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現状把握も検討も不十分なまま生活保護費引き下げ!? 厚労省・財務省主導で迷走する生活保護制度改革の今
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/192.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 09 日 08:42:00: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【番外編T】 2012年11月9日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
現状把握も検討も不十分なまま生活保護費引き下げ!?
厚労省・財務省主導で迷走する生活保護制度改革の今
――政策ウォッチ編・第1回
2012年8月に「税と社会保障の一体改革法案」が成立して以後、生活保護制度の改革に関する具体的な議論が活発になっている。2012年11月5日には、岡田克也副総理が生活保護制度を「事業仕分け(行政刷新会議「新仕分け」)」の対象とする考えを示すなど、事態は急転しようとしている。
これらの議論は、どの程度、事実に基づいているのだろうか? 何をゴールとしているのだろうか? ゴールへ向かって確実に歩める見通しは、ありそうだろうか? 
今回は、厚生労働省「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を中心に、現在、生活保護政策がどのように検討されているかを紹介する。
「生活保護費削減」ありき?
財務省と厚生労働省にリードされる生活保護制度改革
 はじめに、生活保護制度をめぐる政府・官庁での議論と、それらに関連する社会の動きを整理してみよう。

 生活保護制度の縮小・生活保護費削減という既定路線に沿ったストーリーの大きな流れを、主にTVが推進し、省庁間のちょっとした対立がエピソードとして挟まれているように見える。そこに反映されている「民意」のうち最大のものは、現在のところ、生活保護バッシングへの同調だ。
 このままで良いのかどうかを考える前に、まずは、厚生労働省がどのような検討を行なっているのかを見てみよう。
なぜ今年、生活保護に関する議論が活発か
5年に一度の見直しで受給者が「生存さえ困難」に
 そもそも、なぜ2011年から2012年にかけて、特に2012年に入ってから、なぜ生活保護に関する議論が活発になっているのだろうか? 
 実は、本年・2012年は、5年に一度行われる生活保護基準見直しの年に当たっている。基準見直しに関する結論は、2012年末に取りまとめられる。このため、政府・各省庁・各政党は、生活保護制度・生活保護基準に関する議論を活発に行うわけである。
 なぜ「税と社会保障の一体改革法案」が、2011年でも2013年でもなく2012年、それも8月という時期に成立したのか。なぜ5月に、生活保護バッシング報道が急激にTVを中心として盛り上がったのか。「2012年末に、政府がどのような結論を導こうとしているか」を考慮しながら振り返ってみると、「生活保護基準引き下げ」という結論のために、一連の流れが準備されていると考えるのが自然な状況だ。
 ここで、よくある誤解の1つ、
「デフレで物価が下がったら老齢基礎年金は下がるのに、生活保護費は下がらないなんて、不公平だ」
 に答えておきたい。
 生活保護費(最低生活費)は、毎年、見直しが行われている。年ごとに、厚生労働大臣が告示する。デフレで物価が下がれば、それに応じて、生活保護費も減額されている。
 2012年、引き下げが検討されており、日本弁護士連合会をはじめとする数多くの団体・個人が引き下げに反対しているのは、物価等を反映した毎年の生活保護費見直しではなく、5年に1度の、大規模かつ根本的な生活保護基準の見直しである。今回の生活保護基準見直しで「引き下げ」が決定されれば、生活保護費は物価スライド以上に引き下げられる可能性がある。
 すると、現在でも「健康で文化的な最低限の生活」に足りているとは言えない生活保護受給者の生活は、「生存さえ困難」というレベルに追い込まれるであろう。生活保護費が現状のままであるとしても、電気料金値上げ・2014年からの消費税引き上げなど、生活保護受給者の生活を脅かす要因は数多く存在している。
厚労省と財務省が政府をコントロールか
生活保護制度改革に関係する主要3部会
 政府の動きを地下水のようにコントロールしているのが各省庁である。生活保護制度に関する主要なプレーヤは、厚生労働省と財務省だ。このうち、特に重要な3つの審議会について、簡単に解説しておこう。
・厚生労働省
「社会保障審議会 生活保護基準部会」
 生活保護基準の検討のために設けられる。これまでは、5年に1回だけ臨時に設けられていたが、前回(2007年)、「検討を行うための常設の部会が欲しい」という意見が、委員の1人から出されていた。そこで、今回(2012年)からは常設の部会となった。
「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会 設置・第1回開催」
 政府の「国家戦略会議」において「税と社会保障の一体改革の中で、低所得者に対する対策を検討すべきだ」という意見があった。そこで、低所得者に対する対策を一体的に検討する場として、厚生労働省が設置した。
厚生労働省の基準部会・特別部会のほとんどは、傍聴が可能である。本画面ショットは、2012年11月9日に予定されている基準部会の開催案内。筆者は残念ながら抽選に漏れたので、傍聴できない
拡大画像表示
・財務省
「財政について聴く会」
 財務省の財政制度審議会・財政制度分科会の1つ。2012年4月、審議会において、安住財務大臣が開催を決定した。日本の財政を中長期的に検討する視点から、
現在は主に社会保障についての議論が行われている。
 筆者は、
「なぜここに経済産業省が出てこないのだろう?」
 と疑問を持っている。生活保護基準切り下げは、デフレ誘発・日本のブランド力低下など、景気対策としても貿易対策としてもマイナス面が大きいからだ。しかし現在のところ、主な議論は厚生労働省と財務省で行われている。
当事者の顔が見えない
基準部会で感じた奇妙さ
「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の会場となる、東京都千代田区のホテル宴会場。今回は傍聴者として入場したため、議論の様子を撮影することはできなかった
Photo by Yoshiko Miwa
 今回は、2012年10月17日に行われた「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会(第9回)」を中心に、実際の議論がどのように行われているかを紹介したい。
