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(Suicide lifts lid on physical punishment in school : DW English)
http://www.dw.de/suicide-lifts-lid-on-physical-punishment-in-school/a-16570342
教育
学校の体罰について、自殺事件のために蓋が外れる
体罰は日本の学校で禁止されているが、先日、10代の生徒が自殺し、それによって、教師が生徒を「指導」するためにどこまで暴力を用いることが許されるかに、光が向けられた。
12月23日、大阪で17歳の少年が寝室で首を吊っているのが発見された。少年(氏名不詳)は、その前日バスケットボール部の顧問に40回も殴られており、捜査の結果、頻繁かつ長期にわたり、虐待が行われていたことが判った。
息子が自殺して丁度ひと月後、自殺した少年の両親は、少年が死を欲するところまで体罰を与えたとされる教師を刑事告訴した。
大阪府警は告訴を受理し、桜宮高校バスケットボール部(氏名未確認)の顧問を取り調べ、司法手続を進めるかどうか決める方針だ。
メディアで報じられた教師の振る舞いに、政治家や父兄たちは衝撃を受けたにも係わらず、日本の学校ですでに長く禁止されている慣行を終わらせていないようだ。
手荒な指導法
1月18日、2人の生徒が科学実験で間違った結果を報告したために、希塩酸を飲むよう理科教師に強要されたことが発覚し、愛知県の教育当局は速やかな対応を余儀なくされた。
多くの子どもたちが、虐待にずっと口をつぐんでいる
塩酸は希釈されているため、子どもたちに危険をもたらすことはないと、その教師から報告を受けていたが、教師たちが悪評を受けていることを考えて安全策をとったと、地元教育委員会の当局者は語った。
「この事件は生徒たちの生命と健康に危険性を与えるものであり、指導に重大な欠陥があったことから、生徒や家族にはただ謝るしかない」と、教育委員会は声明で述べた。
「私たちは現在、指導に携わる教師を訓練する方法を決めているところだ」と、教育委員会は述べ、先輩の教師たちが2人の生徒宅を訪問し、事件について謝罪したと付け加えた。
縛られた生徒
その8日前、ある小学校の教師が10歳の自閉症の児童の手首をプラスチック製の紐で縛る体罰を行った。その子は医者の治療を受けなければならなくなり、その時にこの事件が明るみに出た。
大阪の自殺事件を受け、朝日新聞は、体罰は禁止されていても、今回が特殊な事例でなかったことを学校当局が認めるよう、社説で求めた。
「小学校から大学までの教育の各段階で、指導において暴力がよく使われることは知られている」と、同新聞は述べた。「生徒に暴力を使うことがないよう、教師を厳格に教育する必要がある。」
「より重要なことは、父兄・学校当局・教師・生徒が、スポーツの練習において、体罰を許さない環境を作るよう、取り組むことだ」と、同新聞は付け加えた。「練習において暴力を使うこうした指導者を『熱心だ』と賞賛する傾向すらあると、疑われている。」
暴力を見て見ぬふり
「人々が暴力を見て見ぬふりをすれば、それはなくならない。」
この問題について学校は顧問に警告していたにも係わらず、それが無視されたことが判ったとき、改めて怒りが沸き上がった。
この事件の1年以上前、大阪市は、バスケットボール部の選手たちが頻繁な虐待の対象となっているとの情報を得て、学校に調査を命じた。この疑いについて学校は生徒に調査を行わなかったにも係わらず、体罰の事例はなかったと教育委員会に報告した。
高圧的な教師に対しては、生徒・父兄も声を上げなければならないと、専門家は語る
生徒が死んだ後の調査により、50人の選手のうち21人がその教師から体罰を受けていたことが明らかになった。
「これは全く恐ろしい事例だが、驚くべき事はおそらく、見たところ、当の少年はあまり強く異議を唱えず、他の子どもたちも誰一人声を上げなかったことだ」と、明治学院大学人類学教授トム・ギル氏は語った。「この種の態度を標準とする、共謀と沈黙の文化がある。」
「日本の教育システムには、この種の肉体的な苦難と子どもに我慢をさせることが善であるとの意識がある」と、彼はDWに語った。「私の想像だが、多くの体育教師は自分が法律であると考えており、また、文部官僚が生ぬるく過度にリベラルなために、彼らは猛勉強しなければならないところで手を抜いており、その結果、日本はダメになりつつあると考えている人々が、恐らくいる。」
共謀する当局者
校長と教育委員会が共謀して、何が起きているかを官僚たち気づかれないようにしながら、子どもたちへの虐待を隠蔽し続けたと、ギル教授は語った。
