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[金融探偵団]医療や車、割高な保険料 リスク高めに見積もり
全額返還でも もうけ
マイホームに次ぐ人生で2番目に高い買い物なのに中身はよく分からない――。多くの消費者は保険にこんなイメージを抱いているのだろう。毎月のように新商品が発売されるが、保険料の決め方や保険会社のもうけはつまびらかにされていない。商品内容を分析すると、様々な課題が浮かび上がってきた。
(中野貴司)
「他の医療保険は掛け捨て型ばかりだが、この保険は違った」。都内に住む会社員の黒川和正さん(32)は今秋、東京海上日動あんしん生命保険の「メディカルKit R」に夫婦で加入した。
70歳までに入院・手術給付金を受け取らなければ、支払った保険料が全額戻る。給付金を受け取っても、保険料との差額は戻る。給付金が保険料を超えていれば、その分は保険会社が負担する。
保険会社はどうやってもうけているのか。黒川さんが払う月3000円強の保険料は国債で運用され、その利息を保険会社が得る。契約者は自分で運用すれば得ることができた利息を保険会社に提供している形だ。運用の原資となる保険料は通常の医療保険より高い。
こうした利益は「利差益」と呼ばれ、保険会社の主な収益源の一つだ。実は通常の掛け捨て型の医療保険は保険料を返還しないうえに利差益も収益源となるため、会社のもうけは「メディカルKit R」より多い。
保険会社にはもっと大きな収益源がある。病気になったり、死亡したりする人が想定より少なかったことで発生する「危険差益」だ。保険料を設定する際は未知の病気の流行などで将来リスクが増えることも織り込むため、結果的に高めになっている。大手生保の場合、営業利益に占める危険差益の割合は7〜8割に達する。契約者から見ると、保険料の設定が保守的すぎるともいえる。
その傾向は自動車保険でもある。最新の電気自動車を買ったドライバーが高い保険料に不満を募らせていると聞き、横浜駅近くの日産自動車本社を訪ねた。営業本部の斉藤太一課長が示したのは1冊の冊子だ。
車両標準価格表――。通称「車価表」と呼ばれる冊子には、日本で流通する大半の車種別の標準保険料が書かれている。例えば日産の電気自動車、リーフの車両保険の料率は6レベルで、小型車「ティーダ」は4レベルだ。レベルが1段階上がると、保険料は1.2倍程度上がるとされる。斉藤氏は「メーカーの感覚ではリーフはティーダと同程度の大きさなのに」と戸惑いを隠せない。
「なぜリーフの保険料は高いのか」。メーカー側は標準料率を設定する損保の業界団体と掛け合ったが、「電気自動車のような事故データの乏しい新型車の保険料は保守的に設定せざるをえないとの回答だった」(メーカー関係者)という。
日産は「電気自動車は使用される部品数が少なく、大半の事故では修理代がガソリン車より膨らむことはないはず」としている。
[日経新聞12月23日朝刊P.5]
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