 メンバーは、25名の委員から成る。議長は、宮本太郎氏(北海道大学大学院法学研究科教授)。25名の委員は、社会保障を専門とする大学教員・研究者が6名、全国知事会・全国市長会など自治体を代表する立場の人々が5名、福祉施設経営者団体・困窮者支援NPO・民生委員団体・医師団体・社会福祉士団体など、広い意味で困窮者を支援する立場といえる立場の人々が9名、その他は、企業経営者・障害者運動家などである。
 現在、生活保護を受給している当事者・貧困状態にある当事者は、委員には1人も含まれていない。「当事者に近い立場」と言えるのは、藤田孝典氏(NPO法人ほっとプラス代表理事)と広田和子氏(精神医療サバイバー)の2人だけである。
 障害者である筆者にとって、
「私たちのことを私たち抜きに決めるな(Nothing about us without us)」
 という障害者運動の標語は、「原則」というべき位置にある。現在、障害者に関係する政策の検討が、まったく障害者抜きに進められることは皆無に近い。だから、貧困問題当事者の姿が傍聴席にしか見えない基準部会は、なんとも奇妙なものに見えた。
 議論は、「生活保護にかかわるステークホルダーたちの関係調整」という感じで進んで行く。たとえば、藤巻隆氏(渡辺パイプ(株)執行役員人事ユニットリーダー)は、現行の生活保護水準の維持が、最低賃金を上げる圧力として機能していることを述べた。障害者雇用率が引き上げられることと相まって、企業経営に対して大きな圧力であるという。さらに、各企業が企業活動や雇用を守るためにも、生活保護水準は「適正化」される必要があると主張する。この「適正化」は、引き下げを指しているのであろう。
 筆者は「企業の競争力のために人員削減を余儀なくされる場面も多いだろうに」と思いながら耳を傾けていた。人員削減によって職と収入を失う社員が、社会保障も利用して自身の立ち直りを図ることが容易な社会であればこそ、迅速でタイミングを逃さない人事を実行することができ、ひいては企業の競争力、日本の競争力を向上させるのに役立つのではないか? と。そもそも、社会保障は、企業経営の都合のためにあるものではない。福祉と営利はしばしば両立しない。「なぜ、この人がここに委員として呼ばれているのだろう?」という疑問も感じた。
 しかし、多くの委員の発言が同様に、各自の立場からの意見・各自の経験したこと・各自の身近で起こったことの主張であった。議論が噛み合っている感じは、ほとんど受けなかったが、現状はこうなるしかないのであろう。利害も意見も対立する人々が、それぞれに発言することが、まずは重要なのだろう。もちろん、それだけでは不十分すぎるのであるが。
当事者を支えられる立場の人々は、
どのように主張したか
 柏木克之氏(社会福祉法人一麦会執行理事)は、引きこもりにとって、いかに一般就労が高い壁であるかについて、自身の引きこもり支援体験をもとに述べた。まず、引きこもり状態にある人にとっては「外に出る」「どこかに通う」が高い壁である。そこを乗り越えて、就労準備支援を行っても、半年かけて「出勤ができる」が精一杯である。実際の勤労にあたっては、福祉的配慮が必要な状態であり、一般就労には結びつきにくい。そのような人々の職場を作るための雇用創出の試みも行なっているが、「そもそも収益化しにくい」という困難に直面しているともいう。
 高杉敬久氏(日本医師会常任理事)は、
「『適正化』という言葉を気楽に使わないでほしい」
 と、当事者の立場を無視した方向に流れがちな議論に釘を刺した。たとえば、精神科の長期入院から地域生活に移行しようとする人々の生活支援を行う立場からは、まず「生活のしかたを忘れており、1つひとつ再学習できるようにする必要がある」という問題に対処しなくてはならないという。高杉氏は、「適正化」の名のもとに、社会保障制度を必要としている人が利用しづらくなる可能性に対しても、懸念を表明した。
 小杉礼子氏(独立行政法人労働政策研究・研修機構 統括研究員)は、一般就労への途上にある困窮者を、労働者として守る必要性について述べた。しかしそれは、企業にとって持続可能な仕組みである必要もある。小杉氏は、例として韓国の失業者の就労支援の試みについて述べた。韓国では、企業に対して期限つきの雇用補助を行ったという。雇用補助の期限とともに、雇用された労働者の60%が失職したが、40%はそのまま雇用された。「40%が残ったことを重視すべき」と小杉氏はいう。
 一口に「困窮者」といっても、その抱える問題は多様である。稼働年齢層ならば、一般就労が1つのゴールになりうるが、ゴールへ向かうプロセスも必要な時間も、人や事情によってさまざまである。
 では、当事者の立場に近い2人の委員、藤田孝典氏(NPO法人ほっとプラス代表理事)と広田和子氏(精神医療サバイバー)は、どのような主張を行っただろうか。
水際作戦はあるのか?ないのか?
自治体の主張と当事者サイドの攻防戦
『テレビの金持ち目線』(和田秀樹著、ベストセラーズ刊)いわゆる「右派」にも、生活保護基準引き下げに反対する人は少なくない。和田秀樹氏は、精神科医・愛国者・父親など多様な立場から、豊富なデータと妥当な論理展開によって、生活保護基準引き下げのデメリットを訴えている
 藤田孝典氏は、いわゆる「水際作戦」の問題を指摘した。生活保護を受給できるはずの困窮者が生活を立て直すためには、ほとんどのケースで生活保護の申請と受給が必須であるが、福祉事務所で、実質的に申請を受け付けられないことが多い。このため、日本の生活保護受給率は、先進諸国に比べて非常に低い状態にとどまっている。
 これに対し、岡崎誠也氏(全国市長会相談役・高知市長)は、水際作戦はないと主張した。岡崎氏によれば、各福祉事務所では「生活保護は最後のセーフティネット」という認識のもと、困窮者の相談に乗っており、水際で申請させないという運用はなされていないという。
 しかし藤田氏は、言葉を慎重に選びながらも、「水際作戦があり、権利侵害の可能性が高いから、弁護士や支援者が生活保護申請に同行しなくてはならない」という現実を主張し、引かなかった。
 筆者には生活保護申請の経験はないが、障害者として、障害者福祉の申請は何度も行なっている。その経験から、いわゆる「水際作戦」や「硫黄島作戦(生活保護受給は認めるが、早期の脱却を強制する)」は、実在しないわけはないだろうと思う。筆者が、生活を維持するのに十分な介護給付(ヘルパー派遣)や身体に適した車椅子を得ることができたのは、障害者手帳取得から4年目のことであった。申請にあたっては水際作戦に遭い、「硫黄島作戦」というべき多様な嫌がらせや圧力を受けつつ、弁護士や障害者運動家の協力を得て交渉を続けた結果である。
 生活保護に関してだけ、水際作戦が存在しないなどということは、ありえないだろう。
有意に高い生活保護受給者の自殺率
 広田和子氏は、自身が精神疾患と付き合ってきた経験から、生活保護受給者としての生活が、精神状態にどのような影響を与えるか問題にしている。
 10月17日の基準部会では、前回の広田氏の質問に答える形で、厚生労働省が資料を提出した。2009年・2010年・2011年、自殺した生活保護受給者の人数である。

