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復興増税を流用する「自民シロアリ」大量発生中
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11453540525.html
週刊ポスト2013/02/01号 頁40 :大友涼介です。
復興増税、復興予算、復興財源確保法、五十嵐敬喜・法大教授
「安易なバラマキではない!」と、安倍首相は、13兆円にも及ぶ補正予算への批判に会見でこう色をなして反論した。確かに、これは国民が恩恵にあずかる「安易なバラマキ」とはいえない。自民党に出戻りしたシロアリ役人が、得するよう仕組んだ「巧妙な利益誘導」なのだ。
◆復興増税は官僚の「お年玉」
この1月から復興増税が実施された。
サラリーマンが一月分の給料明細をみれば、従来に加えて、「所得増税額の2・1%」が臨時増税として天引きされているはずだ。多くの人は月額数百円程度で、「復興のためならやむをえない」と思わされる金額だが、臨時といいながら今後25年間も徴収される。
総額は、年収400万円の単身世帯は5万円、年収700万円の4人世帯(夫婦子供2人)なら10万7500円、年収1000万円の4人世帯になると35万円にのぼる。給料だけでなく、年金や預貯金の利子、株や投信の配当た売却益にまでしっかり課税される。
震災後、当時の民主党政権は、「復興の財源がない」と復興予算19兆円のうち10兆円を臨時増税で賄うことに決めた。
増税が本当に被災者のために使われるなら我慢もしよう。
だが、この国のシロアリ役人たちは、震災予算の大半を震災に苦しむ被災者のためには使わず、霞が関の庁舎改修から役人の外遊費用、残業代から福利厚生費までまさに自分たちのために流用し、食い潰していることを本紙スクープで明らかにした(2012年8月10日号)。それをきっかけに社会問題化して国会でも追及された。
それでも「増税のカネを返せ」という声が高まらなかったのは、国民は被災者の復興には資金が必要だとわかっているからだ。
シロアリはそうした国民の思いを再び裏切った。安倍政権が1月15日に閣議決定した13兆円(事業規模20兆円)の補正予算で、さらなる復興資金のネコババを図っているのである。
大メディアは報じないが、そのカラクリはこうだ。
復興増税を決めた復興財源確保法は自民、民主、公明などの賛成で成立したが、その中には政府保有株の売却などと並んで、「国の一般会計の剰余金を優先的に復興国債の償還にあて」(附則15条)、「それらの措置で財源の確保が見込まれる場合には復興増税に係わる税負担の軽減ための所要の措置を講ずる」(附則16条)という条文が盛り込まれている。
どういうことか。菅内閣の内閣参与を務め、復興増税の経緯を知る五十嵐敬喜・法政大学教授(公共政策)はこう指摘する。
「財務省は財源がないと復興ができないといって、復興国債を発行して借金し、国民に無理を言って将来にわたる臨時増税で返済することにした。だから、国の予算に剰余金が出たときは当然、優先的に復興国債の償還に回し、増税による国民負担を減らすのが法の規定です」
もともと財務省は予算編成の際、予算が不足しないように歳入は少なく、歳出は多めに見積もるため、毎年、一般会計には2兆円以上の使い残し(不要額)が出るのが常だ。その5年分程度を復興財源に回せば、本来、復興増税はゼロにできるはずである。
実は、昨年度も今年度もたっぷり剰余金が出た。11年度決算では税収増や予算の使い残しで4兆円が余り、赤字国債の発行額を削ってもなお約1兆9000億円の純剰余金が残った。執行中の今年度予算でも、税収などの増収約4100億円に加え、国債の利払い費の余りが約1兆4000億円見込まれている。
ところが、安倍政権は国民に返す(増税を減らす)べきこの4兆円近い剰余金を、シロアリ官僚と結託して丸ごと今回の補正予算につぎ込んだのである。
「復興のためには仕方がないと増税を素直に受け入れた国民にすれば、復興予算の流用は詐欺に遭ったようなものです。そのうえ、国民負担を減らすべき財源まで補正予算に回すのは最も悪質な流用でしょう。役人はいったん財源を握れば国民に返すという概念がない。復興増税で入ってくるカネを臨時ボーナスかお年玉のように考えて普段は使えないような無駄使い走っている」(五十嵐教授)
