http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/875.html
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今回の総選挙は小沢を完膚なきまでな議席を一桁にして、最低の得票で最大の自民党議席を確保した。
このことが不正選挙だとするシステムであれば。完璧と言わざるを得まい。
アンシャンレジームに選挙システムを握られたままでは、変革は望むべきもないと
絶望しかありえない。ただオバマ再選のカギもそのシステムにくさびを打った。
選挙戦略にあるようである。
田中宇氏の論文と長田 美穂氏論文をまとめている「これでよいのか日本より」http://yoiko00.blog9.fc2.com/転載する。
以下転載
不正選挙考察
不正が横行するアメリカ大統領選挙 http://tanakanews.com/e1008election.htm
2004年10月8日 田中 宇
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11月2日のアメリカ大統領選挙(総選挙)まで、選挙戦の残り時間が1カ月を切った。アメリカでは9月末から不在者投票がスタートするとともに、10月4日には有権者登録が締め切られた(登録をした有権者だけが投票できる)。
今年の選挙は人々の関心が異様に高く、前回2000年の選挙時に比べ、有権者登録の数はかなり多くなっている。選挙当日までに登録作業を終えるため、全米の多くの選挙管理事務所で、土曜日出勤や残業が必要な状態になっている。不在者投票も、投票申請書の申請数が前回選挙よりかなり多いと報じられている。(関連記事)
今年の大統領選挙に対して米国民の関心が高いのは、アメリカが戦争状態という現職の指導者を優位にする事態に置かれている一方で、この戦争状態が続くことが望ましいことなのかどうか疑問が拡大しているからだろう。「今は戦争中なのだからブッシュ大統領についていくべきだ」と考える人と「いや、ブッシュがやっていることはおかしい。辞めさせるべきだ」という主張の人がぶつかり合い、選挙の場で決着をつけようとする事態になっている。
すでアメリカでは、共和党支持者と民主党支持者の間の論争が喧嘩腰になってしまうことが多くて議論にならない、という指摘がある。両党の選挙運動家が支持層に対して必ず投票するよう呼びかけ続けた結果、有権者登録や不在者投票が増えている。(関連記事)
とはいうものの、不在者投票が多いことには、もう一つの理由がある。フロリダ州などでは、共和党も民主党も、支持者に対して選挙当日の投票ではなく不在者投票をするように勧めている。当日の投票では、不正が行われる可能性があるからである。(関連記事)
前回2000年の大統領選挙では、フロリダ州などで、紙に穴を開ける「バタフライ方式」などの旧式の投票システムが、誰に投票したのか判読しがたい票をたくさん作ってしまった反省から、タッチスクリーン方式のコンピューターによる投票機を使ったシステムに転換する選挙区が増えている。
だが、この投票機はバタフライ方式よりもっとひどい間違いを起こす可能性があり、選挙不正もやりやすいという指摘があちこちから出ている。電子投票機による投票では多くの場合、紙(投票用紙)に結果を出力することをしないため、コンピューター上で不正が行われた疑いを持たれた場合でも、再開票を行うことができず、不正の「やり得」になってしまう。そのへんの事情を分かっている人々は、旧来の用紙を使った方法で行われている不在者投票の方が安全だと考えている。
▼投票機メーカーの背後に共和党やビルダーバーグ
タッチスクリーン方式の電子投票機に重大な欠陥があり、不正が行えてしまうということは、アメリカでは以前から問題になっている。私も昨年8月に「アメリカで大規模な選挙不正が行われている?」という記事を書いた。だが、その後も問題は改善されないまま、11月2日の大統領選挙では投票者の3分の1近くが電子投票機を使って投票することになっている。
アメリカの電子投票機の主なメーカーは、全米で5万台が普及しているディーボルド、3万台が普及しているES&S、それからセコイアの3社で、このうち昨年プログラムに致命的な欠陥があるとされたのは最大シェアを持つディーボルドの投票機だった。
ディーボルドとES&Sは2社合計で全米のシェアの80%を持っているが、2社は同じ創設者によって作られ、初期の大株主は福音派キリスト教(キリスト教原理主義、主に共和党を支持)とつながりが深いアーマンソン家(Ahmanson)という一族の人々だった。その後、共和党の上院議員チャック・ヘーゲルが経営している会社などが2社の大株主になっている。これらのことから、投票機メーカーが選挙不正に関与するとしたら、それは共和党を有利にするためだろうと民主党の支持者たちから懸念されている。(関連記事)
チャック・ヘーゲルは最近、ブッシュ政権の財政赤字拡大政策は「小さな政府」を重視する共和党の精神を無視していると強く批判し、2008年の大統領選挙に立候補するかもしれないと言っている。ヘーゲルは毎年のようにビルダーバーグ会議に参加する対欧州協調派で、中道派であると感じられるが、その傘下のディーボルドが、ネオコン的な政策に偏重しているブッシュ政権を再選させるために選挙不正を行っているというのは矛盾がある。(関連記事その1、その2)
ディーボルドの「活躍」によってブッシュが再選されたとしても、2期目のブッシュが中道派的な政策に戻るなら理解できる。この点は、事態の推移を見る必要がある。またビルダーバーグ参加者が投票機メーカーの株主であることからは「ビルダーバーグが了承した人しかアメリカ大統領になれない」という陰謀論的な言い方が、必ずしもでたらめな話ではないことが分かる。(関連記事)
▼厚紙の申請書しか認めないのは妨害工作?
