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2013年1月20日 植草一秀の『知られざる真実』
2月3日日曜日に高島康司氏のしゃべり場事務局が主催する
「ヤスのしゃべり場Vol.3」
http://blog-imgs-54.fc2.com/y/t/a/ytaka2011/shabe01.jpg
で講演と対談を行う。
ファシリテーターとして登場する川島克之氏からの依頼で参加させていただくことになった。
私の講演テーマは『日本の権力構造と2013年の展望』
長丁場の企画でどのような結果になるか分からないがご案内させていただく。
定員が80名と限られているので、参加ご希望の方は「しゃべり場事務局」まで、お早目に申し込みをお願い申し上げたい。
yasunoshaberiba@gmail.com
1月20日のNHK「日曜討論」は安倍政権の経済政策をテーマにした。
出演者は政府代表として甘利明経財相、財界から日本商工会議所会頭で東芝相談役の岡村正氏、学者として浜田宏一氏と野口悠紀雄氏が出演した。
岡村氏は財界人として安倍応援団の役割を担って出演している。
学者では安倍氏が依拠しているのが浜田氏で、浜田氏とは異なる主張を提示している学者として野口氏が出演した。
NHKは「日曜討論」の出演者を二つのプロセスを経て決定している。
ひとつは、出演者の考えと立場を完全に把握すること。
二つ目は、その属性を踏まえて、各立場の討論者を何人ずつ出演させるかを決めること。
完全に中立公正の討論を行う場合には、対立する立場のそれぞれから同数の発言者を出演させる。
基本的に政府の御用番組であるから、主賓として迎える政府関係者の主張する立場の論者を多く出演させることが多い。
政府側論者3、反対論者2などの構成が選択される。
本来、公正に対論を戦わせるなら2対2ということになる。
1月20日討論では、この構成比が3対1であった。
これが偏向NHKが最近多用するスタイルである。
政府礼賛論者ではない学者として野口悠紀雄氏を出演させたことがせめてもの救いであった。しかし、討論の構成として、3対1であることがNHKの御用体質、偏向体質を如実に示している。
学者二人を出演させる一方、財界から発言者を出演させるなら、同時に、労働界や消費者を代表する人物も出演させるべきである。
あるいは、学者のなかから政府礼賛論者2名とそうでない学者を2名ずつ出演させるべきだ。
偏向司会者の島田敏男氏は野口悠紀雄氏の発言を何度もさえぎった。
浜田宏一氏は私も学生時代に金融論の講義を受けた者の一人だが、現時点では主張の説得力を完全に失ってしまっている。
自説の主張を繰り返すだけで、批判に対する明確な反論を示すことができていない。
安倍政権誕生に前後して円安と株高が生じたことだけを根拠に、日銀の独立性抑制の正当性を主張する。
しかし、過去に日銀が量的金融緩和政策を発動した際にほとんど効果が得られなかった点についての説得力ある説明をまったく示すことができなかった。
経済学者のなかに、ひたすら日銀の金融緩和政策を主張する人間が増加している。これらの人々がある種の徒党を形成している。
しかし、これらの学者は追加金融緩和措置がインフレ率を引き上げるまでの効果波及プロセスを明快には示していない。
マネタリストなどの業績により示されてきた金融政策と名目取引量との因果関係とは、量的金融指標の増加がタイムラグを伴って経済の名目取引量に影響したと判断できる実証的な分析結果だった。
単純化して言えば、マネーサプライなどの量的金融指標の増加が名目取引量≒物価水準に影響を与えてきたと判断できるという関係である。
この実証的な関係を基準にして、量的金融指標のコントロールによって物価変動率をコントロールし得るとの考え方が提示されてきた。
現在の最大の問題は、マネーサプライなどの量的金融指標を増加させる具体的な政策手段を見い出せないことにある。
追加金融緩和政策の中心に置かれているのは、「量的金融緩和措置」であるが、これは、マネーサプライなどの市中に出回る貨幣量を増加させるものではない。
市中に出回る貨幣量は金融機関の与信行動によって増加される。量的金融緩和措置とは、金融機関の与信行動の源になる短期金融市場で金融機関が調達できる資金量を増やすというものでしかないのである。
マネーを生み出す源になる資金という意味で、これを「ハイパワードマネー」や「ベースマネー」などと呼ぶが、この増加はマネーサプライを増加させるための「必要条件」でしかない。
実際にマネーサプライが増加するには、このように供給されたハイパワードマネー、ベースマネーを金融機関が活用して、市中に対する与信行動を積極化させることが必要なのである。
金融機関の与信行動が積極化することがマネーサプライ増大の「十分条件」である。
日本における過去の量的金融緩和局面の現実とは、ベースマネーの供給は増やしたが、マネーサプライの増大は実現しなかったというものである。
野口悠紀雄氏はこの点を明確に説明した。
しかし、浜田氏はこの点に対する反論を示せなかった。
また、浜田教授はIMFの専務理事の名を繰り返し「ガルダス」と発言していたが、意味が不明である。
IMF専務理事はクリスティーヌ・ラガルド氏であって、ガルダス氏ではない。
浜田氏の発言全体に対する信憑性を揺るがす発言であったと感じられる。
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