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2013年01月20日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆安倍晋三首相・麻生太郎副総理(元首相)が主軸とする日米同盟ベッタリの「価値の外交」と、たとえ「国賊」と罵倒されようとも、どこ吹く風で、鳩山由起夫元首相が推進している「友愛外交」のどちらが本当の意味での「国益」になるのか。いま2つの外交路線が激しくぶつかり合っている。
安倍・麻生コンビの「価値の外交」は、どちらかと言えば、中国、ロシア、イスラム諸国を基本的に「敵視」する外交路線だ。かたや鳩山由紀夫元首相の「友愛外交」は、フリーメーソン・イルミナティが「ワンワールド」をめざして、「フラタナティ(友愛)」を唱え、世界平和を築こうとしている路線上にある。だから、日米同盟偏重の外務省の外交路線とは相対立している。
◆安倍・麻生コンビの「価値の外交」は、今回の「アルジェリア人質事件」でその限界と欠陥を露呈してしまった。
安倍晋三首相がいくらわめき、懇願してもアルジェリアのセラール首相は、「これが最善の手段だ」と言って「武装攻撃」を止めなかった。
それどころか、外務省主導の情報収集も全く「結果」を出せず、「日本人の安否」を含めて肝心要の情報を入手できないでいる。
こればかりではない。チュニジアの「ジャスミン革命」が隣国リビア波及して内線状態になったとき、日本政府は、リビアに在住の日本人を助けることができず、政府専用機を派遣するか否かを検討するのに時間がかかり、何も決められず、結局、カダフィ大佐が殺されて内戦は終わった。
この内戦中、中国北京政府が中国人8000人を救出したのをはじめ、その他の国も救出に成功しているという。日本政府の対応は今回も同様で、手も足も出せなかった。
◆外交の基本は、「情報」を集めることである。このため、外交官の活動の大半は、「スパイ活動」にあるのに、「儀典外交」にうつつを抜かして、高級ワインばかりをカブ飲みするハデな生活にドップリつかっている。従って、世界の危険地帯での「情報活動」はほとんど行なっていないのが実情だという。日米同盟を基軸にしているので、イスラム世界の情報は、かなり欠乏している。それでは、本当の意味での外交にはならず、日本の外交官や外交に携わっている国会議員は、はっきり言って「国益」を守ろうとしない「国賊」と言って過言ではない。
これに対して、鳩山由紀夫元首相は、日中外交が行き詰まり、まかり間違えれば「日中戦争」にも発展しかねない最悪の状況のなかで、中国から「大切な貴賓」として招待されて、意見交換している。この数少ない「外交の糸」をプッツンさせてしまうと、それこそ大変なことになる。
思い出していただきたい。
菅直人元首相は、横浜で開かれたAPECのとき、胡錦濤国家主席と廊下の片隅で会ってもらったまではよかったが、挨拶をするのに「紙切れ」に書いた文章を読んで、相手を呆れさせた。
野田佳彦前首相は、ウラジオストックAPECで胡錦濤国家主席から「尖閣諸島の国有化はやめてもらいたい」と要請を受けていたにもかかわらず、帰国してすぐに「国有化」を閣議決定してしまい。相手を完全に裏切り、信頼を損ねた。以後、胡錦濤国家主席には相手にされず、温家宝首相には、国際会議の場で、目も合わせてもらえず、口を聞いてももらえなかった。「日中外交」をメチャクチャにしたのである。
外交というものは、あらゆる手を尽くして最低の情報ルートだけは確保しておく必要がある。
この際、鳩山由紀夫元首相の「友愛外交」と安倍・麻生コンビの「価値の外交」の比較を鳩山由起夫元首相の口から聞いてみることも無駄ではない。
拙著「友愛革命―鳩山由紀夫の素顔」(共栄書房刊)から引用しておこう。
■「価値の外交という発想に陥ると危ない」
鳩山由紀夫は、「価値の外交」を展開し、「不安定の弧」を「自由と繁栄の弧」にするだけでは、世界平和は実現できないと考える。真の世界平和は、特定の地域の自由と繁栄を望むだけでは、実現できない。「友愛外交」こそが、その目的を果たせると自負しているのである。
「私は『価値の外交』ではなく、『友愛の外交』だろうと思っておりまして、むしろ、価値観の異なる人たちとの間にこそ外交が必要であり、ある意味では、社会体制が違う、経済構造も違う、そういう人たちとどううまく付き合っていくかが、外交だと思います。自由と繁栄、価値を等しくする人たちだけで周りを固めて仲良くやろうという発想は、本来の外交であるべきではない。『価値の外交』などと言われたとき、実は、『これは違うな』と思っておりました」
このため、鳩山由紀夫と麻生太郎が次期総選挙の戦場で、外交防衛政策をめぐり激しく干戈を交え、火花を散らすことになるのは、どうしても避けがたいのである。
それは、「海洋国家論者」に見える麻生太郎が、「自由と繋栄の弧」から、「大陸国家」であるロシアや中国を除外しているかのような外交政策を展開しようとしていることに最大の原因がある。鳩山由紀夫は、インタビューのなかでこう力説していた。
「外務省がどこまで、価値の外交にこだわっているかはわかりませんが、私は、価値の外交という発想に陥ると危ないなとそう思っていまして、あえてロシアや中国を弧から外しているわけですから、そうすると、彼らから見れば、外されたのは何なんだという発想になるわけですよ。そんなことをあえて外交で言う必要はなくて、むしろ、そういう人たちと、どううまく付き合うようにするかということが大事です。だからこれからロシアというのは、資源外交という意味でも、絶対こことはうまく付き合ったほうがいいと、私は思います」
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