 ちなみに2011年、日本の自殺者数は3万651人であった。2011年の日本の人口を1億2000万人とし、生活保護受給者を200万人とすると、人口に対する自殺者比率は
日本人全体   0.026%
生活保護受給者 0.060%
 となる。生活保護受給者は、日本人平均の2倍以上、自殺リスクが高いわけである。
 生活保護受給者には精神疾患を持つ傷病者・障害者も多く含まれている。そのことを考慮するならば、生活保護受給者を現在以上に精神的に追い詰めるような施策は取られるべきでないと筆者は考える。しかし、検討されている案の多くは、生活保護受給者の人数を一時的にでも減らすことにだけ貢献しそうなものばかりだ。受給者たちの生活・日々の苦しみ・精神状態などに対し、良い変化を与える可能性がある案は、ほとんど見受けられない。
生活保護基準引き下げに反対する「STOP! 生活保護基準引き下げアクション」公式サイト。法律家・学識経験者・社会運動家など、多様な人々が呼びかけ人・賛同人として参加。賛否いずれにしても、一読いただきたい。正確に報道・紹介されているとはいえない実情を知るために役立つ多くの資料・データあり
拡大画像表示
 以上、特別部会においては、「貧困状態にありながら生活保護を受給できていない人をどう救うのか」「生活保護を受給する当事者にとって、各政策は何を意味するのか」「稼働年齢層に関しては経済的自立をゴールとするとして、検討されている施策は本当に有効なのか」「そもそも社会保障はどうあるべきなのか」という議論が、見事なまでに出てこなかった。悔しいが、「生活保護費は削減」という財務省方針に全てが引きずられている現状を、認めざるを得ない。
 次回は、2012年11月9日に予定されている基準部会と、政府の一連の動きに抵抗して「STOP! 生活保護基準引き下げアクション」を展開する人々の声を中心に、引き続き、生活保護制度改革の現在を紹介する。