ディーボルドの本社はオハイオ州にあるが、同社の経営トップ(CEO)であるワルデン・オーデル(Walden O'Dell)は「11月の大統領選挙ではオハイオ州で必ずブッシュを勝たせる」という趣旨のメモ書きを共和党陣営に送っており、そのメモは最近暴露された。これは、ディーボルドが投票機のシステムを不正に操作してブッシュを勝たせるということなのではないかと懸念され、オハイオ州ではディーボルドの投票機を使うのを止めるべきだという議論が起きている。(関連記事)
ディーボルドの投票機に懸念があっても、オハイオ州ではそれを使うことを止めそうもない。オハイオ州政府では共和党の力が強いためだ。オハイオ州では州知事と州選出の連邦上院2議席の両方、それから州議会の上下院の両方の多数派が、いずれも共和党である。(関連記事)
オハイオ州は、共和党支持が特に多いわけではない。近年はオハイオ州の中部が共和党の牙城から民主党の票田へと衣替えしている。それだけ共和党の優勢が危うくなっているわけで、民主党は貧困層が多く住む地域などで投票を呼びかける活動を盛んに行った結果、民主党支持者の多い地域では、前回2000年の大統領選挙時に比べ、有権者登録の数が3・5倍に増えた。これに対して再選を狙う共和党ブッシュ陣営は今年3月以降、オハイオ州を69回も遊説に訪れている。選挙戦のラストスパートが開始された10月の第1週には、ブッシュ大統領自身が1週間に2回、オハイオを訪れた。(関連記事)
共和党陣営は、このような正攻法だけでは足りないと考えたらしく、選挙を取り仕切る州知事が共和党であることを利用して、職権乱用まがいの汚い戦術に出た。オハイオ州務長官のケネス・ブラックウェルは有権者登録が進行中の9月上旬「有権者登録は、一定以上の厚紙に印字した申請書によるものしか認めない」という指令を州内各地区の選挙管理委員会に対して発した。
その理由は「申請書を保存しておくのに厚紙の方が良い」というものだったが、実際のところ保存はコンピューター化され、スキャナーで読み取ってCDに焼きつけていたので、申請用紙が厚紙かどうかは重要でなかった。民主党側が貧困層などに配布していた申請書は薄い一般の紙に印字してあり、それらを無効にしようとする作戦だと民主党側は反発した。知事の指令は有権者登録の締め切り数日前の9月末日に撤回されたが、すでに多くの申請が却下され、民主党が支持者に再申請を呼びかけても締め切りに間に合わない状況になっていた。(関連記事)
これまでの米大統領選挙では、オハイオ州を制した人が大統領に当選するケースがほとんどだったが、その一方で同州は接戦になることが多く、前回はブッシュがゴアに3・5%の票差で勝っている。今回はもっとぎりぎりの接戦になるのではないかという予測があり、ブラックウェル州務長官自身「票差が2%以下になった場合、選挙後に(前回のフロリダのような)大騒動がオハイオで起きるだろう」と予測している。(関連記事)
▼スロットマシンよりはるかにずさんな投票マシンの管理
電子式投票機で不正がしやすい問題については、ニューヨークタイムスがキャンペーン的な批判記事展開をしている。その中の一本によると、投票機の不正防止策は、ラスベガスで使われているスロットマシンよりもはるかにずさんにしか行われていない。
ラスベガスの賭博場を管轄するネバダ州は「ゲーム機管理委員会」(Nevada Gaming Control Board)という州の組織を作り、この組織ではラスベガスで使われている全ての機種のゲーム機の構造をチェックし、機械の内部で動いているプログラムをバージョンアップのたびにメーカーに提出させ、不正ができるようになっていないか解析している。賭博場は、管理委員会に登録されていないゲーム機を使うことを禁止され、不正が行われていないことを確かめるため、委員会の担当者が賭博場に対して抜き打ち検査を行っている。(関連記事)
