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過疎の村を訪ねれば、為すべきことがよく分かる なぜ日本にはまっとうなリベラル政党がないのか?
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/535.html
投稿者 蟲 日時 2015 年 1 月 07 日 06:39:08: VXoEun45fU5tI
 

出口治明の提言:日本の優先順位
【第133回】 2015年1月7日 出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長兼CEO]
過疎の村を訪ねれば、為すべきことがよく分かる
 昨年の末、美杉小学校から講演に呼ばれて、生まれ故郷の三重県美杉村(現津市美杉町)へ里帰りをしてきた。なお、僕が生まれたのは正確には多気(たげ)村であって、その後多気村を含む7つの村が合併して美杉村になったのである。生まれた頃の多気村の人口は約3000人、美杉村全体では2万人近い人口を擁していた。

 それが今では全体で5000人を割っているという。生まれた頃は多気小学校だけでも児童数が450人を数えていたのに、7村の小学校を統合して1つになった美杉小学校の本年の卒業生は18人、新入生はたったの4人に過ぎないという。それでも、美しい木造の校舎で、先生方は懸命の努力をされていて、本当に頭が下がった。過疎の進み方のあまりのスピードに度肝を抜かれてしまった。

 車で村に入ると、一面の電気柵が目に入る。人々が柵の中で細々と田畑を耕して生活を営んでいる。村の主人は鹿。次いでイノシシとサル。これは、ひょっとしたらわが国の地方の未来の姿ではないのか、ふっとそんな気がした。過疎の村を訪れることはわが国の未来への旅なのだ。

山林、田が適正に
管理されているのはわずか20%

 地元で「T-age」(2014.11.16)という発行されたばかりの地域マガジンをいただいた。発行元は「多気の郷元気づくり協議会」である。そこに載せられたデータをちょっと眺めてみよう。


 まず多気地区の住民の年齢。()内は津市全体である。

 71才以上人口は津市全体の3倍近く、それに対して15才以下の子供の人口は1/3にも満たない。しかも、この過酷な高齢化の中で一人暮らしの世帯数が28%を占めているのである。

 山林と田について尋ねると、約20%の世帯が「適正に管理している」と答えているのに対して、山林では40%、田では24%が「管理できていない」「管理できなくなってきた」と回答しており、それぞれその内の約80%が条件次第では誰かに管理を任せたいと答えている。

 外出時の交通手段については、「自分が運転できるが先行きが不安 59%」、「家族が運転できるが先行きが不安 12%」、「現在すでに交通手段がなく困っている 8%」、「市営バスを利用しているが使いづらい 6%」と続き、「将来にわたって不安はない」とする回答は、わずか9%にとどまっている。

 また、家の使い勝手については「生活しやすい」が50%を占めてはいるものの、「だんだん生活しにくくなってきた」が35%、「生活しにくい」が7%、「生活しにくくなってきている家族がいる」5%となっている。生活しにくい要因は、段差、暑さ寒さ、老朽化がトップ3であって、昔の構造のままの家屋が老朽化していく姿が浮かび上がる。

 以上のような過疎の村の現状を虚心坦懐に眺めれば、少子高齢化が進むわが国の将来をにらんだ政策として、何を為すべきかは誰の目にも明らかではないか。

山林・田の「地上げ」と
コレクティブハウスへの集約を

 山林や田は手入れをしなければ荒廃が進む。適正な管理ができていない世帯の方が多く、かつそのうちの80%が誰かに適切に管理してほしいと望んでいるのなら、行政が為すべきことは明らかで、山林や田を「活用」したい個人や企業を全国(全世界でもいい。吉田松陰が「幽囚録」で、夷人を日本に取り込むことによる知の獲得と人口の増大という一挙両得を語っていたことを忘れるべきではない)から探してきて、管理を委ねることではないか。行政が山林や田を一括してまとめて交渉すれば、単位面積も大きくなるので、農林業に興味を持つ個人や企業も参画しやすくなる。平たく言えば、良質な「地上げ」を行えばいいのだ。