<お知らせ>
本連載は、大幅な加筆を行った後、2013年2月、日本評論社より書籍「生活保護のリアル」として刊行する予定です。どうぞ、書籍版にもご期待ください。
http://diamond.jp/articles/print/27641
 

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コメント
 
01. 2012年11月11日 01:51:43 : 7uPtGleutM
問題が少し足りないだろ。

ネット他の噂だが、在日がとって日本人だけが取れずに餓死を強制されてきたという日本民族差別が数十年もつずいてきたのを誤魔化して日本人の血税を一部の反日在日が盗みとってきたのがいけないと皆がいってるのだろ。

一部の寄生在日の日本人血税強奪の事実を言えよ。とばっちりで真面目な在日も迷惑してるだろ。。引き下げる新法ができても一部の在日は抜け道作って同じようにカネを盗むんだと思われてもしかたないぞ。

まあ引き下げられたら辛いよな。国民年金なんて少なすぎるもんな。4万くらいで生活できんから餓死をまつしかないよな。風呂も入れんし電気ガスも無しで医者もいけんよね。食料買うだけだ。自営業は退職金もボーナスも見合いも無い。もし結婚できてれば子供がいて面倒みてくれるんだろうが妻無し子無しで、テレビ新聞暖房もなしでは寒い冬というより寂しい老後ということになるよね。

朝鮮進駐軍を忘れるな。大量密航を忘れるな。君が代丸を忘れるな。

日本人は見て見ぬふり。他人には冷たい。福島から子供を非難させろよ。人ごとではないだろ。


02. おいどんくん 2012年11月26日 05:03:58 : uoIL9IZioZlxI : VUblRm6qCU
障害者で働けない受給者と現役世代のリストラ健常者が同じってのは
おかしな話ですね。それと上の方も言ってられますが血税は日本人の為に
使うべきものだと思います。本当に必要な人に行き届かないですから。

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