これに対して、電子式投票機の場合、3社のメーカーはいずれもマシンの内部で使われているプログラムを当局側に見せることを拒否している。抜き打ち検査の体制もない。すでに昨年、投票機のプログラムで不正ができることが分かっているのに、メーカー3社は「企業秘密だから」という理由で、投票機を買った選挙区の選挙管理委員会に対してもプログラムを見せていない。連邦政府や州政府、選挙管理委員会の多くは、その条件を認めてしまっている。
州によっては当局が投票機メーカーに対し、プログラムを調べさせろと詰め寄った。メーカー側は、州政府にプログラムを渡すのではなく、第三者に検査させるなら良いと言い、そのようになったが、検査した「第三者」は実は、メーカーが指定した共和党系のソフトウェア会社だった。(関連記事)
結局、各地の選挙管理委員会は、どんなプログラムが使われているかを確認できないまま、ディーボルドやES&Sの投票機を買い、投票日にはメーカーが派遣してきた要員に機械の管理をやってもらっている。
半面、各州の選挙管理責任者である州務長官の中には、任期を終えた後、投票機メーカーの顧問や社員にしてもらう例がけっこうある。2003年にはカリフォルニア州の共和党政権の州務長官だったビル・ジョーンズが地元の投票機メーカーであるセコイア社の顧問に就任したほか、フロリダ州やジョージア州でも、州務長官が退任後にディーボルドやES&Sの顧問に就任している。カリフォルニアのジョーンズはその後、連邦上院議員に立候補を表明した。投票機メーカーの「支援」ほど強い味方はいない。州政府でジョーンズの副官だった広報担当主任は、退任後、セコイア社の広報部長に就任している。(関連記事)
以前の記事「狂牛病とアメリカ」の中で、アメリカの畜産業界の有力者が農務省の高官に就任し、業界好みの行政を展開している例を紹介したが、投票機のパターンはそれと同じである。
▼ゴアの得票「マイナス1万6千票」
電子式投票機は、すでに全米各地の選挙で何回も使われているが、人口数百人の選挙区で数万票が入ってしまったり、集計時に各選挙区の得票数を加算していくべきところをマイナスしてしまう計算間違いが起きたりという問題が起きている。フロリダ州で2002年に行われた予備選挙では、ある選挙区の投票総数の8%が機械の不具合のために消えてしまったという指摘もある。(関連記事)
2000年の大統領選挙の当日夜、フロリダ州のボルシア郡(Volusia)という投票総数600の選挙区では、ディーボルド製の集計マシンがゴアにマイナス1万6千票、ブッシュにプラス4千票が入ったと表示する計算間違いをおかした。ES&S製の集計マシンを使っていたブレバード郡(Brevard)でも、ゴアがマイナス4千票になる計算間違いがあった。いずれのシステムも投票結果がマイナスになる計算間違いに対するエラー防止機能がついておらず、選挙管理委員会もマイナス状態にしばらく気づかなかった。(関連記事)
前回の大統領選挙でフロリダ州は数百票という異例の僅差でブッシュが勝ち、これがブッシュを大統領に就任させたが、フロリダではこれだけ大々的な計算間違いが複数あったのだから、数百票単位の小規模な計算間違いが他の選挙区であり、それは最後まで修正されなかったのではないか、投票機メーカーがエラーを誘発したのではないか、という疑念が出ている。
電子式投票機を使う場合でも、投票時に投票機の横から投票結果を印字した紙を出力し、それを別途投票箱に入れておけば、不正の疑惑があったとき、投票箱の中の票数を数えて計算することで、正しい選挙結果を把握し直すことができる。だがフロリダ州を含む全米の多くの場所では、紙による出力を行っておらず、投票機で不正が行われたとしても、それを追及する方法がない。投票機メーカーは「紙による出力は煩雑なだけで意味がない」と主張し、共和党系の各州政府も、紙の出力に消極的である。一方、民主党が比較的強いカリフォルニア州では、投票機を使う場合は必ず紙の出力を伴わなければならないと定めた新法を成立させている(ただし実施は2006年から)。(関連記事)