 次に、交通手段の劣化が明らかであり、家の使い勝手も少しずつ悪くなっていく、しかも一人暮らしの世帯が約3割を占めているというのであれば、前にも当欄で述べたように、コレクティブハウスを作って住民を集約化することがベストの政策である。公共住宅でもいいし民間に補助金を出してもいい。空き家800万戸の時代に一戸建て住宅やマンションを新たに創るという選択肢はないだろう。人を一ヵ所に集める最適な方法は、楽しく快適な寝ぐらをまず整備して、そこに若干のインセンティブを働かせて人を集約するのが一番効率的であろう。

 そして、コレクティブハウスやコレクティブタウン(スーパーや病院、学校などを集約)の間をコミュニティバスがぐるぐる回るように全体を設計すればいいと考える。その場合老朽化した個人の家屋はどうするのか。これ以上空き家を増やしていいはずがない。これも行政が一括して借り上げ、山林や田の「地上げ」とセットで、場合によっては更地にして販売もしくは現状のまま賃貸するなどすればいいと考える。そのようなことを実行すると、山林や田が乱れる、あるいはきれいな河川が守れなくなるなどと考える向きは、ネガティブリストを前もって作っておいて(例えばごみ処理場はつくらせないなど)それを借主もしくは買主に遵守させればいい。

 最後に獣害については、人と動物の双方に優しい対策を進めるべきである。猟銃を撃つ人も激減している。過疎の村を訪ねれば、少子高齢化に対応してこれから為すべきことがよく見えてくるのである。

(文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)
http://diamond.jp/articles/-/64590 

 


2015年1月6日 橘玲
なぜ日本にはまっとうなリベラル政党がないのか?
[橘玲の日々刻々]

 安倍政権の特徴は好き嫌いがはっきり分かれることでしょう。「保守」「愛国」というイデオロギーを前面に押し出しているからで、自民党の福田政権や麻生政権、民主党の野田政権のような“無味無臭”とはかなり異なります。

 欧米諸国もそうですが、イデオロギー対立が激しくなるのは、政党が政策で差をつけるのが難しくなったからです。消費税増税も、TPPへの参加も、原発再稼働も、安倍政権の進める政策の多くは民主党政権が決めたことです。日本は1000兆円を超える巨額な借金(これは歴代の自民党政権がつくったものです)によって政策の選択肢がほとんどなくなっているので、誰がやっても同じようなことにしかできないのです。

 今回の衆院選で野党は「アベノミクスの失敗」を攻撃しましたが、「2年で2%のインフレにして強い日本経済を“取り戻す”」のが公約だとすると、その結果が明らかになるのは来年で、「失敗する前に選挙をやってしまう」自民党の作戦勝ちになるのは当然です。あとは集団的自衛権や憲法改正で安倍政権の「本性」と暴くしかありませんが、これは有権者の関心が高くなくほとんど効果がありませんでした。

日本はアメリカやイギリスのような二大政党制を目指して小選挙区制を導入しましたが、このままでは当分、政権交代は起こりそうもありません。いちばんの原因は民主党の失敗ですが、それに変わる野党が出てこないことも事実です。なぜ日本では「健全な二大政党」にならないのでしょうか。

 共産主義の実験が壮大な失敗に終わったいま、社会の構成原理は自己決定権を持つ市民による「民主政」「法治」「自由な市場」しかなくなりました(中国ですら理念的にはこれに反対していません)。これを「歴史の終わり」と呼ぶかどうかは別として、政治の世界から大きな対立はなくなり、残っているのは「(ささやかな)伝統」を大事にするか、「(ささやかな)理想」を目指すかの違いです。これが「保守」と「リベラル」の対立ですが、日本の場合、自民党のなかにこの両派が混在し、野党においては、いまだに「革命」を綱領に掲げる政党がリベラル勢力の代表のように振る舞っている、という異常な状況が続いています。

 その責任は、保守的な自由主義者を「オールドリベラル」と骨董品のように扱い、揶揄中傷してきた「進歩的」なメディアや知識人にあります。彼らは「マルクス」「革命」「共産主義」という言葉に過剰な憧れを持ち、ソ連や中国、北朝鮮の評価を一貫して間違え、北朝鮮の拉致問題を無視し、従軍慰安婦をめぐる誤報を放置してきました。こうした知的退廃の結果、いまでは「保守派は正しくリベラルは間違っている」という話になってしまったのです。