しかし、大阪の生徒が死んだ結果として、教師たちは大きく変わらざるを得なくなる、という点について、ギル氏は楽観していない。
「私たちがこのような事例を取り上げる度に、人々は衝撃を受けたと言い、メディアは社会が今後どうなるかと問うが、そういったこともその後全て吹き飛んで、人々はこれまでのように日常を続けるだけだ」と、同氏は語った。
「もしこれが米国の学校で発生していたなら、父兄は即座に裁判を起こしていただろうが、ここ日本で父兄がそのような反応を示し始めない限りは、この状態が続くと思う。」
それでも、変化は緒に就いたのかも知れない。
1月23日、ある元生徒が出身校とその柔道部顧問を相手に、顧問の体罰によって負傷したと主張し、その損害として500万円(41,095ユーロ)を求める損害賠償請求訴訟を起こした。
その女性(氏名不詳)は、鉄棒で殴るなどの体罰を課したとして、藤村女子中学・高校の当局者を非難した。その虐待により、女性は左の鼓膜が破裂したと主張している。
学校は、顧問が女性を殴打したことを認めたが、損害の責任はないとの立場を崩していない。
発表 2012年2月1日
執筆 Julian Ryall / Tokyo
編集 Sarah Berning
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(投稿者より)
ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
難しい問題です。本当は、知識・技量・人格の上で生徒に優越していて、初めて教師は指導ができるのです。教師には生徒を評価する権限があります。その評価によって生徒の進路がある程度決まりますので、通常、生徒や父兄は教師のあり方に異議を唱えることができません。しかしその一方で、生徒や父兄が教師を評価する仕組みはなく、管理職が上から現場を指揮・監督するという、日本の組織ならば当たり前の仕組みも、そこが子どもに民主主義を教える場であるという見地から、学校現場はその例外です。さらに、教育公務員には手厚い身分・給与の保障があります。それでも、生徒の中にも跳ねっ返りはいるでしょう。生徒対応で教師集団が結束できないこともあるでしょう。実務上は、「指導」が目的なら体罰もいくらかは許されるかも知れません。結局は、教師が自分で自分を律するしかないのでしょう。
昔の方が体罰は酷かった、という意見はありますが、その一方で、開国当初、外国人が日本を観察した手記には、「日本には体罰がない」ことに驚いた記述があったようです。日清・日露の戦争の頃までは、あの陸軍でも体罰は行われなかったようです。武士に体罰は恥、というのがその理由。陸軍で体罰が行われるようになったのは、日露戦争が終わってから、武士としての教育を受けた世代が引退し、軍制の最小単位として「内務班」が制度化されてからのようです。その後、陸軍が体罰の巣窟のようになったのは周知の通りです。
学校現場も学制発足の当初から、一貫して体罰は禁止。昔は「子は宝」の思想が強かったので、体罰教師に対する父兄や社会の反応は、今よりむしろ鋭かったようです。その学校現場に体罰が入ったのは、その体罰を恥と思わなくなった将校が軍事教練を担当するようになってからとも、復員兵上がりの教師が教壇に立つようになってからとも言われています。そして、体罰が問題になったのは、60年代の「でもしか教師」大量生産の時代、70〜80年代の「管理教育」の時代を経て、90年代、民主主義教育で育った父兄の権利意識の高まりからです。ですから、ちょうど天狗が鼻をへし折られた形でしょうか。
こういったことは、ブログやホームページから情報を拾うことができます。尤も、何かを主張するにはこれでは論拠が弱く、当然のことですが、論文などを書くならさらにウラ取りが必要です。
要は、指導者が堕落した、ということのようですが、陸軍が自制心を失い傲慢になり、国を戦争へとなだれ込ませ、最後は敗戦により消滅したこととどこか似ており、興味深いです。
個別の事象には反論もできるでしょうが、短い期間に複数の事象が立て続けに発生したため、記者はそれらを束ねて背景に共通点を見いだし、「体罰は日本の文化だ」という記事を発表してしまいました。だからといって、橋下氏が唱えたような大掃除も難しそうです。子どもを教師の体罰から守るためには、教師の資質や技量を上げたり、個々の教師が個人的に体罰事件を起こすことがないよう、教師相互が協力したり監視したりして、教師が教師の職務を正しく行う仕組みを作るしかないのでしょう。
このご時世です。教師を対象に訴訟費用や損害賠償費用をカバーする保険も登場しました。困ったことです。
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