アメリカでは2000年の大統領選挙後、欠陥システムとして批判された旧式の「バタフライ方式」から脱し、電子式の投票機を全米で導入するための立法措置(Help America Vote Act)が行われて政府予算が組まれ、電子化が促進された。ところが実は、電子式には不正疑惑の問題があることが分かり、今では多くの選挙区が「旧式を使い続ける方がましだ」と考え、電子化を見合わせている。前回選挙時にフロリダの集計問題をすべてバタフライ方式のせいにしたのは、電子式を普及させ、自党に有利な選挙結果を出そうとする共和党の謀略ではないかと疑う人も増えている。
▼黒人の投票を妨害する
電子投票機と並び、今回の選挙で問題になっているもう一つの不正として、共和党系の人々が黒人有権者の投票を妨害しようとする動きがある。黒人の、特に貧困層は民主党支持が大半である。
テキサス州にある、黒人学生が大半であるプレーリービューA&M大学では、共和党系の地元検事が学生に対し、大学のある町ではなく実家の近くで投票するように要求し、それを守らなければ逮捕すると脅していたことが分かった。地元の選挙区でまとまった黒人票が民主党を有利にすることを避けようとしたのだろう。市民の8割以上が黒人であるミシガン州デトロイト市では、共和党の州議会議員が「デトロイトでの選挙を妨害しないと大変なことになる」と発言したことが暴露され、問題になった。
これらのことはニューヨークタイムスで黒人コラムニストのボブ・ハーバートが怒りの筆致で紹介している。黒人の人権保護団体などは、投票日に黒人有権者に対する妨害行為がないかどうか監視する動きを強めている。投票日に妨害が行われ、選挙後に問題になる可能性がある。(関連記事その1、その2)
フロリダ州では、2000年の選挙時に、ジェブ・ブッシュ知事(ブッシュ大統領の弟)の側近が、選挙権を剥奪される元犯罪者(刑務所帰り)のリストに、犯罪者ではない主に黒人の人々の名前を6万人分加え、当日投票所に行っても刑務所帰りとして扱われて投票を拒否される仕掛けを作ったことが知られている。この件は、前回選挙後に問題になったが、ジェブ・ブッシュ知事はまだ懲りず、今回の選挙でも熱心に黒人の投票権剥奪を行っている。(関連記事)
その方法の一つは前回同様、刑務所帰りのリストを使うことで、地元の新聞が情報公開の請求をして最近ようやく元犯罪者のリストを公開させ、そこにはいまだに無実の黒人の名前が多く混じっている疑いが濃いことが判明した。興味深いのは、4万7千人のリストの中で2万2千人以上の黒人がリストに載っていたのに対し、ヒスパニック系でリストに載っていたのはわずか61人だけだったことである(リストには人種欄がついている)。(関連記事)
フロリダではヒスパニック系が共和党支持(反カストロ)なので、共和党系のフロリダの州務長官は、リストの中からヒスパニック系を外し、代わりに無実の黒人を入れた可能性が大きい。このリストは公開された後、問題を指摘され、選挙時には使われないことになったが、代わりにどんなリストを使うか、フロリダ州政府は明らかにしていない。(関連記事)
もう一つの方法は、黒人住民が多いフロリダ中部のオーランド市で昨年3月に行われた市長選挙で不正があったという容疑を使い、地元の黒人の自宅を一軒ずつ州警察が事情聴取し、もう投票に行かない方がいいと威圧するやり方である。州当局は、不正疑惑が無実だったと5月に発表したが、なぜか州警察はその後も地元の黒人の人々の自宅を事情聴取の名目で訪問し続けた。(関連記事)
オーランド周辺の選挙区では、前回の大統領選挙で、民主党支持者が黒人有権者たちに呼びかけた結果投票率が上がり、ゴア候補が勝った経緯がある。さらに昨年3月のオーランド市長選挙では民主党の候補が勝った。この新事態が共和党を恐れさせ、今回の選挙では黒人を投票に行かせたらまずいということで、共和党の州政府が威圧作戦を展開しているのだろう。アメリカ南部の黒人たちは1960年代まで、投票に行こうとするたびに妨害を受けたものだが、そんな昔の抑圧がまた戻ってきている。(関連記事)
▼コロラド州の制度改正で勝者が変わるかも
