http://www.asyura2.com/12/social9/msg/151.html
Tweet |
[フォローアップ]認知症の危険運転が深刻
高速逆走・歩道走行、自覚なし 早期発見の対策急務
普通に運転しているつもりで高速道路を逆走したり、歩道を走ったり――。高齢者のドライバーの事故が増加傾向にあるなか、認知症が原因とみられる危険な運転が相次いでいる。あわや大惨事というケースもあるが、本人が自覚するのが難しいことが課題だ。専門家は、免許更新の際の検査を強化して早期に発見し、早期治療につなげるよう求めている。
「ドライブをしていたが、どこを走っていたのかは分からない」。11日未明、静岡県沼津市の東名高速沼津インターチェンジ付近から約13キロにわたり逆走した90代の男性は、県警の高速隊に車を止められ、こう話した。
男性は上り2車線のうち、追い越し車線を逆向きに走行。男性から見ればキープレフトの原則を守って「左車線」を走っていたという。
警察庁によると、今年8月末までの2年間に、逆走が原因で高速道路で起きた物損・人身事故は78件。事故に至らなかったケースも含め、高速の逆走447件のうち、65歳以上の運転が302件と全体の3分の2を占めた。半数の159件は認知症であるか、認知症の疑いがあった。
突然、歩道を走行し始めたケースもある。「近くまで来たが店の場所が分からない」。中国地方のアロマオイル店員が電話を受け迎えに行くと、90歳近い男性は、歩道を歩き出した店員の後ろを車でついてきていたという。男性は約30キロ離れた自宅から問題なく運転してきており、認知症の診断は受けていなかった。
警察庁の担当者は「事故を起こしたドライバーは、状況判断に問題があるケースが目立つ」と指摘する。
神奈川県座間市の都南自動車教習所が9月、県警などと共催した高齢者向け講習会で、60〜80代の参加者約50人に運転技能の検定を行ったところ、合格率は4割にとどまった。専用端末による検査で認知症の疑いありとされた人も十数人いた。
技能検定は仮免許検定の半分、約800メートルのコースだったが、ある60代の参加者は一時停止違反やセンターライン越えなど「検定停止」に当たる運転が4回。「免許保有者としてはあり得ない低いレベルだった」と教習所の担当者は振り返る。
周囲が衰えや危険に気付いた場合、「本人が納得して運転をやめられるよう話し合うことが重要」と国立長寿医療研究センター・長寿政策科学研究部の荒井由美子部長は強調する。運転をやめたこと自体を忘れることもあり「自分の意思で決めたことを紙に書いて貼っておくといった配慮も大切」と話す。
しかし、本人が自覚して運転をやめる決断ができるとは限らない。昨年1年間に認知症が理由で免許取り消し・停止となった442人のうち、33人は事故がきっかけだ。
認知症を研究する浦上克哉・鳥取大医学部教授は「免許更新は発見・治療のチャンス」と指摘。「より正確な検査システムを導入し、検査対象年齢の引き下げなども検討すべきだ」としている。
[日経新聞10月22日朝刊P.35]
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。