 いま日本に必要とされているのは、進歩的なリベラルではなく、まっとうなリベラルです。保守派の正論に対抗するには、集団的自衛権を認め、自衛隊を軍(国家の暴力装置)として憲法に明記したうえで、法による徹底した管理(シビリアンコントロール)を行なうことや、「日本的雇用」という差別制度を改め、同一労働同一賃金や定年制廃止を法定化するなど、「世界標準」の政策を掲げるリベラル政党が出てこなくてはなりません。

「一強多弱」になるのは、弱い側に問題があるからです。選挙結果が気に入らないからといって、駄々っ子のような大人気ない態度はいい加減にやめた方がいいでしょう。

『週刊プレイボーイ』2014年12月24日発売号に掲載

<執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(以上ダイヤモンド社)などがある。
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なぜ日本にはまっとうなリベラル政党がないのか? [橘玲の日々刻々][2015.01.06]
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第1位は、「中国の"廃墟都市"観光」、 第2位は「フェアトレードの不公正」…  [海外投資の歩き方サイト]作家・橘玲 連載 2014年記事アクセスランキングTOP10発表! [2014.12.30]
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集団的自衛権をめぐる ジコチューな議論は不毛でしかない [橘玲の日々刻々][2014.12.15]
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http://diamond.jp/articles/-/64645


 

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コメント
 
01. 2015年1月09日 19:46:18 : jXbiWWJBCA

「ニッポン農業生き残りのヒント」
農をこの手に取りもどせ

「10平米の宇宙」から始まる革命

2015年1月9日(金)  吉田 忠則

 「ニッポン農業生き残りのヒント」というタイトルが示すように、この連載は「農業が危機的状況にある」という問題意識から出発した。たしかに高齢農家の引退と耕作放棄の増大というあまりに聞き慣れた危機が進行しているが、では農業を救うのは農家だけの役割だろうか。そんな観点から2015年をスタートしたい。

 今回取り上げるのは、東京湾を目と鼻の先にのぞむ「江東区夢の島区民農園」だ。畑の土の間からところどころ銀色の霜がのぞく寒さのなか、68歳の重田道秋が70年代のフォークソングをイヤホンで聴きながら、京芋を掘っていた。

職人気質の68歳、野菜好きになった子どもたち


職人気質で野菜をつくる重田道秋さん(夢の島区民農園)
 重田はかつて義足をつくる仕事をしていた。部品をパートが組み立てるような最近の義足とは違い、相手の足の形に合わせ手作りで仕上げてきた。野菜づくりを始めたのは約30年前。「病院の先生や患者からいろいろ言われてストレスの多い仕事だった。それで、土をいじりたくなった」。

 仕事は60歳でやめた。いまも毎朝、「仕事に行ってくるよ」と言って家を出るが、向かう先は新たな“職場”の区民農園だ。10平方メートルの小さな区画には京芋のほかに日野蕪や水菜、春菊、ブロッコリーなどの野菜が植わっていた。「ほかの人のやり方を見て盗む。奥深いですよ」。義足をつくっていたときと同じ職人気質で、野菜に向き合う。

 べつの区画では、東京都の職員の男性が3人の子どもを連れて来ていた。「今日の作業は何ですか」「大根とニンジンの収穫」。そんなやりとりをしていると、10歳の息子が手のひらに乗せたコガネムシの幼虫を見せにきた。「最初は怖がっていたけど、いまはすっかり慣れたようです」。5歳の娘はじょうろで熱心に水をまいている。


東京都の職員が連れてきた子どもたち。野菜のおいしさを知った。
 この家族は昨年4月に抽選で当たり、野菜づくりを始めた。やってみて、驚くことがたくさんあった。たとえば、10歳の子どもは前はあまりニンジンが好きでなかったが、自分たちでつくったニンジンなら「おいしい、おいしい」と言って食べた。「さっきも、収穫したてを水で洗って、その場で食べてました」。

 スーパーで売っている大根はまっすぐなのが当たり前。だがここでは、大根の先が割れて足のような形になっているのをおもしろがる。子どもたちが夏の暑い日でも嫌がらず、毎日水をやりに来たのも、親にとっては新鮮だった。