11月2日の大統領選挙は、4年前の前回に劣らない大騒動になりそうだ。不正の話だけでなく、コロラド州が選挙制度を変えようとしていることも、大混乱を巻き起こす可能性がある。
アメリカ大統領選挙の制度は間接選挙で、各州で勝った方の党が、その州の人口に応じた人数の「選挙人」を出し、各州の選挙人が12月初旬にワシントンに集合して投票し、次期大統領を決める制度になっている。コロラド州は選挙人の定数が9人で、従来の制度だと、ブッシュ52%、ケリー48%の得票率で共和党が勝った場合でも、勝った方が全部とる仕組みになっているため、9人の選挙人は全員が共和党から出る。
コロラド州では、州憲法を改定して「勝者総獲得制」を「比例制」に変え、52:48だった場合、共和党が5人、民主党が4人の選挙人を出す制度に変えようとしている。制度改定を問う住民投票は、大統領選挙と同時に行われ、可決されればすぐに改定が発効することになっている。(関連記事)
今回の選挙は4年前に劣らず大接戦になりそうなので、コロラド州が制度を変えた場合、僅差でブッシュが勝つ状態から、僅差でケリーが勝つ状態に変わってしまいかねない。しかも問題をややこしくしているのは、コロラド州が制度を変えるかどうかは、大統領選挙の投票結果が出るのと同じ日だということである。(関連記事)
コロラド州の世論調査では、改定賛成が51%なので改定が実現しそうな気配だが、その場合共和党側が猛反発し、改定は違法であると主張して争いを裁判所に持ち込み、最高裁で決着がつくまで騒動が続く可能性がある。(関連記事)
前回の大統領選挙でも、フロリダ州の選挙結果について最後は最高裁が判断し、最高裁の判事に共和党系が多いことがブッシュ勝利につながった。今回も、裁判のテーマは違うが展開は似たようなものになるかもしれない。いずれにしても、すっきりした選挙にはならないだろう。
ふくしまニュースリリース http://www.news-r.jp/より転載
2012. 10. 29
ゼロから学ぶ・不思議の国アメリカ−−ジャーナリスト・長田美穂のシアトル通信 No.11・・・「アメリカにはびこる不正選挙」の衝撃レポートを読む−−大統領戦は大丈夫か?(上)
ハーパーズ・マガジンの11月号
アメリカは大統領戦を間近にして、大いに盛り上がっている。
大統領候補、副大統領候補の一騎打ちディベートは、一回戦で、ロムニー候補が予想外に、オバマ大統領に圧勝して国民を驚愕させた。ロムニーは俳優のようにハンサムで、時折にこっと笑う。これじゃ女性の無党派層は傾いちゃっても仕方ないなあ、と思わざるをえなかった。
オバマもハンサムだけど、ディベートの時に、ちょっと言葉をかむ癖がある。ガツッと言ってほしい時に、一拍空いてしまうのだ。
けれども2回戦、3回戦ではオバマが口撃にでて立て直し、副大統領ディベートではバイデン副大統領がベテランならではの話術で余裕の勝利−−などなど、これぞ劇場型政治の元祖、とても見ていておもしろかった。
私たち見るものをドキドキさせるのは、支持率がきわめて拮抗しているからだ。
2000年、共和党のジョージ・W・ブッシュと民主党のアル・ゴアが、接戦の末、票の数えなしをゴアが要求するといった大紛糾の末、ブッシュが勝利した。投票用紙のパンチカードの穴の空き方がおかしいとか、日本では考えられない実態が明かされ驚かされたのは、記憶にあたらしい。
そんな中、「いかに選挙で不正をするか−−国を赤く塗り変えようとする共和党」と題した記事が、月刊誌「ハーパーズ・マガジン」の11月号に掲載された。
「赤」とはアメリカでは保守派、共和党支持のことを指す。青は民主党、リベラルだ。
筆者のビクトリア・コリアーさんはメキシコ在住の作家。選挙の透明性を求める市民活動家でもある。この筆者が調べ挙げたアメリカの選挙不正疑惑のレポートの内容は、すさまじい。日本は、まかり間違ってもこういう事態にならないで欲しいとの願いを込めて、その内容を紹介したい。
筆者によると、アメリカの選挙不正は構造的に、継続的に、80年代から続いてきた。選挙不正、と以下でも書くが、正確には、きわめて黒に近い灰色レベルの疑惑だ。
