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「60年前に生まれた東京の男性について、東京地方裁判所はDNA鑑定の結果から病院で別の赤ちゃんと取り違えられたと認めたうえで、「経済的に恵まれたはずだったのに貧しい家庭で苦労を重ねた」として病院側に3800万円の支払いを命じる判決」を出したという事例である。
新生児の取り違えという重大なミスを犯した賛育会が賠償責任を負うのは当然だと考える。
今回の判決で気になるのは、賠償そのものではなく、賠償金額の算定で考慮されたと推測できる生い立ちである。
判決の詳細はわからないし判例を調べたわけでもないが、「本来、経済的に恵まれた環境で育てられるはずだったのに、取り違えで電化製品もない貧しい家庭に育ち、働きながら定時制高校を卒業するなど苦労を重ねた」という事実が判決文で取り上げられていることから、そうでない生い立ちのケースと比較してより多い賠償金額が算定されたと思われる。
第三者の責任による事故で死亡したり傷害を負ったりした場合、被害者の所得水準で賠償金額が異なるのは逸失利益の概念からそれなりに理解できるが、新生児のとり違え案件で、「経済的に恵まれたはずだったのに貧しい家庭で苦労を重ねた」ことが賠償の金額を左右するとした今回の判決には違和感を覚える。
今回は、「経済的に恵まれたはずだったのに貧しい家庭で苦労を重ねた」ケースだが、「貧しい家庭で苦労を重ねるはずだったのに経済的に恵まれた日々をおくった」ケースもあるだろう。
端的には、今回のケースが二人の赤ちゃんを単純に取り違えたものであるなら、片方の赤ちゃんは後者に当てはまる。
そして、おそらく、後者のケースに対する賠償金額は3800万円に届かないだろう。
人は生まれながらに経済的不平等であり、誰の子として生まれたがある人の人生を決するという考え方を否定はしないが、取り違えの賠償は、どちらのケースも同額であり、親の経済状況は反映されるべきではないと思う。
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赤ちゃん取り違えで病院側に賠償命じる[NHKオンラインニュース]
11月26日 17時56分
60年前に生まれた東京の男性について、東京地方裁判所はDNA鑑定の結果から病院で別の赤ちゃんと取り違えられたと認めたうえで、「経済的に恵まれたはずだったのに貧しい家庭で苦労を重ねた」として病院側に3800万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、東京・江戸川区の60歳の男性と実の兄弟らが起こしたもので60年前の昭和28年に生まれた病院で取り違えられ、別の人生を余儀なくされたとして病院を開設した東京・墨田区の社会福祉法人「賛育会」に賠償を求めていました。
判決で東京地方裁判所の宮坂昌利裁判長は、DNA鑑定の結果から男性が赤ちゃんだったときに別の赤ちゃんと取り違えられたと認めました。
そのうえで、「出生とほぼ同時に生き別れた両親はすでに死亡していて、本当の両親との交流を永遠に絶たれてしまった男性の無念の思いは大きい。本来、経済的に恵まれた環境で育てられるはずだったのに、取り違えで電化製品もない貧しい家庭に育ち、働きながら定時制高校を卒業するなど苦労を重ねた」と指摘し、病院を開設した社会福祉法人に合わせて3800万円を支払うよう命じました。
判決によりますと、男性は同じ病院で自分の13分後に出生した別の赤ちゃんと何らかの理由で取り違えられたということです。
去年、実の兄弟が病院に残されていた記録を元に男性の所在を確認し、DNA鑑定を行った結果、事実関係が明らかになったということです。
「対応を検討」
判決について社会福祉法人「賛育会」は、「現在、判決内容を精査し、対応を検討しています」とコメントしています。
病院は真摯(しんし)に向き合ってほしい
取り違えられた男性の代理人をつとめる大島良子弁護士は、「男性は幼いころから母親や近所の人から『両親に似ていない』と言われ自分自身も違和感を感じていたという。実の両親が違うと知ったことで納得した部分もあると話していた。そのあとは迷いながらも実の兄弟と交流を深めていき、本当の両親の話を聞いて涙を流すこともあったそうだ」と話しています。
また、判決について「男性は喜びよりも病院への憤りが大きい。60年近く実の両親を知らなかったわけで、取り違えによって男性の人生は大きく変えられてしまった。本人は『自分のようなケースはほかにもいるのではないか』と話していて、病院にはこの問題に真摯に向き合ってほしいと希望している」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131126/k10013354444000.html
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