プロ農家とは逆の指導と情熱

 栽培指導に来ているアグリクリエイト(茨城県稲敷市)の伊藤仁によると、ここで「先生」と呼ばれている高齢者には驚くべき技の持ち主がいるという。初めて抽選に当たった人は、狭い面積でたくさんとろうとタネや苗をびっしり植えることが多い。だがそれでは、作物はきちんと育たない。だから、伊藤は「間引いてください」と指導する。

 「先生」はその指導の逆を行く。土づくりをきっちりやり、10平方メートルでどれだけ収穫できるかに挑む。「一見、セオリー無視で、プロの農家とは逆の方向」。それが可能になるのは、夏なら毎朝5時、冬でも6時過ぎには畑に来て作物を観察し、手入れする努力だ。さきに「驚くべき技」と書いたが、「驚くべき情熱」と言いかえてもいいだろう。

 31歳の伊藤は、新潟のコメ農家の出身。国語の教師になることを目指し、大学は文学部に進んだが、卒業時に選んだのはやっぱり農業関係の仕事だった。アグリクリエイトのおもな業務は有機農産物の販売で、多角化の一環として都市と農村の交流事業もやっている。区民農園の指導はそのひとつ。伊藤は「食と農の先生になれたかな」と話す。

 夢の島区民農園にはほかにも話題がある。農園の近くの公務員宿舎には、東日本大震災で福島から避難してきた人たちが暮らしている。彼らのなかには農家もいて、農園の一角を借りている保育園の子どもたちに農作業を教えているのだ。いまはこの区画は収穫が終わり、園児のすがたはないが、春にはまた子どもたちが戻ってくるだろう。

 高齢のセミプロ農家や家族一緒の野菜づくり、農家の息子が都会で見つけた農業関係の仕事、そして震災の被災者と園児の交流など、いずれも深掘りしてみたいテーマだ。ただ今回はこうしたエピソードはここまでにとどめ、なぜこの農園に注目したかにふれておきたい。

農業は絵画に近いのかもしれない

 各地でいま、農業の未来をになう経営者が誕生している。かれらの一部と話していると、ときに「家庭菜園でやっていることを農業なんて言ってもらっちゃ困る」と言われることがある。たしかに、市民農園も家庭菜園も利益を出すのが目的ではないから、かけた費用ととれた野菜で浮く食費を差し引きすれば、マイナスになるかもしれない。

 「農業はもうからない」と愚痴ばかり言ってきた既存の農家の常識を破り、農業法人の経営者たちが農業で利益が出ることを実証した功績は否定しない。だが、ことさら「プロの農家」と「趣味の野菜づくり」の差を強調する意味がどこにあるのだろう。

 ここで少し、農業とほかの産業の違いを考えてみたい。市民農園という存在は文字通り、すでに市民権をえている。だが、同じものづくりの世界で、「市民自動車工場」や「市民スマホ工場」、「市民家電工場」といったものがあるだろうか。

 もしかしたら、農業はある意味、絵画に近いのかもしれない。画一的な大量生産になじむ商業デザインもあれば、ごく一部の才能に恵まれた人だけが足をふみいれることのできる芸術の世界があって、しかもそのまわりに膨大な数の日曜画家がいる。

 芸大を出たデザイナーや画家が、趣味の日曜画家を「あれはしろうとだ」とけなすこともなくはないだろうが、むしろ金銭がからまない日曜画家の描いた絵を「純粋な絵心」と評価することだって珍しくない。アートの世界は寛容だ。農業も、本来そうであっていい。

 ここでは「生産と消費」という二分法もしっくりこない。躍進する農業法人が農産物をつくるのはもちろん生産だ。これに対し、サラリーマンがお金を払って週末に市民農園で汗を流すのは、消費のひとつとみることもできる。だが同時に、プロ顔負けの野菜づくりを目指す彼らがやっていることは、間違いなく「ものづくり」でもある。

15%から1.8%へ、さらに縮小の現実

 いま日本の農業就業人口は227万人。ピークの1960年には1454万人いた。この間、日本の人口に占める比率は15%から1.8%に縮小した。農家の平均年齢は66歳と、日本全体の高齢化のずっと先を進んでいるから、この傾向は今後さらに加速するだろう。