疑惑を暴こうとした人は何人もいた。連邦政府の一部門が、メスを入れようとさえした。
しかし、反骨の弁護士が裁判をおこしたものの、予定していた証言者が突然、飛行機で墜落死するなど、小説のような事態まで引き起こしながら、かろうじて「疑惑」のレベルにとどまっている。
コリアーさんの趣旨を、ざっくりまとめると、次のようになる。
アメリカでは、2000年の大統領戦紛糾をうけて、障害者や高齢者など、だれもが投票しやすい投票システムを開発すべし、とのプロジェクトが始まった。02年のことだ。提唱者のジョージ・W・ブッシュ大統領は、投票システムを改善する州に補助金を出すといったため、各州は、コンピューター投票システムを導入した。
ところが、アメリカの投票コンピューターシステムは、共和党とつながりの深い、若干の私企業によって開発を牛耳られている。そして彼らの開発したシステム自体が、きわめて脆弱なものであり、ちょっとした知識があればはっキング可能なものだった。
投票方法には、紙でする方法と、コンピューター画面をタッチして投票する方法がある。票よみには、選挙管理委員会の監督のもと、手で数える方法と、コンピューター集計がある。
選挙不正を追求するNPOの調査では、コンピューターを導入した選挙区では、共和党候補が優勢になるという傾向があるという。
ではレポートで記されている具体例を紹介しよう。
コンピューター投票システム開発を握っているのは、主に2社。その1つは、ボブとトッド・ユロセビッチという兄弟が1979年にネブラスカ州で創設した会社だ。その会社ES&Sは、企業買収を繰り返しながら、いまも、アメリカの投票システムの開発を握っている。
彼らのお膝元、ネブラスカ州ではこんなことがあった。96年の選挙で上院議員に当選した共和党のチャック・ヘーゲルは、立候補表明の2週間前まで、ES&Sの会長だった。候補表明後は会長職は退いたものの、同社の親会社の大株主ではあり続けた。
開票3日前までの世論調査では、へーゲルと民主党の現職候補の支持率はともに47%と拮抗していた。ギャロップ誌も「結果は読めない」と言っていた。
しかし開票結果は、15%もの大差でへーゲルの勝利だった。
02年の選挙では、民主党から出馬したチャーリー・マツルカに対して、へーゲルは83%もの票を獲得、歴史的大勝をおさめた。
しかしである。ネブラスカ州では民主党員は40万人もの登録があるのに、マツルカが獲得したのはわずか7万票。マツルカは建設労働者で、資金も知名度も低い。それにしても、あまりにおかしいと、マツルカは上院倫理委員会に調査を要求した。
ところが倫理委員会は要求を拒否。マツルカが手で票を数え直してほしいと要求したら、州法は「票の再集計は、初回と同じ機械を使って行わなければならない」と定めているという。
同じ機械を使う、とはすなわちES&Sの投票用紙スキャナーを使う、ということ。全く、マツルカにとっては意味がない。
要するに、ネブラスカ州では、選挙投票コンピュータ会社の元会長が上院議員になり、その会社のコンピューターを使って投票・集計していた。「おかしい」と対抗馬が声を上げても、「その会社のコンピューターしか使えない」と突き返された、というはなし。
けれども、一上院の議席を巡る疑惑なら、まだ「ネブラスカの問題」だと片づけられるかもしれない。しかし話はさらに広がる。長くなったので、続きは次回へ。
前回の続きで、アメリカの選挙不正疑惑についてのレポート(ハーパーズ・マガジン11月号、ヴィクトリア・コリアー氏著)の内容を紹介する。
アメリカの選挙の投票・集計コンピューター大手2社のうち、最大手ES&S社製品が使われた、同社のお膝元ネブラスカ州での選挙不正疑惑の話を、前回、紹介した。
第二位のドミニオン社にも、著者コリアー氏のレポートによると、きな臭い事実が挙がっている。
ドミニオン社の誕生の経緯は、複雑だ。
その前身は、Swing Stateとして有名なオハイオ州に居を置くディーボールド社だった。ディーボールド社のCEOは、ジョージ・W・ブッシュ大統領のトップ・ファンドレーザーだった人物。そのCEOは2003年、大統領戦の前年に、オハイオの票をブッシュに「届ける(deliver)」と公言、世を驚かせた。