官僚たちは、公共事業が嫌いな民主党政権には「財源はない」と増税させ、公共事業大好きな自民党政権になると「使える財源がありまっせ」と大判振る舞いをそそのかしているのだ。
◆『八重の桜』告知も復興予算だった
復興予算の流用批判を浴びた民主党政権は昨年の総選挙直前、「復興予算は原則、被災地以外では使わない」という方針を決め、35の復興事業を凍結した。しかし、時既に遅し。凍結できたのは総額約168億円分と復興予算全体のわずか0・1%以下に過ぎない。
それというのも、シロアリ役人たちは「予算が凍結されないうちに使ってしまえ」と、5年分のはずだった19兆円の復興予算をわずか2年で18兆円も食い散らかしてしまったからだ。
しかも、火事場泥棒的な流用はまだ続いている。
財務省は本年度の復興予算の概算要求に「仙台港の税関の大型X線検査装置の復旧等」として約25億円を盛り込んだ。そのうち装置の復旧に本当に必要なのは半額の約12億円で、残りは関西の税務署改修や復興増税導入のための国税庁のコンピューターシステム構築の費用をこっそり潜り込ませていた。被災者のために使うはずの復興予算をよりによって増税のシステム費用に回すとは許し難い国民への背信行為というほかない。企みは東京新聞の報道によって未然に発覚し、税務署改修やシステム構築予算は一般会計から出すことになったものの、予算を査定する財務省が先頭に立って流用に狡知をめぐらせているのだから、他省庁に歯止めが掛かるはずがない。
内閣府は来年度の復興予算(概算要求)に沖縄の国道建設費を盛り込み、農水省は復興事業に職員の人件費や残業代を盛り込み、北海道開発局は休職中の職員の給料まで復興予算から支払っている。
霞が関ぐるみで国民にわからないように予算流用が可能な仕組みを作り上げていたのだ。
復興増税を決めた11年の第3次補正の予算総則の修正に秘密があった。総則では、農水省の出先機関である地方農政局の「工事諸費」から職員の人件費や残業代、各種手当てを支出できる規定を追加し、北海道開発局の工事諸費には職員の給与・手当てに加え「休職者給与」まで出せる規定を盛り込むなど数々の工作がなされた。これによって復興予算から、働いていない休職中の役人の給料まで付け回しできるようになっていたのだ。
流用額そのものにも誤魔化しがある。NHKや朝日新聞など大メディアは、19兆円の復興予算のうち、被災地以外に流用されたのは「全国防災事業」と「企業の立地補助金」を合わせた約2兆円と報じているが、本誌の調査ではそんなものではない。
例えば、復興予算からは震災で被害を受けた役所の施設改修費(官庁営繕費)に総額約137億円(11年度)が充てられ、そのうち被災地向けの「復旧費用」は4億5000万円となっている。だが、その内容を調べると、実際に被災地で使われたのは約3600万円のいわき地方合同庁舎改修1件だけで、残りは人事院がある東京・霞が関の中央合同庁舎5号館別館の改修に充てられた。国土交通省の担当者は「東京も被災地です」と説明したが、施設改修費のうち被災3県に使われたのは全体の5%だ。他の復興事業でも、東京などで実施された事業が「被災地向け」と計上されたケースは枚挙に暇がない。
つまり、2兆円どころか19兆円の大半が被災地以外で消えている可能性が高い。
「役人がこれだけ確信的に流用できるところをみると、被災地の復興資金が本当に19兆円も必要だったのか疑問になる。当面の復興に必要なのは6兆円程度でよかったという経済学者の指摘もある。霞が関は最初から復興予算を大幅に水増ししていた可能性が高い。しかも、復興予算が十分余ってしまうと、決算剰余金を増税削減に回せという声が強まる。だから霞が関はどんどん流用して復興財源を早く使い切ろうとしているのではないか。そうすれば復興予算はまだ足りないと口実をつけて剰余金を公共事業に使える。今回の補正予算がまさにそうなっている」(前出・五十嵐教授)
その他の復興予算流用の実態はすでに本誌が詳細に報じたのでここでは繰り返さないが、流用問題を大きく報じたNHKで、今年からスタートした大河ドラマ『八重の桜』のキャンペーン費用も、国交省の復興予算(復興調整費3・4億円)から出されていたことを付け加えておく。
そして復興予算に国民の視線が厳しくなると、シロアリは今度は安倍政権の13兆円補正で新たな蟻塚を作り始めたのである。
◆自民党と霞が関の「強靭化計画」
