%) (前年比 ブラス 1.9万人)
2011年 28.5 万人(2.71%) (前年比 ブラス 1.5万人)
2012年 30.2 万人(2.90%) (前年比 ブラス 1.7万人)
2013年 32.0 万人(3.10%) (前年比 ブラス 1.8万人)
数字の羅列でわかりにくいかもしれないですが、2006年から 2013年までの8年間で、小中学生の数は 56万人減少したのに対して、「特別支援教育の対象の小中学生の数は 12万人増加した」ということです。全体の子ども人口と真逆の動きとなっています。
小中学生全体の数が、この8年間、1度も前年を上回ったことがないというのは、少子化という現実からわかるとしても、「特別支援教育の対象の子どもの数」に関しては、これと逆に、
・すべての年で前年を上回り続けている
のです。
したがって、全体の子どもの数に対しての、特別支援対象の児童生徒の率も毎年上がっているということになります。
2006年には特別支援教育の対象だった児童生徒は、全体の 1.86%だったのが、2013年には 3.1%を占めるまでに増加しています。現在では、約 30人に 1人の子どもが特別支援教育の対象となっているということになるという計算だと思います。
なお、ここでの特別支援教育は、後でグラフで示しますが、そのほとんどが知的な障がいを持つ子どもたちのことを意味します。
「それ以前はどうだったんだろう」
と、家に戻った後に、ネットで調べてみましたら、この傾向は、この 20年から 30年くらいのあいだ、ずっと続いていたことを知りました。
文部科学省などにも多くのデータがありますけれど、下の畿央大学教育学部の大久保賢一准教授の twtrland のグラフがわかりやすいかと思います。
文部科学省の資料の特別支援学校数と在籍児童生徒数をグラフ化したもの
2007年のところで一端、切れているのは、その年に「学校教育法」が大きく改訂されたことによってのものだと思います。学校教育法 - Wikipedia によりますと、
2007年には、前年の教育基本法改正を受けて、大きな改正があった。小学校と中学校などについて、義務教育を行う学校との位置づけが明示され、盲学校・聾学校・養護学校は特別支援学校に一本化された。長らく特殊学級は「75条学級」と呼ばれてきたが、75条ではなくなった。
とあります。
いずれにしましても、特に 1995年以降くらいは、上のグラフで緑で示される知的障がいを持つ児童生徒の数が、毎年増え続けていて、一度も「前年より低かった年はない」ことがわかります。
もっとわかりやすいグラフとして、下のようなものもありました。
・朝日新聞
結果として、今から 20年前くらいまでは、全国で約 5万人ほどの数だった特別支援教育の対象の子どもの数が、2013年には 12万人と倍増、あるいはそれ以上の数となっているのです。
そして、子ども全体の数は、これはグラフを見るまでもないでしょうけれど、1981年頃から一直線に下がり続けています。下は小学生の数ですが、中学生の数の推移もほぼ同じです。
▲ 2014年9月16日の Garbage NEWS より。
上の記事では「半世紀前からほぼ半減した小学生数」という見出しがついていますが、1981年に 1200万人ほどいた小学生が、2014年には 660万人と、文字通り半減しています。
日本のように1億人以上の人口のある国において、たった 30年で、子どもの数が「半分になった」というのは、冷静に考えれば、脅威的なことにも思えます。
そんな異常なほどの少子化の中で、障がいを持つ子どもの数のほうは増え続けているという現実を、私は今回初めて知りました。
大ざっぱに書けば、この 20〜30年のあいだで、「小中学生全体の数は半減」して、「特別支援教育の対象の小中学生は倍増」したということになります。
「なぜ日本はこんなことになっている?」
と、さすがに思わざるを得ない事態に陥っていることに初めて気づき、ショックを受けた次第です。
いや、「日本」と書きましたが、アメリカでも、子どもに関して大変な状況になっていることが以前から知られています。
下のグラフは、アメリカ疾病予防管理センター( CDC )による 2010年までの、アメリカの自閉症の子どもの率の推移の統計グラフです。
・What is Causing the Increase in Autism Prevalence?