カリフォルニア州はディーボールド社のタッチスクリーン投票システムの使用を禁止。カリフォルニア州のケビン・シェリー州務長官は、ディーボールド社を「詐欺的」と批判した。当該のCEOは05年、ディーボールド社に対して起こされた集団訴訟の直前に、職務を辞任した。
非難轟々のディーボールド社は、その後、選挙システム部門の名前をプリミア・エレクション・ソルーションズと変えた。そして09年、プリミア部門を業界第一位のES&Sに売却した。
ここで、前回紹介したES&Sの創始者、ユロセビッチ兄弟が登場する。兄のボブは、02年に、ES&Sからディーボールドへ「逃亡」していた。弟のトッドはES&Sに残っていた。
ディーボールドによるES&Sへの選挙システム売却は、まるで兄弟間でのやりとりのよう。おまけにES&Sへの集中が進む。
そこで司法省が介入し、プリミアは、ES&Sと別の大手ドミニオンとで分割所有することになった。
そしてその一ヶ月後、ドミニオンは、別の選挙システム大手Sequoia社を買収した。こうして、ES&Sとドミニオンが、選挙システムの大手2社となった。
ユロセビッチ兄弟の兄ボブは、ウェブを使った投票技術を開発するスペイン系企業のアメリカ支社役員になり、選挙システムに関わっているという。
この大統領戦では、ES&Sの投票システムが20州、2600万人の有権者に使われる予定だ。ドミニオン傘下のSequoiaのシステムは4州、900万人によって使用される。
国家の基幹をなす選挙システムが、このような形で私企業に牛耳られていてよいのかと、レポートの筆者は疑問を呈している。
さらに筆者が問題視するのは、この2企業の開発する選挙システムの安全性がきわめて脆弱だと、これまでに指摘されてきた経緯があることだ。
議会の超党派グループ、ジョンズ・ホプキンス大やプリンストン大などの研究者グループなど、公私にわたるいくつもの団体・組織が、ディーボールド社のシステムが、簡単にハッキングできると警告してきた。
2011年11月には、連邦政府の一部門、エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所のグループが、ディーボールド社製の旧型タッチスクリーン投票システムAccuvoteは、26ドルの部品と中学生なみの知識があれば、選挙結果を操作できるものだった、と調査報告した。
ちなみに今回の選挙で使われるのは、ES&Sに売却された後、新型になったAccuvote-TSXだ。
アルゴンヌ国立研究所は、Sequoiaのシステムもまた、簡単にハッキングできるものだとレポートした。
しかし2社とも、アルゴンヌ研究所の調査報告は無視。
Sequoiaについては、企業の姿勢を疑問視する声もあがっている。07年に、有名テレビキャスター、ダン・ラザーによる同社の元従業員の内部告発証言を報じた。2000年のゴア・ブッシュ大統領戦で、民主党優位だとみられていたフロリダ州のパーム・ビーチ郡の投票用紙パンチカードに、誤配列をほどこせと会社で指示された、という衝撃的なものだった。
次回は、なぜこのような事態が放置されているのかについて、レポート筆者の分析を紹介したい。
長くなったが、前2回の続きで、アメリカの選挙不正疑惑についてのレポート(ハーパーズ・マガジン11月号、ヴィクトリア・コリアー氏著)の内容を紹介する。
選挙不正疑惑を描くこの記事の圧巻は、2004年の大統領線における、共和党ブッシュ大統領vs民主党のジョン・ケリーのオハイオ州での戦いだ。
オハイオ州は、両党の支持者が入り交じっていて、選挙の行く末を決する最大のSwing Stateの一つ。そしてここは、共和党との関わりが強い、選挙投票・開票マシンの大手、ディーボールド社のお膝元である。
ディーボールドの黒い噂は、2年前、02年の上院戦でもあがっていた。
