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長野県内の公立小学校で今月初めの入学式での新入生の集合写真をめぐり、同校にも通うことになった特別支援学校のダウン症の男児が外れた写真と、加わった写真の2種類が撮影された。校長が男児の母親に対して提案した。校長は「配慮が不足していた」として男児の両親におわびした。
母親は「今は、私たちを他の児童と同じように受け入れてくれているので感謝している」と話す。
母親によると、男児はこの春、特別支援学校小学部に入学。同時に、地域の児童との交流の一環で地元の小学校の授業や行事にも月に1、2回参加することが決まった。小学校の教室に男児の机も置かれ、クラスの一員として受け入れられることになった。
3月に母親が入学式の打ち合わせで小学校を訪ねると、校長から「ほかの保護者から『なぜ一緒に写るのか』と言われるかもしれないので、お子さんが写るものと写らないもの2種類を撮るか、気を使われるようなら、いっそ最初から一緒の撮影をご遠慮していただくか」と言われたという。母親は悩んだ末、2種類撮影する方を選んだ。
当日は男児以外の児童だけの写真を撮影中、男児はそばで待ち、その後、男児が列に加わって改めて撮影した。母親は「他の子どもたちに『あの子は自分たちとはやっぱり違う』と思われてしまいかねず、とても悲しかった」と話す。
母親から式の前に知らされた友人が朝日新聞に投稿し、7日付の朝日新聞東京本社版「声」欄に掲載された。その後、校長が自宅を訪れて「おわびします」と言われたという。
県教育委員会は小学校からの報告を受け、「児童全員が入った写真だけを撮るべきだった。男児を外しての撮影は『あの子が写ると困る』と周囲の子どもたちに伝えることになり、問題があった」としている。今後、校長会を通して事例を紹介し、再発防止に努めるとしている。(井口恵理、山田雄一)
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■校長「遠慮しているように見えた」
2種類を撮影することが差別になるという意識はなく、(男児の)お母さんがショックを受けるとは考えていなかった。ご両親には切ない思いをさせてしまって申し訳ない。
実は、他の保護者から男児が学校に入ることに不安を訴える声もあった。そのことでお母さんが集合写真を一緒に撮ることに不安があって遠慮しているように見えたので、2種類撮るという方法もありますよ、と言ったつもりだった。男児がうまく周りに溶け込むには、いきなり最初から全部一緒にするのはやりにくいかもしれないと思った。
今、考えてみれば、お母さんの気持ちをもっと丁寧に聞いて、一緒に撮りましょう、と強く勧めればよかったと思う。男児は他の児童と同じように大切な一人。これからは男児やほかの子の保護者と連携を強め、子どもたちの交流を深めていきたい。
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4月7日付「声」掲載の「特別支援教育 理念の実現願う」の要旨
養護学校小学部に入学したお子さんを持つ友人から「地元との交流もしていきたいから、地元の小学校の入学式にも参加する」と聞いた。入学式が近づき、彼女からメールが来た。
「集合写真を、うちの子が一緒に写るバージョンと写らないバージョンの2種類撮影するか、それともいっそ遠慮していただくか、と校長先生に言われた。ショックで力が抜けた」。入学式という喜ばしい出来事に、あってはならない。
文部科学省が掲げる特別支援教育の理念では、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会を目指し、その実現のため学校教育は重要な役割を果たすことが求められている。障害者やその家族が、健常者の顔色をうかがう必要がない社会の実現を願う。
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■「違いはあるけど同じだと教えるべき」
茂木俊彦・桜美林大特任教授(障害児教育)の話 学校は、障害児も健常児も同じ地域の子どもとして交流を進め、「違いはあるけれど同じだ」と児童に教えていくべきなのに、かえって違いを際立たせてしまった。仮に他の保護者から不安に思う声があったとしても、校長や教職員が理解を求めていくべきだった。校長は双方の保護者に配慮したつもりだったのだろうが、障害のある子は特別という見方を他の子たちに伝えてしまったかもしれない。
日本が1月に批准した国連障害者権利条約では「障害のある児童が、他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を完全に享有すべきだ」と記されている。
しかし、教育現場でも、いまだに障害児への理解に温度差がある。問題が起こったらその都度、障害への理解を深めるよう対話し、指導をしていくべきだ。
http://digital.asahi.com/articles/ASG4C5QJGG4CUTIL03G.html?iref=comtop_6_03
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