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東日本大震災の被災地でカルト系団体が暗躍
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9月30日 東京新聞「こちら特報部」
東日本大震災から二年半がたつ。時間の経過とともに、被災者の中には肉親と死別した悲しみや孤独感、将来への不安を募らせている人たちも少なくない。そうした心のすきを狙い、一部のカルト系団体が仮設住宅などに入り込み、活動を活発化させているという。しつこい入信勧誘や献金の強要といったトラブルも聞こえ始めてきた。行政による予防策を求める指摘もある。 (小倉貞俊)
「カルト的な要素を持つ宗教団体は震災直後から復興支援のボランティアなどを装い、入り込んできた。被害を受けている被災者もいる」
学者や聖職者、弁護士らでつくるネットワーク「日本脱カルト協会」の理事を務める福島県白河市の竹迫之(いたる)牧師(46)はそう語る。
カルトの定義はさまざまだが、日本では一般的に一九九〇年代のオウム真理教のように、ときに犯罪行為にも及ぶ新宗教や新々宗教団体を指す。信者を従来の環境から断絶してマインドコントロール下に置き、法外な金銭を求めたり、犯罪行為を促すケースもある。
竹迫牧師自身、過去にそうした団体に入会して苦しんだ。その後、その経験を生かして、カルト関連の相談や脱会の支援に携わっている。
東日本大震災の被災者たちからは、以下のような事例を相談された。
<ケース1 福島県の沿岸部に住む五十代女性>
津波により家屋が全壊し、夫とも死別。「供養」を名目に接触してきた宗教団体から「ご主人の魂があの世で苦しんでいる。このままでは遺族一同に災厄をもたらす怨霊になる」と脅された。
女性は家族に無断で、これまでに計四百万円前後を献金。事態に気付いた息子らが懸命に説得しているが「説得に負けると家族自身に災いが降りかかる」と信じ込まされており、耳を貸さない。
<ケース2 原発事故で避難している福島県の五十代夫婦の一家>
東京電力から避難者として補償金の支払いを受けているが、宗教団体に入信している親族から「放射能被害を食い止めるための祈祷(きとう)料」を献金するよう求められた。
その後も教団から派遣されたスタッフが親族と一緒になって献金を続けるようしつこく要求してきており、当人も困り果てている。
<ケース3 宮城県の仮設住宅の自治会>
「傾聴ボランティア」の名目で仮設住宅に入り込んだ人物が、宗教団体に入るようしつこく居住者を勧誘した。
その人物を締め出しても、同じ団体の所属とみられる別の人物が現れる「いたちごっこ」が繰り返され、自治会は「外部からの慰問活動はお断り」という方針を打ち出さざるを得なくなった。
竹迫牧師によれば、これらはあくまで氷山の一角。複数の類似例が報告されている。福島、宮城両県の消費生活センターにも、宗教団体に絡んだ相談や苦情が寄せられているという。
カルト問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう話す。
「今回の震災では、カルト的要素があるとされる十前後の宗教団体が被災地に義援金を寄付したり、がれき撤去のボランティアなどの慈善活動に取り組んだ。当初はPRが主目的だったかもしれないが、各団体にとっては信者を増やす好機。被害拡大が懸念される」
なぜ、被災者がカルト系団体につけ込まれてしまうのか。宗教ジャーナリストの藤田庄市氏は「被災者らは家族を失った悲しみ、生き残った負い目、やり場のない怒りから『なぜ自分がこんな目に遭うのか』との疑問を抱き続けている。カルトはその答えを『前世の報い』『天罰』などと明快に提示する」と説く。
「信者勧誘に関わるカルトの末端メンバーは、ほとんどが『被災者を救う慈善行為』だと錯覚させられている」
カルト系団体に入信すれば、今度は勧誘などのノルマを果たさないと、教団から「災いが降りかかる」とプレッシャーをかけられがちだ。
被災者の心のケアに携わってきた僧侶や牧師、神主ら伝統宗教の宗教者たちは、カルト系と自分たちの活動の違いをどう考えているのか。
宗派を超えた宗教家でつくる移動傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」を主宰する宮城県栗原市の住職、金田諦応(たいおう)さん(57)は「自分たちは一方的な説教はせず、被災者の気持ちに寄り添い、苦しい気持ちを吐き出してもらう。布教目的ではないため、宗派や教義を前面に出すことはない」と説明する。
被災者から「亡くなった息子はどこに行ったの」「私だけ生き残った理由は」などと問われることもあるが、相手が自ら答えにたどり着くのを待ち、聞き役に徹する。被災者が自ら精神的な困難を乗り越え、回復する手助けをするためだ。
金田さんは「傾聴活動を信者勧誘の手段にしているカルトなら、確かに被災者の問いに対して明快な答えを出すだろう。ただ、救いは一時的なものにすぎず、結局は教団に依存せざるを得なくなるのでは」と危ぶむ。
日本脱カルト協会代表理事で立正大の西田公昭教授(社会心理学)は、「過去にも阪神大震災をはじめ、被災地でカルトが活動を強化した形跡がある」と指摘する。
「全国の被災地で、お札や水晶玉を売り付けて雲隠れする『霊感商法』の例を耳にする。ただ、問題はそこにとどまらない。カルトは金だけでなく、人も取り込んで利用し尽くす。団体の手先にされて、悪いことにも手を染めてしまい、身も心もボロボロになってしまった例は少なくない」
もちろん、カルト系団体はこうした本性を隠して接触してくる。心が弱くなっている被災者が自ら、カルトか否かを見抜くのは難しいという。
西田教授はカルト系の見分け方として、(1)執拗(しつよう)な勧誘があるか(2)「入会しないと災いが起きる」など、不安感、恐怖感をあおらないか(3)入会前の説明とは異なる活動をさせようとするか(4)献金を強要するか−などを挙げる。一つでも当てはまれば要注意だと言う。
自衛以外に対策はあるのか。西田教授は行政の支援を求める。
「自治体はカルトに特化した専門窓口を置き、公的機関や有識者と連携しながら、情報収集に努めてほしい。仮設住宅などでも住民たちが自らパトロールをするなど、警戒心を持って予防活動にあたることが必要だ」
<デスクメモ> 麻薬と同じでカルトは一度はまると、その呪縛は強力だ。なかなか抜けられない。原発もカルトの一種に違いない。原発マネーに安全神話、安心神話と恐ろしい。被害も桁違いで、縁切りは至難の業だ。福島の事故で目が覚めた人びとがいる。だが、ここに来て再稼働の波が襲う。洗脳との対決が続く。 (牧)
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