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http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1210/30/news019_3.html
「尼崎連続変死事件」で主犯格とされている角田美代子容疑者。養子縁組を悪用することで警察の介入を妨げたと報道されているが、その手口は暴力団や闇ビジネス関係者が良く使っているもの。誰かが角田容疑者にこの支配と暴力のスキームを伝授したはずである。連日のように報道されているものの、いまだに多くが謎に包まれている「尼崎連続変死事件」。関係者から証言される残忍極まりない手口と増え続ける死者に背筋が凍りつく一方で、ぶっちゃけ何が何だかよく分からないという人も多いのではないか。
その原因は、複雑に入り組んだ人間関係だ。
ワイドショーやら週刊誌では人物相関図を作って解説をしているが、「戸籍上の親戚」だとか、「韓国籍の息子」だとか、「義理の娘の実家」だとかがバンバン登場し、いったい誰が被害者なのか加害者なのか余計にこんがらがってしまう。
「そもそも、何でこんな酷い話を警察は放っておいたわけ?」、というより「何で尼崎から遠く離れた平和な家庭に、いきなり怖いオバさんが押しかけてくるの?」……なんて疑問が次から次へと浮かんでくる人のため、この事件を理解するためのキーワードをお教えしよう。それは、「戸籍ロンダリング」だ。
人もバンバン殺しているし、角田美代子容疑者やその周辺にいる人物の人間性には底知れぬ異様さを感じるが、彼らがやろうとしていたことは、暴力団や闇ビジネスをしている人たちがわりとよくやるオーソドックスなもので、とどのつまりは「養子縁組の悪用」である。
養子縁組というのはいわば「名前を変えられる(=偽造免許などではなく、戸籍に掲載される本名を変えられる)」ということ。つまり、ホームレスの戸籍を買ったりなんてことよりも手軽に人生をリニューアルできるわけだ。
李正則受刑者や角田三枝子被告と養子縁組を利用して「家族」となり、それぞれをアカの他人の家へともぐりこませる。角田美代子容疑者は戸籍上は「親戚」になるので、我がモノ顔で乗り込むことが可能となる。さらに、親戚内でのモメごとは、警察は基本的に不介入。やりたい放題で、カネをむしりとったり、脅迫できるというわけだ。
「養子請負人」も存在
こういう手口を、ひと昔の金融屋やらヤクザはよく使った。私が取材していたころは「養子請負人」なんていう者がいて、自己破産したり金融屋のブラックリストに載ったりしてカネを借りられない人のもとに「養子縁組をしないか」という営業電話をかけていた。
「義父」になるのもたいがい多重債務者か、もしくはその年老いた寝たきりの両親。親不孝な息子が、ワルにそそのかされて勝手に手続きをするというわけだ。寝たきりの親の年金を勝手に担保にして融資を受ける年金担保詐欺と同じ構造で、これが放ったらかしになるとひと昔前に注目浴びた「消えた老人問題」の不正受給となる。
そんな調子で、新しい名前で戸籍がリニューアルされたら、運転免許を紛失したといって再交付する。養子縁組の情報までは信用機関には入らないので、新しい人間として晴れてカネを借りに行けるというものだった。
だが、これはあくまでビギナー向けで、上級者になると借金ぐらいではなくハイレベルな悪事に応用する。カネを借りさせてそのままトンズラさせたりと、さまざまな詐欺の仕掛けにする。
つい最近も、大阪の35歳の主婦が仲間とともに、6年間に養子縁組で4回も名前を変えて保険金詐欺を企てたが、角田美代子容疑者の場合、この“戸籍のリニューアル”を支配と殺人へと利用したというわけだ。
養子縁組制度というのはご存じのように通常、子どものいない夫婦が利用したり、相続の際に使われたりする。養子縁組を悪用するのは「公正証書原本不実記載」という立派な犯罪で、罰金もしくは懲役刑だ。が、これを実際に見抜くのは至難のワザである。生活保護の不正受給でも分かるように、日本の行政は性善説が基本なので、これを摘発する術がない。
だから、昭和の昔からよくあった。ヤクザに取材をしていると、しばらく会わないと急に違う名字になっていたなんてことが珍しくない。以前この連載で紹介した北朝鮮からシャブを大量密輸した組長も、晩年は養子縁組で名前が変わっていた。
養子を組んだ人間同士で“共犯”になれる
かつて養子縁組ビジネスをしていた暴力団関係者が言う。
「養子縁組ビジネスのいいところは、家族の問題にできるので警察の介入を防げるということだが、ほかにもう1つある。養子を組んだ人間同士で“共犯”になれること。勧めた多重債務者が今度はブローカーになって、ほかの多重債務者に勧めるなんてことも多い」
ということは、養子縁組の悪用を繰り返すということでファミリーの結束が強まり、巨大な犯罪集団へと拡大していったということではないのか。
角田美代子容疑者がいったい何をしたかったのかはまだ分からない。だが、あの人物相関図を見ていると、彼女が明らかにプロの手口を使っていることだけは分かる。
報道によると、これまで彼女は「月岡」「東」と姓を変えたというが、本当にそれだけなのか。飲み屋で一緒になった知人が過去のことを聞いたら、異様に怒ったとインタビューで答えていた。
先ほどの暴力団関係者が述べたように、“戸籍ロンダリング”はまるでネズミ講のように共犯者を増殖させていく。そこで、「親ネズミ」が本当に角田美代子容疑者なのかという疑問が浮かぶ。
彼女自身がどこかのタイミングで何者かの“共犯”となって、この支配と殺人のスキームを伝授された可能性はないか。本当の黒幕はどこかでほくそ笑んでいるのではないか。何だかそんな気がしてならない。
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