1975年には、アメリカの自閉症の子どもの数は、子どもの総数の「 5000分の 1」の率だったものが、2009年には、「 100人に 1人」となっていて、約 50倍の増加を示しています。
アメリカの場合も 1990年代中盤くらいから急激に上昇しているような感じを受けます。
アメリカの子ども(14歳より下)の人口は、アメリカ国勢調査のグラフから見ますと、大ざっぱに約 3000万人くらいのようです。
そのうちの 100人に 1人。
実数としても、かなりのものになりそうです。
日本にしても、アメリカにしても、このようなことになっている原因は様々に言われてはいても、どの原因だとしても、グラフの上昇の度合いがあまりに急激であることと、何より、今後を考える上のこととして、日本もアメリカも「率が減る気配がない」ことは重いと感じます。
高齢者の中の介護人口も
グラフといえば、日本では「少子高齢化」という言葉がよく使われますけれど、日本の「高齢化」という言葉に含まれる人々の中には、元気のいい高齢者もいらっしゃれば、病気、あるいは、「介護される高齢の方」もいらっしゃるわけですけれど、こちらのグラフも上のいくつかのグラフ同様に、「急激に上昇」しています。
下のグラフは、「介護が必要な人は 10年間で倍増。要介護認定者数の推移」という記事にあるグラフです。
ぱっと見ると、緩やかな曲線に見えますが、介護が必要な高齢者は「過去 12年間で約 300万人も増えている」のです。そして、この介護が必要な高齢者の方々の数も「今後、減るということはまず考えられない」ということがいえると思われます。
現在、約 550万人いらっしゃる介護の必要な方々には、やはり、同じ程度の人数の「介護する人」が必要で、つまり、「介護される側と、介護に携わる人」の数だけで、1千万人単位に近い数の人々が、そのために日々の時間と行動を費やしている・・・という社会。
この問題については、「これからどうなるんだ、この問題は」と私はいつも思いますが、どなたでもそのように思っているのではないでしょうかね。
しかし、解決策が見当たるとも思えず。
ちなみに、この「高齢の問題」に関しても、アメリカはものすごいグラフを描きます。
理由はわからないですが、アメリカは、とにかくアルツハイマーが多いのです。
神経系疾患(アルツハイマー病など)による死亡者の推移と国際比較
・アルツハイマー病 知識が欠落していく病気
上はアメリカ人の男性のデータですが、女性もほぼ同じです。
また、上は死亡数で、患者数となりますと、認知症・アルツハイマー病の基礎知識というページによりますと、アメリカのアルツハイマー病患者は 500万人いるとのことで、アメリカの死亡原因の第6位となっています。
日本では、こちらのサイトによりますと、推定 100万人。
どちらの国でもすさまじい数ですが、人口比からは、アメリカが突出して多い感じはします。
しかし、他の国はともかくとして、日本。
高齢者の問題も重いですが、子どもたちに何が起きているのかということは、本当に思いますね。
どうして、こんなことになっているのかと。
まあ、原因は私が考えたところでわかるはずもないですけれど、それでも、人口の純増が続いているアメリカは、まだ先のことを考える余裕もあるのかもしれないですけれど、日本はどうなんですかね。
「なんか積んでるのでは……」
という言葉が何となく脳内でリフレインしたり。
日本が持つ最高位と最下位
ちなみに、WHO が 2012年に 191カ国で統計した「子供(15歳以下)高齢者(60歳以上)の人口の割合ランキング・国別順位」というデータがあります。
これは、
・国の人口に対しての子どもの比率
・国の人口に対しての高齢者の比率
・年齢の中央値(高いほど少子高齢化ということ)
の3つの項目についてのランキングなのですが、これは日本は見事です。
1位と 191位(最下位)しかないからです。
まず、60歳以上の高齢者の人口の比率。
(単位は%)
単独の1位です。
そして、年齢の中央値。
高ければ高いほど、その国が高齢化していることを示します。
(単位は%)
こちらも、単独の1位です。
そして、上のデータによって、日本が「世界最高の高齢者国家」であることが、あらためて確認されます。
次に、15歳以下の子どもの数。
(単位は%)
こちらは、ドイツ、カタールと並んで、191カ国中の 191位の最下位。
いつのまにか、日本はこんなすさまじい年齢構成の国家となっていのです。
ちなみに、上位にはアフリカ諸国が多いのですが、これは「子どもが多くて健全」ということではなく、「大人の多くがエイズで死んでしまうから」だと思われます。
それにしても、高齢化は東アジア諸国の方が圧倒的に深刻かと思っていましたけれど、ランキングを見ると、60歳以上の比率が多い国は、上から、
日本
イタリア
サンマリノ
ドイツ
フィンランド
スウェーデン
ブルガリア
ギリシャ
ポルトガル
オーストリア
ベルギー
と、軒並みヨーロッパの国で、その他のヨーロッパ諸国も、ほとんど上位にあります。
そして、「子どもの率が少ない国」も、日本の上にはヨーロッパの国々が並んでいて、どうやら、あまり私たちが知らないだけで、ヨーロッパの少子高齢化も実は結構深刻なことになっているのかもしれません。
まあしかし、他の国の心配はともかく、日本は本当にどうなっちゃうんだろうかと。
そして、最初に書きました特別支援の児童生徒のことなどを含めて、やはり、「どうしてこんなことになってしまったのだろう?」と、昨日はしばらく考えていました。
現世人類の歴史が 16万年くらいだとすると、その間に現在みたいな状態は多分なかったはずで、まさに現代社会は、現世人類にとっても「未知の領域」といえる時代なのかもしれません。
日本の未来 : 子どもに関しての、そして、高齢者に関しての統計データから受けた衝撃 INDEEP
http://oka-jp.seesaa.net/article/413106525.html
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