 かつて国民の多くにとって、農業はいまよりずっと身近な場所にあった。自分の家が農業をやってなくても、親戚や友達をたどっていけば、農家をみつけるのはそう難しいことではなかった。

 筆者は千葉のサラリーマン家庭で育ったが、小さいころは田んぼの間の道を歩いて小学校に通っていた。その後、べつの町に引っ越したが、高校のころ自転車で小学校を探しに行ったとき、住宅地のなかをさんざん走り回ったあげく、そこがもと田んぼがあった場所だと気がついて、「猿の惑星」のラストシーンみたいな衝撃を味わった。

 これが、戦後の高度成長期をへて、つい最近まで日本各地で起きていた風景の変化だ。ずっと国民のための食料の生産基地だった農地が、家や工場やスーパーに姿を変えた。そして、人口減少時代に入って変化がようやく止まったと思ったら、残った田畑は耕作放棄地という名の荒れ地に戻ろうとしている。

 この危機にどうやって向き合えばいいのか。まず大切なのは、値段や味でほかと差を出したり、みずから販路を開拓したりして、事業を大きくできる経営者が増えることだ。彼らのもとに多くの生産者が集まり、新しいグループとなって農業再生の道を切り開く。

 だが、それだけでは何かが足りない。農業人口の急減にさきに触れたが、少し大げさに言えば、ひとの暮らしに農業がこれほど縁遠いものになったのは、歴史上はじめてのことではないだろうか。よく言われることだが、いまほとんどの人はだれがどうやってつくったか知らない食べ物を食べている。

 一方、まわりには数え切れないほどの耕作放棄地予備軍が広がっている。都市近郊の細切れの農地は、「強い農業」を実現するには狭すぎる。だが、たった10平方メートルの農地でも、ふつうのひとにとってみれば、たくさんの作物をつくることができる「広大な宇宙」になる。ここが、農業をもう一度身近なものにする出発点になる。

「顔の見える野菜」で未来を拓く

 それは利益を出すための農業ではない。だが、「顔の見える野菜」が安全と安心の手がかりになるなら、これほど確かなことはない。しかも、高齢者にとっては、健康を維持するための作業になる。子や孫と触れ合うための場所にもなるだろう。


市民農園で都会と農業の距離が縮まる。
 作物をつくる難しさと喜びを知れば、プロの農家へのシンパシーもきっと生まれる。農協が大量の組合員を動員し、日比谷公園で何かに反対する光景を見せつけられるより、ずっと「農業は大切だ」という思いを起こさせる。

 そして、「10平方メートルの宇宙」で幼いころに野菜をつくった思い出が、いつか自分もプロの農家になりたいという気持ちにつながるかもしれない。若いたくさんのアマチュアがいて、そのなかからプロを目指すひとが現れる。そんな健全な道筋ができれば、農業の未来にもっと光が見えてくると思うのだ。(文中敬称略)

このコラムについて
ニッポン農業生き残りのヒント

TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加が決まり、日本の農業の将来をめぐる論議がにわかに騒がしくなってきた。高齢化と放棄地の増大でバケツの底が抜けるような崩壊の危機に直面する一方、次代を担う新しい経営者が登場し、企業も参入の機会をうかがっている。農業はこのまま衰退してしまうのか。それとも再生できるのか。リスクとチャンスをともに抱える現場を取材し、生き残りのヒントをさぐる。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150105/275789/?ST=print



02. 2015年1月12日 19:02:30 : 7a8TXN0KMU
過疎の村は崩壊するのが必然です、ここにお金を注ぐなんて無駄。
むしろ過疎の村の住人を都会の空き家に誘導した方が良い。しかし、問題は家賃。
これも出ないとなると、一番良いことは放置することですね。

03. 2015年1月24日 00:11:56 : xUNS4q938g
>集団的自衛権を認め、自衛隊を軍(国家の暴力装置)として憲法に明記したうえで、法による徹底した管理(シビリアンコントロール)を行なうことや、「日本的雇用」という差別制度を改め、同一労働同一賃金や定年制廃止を法定化するなど、「世界標準」の政策を掲げるリベラル政党が出てこなくてはなりません。

机上の空論。
現実の政治において集団的自衛権を認めて米軍協力を断れるのか?
「法による徹底した管理」というが、閣議決定で解釈が変えられるのに
どう「徹底した管理」できるのかね。