安倍政権は「復興・防災」を掲げて復興国債の返済に回すべき財源から13兆円の補正予算を組んだ。そのうち震災費用に回るのは約1兆4500億円に過ぎず、大部分は全国に公共事業費がばら撒かれる。復興予算でやってきた被災地以外への公共事業費流用を大っぴらにやろうというものだ。
一番沸いているのは補正予算としては史上最大の1兆8801億円の公共事業を実施する国土交通省だ。昨年12月、笹子トンネルの天井板陥落事故が起きると、太田昭宏・国交相は「防災、減災施策を進め、安全な国土をつくることが喫緊の課題だ」と防災対策を全面に掲げ、補正予算に復興・防災対策としてトンネルや橋梁の緊急修繕費(873億円)などを盛り込んだ。
だが、防災は見せかけに過ぎない。「役所やゼネコンにとってインフラの点検や改修は手間が掛かるだけでうま味が少ない。儲けが大きいのは道路の新設や橋の架け替え工事だ」(土木コンサルタント)と言われるように、同省は改修費とは別に、「災害に強い広域ネットワークを構築する」と高速道路の新規建設予算624億円、「物流ネットワークの整備」名目で首都高の東京外環道路などの建設予算637億円など様々な口実をつけて、新規の高速道路建設に邁進している。
見落とせないのは、復興予算流用を批判されて凍結された事業まで今回の補正で復活させようとしていることだ。今年度の復興予算に内閣府のある合同庁舎4号館の改修費14億円が盛り込まれていたが、前述のように被災地以外の事業には使わないという方針で凍結された。国交省は補正予算に91億円の官庁営繕費を計上しており、「その中から改めて凍結された4号館の改修事業を復活させる予定だ」(国交省幹部)という。同省官庁営繕部は「具体的な使途はまだ未定だが、復興特会以外から予算が出る可能性はある」と説明する。
補正の財源は本来、復興国債の返済に充てるカネのはずだが、表立って復興予算を使うわけじゃないから文句は言わせないという姿勢である。この論理でいえば、この間、流用を批判された事業を全部”合法的”に予算化できることになる。
補正予算は役人の天下り先支援にも惜しみなく注ぎ込まれる。
総務省傘下の独立行政法人・情報通信研究機構は光ネットワーク研究所など6つの研究所を抱え、5人の理事のうち3人が同省出身という天下り研究機関で、収入(11年度約323億円)のほとんどが国の交付金で運営されている。民主党政権下の事業仕分けでは「交付金の1〜3割削減)を求められていたが、総務省は今回の補正予算で、「防災・減災機能の強化」を名目に同機構になんと年間交付金の1・5倍以上に相当する500億円の補助金を追加し、施設整備を進める。まさに焼け太りである。
農水省は自民党の農水族議員と一体となって悲願の農業土木事業を復活させ、凱歌を上げている。
田んぼを大規模化し、水路を整備する土地改良事業(農業農村整備事業)は多くの農業ゼネコンに発注され、自民党の「票とカネ」を支えてきた。しかし、麻生政権時代の09年に年間5772億円あった予算は民主党政権下で大幅カットされ、今年度の当初予算は2129億円まで削減されていた。
そこに自民党が政権復帰すると、農水省は農水族のバックアップで補正予算に「国土強靭化予算」として農業農村整備事業1640億円を盛り込み、自治体への補助金(農山漁村地域整備交付金)と合わせて、当初予算を上回る約2500億円の土地改良予算を復活させた。
来年度の概算要求を合わせると、土地改良予算は今年度のざっと3倍増で、一気に麻生内閣当時の予算規模に戻る。「田んぼの大規模化」が国土強靭化とはこじつけとしか思えないが、福島県土地改良建設協会の事務局長は複雑な心境を語る。
「民主党政権時代に予算が半分以下に削られたため、分け合うパイがなくなって福島では協会の加盟社も165社から95社に減った。自民党は土地改良に力を入れるというから期待しています。ただし、福島でも原発事故の被害が大きい浜通りは難しい。福島第一原発から半径20キロ圏は立ち入りできないし、その周辺もまず放射能の除染が進まなければ田んぼを広げても意味がないわけですからね」
被災地では、こうした補正予算のバラマキが復興のためでも、防災のためでもなく、自民党と霞が関の「強靭化」のためのものだと見透かしているのだ。
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