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http://biz-journal.jp/2012/06/post_273_2.html
あるNTTドコモの関係者によると、「月末近くになると、ドコモショップの支払い窓口に長蛇の列ができる。時には100人を超えることもある。それもなんとなくガラの悪い人が多い」という。それもそのはず、銀行口座を持っていない暴力団員が携帯電話料金の支払いに押し寄せているのだ。
銀行が預金約款の中に「反社会的勢力排除条項」を加えたことで、暴力団関係者は預金口座を持てなくなった。すでに開設している預金口座も解約させられることになる。このため、携帯電話の使用料金の口座引き落としができなくなった暴力団員が、月末近くになるとドコモショップに大挙して押し寄せることになる。
ある暴力団幹部は「子供が学校でいじめに遭っている」という。銀行口座が作れないため、授業料や給食費を現金で学校に持っていくことが、いじめの対象になったという。各都道府県が制定した暴力団排除条例(暴排条例)により、暴力団関係者とわかって利益やサービスを供与すると提供者も罰せられることになるため、外食ができなくなり、出前も取れなくなった。このような暴力団関係者が市民生活を営めない例は、枚挙にいとまがない。
しかし、そればかりではない。1991年の暴力団対策法、99年の組織犯罪処罰法以降、暴力団は確実に衰退し始めている。それは、昨今の暴力団犯罪を見れば顕著に表れている。
その象徴的な事件が、2011年7月に起こった2つの事件だ。山口組弘道会の直系組長が、愛知県内のホームセンターで窃盗(万引き)をして現行犯逮捕された。万引きした品物は、電球、キッチン用品、昆虫飼育用品など十数点で5500円相当だった。暴力団組長でありながら、犯行時の所持金は1万5000円。取り調べに対して、「子供用品や家庭用品を盗んだ」と供述した。
山口組弘道会といえば、現在の山口組6代目、司忍組長の出身母体であり、高山清司組長は山口組若頭を務める山口組の最大組織でもある。その弘道会の直系組長が万引きで捕まっているのだ。
さらに、同じ月に組織的なカーナビ窃盗を捜査していた愛知県警は、山口組系山健組の組長を窃盗容疑で逮捕した。5代目山口組組長の渡辺芳則は山健組の出身であり、山健組は山口組の最大派閥でもある。また11年9月には、同じく山口組系の組長が銭湯の脱衣所で、ロッカーから現金などを盗もうとして窃盗未遂容疑で大阪府警に現行犯逮捕されている。いかに暴力団がシノギ(収入を得る手段)に困っているのかを象徴するような事件だ。
ある警視庁幹部は、「暴力団では、窃盗・詐欺等の犯罪は組織の恥として、昔はすぐに破門等の処分をしていたが、現在はなりふり構わず御法度だった窃盗や詐欺に手を出し、資金の調達に奔走している」という。
暴対法、暴排条例の影響は、暴力団以外にも飛び火している。大阪では露天商(的屋)団体「小車誠会」が、11年10月に解散宣言を行った。的屋は暴力団とは違い、神社仏閣などに屋台を出店する露天商だが、これまでは暴力団と親密な関係を保っていた。「小車誠会」も山口組の2次団体であった。しかし、暴排条例により、的屋として暴力団に所属していれば、神社仏閣などから屋台の出店を拒否されるため、そのメリットがなくなった。
暴力団の衰退は、統計にも表れている。全国の暴力団関係者は昨年1年間で8300人減少し、7万300人となった。2年連続で、暴力団対策法施行後の最少を更新した。このうち都内は1万5950人で、同じく1000人減少している。特に全国の44.1%にあたる3万1000人の構成員を抱える山口組は、昨年1年間で3900人も減少している。まさに"暴力団受難の時代"が到来している。
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