そして最後は、
>「一強多弱」になるのは、弱い側に問題があるからです。選挙結果が気に入らないからといって、駄々っ子のような大人気ない態度はいい加減にやめた方がいいでしょう。

弱いもの叩き(笑)
勝ち組ネオリベには困ったもの。
てめえが襲われても同じこといってみろ。


04. 2015年2月02日 22:20:27 : jXbiWWJBCA

放置された先祖代々の墓、地方衰退の象徴−生者も浮かばれず

  (ブルームバーグ):衰退する地方で、置き去りにされているのは生者だけではない。
先祖代々の墓も世話をする関係者が減り、朽ち果てているものが多い。今後5年間で毎年平均50万人の減少が見込まれる少子高齢化の影響だ。

4月に統一地方選を迎える安倍晋三政権にとって、地方の衰退に歯止めをかけることが大きな政治課題となっている。秋には地方組織の指示が重要な自民党総裁選もある。

慶応大学の片山善博教授は地方創生について、「今回鳴り物入りで政府の最重要課題のひとつにされた。統一地方選に向けてという、それに勝つことが総裁選の基盤を確かにするというステップはあると思う」と語る。
安倍政権の地方政策を中心になって担うのは石破茂地方創生相だ。従来の公共事業や補助金が効果を上げていない中で、石破氏は地方に再生策の競争を求めている。

東京への人口流出

地方の人口流出の主な受け入れ先が東京だ。日本経済の38%を首都圏が占めている一方、1人の女性が生涯に産む子供数の平均を示す合計特殊出生率は東京都では1.13人で全国最低となっている。全国平均は1.43人。人口減少に歯止めがかかり安定するには、これを全国で2.07人まで引き上げる必要があると政府はみている。
第1次安倍内閣で総務相を務めた増田寛也氏は東京を人口の「ブラックホール」と評する。増田氏は昨年、「地方消滅・東京一極集中が招く人口急減」(中央公論新社)という本を出し、896の地方自治体が消滅の危機にあると警鐘を鳴らした。

増田氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「政治がやっぱり避けてきた部分が大きい。地方の人口減少について真正面から取り上げてこなかった、肌感覚では分かっているが」と述べた。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年までに、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で日本の人口に占める割合は30%に達する見通し。10年は28%。同時期に日本の総人口は16%減少する見込み。08年に1億2808万人でピークを打った人口は48年には1億人を割り込むとみている。
熊本県企画振興部企画課の河野浩一参事は「土地の名義は市になっているが、墓地は個人で管理しているもの、あるいは集落の墓地で誰が土地の所有者かあいまいなところもある。墓の管理者が誰か分からず、最終的には行政が対応せざるを得ない状況」と明かす。

火葬の国

日本の火葬率は99%を超えており、世界でも高い水準。熊本県人吉市が独自に行った13年の調査によると、市内の墳墓1万5123基のうち43%が無縁化しているという。人吉市環境課主事の桝田賢氏は、木が倒れ掛かったりコケが生えてしまったものもあり、風化が激しく墓石の文字の読み取りが困難なものもあったと語る。
桝田氏は「まだ遺骨が残っているものもあるかもしれないし、墓じまいをされないでそのままにされているのは非常に残念な気持ち」と述べた。
仏壇、墓石、屋内墓苑の販売を手がけるはせがわの経営管理部長、中村和徳氏は、地方では高齢化により長男が家の墓を継ぐという慣習は「すでに壊れつつある」と指摘。 

中村氏は「今あるお墓をどうするかという問題と、新たにお墓を買いたいとなったときのことがあると思う。そのときに民間の事業性墓地がなかったら自治体がやるしかない。民間でやるというのはある程度採算がとれないと難しい。東京ではビジネスにはなるが、地方ではなかなか手を出しにくい」と語った。 

政府は東京への一極集中を止めようと今後5年間で地方に30万人の若者雇用を創出する計画。税制優遇で企業の東京からの本社機能移転の促進も図る。

一方で、政府に財源の余裕はなくなりつつある。国際通貨基金(IMF)によると、日本の国内総生産(GDP)に対する公的債務の比率は今年245%に達する見通し。石破氏の責務は限られた財源の中で、地方再生対策をどう打ち出していくかだ。昨年10月の毎日新聞の世論調査によると、安倍政権の地方政策に対して58%が「期待する」、38%が「期待しない」と答えた。