ディーボールド社の関係者が、創業者ボブ・ユロセビッチの指示で、ジョージア州の投票マシンにソフトウェアのパッチを施せ、と言われた、と暴露した。
そのパッチの名目は「時計システムの修理」だったが、実際はそうではなかったこと、州や郡の人間には口外が禁止されたこと、そしてボブのような上層部の人間から、パッチについて指示がくるなど通常ありえない、と内部告発者はローリングストーン誌に語った。
はたして、ジョージア州は共和党候補が勝利した。
さて大統領戦を鍵をにぎるオハイオ州では、04年、なにが起きたか。
タッチスクリーンの画面が、「ケリー」を押そうとしたら「ブッシュ」に飛ぶ。手で集計するある地域では、突然、集計作業が変更になり、非公開、監視なしで開票が行われたーー。等々の、異常事態が多数、報告された。
この事態については、下院議員のジョン・コニャースらが、調査報告書「民主主義を守るーーオハイオはなにを誤ったのか」にまとめ、問題視した。
しかしこの報告書にさえ、触れられていない事実があると、筆者のコリアー氏は記す。
ブッシュ陣営に雇われた、ITストラテジストのマイケル・コネルの役割だ。コネルはブッシュ大統領の腹心、カール・ローブら共和党上層部からウェブサイト構築などの仕事を請け負ってきた。選挙時には、開票サイトのミラーサイトを作れ、と命じられていた。
しかしそのコーネルは、後に、不審死することになる。
選挙から4年後の08年、オハイオ州の弁護士が、カール・ローブが一連のコンピューターによる選挙不正を立案した疑いがあるとして、ローブに対して裁判を起こした。
そして不正疑惑の鍵をにぎるのはコネルとみて、弁護士は、コネルを尋問したいと考えていた。
ところがコネルは、ワシントンDCからオハイオへ向かう途上、自分で操縦する飛行機で墜落死したのだった。
オハイオ州の結果は、出口調査ではケリーが優位だったが、集計結果はブッシュだった。
出口調査では67%がケリー支持だったが、ふたを開けると38%の得票だった、という地区さえあった。出口調査と実際の結果のかい離がここまで大きくなるのは、統計的には8億6720万分の1の確率なのだという。
さてなぜこのようなことが放置されているのか、素朴に疑問に思う。
一言でいうと、民主党、そしてメディアも、「陰謀説」を信じている人間だというレッテルを貼られたがらず、この問題を直視しようとしないのだと筆者はいう。
ニューヨーク大学で、共和党の選挙不正疑惑を研究してきたマーク・クリスピン・ミラー教授は、著書「Fooled Again Loser Take」を出版した際の、メディアの反応をこう筆者に語っている。
−−大手メディアはどこもインタビューに来なかった。左翼メディアには敵対視された、と。
バーモント州の元上院議員、ベン・プラシュニックは、コリアー氏のインタビューに答えてこういった。
「民主党議員や候補者にとっては、アメリカの民主主義の清廉さに疑問を呈するようなことを、公に口にするのは、政治的自殺行為に等しい。ほとんど誰も、この問題と戦おうとしてこなかった。でも証拠は山積している。民主党は目を覚まして、問題を直視しなければ、このままでは共和党帝国になってしまう」
来るべき大統領選では、オハイオ州は、いや全米はどう結果を出すのだろうか。
レポートがあまりにおもしろく、3回にもわたって、内容を紹介してしまった。コリアー氏のレポートには、歴史的経緯や複雑に絡まる事態、さらに詳細な疑惑についての記述が詰まっている。関心のある向きには、有料だが、オンラインからの閲覧をお勧めしたい。
http://harpers.org/archive/2012/11/how-to-rig-an-election/
フリーライター
長田 美穂
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。2010年8月に『ガサコ伝説『百恵の時代』の仕掛人」(新潮社)を刊行、10月よりシアトル在住。
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