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社説:子どもの貧困 政治は冷たすぎないか
時・出典 2012年10月10日・毎日新聞
http://mainichi.jp/opinion/news/20121010k0000m070131000c.html
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■親の失業や経済困窮から授業料が払えず、やむなく中退する高校生や大学生が後を絶たない。義務教育でも給食費や学用品費が払えない児童生徒が増えており、市町村が実施する就学援助を受ける小中学生は全国で157万人に上る。調査開始時(95年度)の約2倍で、小中学生全体の16%を占めるに至った。
深刻なのは、自治体によって差が大きく、援助が必要なのに受けられていない子が相当数に上ることだ。生活保護受給世帯の子への援助は国から補助金が出るが、それに準ずる世帯の子については国が税源移譲して補助金が廃止されたため市町村の裁量に委ねられている。
ユニセフが今年発表した子どもの貧困についての国際比較によると、先進20カ国の中で日本は貧困率が4番目に高かった。日本より上はアメリカ、スペイン、イタリアだけ。北欧諸国に比べると日本の貧困率は約3倍という高さだ。
意外に思う人もいるだろう。不況とはいえ日本で子どもの餓死や凍死なんて聞かないじゃないか、と。ユニセフの調査は「相対的貧困率」と呼ばれるもので、その国の標準的所得の半分以下の世帯の割合と定義されている。人々がある社会の中で生活するためには、その社会における「ふつう」の生活からかけ離れていないことが必要との考えによる。
修学旅行に一人だけ行けない、まともな食事が学校の給食だけ、ふろに何日も入れない……という状況は現在の日本の社会的水準からかけ離れ、いじめや排除の対象になりやすいというのだ。学校に通えないとよい仕事に就くチャンスが少なくなり、お金がなければ健康にも悪影響が出る。そんなアリ地獄が貧困の連鎖を生んでいる。
社会保障はそのためにある。税や保険料を国民から集めて必要な人に年金や生活保護として給付する再分配機能によって、困窮者の生活は支えられているのだ。ところが、日本の子どもの貧困率は再分配をした後でさらに悪化する状態が続いていた。子育て世帯は納めている税や保険料の額ほどには給付が得られなかったのである。最近になってようやく改善されたが、子ども手当をめぐる混乱の中で再び悪化が懸念されている。
民主党政権は子ども手当の導入に伴い所得税と住民税の扶養控除を廃止した。しかし、野党の反対で子ども手当は挫折し、大幅減額した所得制限付きの児童手当になった。扶養控除は廃止されたままで、結果的に負担増の世帯が出てくる。これでは子どもの貧困は増えるばかりだ。政治は少し冷たすぎやしないか。
子どもたちの現実を見つめよう。この国の未来がそこに映っている。
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//Memo
*就学援助を受ける小中学生は全国で157万人に上る。調査開始時(95年度)の約2倍で、小中学生全体の16%を占める
*国が税源移譲して補助金が廃止されたため市町村の裁量に委ねられている
*先進20カ国の中で日本は貧困率が4番目に高かった
*ユニセフの調査は「相対的貧困率」と呼ばれるもので、その国の標準的所得の半分以下の世帯の割合と定義されている
*民主党政権は子ども手当の導入に伴い所得税と住民税の扶養控除を廃止した。しかし、野党の反対で子ども手当は挫折し、大幅減額した所得制限付きの児童手当になった。扶養控除は廃止されたままで、結果的に負担増の世帯が出てくる
//Hitokoto
今や格差社会の固定化は完成されつつある。踏みつけられた貧困層の不満はいったいどこへ向かうのだろう。政治闘争に明け暮れ、官僚たちの利益誘導のために税金は本当に必要とされるところに届かない。このままでは社会全体がサボタージュ抵抗を始めるのではないだろうか?一方、この社説は貧困が健康をも奪うと主張している。食費のために医療費を削らねばならないというのは深刻な矛盾だ。そして、身体の健康だけでなく心の病も大きな社会問題になっている。大病院に行けば心療内科は長蛇の列。薬漬けの生活。どうやら、私たちは社会自体の健康を取り戻さねばならないようだ。そのための処方箋を端的に言えば、私たち自身が覚醒し変化し前進していくことにほかならないのではないだろうか?もはや残された時間は少ないように思う。
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