しかし、自民党が推薦していた知事選候補が昨年7月以降で3連敗するなど不透明感も強まっている。1月の佐賀県知事選は農協が推す候補に敗北した。

東京大学の内山融教授(現代日本政治・比較政治専攻)は「安倍首相のトップダウン・スタイルの政治姿勢は地方で反発を受けている。地方の有権者は安倍政権の掲げている政策に必ずしも賛成しているわけではない」と指摘。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 野原良明 ynohara1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net; Adam Majendie adammajendie@bloomberg.net 淡路毅, 谷合謙三
更新日時: 2015/02/02 13:22 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIXIJO6JIJUP01.html



05. 2015年2月23日 19:57:52 : fPxsBIstAQ
多分、非常に受け入れ難い事柄だろうと思いつつも提案。

1 「先祖代々の土地」だの「先祖代々の墓」だのの考えを捨てる事、
都会に住む若者達の中に
「田舎暮らしをしたい」「農業に感心が有る」「だけどもお金が無い」
という者が居れば
相続人の絶えた土地や管理者の手が行き届かぬ
荒れ放題の土地を無償で与える。

2 害獣被害の酷い地域は特別区として
銃刀法を改正し、銃器所持許可を緩やかにする。

1に関しては土地を貰ったものは30年以上
そこに住み続けなければならないとか、
10年以上空き家にしたら取り上げるとか、
50年以上は勝手に売る事が出来ないとするとか…

2に関しては特別区外への銃器の持ち出しが発覚した場合には即逮捕…
とかね。

ならず者が集まるだの、犯罪率が上がるだのの懸念は審査を厳にするとかね、
とにかく若者達を集める、人が集まれば雇用も生まれ、
教育や医療機関も復活し充実する…

なんて単純な話では勿論無いだろう、
しかしこのまま抜本的な解決策を打てなければジリ貧だ。
それとも手遅れになってから慌てて海外移民を節操無く
大量に受け入れた方がマシかね?

東京を始め、大都市圏への一極集中は今後ますます進み、
例えば 東京•名古屋•大阪•京都•博多 以外は広大な無人の山野…
でも良いけれど、別に。


06. 2015年5月25日 15:37:22 : AiChp2veWo
「先祖代々の土地」「先祖代々の墓」というものは第一番に重大で大切であり日本人民が永劫守るべき当然の事である。但し、日本を衰退させるバカみたいな処に税金を何兆円と捨てるなら、墓は一定規模で国が負担し、低所得の方で建墓改修の困難な方に援助すべきだ。但し、そこに宗教やその他圧力を加えてはいけない。墓があってそれを守っているからこそ国家も強く清栄としてなりゆく。たとえ火星に移住しても先祖は大切である。何のために遺骨収集に頑張ってみえる僧侶等がみえるのかはここにある。遺族の心は押してしるべし。リベラルなどは重大だが日本ではある意味育たない、それは天皇制にあるが、天皇制がなければ我が国はとっくに他国に侵されている。だが今後の天皇制は良い意味で刷新され、皇統は厳守され、より御神意にかなう形になろう。開かれた皇室などの風潮は噴飯もの。ともかく日本天皇の歴史は世界に第一等の古さ貴史をもっていることは世界が認めている。不敬だが問題があるとすればより純聖の部分を取り戻す、などであろう。世界の真似をする必要はないが、天下万民、日本人が国家と権力、犯罪者等により、身心ともに蹂躙されることがあってはならない。民の仕合せの為に私はある、と詔勅された、2675年前の初代神武天皇・カンヤマトイワレ彦様の御心に、まず国家権力者が立ち返らねばならない。人間の大先祖が神でもあるが、あるいは人身を御産みになった神(西洋では創ったとある)への感謝と先祖霊への感謝が無ければ国は亡びる人間もだ。リベラルにこの霊性の観点がなければ結局無意味滅亡となる。ダーウインの仮説、進化論などに騙されず、本来の日本人民として道義国家として再興し立ち上がるべきである。

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